鋼鉄の棺を魔女に捧ぐ

立川ありす

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第4章 あやまちと後悔を積み重ねた城で

魔力王

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 ヘッジホッグは煙をふきながらゆっくりと地に降り、ななめに着地した。
 上面に設置されたコックピットハッチが開く。

 舞奈は機甲艇マニューバーポッドの球形のボディを危なげもなく駆け上がる。
 1人乗りにしてはずいぶん広いコックピットのシートの上に、明日香はいた。

 21年たっているにしては若かったので、すぐに明日香だと分かった。
 何らかの手段で老化を抑えていたのだろうか?
 青い下フレームの眼鏡がキラリと光る。
 切り揃えられた長い黒髪もそのまま、端正な顔立ちは記憶より少し大人びていた。

 舞奈はシートの横にしゃがみこみ、明日香の半身を抱き起こす。
 身体の細さは舞奈の知る21年前からそれほど変わらない。

 明日香は華奢ですらりとした腕をのばす。
 舞奈は明日香の手を握る。

「おまたせ、21年ぶりだな」
 舞奈は口元に笑みを浮かべる。

「あたしが時間にルーズだって知ってただろ? 世界征服以外の暇つぶしを考えたほうが良かったんじゃないのか?」
 軽口に、明日香もまた目を細めて笑みを返す。

「こうするしかなかったの……魔力が必要なの……帰るための……」
 ずっと望んでいた鈴の音のような声色に、思わず笑みを浮かべる。

「ああ。でも帰るって何処にだよ?」
「けど……わたしはダメみたい……。もう思い出せないの……あの日の気持ち……。舞奈……力の宝珠メルカバーを持ってる……?」
「ああ、持ってるとも」
 ジャケットのポケットから石を取り出し、明日香の前にかざす。
 脱出する前にケースから取り出していたのだ。

 明日香も胸元にさげたペンダントを手に取り、涙の形の石を取り外す。
 おそらくこれが知の宝珠トーラーの本体であろう。

「なんだ、結局、おまえもペンダントにしたんじゃないか」
 苦笑する。

 そして明日香は知の宝珠トーラーを、舞奈が持つ力の宝珠メルカバーに近づける。
 2つの石は繋がり、2人の手の中でハートの形をした石になった。

「よかった……」
 明日香が安堵の笑みを洩らす。
 つられて舞奈も笑う。
 だが次の瞬間、

「あとは……貴女が…………」
「え……?」
 黒髪の少女の身体に無数の亀裂が入る。

「明日香……?」
 そして塵と化し、風に吹かれて飛び去った。

 舞奈の双眸が見開かれる。
 明日香を抱きかかえていた腕は、今や虚しく宙をつかんでいた。

「……畜生! 畜生!! どうなってやがる!」
 叫ぶ。

 この灰色の世界で、舞奈が見つけて守ろうとしたものは全部壊れて消えた。
 守りたかったものは、気づいた時にはなくなっていた。
 それでも最後の闘いを終わらせて、コックピットハッチをこじ開けて、自分の半身と呼べる黒髪の友人を抱きしめれば、自分は全てを失ったわけじゃないと確かめることができる。そのはずだった。

 だが彼女も塵になって消えた。

魔帝マザー魔砦タワーの制御システムと同化していました。システムからの魔力の供給が断たれたことにより身体の維持が不可能になったと推測されます』
 声は、舞奈の手の中の石から聞こえた。
 黒ずんだハート型の石だ。
 舞奈は立ち上がり、石をにらみつける。

「……なんで、そんなことになった?」
魔帝マザー自身の判断によるものです』
 怒気をはらんだ舞奈の問いに、石は平然と答える。

『収穫した異能力者から魔力を抽出し蓄積するシステムの大幅な効率化が見こまれるとの理由により、魔術的な手段を用いて自身を魔砦タワーのシステムデバイスに転化しました』
「糞ったれ!! なんだよ……それ……」
 答えに舞奈は口元を歪める。

