僕のクソッタレな人生にきみを添えて

るい

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きみを添えて1日目

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 ここが騒がしいことなんてずっと前から知っていた。騒々しくてどこか汗臭い。それから突然の喧嘩に煽る野次、物が壊れる音。もちろん粗野な者ばかりが集まるこの場で静寂を保てと言う方が馬鹿なのかもしれないが僕は馬鹿でいたい。

「これを頼むよ」
「承りました。ランクAのディアドナ討伐、期限は三日間です。失敗の場合ペナルティはありません」

 目の前で事務的に話す受付の女性へ頷けば「クエスト受理完了です、お気をつけて」と頭を下げられた僕はお礼を言って踵を返す。そして一直線に出口に向かった。出口の近くで喧嘩が起こっているのも無視だ、僕には関係ない。

 ああ、早くこのうるさい場所から解放されたいと急ぐ気持ちと足は注意力を落としていくらしい。僕のおろした足下で物を踏みつけた感覚とバリンッと何かが割れた音。それから一斉に寄せられる周りの視線。僕は一瞬だけ状況把握と整理で固まるも何かを踏みつけた足をあげて無残に割れ粉々になった残骸を見た。その時、「ああっ……」と小さな悲痛の声が聞こえ顔を上げれば喧嘩で大柄の男に胸ぐらを掴まれていた黒髪の男が残骸の方を向いている。

「はっ、良かったな、お前に似合わないあれをわざわざ処分してくれる奴が現れて」

 黒髪の男の胸ぐらを掴んでいる大柄の男が鼻で笑えば黒髪の彼は怒りを滲ませ「っ……離せ!」と男が掴む腕を振り払う。彼は自由になると僕の足元にある残骸に駆け寄り、壊れ物を扱うように残骸をかき集める。というかもう壊れているからその通りなんだけど、僕はどうしたらいいのか分からず彼のつむじを見ていた。大柄の男とその仲間は彼のその姿に満足したのか品のない笑いと一緒に去っていき、周りも通常に戻る。僕と彼だけが取り残されていた。

「足を退けろっ」
「えっ、ああ」

 呆然としていた僕を睨む黒髪の彼の目は潤み赤い。おそらく彼にとって大切な物だった残骸から少しさがる。僕はとりあえず謝罪を彼にするべきだと口を開くも彼は残骸を集め終えたのか立ち上がり、早足で行ってしまう。最終的に僕ひとりがぽつんと取り残され、茫然と瞬きをしただけだった。
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