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第17章 GAMING GIRL
依頼1 ~泥人間の殲滅
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「新開発区で泥人間を退治するって、普通の依頼なんじゃないのか?」
「いやまあ、そうなのだがな……」
珍しく舞奈がもっともな疑問を呈する。
隣の席で明日香も頷く。
対して対面に座ったニュットは口ごもる。
アーガス氏を見舞う最中に呼び出しを受けた舞奈と明日香。
2人が訪れたのは、普段の依頼の際と変わらぬ【機関】支部ビルの一角。
打ちっぱなしのコンクリート壁が物々しい会議室だ。
舞奈は茶請け代わりに皿に盛られたリンゴをつまんでかじる。
サクサクとした歯触りとほのかな甘さ、皮の食感を堪能する。
そつなくウサギの耳の形に剥かれたリンゴは食堂のばあさんの手によるものだろう。
趣味で剥いてる訳じゃないのでウサギに妙に凝った顔はついていない。
明日香も隣で上品にリンゴをかじり、茶をひと口。
そんな2人と古びた会議机を挟んで向かい合わせに座っているのは、こちらも普段と同じ糸目のニュット、サングラスのフィクサー。
だが今回、フィクサーは口元を苦笑の形に歪めながら答える。
「疑問はもっともだが、今回は少し特別な事情があるのだ」
「事情ですか」
「ああ、その通りだ。まずは地図を見てくれたまえ」
フィクサーの言葉に従いニュットが立ち上がりつつ、机上に1枚の地図を広げる。
2人の小5も邪魔にならないようにリンゴの皿を端に寄せ、同じように立ち上がって大判の地図を覗きこむ。
「この近所の地図ですね」
「ああ、その通りだ」
明日香の言葉にフィクサーが頷く。
目前の地形図が巣黒市とその周辺を表しているということは、表記された地名と、何となく納得ができる地形や施設の位置関係から察せられる。
だが何より特徴的なのは、地図の一角を占める空白地帯。
即ち出巣黒須市……新開発区だ。
人の代わりに怪異が住まう廃墟の街に、記されるべくランドマークは何もない。
ただ一般人の侵入が禁止された危険地域として、だだっ広い空白として表記される。
手つかずの森や荒れ地と同じ扱いだ。
「そういやあんまり見たことないなあ」
「まあ、そうなのだろうなあ……」
舞奈の言葉に苦笑したのはニュット。
巣黒の近くの界隈では地図の扱いが極端に少ない。
地図の片隅に広がる空白を、市民にあまり意識させたくない勢力があるのだそうな。
そんな曰くのついた地図によれば、新開発区は別に、旧市街地にぐるりと囲まれていたりする訳ではない。
なので地図の上では他の市とも隣接はしている。
それでも出巣黒須市は元々は深い森だった場所を開拓してでっちあげた街だ。
今でも巣黒以外の市との境には結構な広さの森が残っている。
以前に園香たちがツチノコ探しに出かけたのもここだ。
ニュットの話によると、森そのものは奥地に設置された神道の封印結界によって怪異は通過できず、さりとて人間も遭難せずに踏破するには厳しい環境のようだ。
なので、実質的に新開発区に隣しているのは巣黒市だけだった。だが、
「今回、泥人間の集団が発見されたのはここなのだ」
言いつつニュットがマーカーを置いたのは、他の市との境の近くの森のそば。
正直なところ巣黒からの距離だけに注視すれば相応な奥地である。
「そんな場所の泥人間を、誰が見つけたんだよ」
「見つけたというか、県の支部の占術士が預言で察知したのだよ。けっこう以前から存在自体は確認されていたらしいのだ」
「……ほっといたのか?」
「うむ。実害はないからな。だが最近になって問題視されたのだよ。放っておいても怪異はいなくならないし、森で隔てられてはいるものの人里に近いからとな」
「それで巣黒支部に丸投げか……」
舞奈はやれやれと苦笑する。
明日香も無言で同意する。
だらしのない組織や人間を、舞奈も明日香もたくさん見てきた。
まあ明日香はともかく、舞奈だって自分は違うと断言するのは躊躇らわれる。
だからといって他人の尻拭いが楽しい訳はない。
だが、そもそも【機関】の支部は原則的に都道府県単位で存在する。
ひとつの市のみを管理範囲とした巣黒支部が例外なのだ。
その例外の目的は、もちろん隣接する出巣黒須市――新開発区。
