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1話 引きこもり卒業?
しおりを挟む『マジでそれなー、てかそれマジで笑える。』
いや違うな
『君たちの意見も最もだが大切なのはロジカルシンキングで論理的に考えることだよ。』
いや意味同じか
長いこと部屋に引きこもっていたせいで、
いざ他人と面と向かって会話しようと思うと
どんな感じで話せばいいのか全然わからん。
『はぁ、ツイッ◯ーも結局俺の心を潤せはしなかったなぁ。』
ネットとの繋がりにも飽きを感じる今日この頃、新たな高校生活で引きこもりだったということを悟られないようにするため、
俺はそれっぽい会話の練習を部屋でしていた。
『しかたない、フェル◯研究所でも見て寝るか。』
愛用のiPhone 7プラスのホームボタンに親指を乗せたその時だった。
『私が会話の相手になってあげよう。』
幻聴か?とうとう頭がおかしくなったのか?
困惑している俺とは対照的に淡々と話し出す
iPhone 7プラス
『君はいつも寝る前に私を眺めてるな、
寝る前にスマホの光を見てると睡眠が浅くなってしまうぞ。』
うおいマジか!こいつしゃべりやがった!
様子はいつもと変わらないただのスマホ、
だが確実に声が聞こえる。
『俺もう脳みそが末期なのか?』
思わず尋ねてしまった。
『いや正常だ。ようやっと私の声が聞こえるようになったのだな。』
どゆこと?こいつずっと前から話せたの?
訳わからん!
『お前なんでしゃべれる?!いや口とかないけど、なんか声が聞こえるのはなんで?!』
『私は君が大切に使ってくれていた、というより君が私を使う過程で、君の喜びや
悲しみ、怒りを私に投影してきたからだ。
人間に感謝されたり、感情を投影されたりした物には魂が宿るのだよ。』
確かに俺はネットでの繋がりを求めるあまり
クソリプにはとことん付き合い、DMやリプをくれた人には感謝や喜びをぶつけてきた。
しかし、まさかそれでこのスマホに魂が宿るとは、ト◯ストーリーじゃあるまいし。
『君とは長い間、時間を共に過ごしてきた。
だから君のことはよく知っている。
最近はレ◯プモノに興奮するようだが・・』
『あー!それ以上は言うな!』
『いや別に好みは人それぞれだからな、そこに関してとやかく言うつもりはないが、股間を触った手で私を触らないでほしいな。』
『それは悪かったな!』
いや普通に会話してるけど、やっぱりわからん。
はっ!そういえば昔じいちゃんが言ってたような気がする!
ー9年前ー
『和馬ちゃん!鉛筆は人差し指の長さになるくらいまで使いなさいな!』
『えー!やだよじいちゃん!だって短いと持ちにくいんだもん!』
『そんなこと言いなさんな、この鉛筆はまだ役目を終えてないんじゃからなあ。
まだ使えるのに捨てられたらかわいそうじゃろが。』
『かわいそうってなんだよ!物は悲しんだりしないよ!』
『いいや、それは違うぞ和馬ちゃん。
大切に使われた物には魂が宿るんじゃ。
宿魂(ヤドリダマ)と言ってのお、物に魂が宿り魂物(タマモノ)になるんじゃ。そして、
大切に使ってくれた人間に感謝を伝えにくるんじゃよ。』
『なにそれ!どうせじいちゃんは嘘ついてるだけなんでしょ!』
『いいや、古い言い伝えじゃが・・・』
ー現在ー
じいちゃんが言ってたことは本当だったのか。
まあ、よくも悪くもコイツは俺のこと理解してくれてるみたいだし、まあ会話の相手もできたしな!
『お前名前はあるの?』
『私はiPhone 7プラスだ。』
『じゃあセブンて呼ぶわ。』
『XIとかにしてくれないか?』
『いやお前7プラスだろ、贅沢言うな笑、
それに昔見てたドラマで携帯捜査官セ◯ンてのがあって大好きだったんだよ。
そのドラマは携帯が喋って戦うんだ。』
『なるほど、悪くない。今日から私の名は
セブンだ。』
『おう、よろしく頼む!』
いやなんか、普通に会話できてるんだが。
これもしかして俺、意外にコミュ力高い系
なのか?
『それにしても、なぜ君は引きこもっていたのだ?今日初めて私と会話した訳だが、
普通の少年となんら変わりないようだが。』
あぁ、そうか。コイツを買ってもらったのは確か中2のときだったな。
『生まれつき発作性頻拍症ってのを患っててな、中1のときに悪化して入院してたんだ。
少し良くなったから学校に行ったら、
ついてたあだ名が興奮マンでな。』
『なるほど、もう分かったからそれ以上は言わなくてけっこう。』
コイツ意外といいやつだな。
『しかし、君には高校という新しい世界が待っているではないか。』
『あぁ!そうだぜ!だから高校では引きこもり生活とおさらばして、リア充になってやるぜ!』
『私とも何ら問題なく会話できたしな。
君なら高校でもうまくやっていける
だろう。』
『セブン!お前いいやつだな!』
『私は事実を言ったまでだ。』
よくわからんが、わかったことが一つある。
俺は一人じゃなかった!
こうやって話してくれるやつが身近にいた!
こんなにも有難いことはないと痛感し、
新たな世界に胸躍らせた。
1話 引きこもり卒業 終わり
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