君と見た黄昏の夕焼け

霧野新庄

文字の大きさ
上 下
6 / 12
始まりの厄災

大自然の島、江戸崎

しおりを挟む
『ブオオ。ブオオ』

「お待たせいたしました。間もなく江戸崎に到着いたします。お降りの際は忘れ物等ございませんようあらかじめご確認ください」

『ドン』

真司は江戸崎に降り立った。

「んー。この透き通った青い海。美味しい空気。帰ってきたんだー俺の故郷にー」

「お!真司。帰ってきたのか!」

1人の老人が真司に声をかけてきた。

「あ!康さん。ただいまぁー」

康さんはここ江戸崎を治めている人、所謂、村長みたいな人だ。

「あれ?みんなは?」

真司があたりをきょろきょろと見見回す。  

「すまんのー真司。今は日中だから、みんな仕事や学校に行っているんだよ」

「そっかぁ…まあしょうがないよね」

真司は一瞬悲しげな表情を浮かばせた。

「そういえば愁平と茜は?2人共ここの高校に通っているんだよね?」

「あ。ああ…そうじゃよ」

康さんは真司の言葉にお茶を濁した。

「それより真司。少し島を見ないか?」

「んー。少し疲れたけど…故郷の変わりようも見てみたいなぁー」

「よっしゃ!わしが案内したるからついてきな」

康さんはが元気よく言った。

「あーつっかれた。それにしても康さん。随分と変わったんだね。島も、人も」
 
「ああ。こっちもここ数年色々あってな…」

康さんは少し言葉を濁した。 

「ねえ?何があったの?」  

「え?いや…」

「俺に言えないこと?」

「そ、そんなことないぞ…」

真司たちのいた海岸で日が沈むのが見えた。  

「もう、夜…か。じゃあ真司。わしはこれで」

「康さん。まだ話は…」

康さんは逃げるように走り去って行った。

『真司。すまない』

康さんは心の中でそう呟いた。

「康さん…なんで俺に隠し事なんてするんだろう?」

真司は康さんの言動が気になっていた。

「まあ。なにはともあれやっぱり故郷って最高!明日からは2人が通っている高校に入学だ。考えただけでもワクワクする」

真司のテンションは最高兆だった。

「よし、じゃあ今日は明日のために早く寝よう」

真司は早めに床についた。 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~

kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。

「史上まれにみる美少女の日常」

綾羽 ミカ
青春
鹿取莉菜子17歳 まさに絵にかいたような美少女、街を歩けば一日に20人以上ナンパやスカウトに声を掛けられる少女。家は団地暮らしで母子家庭の生活保護一歩手前という貧乏。性格は非常に悪く、ひがみっぽく、ねたみやすく過激だが、そんなことは一切表に出しません。

水曜日の子供たちへ

蓮子
青春
ベンヤミンは肌や髪や目の色が他の人と違った。 ベンヤミンの住む国は聖力を持つ者が尊ばれた。 聖力と信仰の高いベンヤミンは誰からも蔑まれないために、神祇官になりたいと嘱望した。早く位を上げるためには神祇官を育成する学校で上位にならなければならない。 そのための試験は、ベンヤミンは問題を抱えるパオル、ヨナス、ルカと同室になり彼らに寄り添い問題を解決するというものだ。 彼らと関わり、問題を解決することでベンヤミン自身の問題も解決され成長していく。 ファンタジー世界の神学校で悲喜交々する少年たちの成長物語 ※ゲーム用に作ったシナリオを小説に落とし込んだので、お見苦しい点があると思います。予めご了承ください。 使用する予定だったイラストが差し込まれています。ご注意ください。 イラスト協力:pizza様 https://www.pixiv.net/users/3014926 全36話を予定しております

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】カワイイ子猫のつくり方

龍野ゆうき
青春
子猫を助けようとして樹から落下。それだけでも災難なのに、あれ?気が付いたら私…猫になってる!?そんな自分(猫)に手を差し伸べてくれたのは天敵のアイツだった。 無愛想毒舌眼鏡男と獣化主人公の間に生まれる恋?ちょっぴりファンタジーなラブコメ。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...