なにせ人もいない街中に怪異が日常的に出没し、過去には魔獣まであらわれた。
あげくに怪異どもは人に化けて隣町に侵入、浸透して悪さを企み、他県の支部をも巻きこんだ大騒ぎになったことも一度や二度ではない。
つまりは巣黒支部とは、新開発区対策支部と言い換えることもできる。
だから新開発区に出現した怪異への対処を巣黒支部に任せることそのものは先方の落ち度でも怠慢でもない。
それでも地図で見やると今回の群れの位置は、明確に巣黒より向かいの市に近い。
マンティコアや前回のヴィランの拠点のように新開発区の中ほどという訳でもない。
ほぼ隣町と新開発区を隔てる森の横だ。
それを見つけてしばらく放置した挙句に丸投げされた事実を、納得するのは難しい。
なので舞奈は感情の整理がつけられぬまま、口をへの字に曲げてみせる。
手元にリンゴの皿を手繰り寄せ、つまんでかじる。
まあニュットが珍しく言い出しづらそうだった理由はわかった。
彼女にも無茶ぶりされた相手の憤りを解する人の心があったんだなと少し感動した。
だが、だからといって溜飲が下るというものでもない。
そんな舞奈に、
「県の支部も仕事をしてなかった訳じゃないのだよ。だがな……」
ニュットは少し言い淀む。
側のフィクサーに許可を得るように見やり、フィクサーはうなずき、
「……先日、執行人の異能力者8名で構成されたチーム【ロンギヌス】が全滅した」
珍しく煮え切らぬニュットにしびれを切らせたように、冷徹な声色で告げた。
途端、2人の子供の表情が変わる。
当然だが、怪異との戦闘はゲームじゃない。
全滅したということは、作戦に参加した人員の命が奪われたことを意味する。
舞奈と明日香の【掃除屋】もまた、数多の戦場を渡り歩いた故に、多くの勝利と敗北を目にした故に、その事実を理解できてしまう。
だから2人とも表向きだけは何食わぬ表情で、
「情報は確かなのですか?」
「ああ。通信の途絶を確認した後、占術による調査でメンバー全員の……死亡を確認」
「そうですか」
「ちなみにメンバーの状況を『視た』占術士はショックのあまり現在、療養中だ」
「……こりゃまた」
確認して返された答えに、2人は揃って口元を歪める。
なんというか、ひとつの作戦の結果としては最悪の状況だ。
だが舞奈は訝しみ、
「参加者の詳細を見るだか?」
「いらん。それより攻撃チームに術者はいなかったのか?」
いそいそと資料を取り出そうとしたニュットを制して問いかける。
異能力者だけのグループを新開発区に送り出すのは無謀だと舞奈は思う。
廃墟の街を徘徊する泥人間にしろ毒犬にしろ、同等の力を持つ異能力者が被害なく勝利するには3倍の人数が必要とされている。
大軍を率いて進むつもりがなければ、数十、数百の兵に匹敵する個人が必要になる。
即ち魔道士。それも腕利きの。
その是非に比べれば異能力者の詳細など些事だと断言できるほどに。だが、
「うむ。もともと先方には占術士と結界師を兼ねた彼女以外に魔道士はいないのだ」
「それでよく仕事が回ってるなあ……」
返された答えに、またしても苦笑する。
察するに森の封印結界を維持しているのは、その彼女とやらだろうか。
結界師という役職は、結界の維持と管理を専任する術者のことだと聞いている。
そんな代物と、各支部の『目』である占術士を兼ねているという彼女を泥人間の討伐ごときに駆りだせる訳がないという事情も理解できる。
なによりショックで療養するようなメンタルということは戦える人材ではない。
知人で例えるなら奈良坂みたいな立ち位置なのだろう。
つまり、県の支部にはそもそも戦える術者がいない。
それは存続を不安視されるレベルの致命的な状況だと舞奈は思う。
……否。本来は治安維持のための怪異の駆除に攻撃魔法ほどの火力は必要ない。
執行人が普段の業務で出くわす怪異は、よくて自然発生した数匹の泥人間や毒犬だ。
その程度は異能力を宿らせた剣や盾で武装した数人のグループで対処できる。
奈良坂なんていたら戦闘センスを問われるまでもなく、攻撃と防御の異能を使いこなし身体強化までしてのける手札だけで武神の扱いだ。
普通じゃないのは巣黒支部、そして新開発区だ。
だから巣黒の面々ほど新開発区を知らない彼らは戦力を読み違えた。
そして魑魅魍魎の群れの中に贄を放りこむ羽目になった。
泥人間の数があまりに多すぎたのだろうか?
あるいは道士でもいたか?