 魔帝マザーは――明日香は、より強大な魔力を求めて自身を魔法に変えた。
 そして滅びたということらしい。
 知の宝珠トーラーと名乗るこの石が語るには。

「……だいたい、おまえは何者なんだ?」
『私は知の宝珠トーラー魔力王マスターに知識を与え、教え導くものです』
「そいつは前に聞いたよ」
 押し殺した声で問う。
 石も普段と変わらぬ平坦な口調で答える。

『そして私の半身は力の宝珠メルカバー魔力王マスターを守護し、力を与えるものです』
「あたしが知ってること言いやがって! なら目的は何だよ? おまえ、明日香を裏切ってあたしに討たせただろ? 気づかれてないと思ってるかもしれないけどな!」
『我々の目的は魔力王マスターに栄光をもたらすことです』
 爆発する舞奈の怒りをなだめるように、石は語る。
 あくまで平坦な声色のまま。

『我々がこの星を訪れたのは21年前。落下地点で遭遇した人型生物を、我々は最初の魔力王マスターに選びました。ですが怪異と呼ばれるその生物は知性に欠け、我らが力をもってしても妖術師ソーサラーの座に留まりました』
「……あの時の泥人間の妖術師ソーサラーか。あいつもおまえの仕業だったのか」
 舞奈は少しだけ冷静さを取り戻して、手の中の石を見やる。

 思いおこせば、あの炎を操る妖術師ソーサラーも妙だった。
 泥人間の水準を超える妖術を操り、明日香の必殺の魔術すら防ぎきった。
 奴に2つの石が力を貸していたというのなら納得できる。

『はい。だが彼の者は力及ばず討たれ、我ら知の宝珠トーラー力の宝珠メルカバーは別の人物の手に渡りました。我らはそれぞれ別の魔力王マスターを選びました』
「それが、あたしと明日香だったってわけか」
『はい。明確な知性を持たぬ力の宝珠メルカバーは残された魔力を用い彼の魔力王マスターを守りました』
「事故に遭ったあたしを転移させたのか。レナのときみたいに」
『はい。そして私、知の宝珠トーラーは、我が魔力王マスターすなわち魔帝マザーに知識を与えました』
「なるほどな」
 石の言葉に、舞奈はいちおうは納得してみせる。
 力の宝珠メルカバーは涙石だ。
 ならば知の宝珠トーラーはボーマンや魔帝マザーに宇宙の知識を与えたモノリスであろう。だが、

「あんたはあたしにも知識を与えてた気がしたがな」
『はい。魔術師ウィザードである魔帝マザーは知性にあふれ、我が知識を元にして効率的に魔力を収集するシステムを作りあげました』
 次なる問いにも、石は何食わぬ口調で答える。
 もはや疑念を隠そうともしない舞奈が見やる前で。

『この惑星には、現地住民が異能力と呼称する擬似魔法能力の使い手が存在しました。怪異や異能力者と呼ばれる者たちです。魔帝マザーは散在する怪異や異能力者を収穫し、その魔力を吸収して蓄積するシステムを完成させました』
「ほう」
『ですが魔帝マザー魔術師ウィザードであるが故に、蓄積した魔力の浪費に無頓着でした』
 石の言葉に、舞奈は射抜くような視線で答える。
 だが石は平然と言葉を続ける。

『故に、私は、魔帝マザーではなく力の宝珠メルカバーが選んだ貴女こそが新たな魔力王マスターに相応しいと判断しました。ですが魔力王マスター力の宝珠メルカバーによる回避先に20年後を指定し、時間軸から1時的に消失していました』
「指定だと?」
『現地製の機甲艇マニューバーポッドとの衝突が予期されたため、力の宝珠メルカバー魔力王マスターの思考から転移先の指定と推測され得る相対時間を検出し、転移しました』
 石の言葉に舞奈は気づいた。
 21年前の世界でタンクローリーに轢かれそうになった際、死を覚悟した舞奈は20年後の大人になった明日香や園香に思いを馳せた。

