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繋がれたバトン
茜の告白
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「はぁはぁはぁ…茜!!」
「真司…どうしてここが!?」
「愁平が教えてくれたんだよ」
「愁平が…!?…そう…でも…真司、私とあなたはもう友達のでもなんでもないのよ…どうして私に関わるの!!私に関わると碌なことがないの!!」
「茜…これ」
真司は愁平が彼に託してくれたミサンガを茜に渡した。
「これって…」
「黒くてもう色はわからないけど…茜なら分かるだろ?あの時…俺が江戸崎を出た時、愁平が俺にくれたミサンガだ。
茜と俺、そして愁平…3人の絆を…あいつは、ずっと、ずっと大切にしてくれていたんだ…」
「真司…これ…」
茜はポケットから一つの綺麗な緑色のミサンガを取り出した。
「…それって…」
「ごめんね…真司…私…あなたと、愁平との絆はやっぱり切れないや」
「茜…」
「ここの夕日を見ているとね、なんだか不思議な気持ちになるの…あの頃…まだ真司が江戸崎を発つ前、私は、人と話すのが苦手で、家に引きこもってばかりいた…ある時、あなたたち2人が私を訪ねてきて、
『茜、綺麗な夕日が見れる絶好の場所があるんだ!なぁ行こうぜ』って、こんな私を2人は外の世界へ連れ出してくれた。あなたたちは私にこんな素敵な世界を見せてくれた。本当、絶景だったなぁあの時の夕日。また3人で見たかった」
茜は1人、空に夕焼けをを見上げ、言葉を綴った。
「見れるさ…真司と約束したんだ!!また3人でこの綺麗な夕日を見ながら語り合おうって…約束…したんだ」
「…」
「だから、茜、話してくれないか?この町で起こったこと全て」
「………」
茜は押し黙ったまま綺麗な夕日を眺めていた。
「……」
「あなたを巻き込みたくなかった……
自分1人で解決したかった。でも無理だった。厄災の始まりは今から3年前、私たちが中学に入った頃…不幸な事故から始まったの」
「…」
「3年前、7月23日、青木陽菜、私のクラスメイトが江戸崎の海辺で水死体で発見されたの。とても無残な姿だったわ。全身が水風船のように膨らんでいて、所々から皮膚が裂けて筋肉や骨が見ているの、そして何より彼女の死体は首がなかったの」
「…」
真司は今にも吐きそうな気分だったが、何も言わなかった。それを肯定と受け取ったのか、茜はまた淡々と話を続けた。
「7月14日、とても暑い日だったわ。私たちはいつも通り教室で授業を受けていた。でも、彼女は登校してこなかった。最初はただの体調不良だと考えていたの。でも、3日、4日、そして1週間が経過した頃、それは心配から不審に変わるには十分な時間だったわ。私たちは彼女が休み続けて1週間が経った頃、1人暮らしをしている彼女の家にいったの。そして1通の置き手紙を発見した……」
『明らかに空気が変わった』
真司は自分の周りの酸素が薄くなっていくのを感じた。
「その手紙には何が書いてあったの?」
「うん」
茜は小さく応えると、またポツリポツリと話し始めた。
「私はもうすぐクラスメイトに殺される。許さない、許さない。私が死んだらクラスメイト1人1人、じっくりと呪い殺してやる」
真司の背中に戦慄が走った。
茜がまるでロボットのように淡々と話を続けることに恐怖を覚えたからである。
「私たちは初め、その手紙を見た時、誰かのいたづらだと、本気でそう思った。でも、これがうなされ続ける悪夢の始まりだった」
「……」
真司は淡々と話す茜の横顔を固唾を呑んで見ていることしか出来なかった。
「私と愁平は怯えるクラスメイトを他所に彼女を島中探しまわったの。そして彼女が姿を消してから9日後、浜辺で首のない、彼女の水死体を見つけたの」
「その時、私の中で何かが崩れ落ちる音が聞こえたわ。何か得体の知れないものから命を脅かされる恐怖を…」
「今でも覚えてる。あの恐怖、戦慄、
今覚えばその時の感情正しかったのかもしれない、、」
「茜、」
茜は震えていた。恐怖が、あの時の恐怖が、また茜を襲っていた。
「大丈夫、、」
「茜、もう良い、やめよう」
「いいえ、真司、私は貴方に伝えなきゃいけない義務があるの」
茜は寒々と身を震わせていたのにも関わらず、その目は真剣だった。
「茜、、」
「いいから…」
「特に怯えが酷かったのは私のクラスメイトの下村美都さん、堺紅葉さん。水死体を見た時の彼女たちの反応は常軌を逸してた。まるで、まるで、、
悪魔が悪魔が取り憑いたように泣き喚き。ごめん、陽菜、陽菜許して。と、
だた遺体となった彼女に謝り続けていた
遺体に懺悔しても報われないのにね」
真司の体に悪寒が走った。
『寒い、寒い』
真司は茜の何かが壊れていくような気がした。
『やばい、止めなきゃ』
「茜、もう…」
しかし、茜の開いた口は閉じる事なく、淡々と話を続ける。
「私と愁平は彼女たちが殺したのかと何度も何度も問い詰めたけど…ずっと黙ったままで何も答えなかったわ。そう、何度も何度もよ。彼女たちが青木陽菜が愁平を愁平を、私から私から…私から!」
「茜!茜!もうやめろ!」
真司は必死に茜の肩を掴んだ。
しかし、もう時は遅かった。茜の顔は、
「ああぁあぁああああ!!あいつがあいつがくる。私が…私が、私がぁぁぁ!」
茜の体から力が抜け、するりと真司の手から落ちいていく。
「!」