ニュットらが情報を出さないということは、それすら不明だということだ。
だが、それは舞奈たちが手をこまねく理由にはならない。だから、
「そこで今週末に再度の討伐隊を派遣することにしたのだ。今度は異能力者6名で構成されたチーム【グングニル】。【掃除屋】には彼らのサポートを頼みたいのだ」
「いやもう先方の人手はいらんだろう」
ニュットの言葉に思わずツッコむ。
先の作戦の失敗で、異能力者の集団では今回の敵に対処できないと証明された。
なのに次に派遣されるチームにも術者はいない。
というか県の支部に戦える術者がいない。
ならば彼らにこれ以上の出番はない
泥人間の集団は普段通りに【掃除屋】が処理する。
正直なところゲストにぞろぞろ着いてこられても邪魔なだけだ。だが、
「先方からの強い要望なのだよ。どうも異能力者たちのものの考え方として、今回の任務の遂行が【ロンギヌス】の仇討ちになると考えているようなのだよ」
「わからんでもないがなあ……」
ニュットの言葉に舞奈は口をへの字に曲げてみせる。
轡を並べて戦った仲間を無残に屠った相手が憎いという気持ちはわかる。
敵に自分たちが背負わされた悔恨と痛み以上のものを与えてやりたいと思うのも人情だと思う。かくいう舞奈たちも、かつて同じ理由で滓田妖一を討った。
だが彼らは仇討ちを首尾よく果たすための方策を講じているのだろうか?
あるいは、新開発区の怪異どもとの戦闘に精通した巣黒支部との共闘がその方策ということなのだろうか?
そんなことを考える舞奈の隣で、
「そういうことなら、こちらも執行人が参加すべきでは?」
明日香は考えてみればもっともなツッコミをする。
「執行部の異能力者が加わっても次の犠牲者が倍になるだけなのだし……」
「……いえそうではなく」
対するニュットのボケを冷たく流し、
「君の疑問はもっともだ。だが小夜子君は今回の任務には不適任だと判断した」
「まあ、そうだろうな」
フィクサーから伝えられた事実に舞奈はうなずく。
小夜子とサチのコンビは先方と同じ執行人。つまり【機関】の正規隊員。
対して舞奈や明日香ら仕事人は傭兵だ。
先方の面子を立てるための人選なら、どちらが相応しいかは明白だ。
さらに小夜子は付与術士という肩書を持つ。
多数の仲間を付与魔法で強化できる術者に与えられる役職だ。
加えてサチの【護身神法】による鉄壁の防護が加われば、同行者の生存性は飛躍的に上がる。少なくとも個人戦闘能力に偏重した【掃除屋】と組むよりは。
だが小夜子は執行部にいた頃に幼馴染の彼を亡くしている。
彼女が付与術士としての職務を全うしようとする中、付与魔法で強化され前線に赴くはずだった彼は敵に欺かれ、小夜子の手の届かないところで死んだ。
その痛ましい喪失は、未だに小夜子の心の傷になっている。
ニュットとフィクサーはそう判断しているのだろう。
舞奈の考えも同じだ。
今はサチとのコンビで無類の戦果を誇る小夜子。
だが、かつてのように異能力者の集団と共闘するのは難しいかもしれない。
最悪の場合、敵より先に先方とトラブルになる。
その判断は間違っていないと舞奈も思う。
ああ見えて小夜子は繊細だ。
今は亡き小夜子の幼馴染は舞奈や明日香の知人でもあった。
それでも舞奈たちは、それ以外の死を小夜子たちよりたくさん見ている。
悪く言えば慣れている。
だから小夜子より臨機応変に異能力者と共闘できるのも事実だ。
その判断もまた、間違ってはいないと思うから――
「――気乗りしないのなら【メメント・モリ】に依頼するのだが」
「いんや。パパッと片付けてくるよ」
ニュットの問いに、普段通りの何食わぬ口調で答える。
するとニュットも普段と同じように糸目を細め、少し口元に笑みを浮かべる。
また何か企み事かと舞奈が向ける冷たい視線を厚い面の皮で凌ぎ、
「舞奈ちんには朗報なのだが【グングニル】メンバーのひとりは女の子なのだ」
「おっそりゃ結構」
語られた事実に舞奈は相好を崩す。
「まさか、件の占術士兼結界師ですか?」
「いや、流石にそれは要求しても無理なのだよ」
明日香の問いを、ニュットは手をパタパタさせて否定する。
まあ当然だ。
なので舞奈は2人を見やり、
「じゃあ、どんな奴なんだ?」
ふと気づいて首をかしげる。
件の彼女の他に術者はいないという県の支部。
そこから派遣されるチーム【グングニル】には少女が属するという。
だが、そもそも前提として、異能力は若い男にしか宿らない特別な力だ。
よもや一切の異能を持たない市井の子女が執行人の活動を!?