「……そんなしょうもない理由で、あたしは20年後に跳ばされたのか」
 舞奈は肩をすくめ、「だがそれより」と石を見やる。

「今の答えで確信が持てたよ。あんたは、あたしが意に沿わなかったら、別の誰かに狩らせるってわけだ。明日香にそうしたみたいにな」
魔力王マスターが我らの信頼を裏切ることはないと信じています』
「よく言うぜ」
 舞奈は口元を歪める。

「トーラーさんよ。かき集めた魔力を使って明日香は何をしようとしていた?」
魔力王マスターが知るべきではない事柄です』
「……だろうな」
 舞奈は口元に乾いた笑みを浮かべる。

「あんたを作った何者かは、あんたが魔力王マスターに嘘をつくことを禁止した。けど紛らわしい言葉でごまかすことはできるし、都合のいい情報だけを提示して騙すことはできる。あんたは魔術や機体の知識を披露するかと思えば、肝心なことは何ひとつ話さない」
 意識して感情を押し殺した口調で語り、

魔帝マザーのことだってそうだ!!」
 再び爆発する。
 憤怒のあまり石を握りつぶさんとするほど強く握りしめる。

「聞かれてないからなんて寝言は言わせないぞ! あたしに頼りにされたかったからだろうが、聞いてもいない薀蓄をどれだけ言ったと思ってる!?」
『……』
「でもって都合の悪い質問にダンマリを決めこむこともできるのか。反吐が出るぜ」
 言い放つ舞奈の瞳には剣呑な光が宿る。

「おまえの目的は何だ?」
『我々の目的は、魔力王マスターに栄光をもたらすことです』
「そいつはさっきも聞いたよ! その魔力王マスターとやらの栄光のために、おまえは具体的に何をしようとしていた!?」
『……魔力王マスターの権威を確たるものにすべく、力の宝珠メルカバーに魔力を蓄積することです』
「ああ、そうかい!」
 石の言葉に、吐き捨てるように答える。

 だが舞奈は理解した。
 石の目的は魔力を集めることだった。
 だから石は明日香を魔帝マザーに仕立てあげた。
 魔力を収集するシステムとやらを作りあげるために。
 知識を欲する明日香に故意的な助言をすることにより意志を捻じ曲げて。

 だが、ひとつだけわからないことがある。
 明日香の目的だ。

 彼女は腕利きの魔術師ウィザードだ。
 魔力が欲しいなら生み出せばいい。魔術師ウィザードにはそれができるのだから。
 石から得た知識に今さら踊らされる理由なんてなかったはずだ。

 なら何が明日香の心を惑わし、魔帝マザーとなって世界を牛耳る道を選ばせたのだろうか?
 そんな舞奈の心の内など気づかぬように、

魔力王マスターは我らがもたらす恩恵を知る必要があるようです。私がお教えしましょう』
 石は言った。
 舞奈は眉をひそめる。石をぬめつけながら、

「チチも尻もない石ころが、媚びを売ってるつもりか? あんたに何が出来る?」
『あらゆる流派の魔術を。魔力王マスターよ、共にあったルーン魔術師の姿をイメージし、我が半身に「真神レナをこの場所に転移せよ」と唱えてください』
 肩をすくめる。

 呪文の中身からすると瞬間移動の魔法のように思える。
 だが真神レナはもういない。
 静かに眠っている彼女を汚す気にもなれない。

(けど……)
 もし、その呪文によって生きている彼女を再び抱きしめることができるとしたら?
 同じ手段が明日香にも通用するとしたら?