「おい茜!茜!どうした!?」
死んだように動かない茜を真司は必死に呼び続けた。
「真司…どうしてここが!?」
「愁平が教えてくれたんだよ」
「愁平が…!?…そう…でも…真司、私とあなたはもう友達のでもなんでもないのよ…どうして私に関わるの!!私に関わると碌なことがないの!!」
「茜…これ」
真司は愁平が彼に託してくれたミサンガを茜に渡した。
「これって…」
「黒くてもう色はわからないけど…茜なら分かるだろ?あの時…俺が江戸崎を出た時、愁平が俺にくれたミサンガだ。
茜と俺、そして愁平…3人の絆を…あいつは、ずっと、ずっと大切にしてくれていたんだ…」
「真司…これ…」
茜はポケットから一つの綺麗な緑色のミサンガを取り出した。
「…それって…」
「ごめんね…真司…私…あなたと、愁平との絆はやっぱり切れないや」
「茜…」
「ここの夕日を見ているとね、なんだか不思議な気持ちになるの…あの頃…まだ真司が江戸崎を発つ前、私は、人と話すのが苦手で、家に引きこもってばかりいた…ある時、あなたたち2人が私を訪ねてきて、
『茜、綺麗な夕日が見れる絶好の場所があるんだ!なぁ行こうぜ』って、こんな私を2人は外の世界へ連れ出してくれた。あなたたちは私にこんな素敵な世界を見せてくれた。本当、絶景だったなぁあの時の夕日。また3人で見たかった」
茜は1人、空に夕焼けをを見上げ、言葉を綴った。
「見れるさ…真司と約束したんだ!!また3人でこの綺麗な夕日を見ながら語り合おうって…約束…したんだ」
「…」
「だから、茜、話してくれないか?この町で起こったこと全て」
「………」
茜は押し黙ったまま綺麗な夕日を眺めていた。
「……」
「あなたを巻き込みたくなかった……
自分1人で解決したかった。でも無理だった。厄災の始まりは今から3年前、私たちが中学に入った頃…不幸な事故から始まったの」
「…」
「3年前、7月23日、青木陽菜、私のクラスメイトが江戸崎の海辺で水死体で発見されたの。とても無残な姿だったわ。全身が水風船のように膨らんでいて、所々から皮膚が裂けて筋肉や骨が見ているの、そして何より彼女の死体は首がなかったの」
「…」
真司は今にも吐きそうな気分だったが、何も言わなかった。それを肯定と受け取ったのか、茜はまた淡々と話を続けた。
「7月14日、とても暑い日だったわ。私たちはいつも通り教室で授業を受けていた。でも、彼女は登校してこなかった。最初はただの体調不良だと考えていたの。でも、3日、4日、そして1週間が経過した頃、それは心配から不審に変わるには十分な時間だったわ。私たちは彼女が休み続けて1週間が経った頃、1人暮らしをしている彼女の家にいったの。そして1通の置き手紙を発見した……」
『明らかに空気が変わった』
真司は自分の周りの酸素が薄くなっていくのを感じた。
「その手紙には何が書いてあったの?」
「うん」
茜は小さく応えると、またポツリポツリと話し始めた。
「私はもうすぐクラスメイトに殺される。許さない、許さない。私が死んだらクラスメイト1人1人、じっくりと呪い殺してやる」
真司の背中に戦慄が走った。
茜がまるでロボットのように淡々と話を続けることに恐怖を覚えたからである。
「私たちは初め、その手紙を見た時、誰かのいたづらだと、本気でそう思った。でも、これがうなされ続ける悪夢の始まりだった」
「……」
真司は淡々と話す茜の横顔を固唾を呑んで見ていることしか出来なかった。
「私と愁平は怯えるクラスメイトを他所に彼女を島中探しまわったの。そして彼女が姿を消してから9日後、浜辺で首のない、彼女の水死体を見つけたの」
「その時、私の中で何かが崩れ落ちる音が聞こえたわ。何か得体の知れないものから命を脅かされる恐怖を…」
「今でも覚えてる。あの恐怖、戦慄、
今覚えばその時の感情正しかったのかもしれない、、」
「茜、」
茜は震えていた。恐怖が、あの時の恐怖が、また茜を襲っていた。
「大丈夫、、」
「茜、もう良い、やめよう」
「いいえ、真司、私は貴方に伝えなきゃいけない義務があるの」
茜は寒々と身を震わせていたのにも関わらず、その目は真剣だった。
「茜、、」
「いいから…」
「特に怯えが酷かったのは私のクラスメイトの下村美都さん、堺紅葉さん。水死体を見た時の彼女たちの反応は常軌を逸してた。まるで、まるで、、
悪魔が悪魔が取り憑いたように泣き喚き。ごめん、陽菜、陽菜許して。と、
だた遺体となった彼女に謝り続けていた
遺体に懺悔しても報われないのにね」
真司の体に悪寒が走った。
『寒い、寒い』
真司は茜の何かが壊れていくような気がした。
『やばい、止めなきゃ』
「茜、もう…」
しかし、茜の開いた口は閉じる事なく、淡々と話を続ける。
「私と愁平は彼女たちが殺したのかと何度も何度も問い詰めたけど…ずっと黙ったままで何も答えなかったわ。そう、何度も何度もよ。彼女たちが青木陽菜が愁平を愁平を、私から私から…私から!」
「茜!茜!もうやめろ!」
真司は必死に茜の肩を掴んだ。
しかし、もう時は遅かった。茜の顔は、
「ああぁあぁああああ!!あいつがあいつがくる。私が…私が、私がぁぁぁ!」
茜の体から力が抜け、するりと真司の手から落ちいていく。
「!」
「おい茜!茜!どうした!?」
死んだように動かない茜を真司は必死に呼び続けた。
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