わりと自分を棚上げして、納得のいく説明を求めてフィクサーを見やり、
「……ああ、彼女は大能力者だ」
「大能力!? ……って、人間に使えるのか? あれは」
返された答えに目を丸くする。
明日香は何かに気づいた様子でそっと目をそらす。
舞奈が直近に戦った大能力者――大能力の使い手は魔獣マンティコアだ。
大魔法に匹敵する強大なパワーで巨躯を宙に舞わせ、巨大な斥力の刃や重力の砲弾をばらまいた強敵。舞奈が魔法少女に変身してようやく互角に戦えた。
そもそも大能力とは、人とは桁違いの魔力を宿した魔獣が使う異能力のことだ。
そう舞奈は今まで思っていた。だが、
「君たちも人間の大能力者と面識があるはずだが」
「面識だと?」
フィクサーの言葉に首をかしげ、
「ああ。公安零課の福神晴人警部だ」
「「……ごめんなさい」」
続く答えに思わず明日香と2人で頭を下げる。
2人は以前、神話怪盗ウィアードテールを真似て犯行予告を出したことがある。
その際にいろいろあって公安と一戦やらかす羽目になった。
公安零課は異能絡みの事件を扱う部門。
福神警部は公安零課のリーダーだ。
先日の悶着の際に、霧の結界を創造するという信じられない異能を披露してくれた。
もちろん、その件は【機関】の仕事とも他の依頼とも関係ない完全な私闘。
要するに舞奈たちは私用で他組織の術者とトラブルを起こしていた。
後にKASCという共通の敵に抗するべく共闘したので当時のことは有耶無耶になったと思っていたが、先方からクレームでも入れられたのかもしれない。
だがフィクサーは特に咎める風でもなく口元に笑みを浮かべる。
「彼のように大能力を宿した人間は希少ではあるが無二ではない。原理としては異能力と同じだが、こちらは成人や女性にも顕現することがある」
「つまり異能力の凄い版ってことか」
「まあ、そういうことになるな。顕現する異能も大魔法に近い強力な代物だ」
「なるほどな」
フィクサーの言葉に、舞奈は腑に落ちてうなずく。
側の明日香も無言でうなずく。知識としては知っていたらしい。
それでもまあ、先方が仕事を巣黒に丸投げした訳ではないのがわかったのは朗報か。
作戦には全滅した前部隊と同じ異能力者たちだけでなく、それより上位に相当する大能力者が参加するという。しかも女の子だ。なので、
「それで、彼女の大能力の詳細は……?」
「そのカワイ子ちゃんの写真かなにかあるか?」
「いや、わからんのだ」
「「ええ……」」
肝心な情報を笑ってごまかすニュットをジト目で見やる。
それでも、まあ、その後にレクチャーされた作戦の詳細を頭に叩きこむ。
その後、それ以上は特に何事もなく支部を後にした。
そして翌日も普通に登校した。
朝から元気なチャビーたちからイソギンチャク探しの顛末を聞いた。
なんでもスタート地点の喫茶店でいきなりホシを見つけたらしい。
近くの水族館が客引きのイベントをしていて、その宣伝に協力していたのだそうな。
小学生が見に行った頃には掲示板の例のポスターの隣に色鮮やかなイソギンチャクを大写しにしたポスターが貼られ、店内でもチケットや粗品を配っていた。
たぶんKAGEは準備中のそれらを見てイソギンチャクに化けたのだろう。
それはともかく一行はその後、折角だからと皆でがやがやと役所へ向かった。
そこでも水族館のイベントをしていると聞いたからだ。
まったくもって小学生は元気だ。
現地では偶然にも桂木姉妹と会ったらしい。
彼女らのポケットマネーで皆で回したカプセルトイからタコが出たとチャビーが大喜びしていた。
さらに姉妹は物販で食い物を買って、近くのベンチで皆に奢ってくれた。
その際、ブルジョワどもはタコ焼きの中にタコの切り身が入っている事実を知って驚いたらしい。形が似ているからだと本気で信じていたと主張したそうな。
ジョークが上手な人たちだねと園香は笑顔で話してくれた。
だが舞奈は、奴らが本気でそう思っていたんじゃないかと疑わずにはいられない。
……その様にして一見すると何事もなく、舞奈たちは学生生活を満喫した。
もちろん舞奈も週末に備え、『画廊・ケリー』に赴いてスミスに得物のメンテナンスを頼むのも忘れてはいない。
