引きこもり極めたら物と会話できるようになったんだが

賢者390

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4話 出会いの予感ʅ(◞‿◟)ʃ

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ー高校入学まで後1日



「和馬。いよいよ明日だな。何か買い忘れてるものとかはないか?」

「あー無いな。一応全部揃ってる気がする。」  

「本当か?(΄◉◞౪◟◉`)」

「なんだその顔。いやまあなんか不安になってきたな。もう一度確認してみるか。」

「それがいい。」 

俺はチェックリストを確認した。

「げぇっ!マジか!」

「どうした和馬。」

「靴下黒じゃ無いとダメなのか。マジか。柄物しかねぇわ。」

「服装に厳しいのだな。よし買いに行こう。」

「マジか。だりーけどしょうがないか。」

俺は久しぶりに外にでた。
引きこもりの体には春の陽気でさえ害になると思っていたが、案外気持ちのいいものだった。

俺は近所のしま◯らで靴下を買い、小学生の頃よく遊んでいた、テニスコートのある公園に行くことにした。

「和馬。ここはどこだ?」

「近所の公園だよ。俺が小学生のときよくここで遊んでたんだ。」

「なるほど。思い出の公園か。どうだ?久しぶりに来た感想は?」

「あんまり変わってねぇなぁ。」

そう言いながらテニスコートの方を見ると、一人の少女が丁度入ってきた。

手にはラケットとボールを持っている。

壁打ちでもするのか?
俺はそう思った。

少女は華奢だが少し焼けているように見えた。

スカートとポニーテールをヒラヒラさせながら壁打ちを始めた。

パッコーン!パッコーン!

気持ちのいい音が響きわたる。

俺はつい見とれてしまった。
別にエッチな目を向けていたわけでは無い。
あまりにもその少女のフォームが美しくて見とれていただけだ。

すると少女がこちらの視線に気づいたのか、明らかに今までの美しいフォームとは対照的な豪快なフォームで球を打った。

バチコリ!!

球は少女の元に返ってこなかった。
恐らくどこか遠くに飛んで行ってしまったのだろう。

突然のことに俺は驚いて目を見張ってしまった。
すると、少女がこちらに向かってくる。

やばい!心の準備ができてないし!
何より女子と話すのなんて何年ぶり?!
てか何?俺なんかした?!
やべぇ全然分からん!


頭の中がこんがらガッチュレイションしていた。

「アンタ、さっきからジロジロ見ないでくれる?」


いつのまにか少女が俺の前に立っていた。

「すすすいません!べっ別にそうゆう感じで見てたわけではありません!」

日本語を忘れてしまったようだ。
思うように言葉が出てこない。

「はぁ?!そうゆう感じって何よ?!
どーせエッチな目で私のこと見てたんでしょ?」

これには少しムカついた。
俺は巨乳が好きだからだ。

そんな慎ましやかな胸を見ても俺は興奮などしない。
むしろ湧いてくるのは同情の念だ。

「はぁ?!別にそんなんじゃねーから!
お前が俺の視界に入ってきただけだし!」

「はぁ?!偉そーに!どうせアンタみたいな陰キャ臭丸出しの奴に彼女なんてできないから私みたいに可愛い女の子で欲を満たそうとしてたんでしょ!ほんとサイテー!」

「マジで違うから!もう分かった!帰るから!」

「さっさと帰りなさいよ!どうせ家に帰ってもエッチな動画とか見てるんでしょうけどね!」

もう疲れた。
言い返すのがもうダルい。

だから俺は何も言わずその場を去ろうとした。
すると少女は俺の肩を掴み振り向かせようとしてきた。

「何よ!話はまだ終わってないでしょ!」

いい加減鬱陶しかったのでその手を払いのけようとした。

するとその手が少女の持っていたラケットに当たり、ラケットを軽く飛ばしてしまったのだ。

地面に落ちるラケット。
素人目に見ても分かる。
中々使い込まれてるというか、年季が入っているというか、この少女のテニスに対する情熱が伝わってくるラケットだった。

「あっごめん!」

俺は咄嗟に謝った。

「何すんの!大切なラケットなのに!」

少女は慌ててラケットに駆け寄り破損していないか確かめていた。

「ほんとにごめん。そんなつもりじゃなかったんだ。」

「もう知らない!アンタなんてどっか行って!」

俺はその場を後にした。
とても後味が悪かった。


家に着いた。

「和馬。災難だったな。」

「あぁ、ほんとだよ。てか自業自得じゃね?あれ俺悪いか?」

「まあ自意識が高いのだろう彼女は。
しかしまあもう会うことはないのだから忘れて明日に備えるんだ。」

「そうだな。明日から俺の新しい生活が始まるからな!英気を養うためにもう寝る!」

「そうだな。私も寝るとしよう( ̄∇ ̄)」

いやお前も寝るのかいとツッコミたくなったが割と疲れてたから口から出てこなかった。

希望と不安に溢れている俺の新生活がとうとう始まる。


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