 試すのはタダだ。
 そう思い、石を手にしたままヘッジホッグから飛び降りる。
 床の瓦礫を蹴りどかして平らな空間を確保する。
 レナの幼い顔立ちを、長いツインテールを、つり上がっているものの目じりの垂れた瞳を脳裏に描く。

「真神レナをこの場所に転移せよ」
 唱えた途端、目の前の空間が輝く。
 そして床の上に、横たわるレナがあらわれた。
 その白い顔を、閉じられたままの瞳を見やった舞奈の瞳が揺らぐ。

「……元通りに……することはできるのか?」
 思わず舞奈は問いかける。

『因果律をねじ曲げるほどの強力な魔術の行使には相応の魔力が必要となります。ですが力の宝珠メルカバーに蓄えられた魔力は枯渇しかけています』
 石は何食わぬ口調で答える。

魔帝マザーが蓄積した魔力を我が半身に移しかえる必要があります』
「そいつはどこにある?」
魔帝マザーが隠匿しました。ですが残された魔力により引き寄せが可能です。凝固された魔力をイメージし、我が半身に「魔力の源をこの場所に転移せよ」と唱えてください』
「見た目は分からなくていいのか?」
『イメージと結果の間に共通点があれば顕現は可能です。イメージに容姿が必要というのであれば、魔力の源は花束の形をしています』
「……けっこういい加減だな」
 舞奈は石に指示されるまま、花束を脳裏に描こうとする。
 だが花など久しく見ていない。
 最後に見た花を思い出そうと記憶をたどる。

(ああ、そういえば……)
 舞奈が最後に花を見たのは1年前だ。
 20年後の世界に跳ばされる直前に商店街の花屋で買った花束だ。
 舞奈は百合やバラやカーネーションが咲き乱れる花束を脳裏に描く。

「魔力の源をこの場所に転移せよ」
 だが、軋むような音とともに石がはね上がった。
 取り落としそうになって、あわててつかみなおす。

「あばれるなら最初に言ってくれ。落して割っても知らないぞ」
『我々が落下によって破損することはありません。魔力が完全に枯渇するか、対魔法攻撃を被らない限り。我々は永久に存在し、魔力王マスターを補佐します』
「そうかい」
『また、先ほどの衝撃は、魔帝マザーの魔術的トラップによるものと推察されます。転移に対して抵抗されました』
「……じゃ、どうするんだよ。その魔力の源とやらは」
 舞奈は石を睨みつける。

 だが舞奈の言葉に答えるように、頭上の金属球のうちひとつが天井を離れ、落ちた。
 球は1歩後退った舞奈の目前に落ちる。
 だが地面に激突する寸前に宙に浮いて止まる。
 舞奈は思わず手をのばす。

――この球が割れて、中から失ったもの全てが出てくると良いのにな

 指先が鈍く輝く球に触れると、球は2つに割れた。

 中に収められていた花束を、舞奈は手にとる。
 百合とバラとカーネーションと、そして菊が1本だけ鮮やかに咲き乱れた花束だ。

(まさか、こいつ、あの時あたしが買った花束か?)
 舞奈は、ふと思った。

 あの時、轢かれそうな少女を見つけた舞奈は、花束を放り投げて事故に遭った。
 その結果、この世界に跳ばされた。
 そんな花束を、後から来たであろう明日香が拾うことは在り得ない話しではない。

 花束を見やるうち、舞奈と明日香が仕事人トラブルシューターだった日々が脳裏を駆け巡る。
 この世界における21年前は、舞奈にとっては1年前だ。

『――我々を魔力の源に物理的に接触させてください』
「こうか?」
『はい。そして「魔力の源から魔力を奪取せよ」と唱えてください』
 石の言葉に従うと、黒ずんでいたハート型の石が鮮血色の輝きを取りもどす。
 その代償に花はしおれ、枯れた。
 百合もバラもカーネーションも、1本だけ刺さっていた菊も枯れた。

 舞奈は枯れた花束から目をそらし、そっと目を閉じる。
 ふと、明日香が21年前に何を想ったのかが理解できた。
 だから――

「――ぷ……くくく……っ」
 不意に笑いがこみ上げた。

 自分がここに来た意味。
 レナと出合った意味。
 ボーマンとレジスタンスと共に戦った意味。
 そして魔帝マザーが世界を滅ぼした理由。
 そんなことに想いを巡らせながら、舞奈は糸が切れたかのように笑った。