そんなこんなで、一週間はあっという間に過ぎていった。
「いやまあ、そうなのだがな……」
珍しく舞奈がもっともな疑問を呈する。
隣の席で明日香も頷く。
対して対面に座ったニュットは口ごもる。
アーガス氏を見舞う最中に呼び出しを受けた舞奈と明日香。
2人が訪れたのは、普段の依頼の際と変わらぬ【機関】支部ビルの一角。
打ちっぱなしのコンクリート壁が物々しい会議室だ。
舞奈は茶請け代わりに皿に盛られたリンゴをつまんでかじる。
サクサクとした歯触りとほのかな甘さ、皮の食感を堪能する。
そつなくウサギの耳の形に剥かれたリンゴは食堂のばあさんの手によるものだろう。
趣味で剥いてる訳じゃないのでウサギに妙に凝った顔はついていない。
明日香も隣で上品にリンゴをかじり、茶をひと口。
そんな2人と古びた会議机を挟んで向かい合わせに座っているのは、こちらも普段と同じ糸目のニュット、サングラスのフィクサー。
だが今回、フィクサーは口元を苦笑の形に歪めながら答える。
「疑問はもっともだが、今回は少し特別な事情があるのだ」
「事情ですか」
「ああ、その通りだ。まずは地図を見てくれたまえ」
フィクサーの言葉に従いニュットが立ち上がりつつ、机上に1枚の地図を広げる。
2人の小5も邪魔にならないようにリンゴの皿を端に寄せ、同じように立ち上がって大判の地図を覗きこむ。
「この近所の地図ですね」
「ああ、その通りだ」
明日香の言葉にフィクサーが頷く。
目前の地形図が巣黒市とその周辺を表しているということは、表記された地名と、何となく納得ができる地形や施設の位置関係から察せられる。
だが何より特徴的なのは、地図の一角を占める空白地帯。
即ち出巣黒須市……新開発区だ。
人の代わりに怪異が住まう廃墟の街に、記されるべくランドマークは何もない。
ただ一般人の侵入が禁止された危険地域として、だだっ広い空白として表記される。
手つかずの森や荒れ地と同じ扱いだ。
「そういやあんまり見たことないなあ」
「まあ、そうなのだろうなあ……」
舞奈の言葉に苦笑したのはニュット。
巣黒の近くの界隈では地図の扱いが極端に少ない。
地図の片隅に広がる空白を、市民にあまり意識させたくない勢力があるのだそうな。
そんな曰くのついた地図によれば、新開発区は別に、旧市街地にぐるりと囲まれていたりする訳ではない。
なので地図の上では他の市とも隣接はしている。
それでも出巣黒須市は元々は深い森だった場所を開拓してでっちあげた街だ。
今でも巣黒以外の市との境には結構な広さの森が残っている。
以前に園香たちがツチノコ探しに出かけたのもここだ。
ニュットの話によると、森そのものは奥地に設置された神道の封印結界によって怪異は通過できず、さりとて人間も遭難せずに踏破するには厳しい環境のようだ。
なので、実質的に新開発区に隣しているのは巣黒市だけだった。だが、
「今回、泥人間の集団が発見されたのはここなのだ」
言いつつニュットがマーカーを置いたのは、他の市との境の近くの森のそば。
正直なところ巣黒からの距離だけに注視すれば相応な奥地である。
「そんな場所の泥人間を、誰が見つけたんだよ」
「見つけたというか、県の支部の占術士が預言で察知したのだよ。けっこう以前から存在自体は確認されていたらしいのだ」
「……ほっといたのか?」
「うむ。実害はないからな。だが最近になって問題視されたのだよ。放っておいても怪異はいなくならないし、森で隔てられてはいるものの人里に近いからとな」
「それで巣黒支部に丸投げか……」
舞奈はやれやれと苦笑する。
明日香も無言で同意する。
だらしのない組織や人間を、舞奈も明日香もたくさん見てきた。
まあ明日香はともかく、舞奈だって自分は違うと断言するのは躊躇らわれる。
だからといって他人の尻拭いが楽しい訳はない。
だが、そもそも【機関】の支部は原則的に都道府県単位で存在する。
ひとつの市のみを管理範囲とした巣黒支部が例外なのだ。
その例外の目的は、もちろん隣接する出巣黒須市――新開発区。
なにせ人もいない街中に怪異が日常的に出没し、過去には魔獣まであらわれた。
あげくに怪異どもは人に化けて隣町に侵入、浸透して悪さを企み、他県の支部をも巻きこんだ大騒ぎになったことも一度や二度ではない。
