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黄昏の夕日
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その頃、江戸崎では……
「行ったのね」
「ああ。でも…茜、お前は良かったのか?」
「え、ええ…私はいいの。それより愁平。あなたこそ大丈夫?」
「はは。全く、俺もお前に心配されているようじゃまだまだだな」
「強がりはよしてよ。あなたたち二人のことなんて誰よりも私がよく知ってるんだから…」
【ポタ…ポタ】
『ん?なんか生暖かいなぁ』
「茜、暖かいよ」
「え?」
茜の顔が夕日と同化して赤く焦げている。
「お前こそ強がってるじゃないか…目から…鼻水が出てるぜ」
【ポタ…ポタ】
「馬鹿。こういう時は目から雫が落ちているよって言うんだよ」
「はは…ちげえねや」
二人の顔が黄昏の夕日と交差して赤く染まっている。
「でも…やっぱり体は正直よね。言葉に出さなくても…自然と、涙が…」
「ああ…」
「なあ茜。覚えているか?」
「え?」
「この浜辺。この場所。この時間。辛いことがあった時はいつも3人、ここにいたよな」
「ええ。よく覚えているわ。いつもこの夕日を3人で眺めて黄昏てたっけ…」
そう3人は小さいころからいつも一緒で、この大自然の中で強く生きてきた。
「辛くても、悲しくても、時間は止まってくれない。私達は私たちなりに前に進まないとね…」
「ああ。なあ、茜。俺、あいつと約束したんだ。必ず手紙を書くって、離れてたって心は繋がってるからな」
「いいね。友情って」
「いいや。俺たち2人だけじゃない。
3人の友情だろ?」
「そうね」
茜は嬉しそうににっこりと笑った。
「行ったのね」
「ああ。でも…茜、お前は良かったのか?」
「え、ええ…私はいいの。それより愁平。あなたこそ大丈夫?」
「はは。全く、俺もお前に心配されているようじゃまだまだだな」
「強がりはよしてよ。あなたたち二人のことなんて誰よりも私がよく知ってるんだから…」
【ポタ…ポタ】
『ん?なんか生暖かいなぁ』
「茜、暖かいよ」
「え?」
茜の顔が夕日と同化して赤く焦げている。
「お前こそ強がってるじゃないか…目から…鼻水が出てるぜ」
【ポタ…ポタ】
「馬鹿。こういう時は目から雫が落ちているよって言うんだよ」
「はは…ちげえねや」
二人の顔が黄昏の夕日と交差して赤く染まっている。
「でも…やっぱり体は正直よね。言葉に出さなくても…自然と、涙が…」
「ああ…」
「なあ茜。覚えているか?」
「え?」
「この浜辺。この場所。この時間。辛いことがあった時はいつも3人、ここにいたよな」
「ええ。よく覚えているわ。いつもこの夕日を3人で眺めて黄昏てたっけ…」
そう3人は小さいころからいつも一緒で、この大自然の中で強く生きてきた。
「辛くても、悲しくても、時間は止まってくれない。私達は私たちなりに前に進まないとね…」
「ああ。なあ、茜。俺、あいつと約束したんだ。必ず手紙を書くって、離れてたって心は繋がってるからな」
「いいね。友情って」
「いいや。俺たち2人だけじゃない。
3人の友情だろ?」
「そうね」
茜は嬉しそうににっこりと笑った。
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