「あはは! くくっ……はは! あーっははははははっ!!」
 朽ちた花束を放り出し、瓦礫の上に仰向けに倒れる。
 そのまま天井を見やりながら腹を抱えて笑う。

 舞奈の逆の手の中で、ハート型の石は無言で輝く。
 少し離れた開けた場所で、レナは物言わぬまま横たわる。

――あの林檎うまそうだな。食えないかな?
――なにバカなこと言ってるのよ

(ああ、そりゃそうだ)
 舞奈は笑う。
 奇声をあげて、爆ぜるように笑う。

 すべてが可笑しかった。
 この茶番のすべてが、笑えるほど可笑しかった。

 よくよく見やれば、魔砦タワーの内部にひしめく銅色のパイプも、目の前に吊られた金属球も、作りものの林檎の木が並んだ花屋の内装にそっくりだ。
 そして黄金の果実の中からあらわれた、舞奈のよく知る花束。

 まるで舞奈があの日々を思い出すことを望んでいるかのように。
 魔砦タワーを建てた何者か――魔帝マザー――明日香が。

――もしあたしがヘマしたら。おまえはああやって泣いてくれるか?

 あの日、舞奈は彼女に問いかけた。
 今、目の前にあるすべてが、明日香の答えだ。
 帰ろうとしていたのだ。
 魔力を集め、舞奈が事故に遭う前の世界に。

「ったく、変わらないのはどっちだってんだ! 21年だぞ! その間、おまえは飽きもせずに、こんなことを続けてたのかよ!」
 笑い顔のまま虚空に叫ぶ。

 ひょっとしたら、明日香は全てを自分で終わらせるつもりだったのかもしれない。
 石に従い、魔力を集め、2つの石を合体させて、時間をまき戻す算段が彼女にはあったのだろう。だが、

――こうするしかなかったの……魔力が必要なの……帰るための
――思い出せないの……あの日のこと……あの日の気持ち

 明日香は長い年月の中で、過去へと戻る道標を見失ってしまった。
 だから、やり残した仕事を舞奈に丸投げした。
 20年の時を超えて、1年前にこの世界にあらわれて21年前からまるで成長していないバカで不器用でひねくれ者の舞奈に。

 そして彼女は、そうする準備すら抜かりなく済ませていた。
 あるいは、舞奈に後を託す展開も数あるプランのひとつに過ぎなかったのかもしれない。手ずから魔術を教え、破魔弾アンチマジックシェルを託したレナと同じように。
 なぜなら彼女は用意周到で、愚直なほどに生真面目だから。

 舞奈は息を切らせ、なおもクスクスと笑い続けた。

 すべてが可笑しかった。
 あらゆる苦悩も絶望も、すべてがたったひとりの魔術師ウィザードが仕組んだ茶番だったのだ。
 舞奈という失われた半身を20年後から取り戻すため。
 たったそれだけのために明日香は世界に牙を剥き、罠にかけた。

 そして、すべての苦悩と絶望をご破算にするスイッチは、最初から舞奈の手に収まるように仕組まれていたというのだ。
 考えうる限り最低の冗談だ。
 これが笑わずにいられようか?
 だから、

「なあ、トーラーさんよ」
 舞奈はゆっくりと立ちあがる。
 そして口元を半笑いの形に歪めたまま、問いかける。

「21年前まで時間をまき戻すには、どうすればいい?」

――――――――――――――――――――

 予告

 人類の命運をかけた決戦の最後に待ち受けていた最悪の敵。
 導き手の皮を脱ぎ捨てた人外の悪意が、運命そのもののように舞奈を苛む。
 それでもなお、舞奈の口元には不敵な笑み。
 何故なら舞奈は相棒と共に数多の戦場を渡り歩いた最強無敵の仕事人トラブルシューター

 次回『帰還』

 そして円環のように運命は巡る。
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