つまりは巣黒支部とは、新開発区対策支部と言い換えることもできる。
だから新開発区に出現した怪異への対処を巣黒支部に任せることそのものは先方の落ち度でも怠慢でもない。
それでも地図で見やると今回の群れの位置は、明確に巣黒より向かいの市に近い。
マンティコアや前回のヴィランの拠点のように新開発区の中ほどという訳でもない。
ほぼ隣町と新開発区を隔てる森の横だ。
それを見つけてしばらく放置した挙句に丸投げされた事実を、納得するのは難しい。
なので舞奈は感情の整理がつけられぬまま、口をへの字に曲げてみせる。
手元にリンゴの皿を手繰り寄せ、つまんでかじる。
まあニュットが珍しく言い出しづらそうだった理由はわかった。
彼女にも無茶ぶりされた相手の憤りを解する人の心があったんだなと少し感動した。
だが、だからといって溜飲が下るというものでもない。
そんな舞奈に、
「県の支部も仕事をしてなかった訳じゃないのだよ。だがな……」
ニュットは少し言い淀む。
側のフィクサーに許可を得るように見やり、フィクサーはうなずき、
「……先日、執行人の異能力者8名で構成されたチーム【ロンギヌス】が全滅した」
珍しく煮え切らぬニュットにしびれを切らせたように、冷徹な声色で告げた。
途端、2人の子供の表情が変わる。
当然だが、怪異との戦闘はゲームじゃない。
全滅したということは、作戦に参加した人員の命が奪われたことを意味する。
舞奈と明日香の【掃除屋】もまた、数多の戦場を渡り歩いた故に、多くの勝利と敗北を目にした故に、その事実を理解できてしまう。
だから2人とも表向きだけは何食わぬ表情で、
「情報は確かなのですか?」
「ああ。通信の途絶を確認した後、占術による調査でメンバー全員の……死亡を確認」
「そうですか」
「ちなみにメンバーの状況を『視た』占術士はショックのあまり現在、療養中だ」
「……こりゃまた」
確認して返された答えに、2人は揃って口元を歪める。
なんというか、ひとつの作戦の結果としては最悪の状況だ。
だが舞奈は訝しみ、
「参加者の詳細を見るだか?」
「いらん。それより攻撃チームに術者はいなかったのか?」
いそいそと資料を取り出そうとしたニュットを制して問いかける。
異能力者だけのグループを新開発区に送り出すのは無謀だと舞奈は思う。
廃墟の街を徘徊する泥人間にしろ毒犬にしろ、同等の力を持つ異能力者が被害なく勝利するには3倍の人数が必要とされている。
大軍を率いて進むつもりがなければ、数十、数百の兵に匹敵する個人が必要になる。
即ち魔道士。それも腕利きの。
その是非に比べれば異能力者の詳細など些事だと断言できるほどに。だが、
「うむ。もともと先方には占術士と結界師を兼ねた彼女以外に魔道士はいないのだ」
「それでよく仕事が回ってるなあ……」
返された答えに、またしても苦笑する。
察するに森の封印結界を維持しているのは、その彼女とやらだろうか。
結界師という役職は、結界の維持と管理を専任する術者のことだと聞いている。
そんな代物と、各支部の『目』である占術士を兼ねているという彼女を泥人間の討伐ごときに駆りだせる訳がないという事情も理解できる。
なによりショックで療養するようなメンタルということは戦える人材ではない。
知人で例えるなら奈良坂みたいな立ち位置なのだろう。
つまり、県の支部にはそもそも戦える術者がいない。
それは存続を不安視されるレベルの致命的な状況だと舞奈は思う。
……否。本来は治安維持のための怪異の駆除に攻撃魔法ほどの火力は必要ない。
執行人が普段の業務で出くわす怪異は、よくて自然発生した数匹の泥人間や毒犬だ。
その程度は異能力を宿らせた剣や盾で武装した数人のグループで対処できる。
奈良坂なんていたら戦闘センスを問われるまでもなく、攻撃と防御の異能を使いこなし身体強化までしてのける手札だけで武神の扱いだ。
普通じゃないのは巣黒支部、そして新開発区だ。
だから巣黒の面々ほど新開発区を知らない彼らは戦力を読み違えた。
そして魑魅魍魎の群れの中に贄を放りこむ羽目になった。
泥人間の数があまりに多すぎたのだろうか?
あるいは道士でもいたか?
ニュットらが情報を出さないということは、それすら不明だということだ。
だが、それは舞奈たちが手をこまねく理由にはならない。だから、
「そこで今週末に再度の討伐隊を派遣することにしたのだ。今度は異能力者6名で構成されたチーム【グングニル】。【掃除屋】には彼らのサポートを頼みたいのだ」
「いやもう先方の人手はいらんだろう」
ニュットの言葉に思わずツッコむ。
先の作戦の失敗で、異能力者の集団では今回の敵に対処できないと証明された。
なのに次に派遣されるチームにも術者はいない。
というか県の支部に戦える術者がいない。
ならば彼らにこれ以上の出番はない
泥人間の集団は普段通りに【掃除屋】が処理する。
正直なところゲストにぞろぞろ着いてこられても邪魔なだけだ。だが、
「先方からの強い要望なのだよ。どうも異能力者たちのものの考え方として、今回の任務の遂行が【ロンギヌス】の仇討ちになると考えているようなのだよ」
「わからんでもないがなあ……」
ニュットの言葉に舞奈は口をへの字に曲げてみせる。
轡を並べて戦った仲間を無残に屠った相手が憎いという気持ちはわかる。
敵に自分たちが背負わされた悔恨と痛み以上のものを与えてやりたいと思うのも人情だと思う。かくいう舞奈たちも、かつて同じ理由で滓田妖一を討った。
だが彼らは仇討ちを首尾よく果たすための方策を講じているのだろうか?
あるいは、新開発区の怪異どもとの戦闘に精通した巣黒支部との共闘がその方策ということなのだろうか?
そんなことを考える舞奈の隣で、
「そういうことなら、こちらも執行人が参加すべきでは?」
明日香は考えてみればもっともなツッコミをする。
「執行部の異能力者が加わっても次の犠牲者が倍になるだけなのだし……」
「……いえそうではなく」
対するニュットのボケを冷たく流し、
「君の疑問はもっともだ。だが小夜子君は今回の任務には不適任だと判断した」
「まあ、そうだろうな」
フィクサーから伝えられた事実に舞奈はうなずく。
小夜子とサチのコンビは先方と同じ執行人。つまり【機関】の正規隊員。
対して舞奈や明日香ら仕事人は傭兵だ。
先方の面子を立てるための人選なら、どちらが相応しいかは明白だ。
さらに小夜子は付与術士という肩書を持つ。
多数の仲間を付与魔法で強化できる術者に与えられる役職だ。
加えてサチの【護身神法】による鉄壁の防護が加われば、同行者の生存性は飛躍的に上がる。少なくとも個人戦闘能力に偏重した【掃除屋】と組むよりは。
だが小夜子は執行部にいた頃に幼馴染の彼を亡くしている。
彼女が付与術士としての職務を全うしようとする中、付与魔法で強化され前線に赴くはずだった彼は敵に欺かれ、小夜子の手の届かないところで死んだ。
その痛ましい喪失は、未だに小夜子の心の傷になっている。
ニュットとフィクサーはそう判断しているのだろう。
舞奈の考えも同じだ。
今はサチとのコンビで無類の戦果を誇る小夜子。
だが、かつてのように異能力者の集団と共闘するのは難しいかもしれない。
最悪の場合、敵より先に先方とトラブルになる。
その判断は間違っていないと舞奈も思う。
ああ見えて小夜子は繊細だ。
今は亡き小夜子の幼馴染は舞奈や明日香の知人でもあった。
それでも舞奈たちは、それ以外の死を小夜子たちよりたくさん見ている。
悪く言えば慣れている。
だから小夜子より臨機応変に異能力者と共闘できるのも事実だ。
その判断もまた、間違ってはいないと思うから――
「――気乗りしないのなら【メメント・モリ】に依頼するのだが」
「いんや。パパッと片付けてくるよ」
ニュットの問いに、普段通りの何食わぬ口調で答える。
するとニュットも普段と同じように糸目を細め、少し口元に笑みを浮かべる。
また何か企み事かと舞奈が向ける冷たい視線を厚い面の皮で凌ぎ、
「舞奈ちんには朗報なのだが【グングニル】メンバーのひとりは女の子なのだ」
「おっそりゃ結構」
語られた事実に舞奈は相好を崩す。
「まさか、件の占術士兼結界師ですか?」
「いや、流石にそれは要求しても無理なのだよ」
明日香の問いを、ニュットは手をパタパタさせて否定する。
まあ当然だ。
なので舞奈は2人を見やり、
「じゃあ、どんな奴なんだ?」
ふと気づいて首をかしげる。
件の彼女の他に術者はいないという県の支部。
そこから派遣されるチーム【グングニル】には少女が属するという。
だが、そもそも前提として、異能力は若い男にしか宿らない特別な力だ。
よもや一切の異能を持たない市井の子女が執行人の活動を!?
わりと自分を棚上げして、納得のいく説明を求めてフィクサーを見やり、
「……ああ、彼女は大能力者だ」
「大能力!? ……って、人間に使えるのか? あれは」
返された答えに目を丸くする。
明日香は何かに気づいた様子でそっと目をそらす。
舞奈が直近に戦った大能力者――大能力の使い手は魔獣マンティコアだ。
大魔法に匹敵する強大なパワーで巨躯を宙に舞わせ、巨大な斥力の刃や重力の砲弾をばらまいた強敵。舞奈が魔法少女に変身してようやく互角に戦えた。
そもそも大能力とは、人とは桁違いの魔力を宿した魔獣が使う異能力のことだ。
そう舞奈は今まで思っていた。だが、
「君たちも人間の大能力者と面識があるはずだが」
「面識だと?」
フィクサーの言葉に首をかしげ、
「ああ。公安零課の福神晴人警部だ」
「「……ごめんなさい」」
続く答えに思わず明日香と2人で頭を下げる。
2人は以前、神話怪盗ウィアードテールを真似て犯行予告を出したことがある。
その際にいろいろあって公安と一戦やらかす羽目になった。
公安零課は異能絡みの事件を扱う部門。
福神警部は公安零課のリーダーだ。
先日の悶着の際に、霧の結界を創造するという信じられない異能を披露してくれた。
もちろん、その件は【機関】の仕事とも他の依頼とも関係ない完全な私闘。
要するに舞奈たちは私用で他組織の術者とトラブルを起こしていた。
後にKASCという共通の敵に抗するべく共闘したので当時のことは有耶無耶になったと思っていたが、先方からクレームでも入れられたのかもしれない。
だがフィクサーは特に咎める風でもなく口元に笑みを浮かべる。
「彼のように大能力を宿した人間は希少ではあるが無二ではない。原理としては異能力と同じだが、こちらは成人や女性にも顕現することがある」
「つまり異能力の凄い版ってことか」
「まあ、そういうことになるな。顕現する異能も大魔法に近い強力な代物だ」
「なるほどな」
フィクサーの言葉に、舞奈は腑に落ちてうなずく。
側の明日香も無言でうなずく。知識としては知っていたらしい。
それでもまあ、先方が仕事を巣黒に丸投げした訳ではないのがわかったのは朗報か。
作戦には全滅した前部隊と同じ異能力者たちだけでなく、それより上位に相当する大能力者が参加するという。しかも女の子だ。なので、
「それで、彼女の大能力の詳細は……?」
「そのカワイ子ちゃんの写真かなにかあるか?」
「いや、わからんのだ」
「「ええ……」」
肝心な情報を笑ってごまかすニュットをジト目で見やる。
それでも、まあ、その後にレクチャーされた作戦の詳細を頭に叩きこむ。
その後、それ以上は特に何事もなく支部を後にした。
そして翌日も普通に登校した。
朝から元気なチャビーたちからイソギンチャク探しの顛末を聞いた。
なんでもスタート地点の喫茶店でいきなりホシを見つけたらしい。
近くの水族館が客引きのイベントをしていて、その宣伝に協力していたのだそうな。
小学生が見に行った頃には掲示板の例のポスターの隣に色鮮やかなイソギンチャクを大写しにしたポスターが貼られ、店内でもチケットや粗品を配っていた。
たぶんKAGEは準備中のそれらを見てイソギンチャクに化けたのだろう。
それはともかく一行はその後、折角だからと皆でがやがやと役所へ向かった。
そこでも水族館のイベントをしていると聞いたからだ。
まったくもって小学生は元気だ。
現地では偶然にも桂木姉妹と会ったらしい。
彼女らのポケットマネーで皆で回したカプセルトイからタコが出たとチャビーが大喜びしていた。
さらに姉妹は物販で食い物を買って、近くのベンチで皆に奢ってくれた。
その際、ブルジョワどもはタコ焼きの中にタコの切り身が入っている事実を知って驚いたらしい。形が似ているからだと本気で信じていたと主張したそうな。
ジョークが上手な人たちだねと園香は笑顔で話してくれた。
だが舞奈は、奴らが本気でそう思っていたんじゃないかと疑わずにはいられない。
……その様にして一見すると何事もなく、舞奈たちは学生生活を満喫した。
もちろん舞奈も週末に備え、『画廊・ケリー』に赴いてスミスに得物のメンテナンスを頼むのも忘れてはいない。
そんなこんなで、一週間はあっという間に過ぎていった。
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