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第14章 FOREVER FRIENDS

FOREVER FRIENDS

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 繁華街の一角にある何の変哲もない打ちっぱなしコンクリートのビル。
 その1階、スタイリッシュな『Joker』の看板が掲げられたドアの前で、

「わっヤギが! ……って舞奈様!?」
 左右に控えたガードマンが驚く。
 まあ無理もない。
 だが今は彼らに構っている暇はないので背から飛び降り、委員長も降ろす。

「ヤギを頼む!」
「あ、はい」
「ヤギさん、ありがとうなのです!」
「借りは来年きっちり返す!」
 ガードマンにヤギを預け、委員長を連れて店に駆けこむ。
 予定の時間に少しばかり遅れてしまった。
 みゃー子と遊んでいたのが主な原因だが、回り道をしたせいでも少しある。

「あっマイちゃん! 委員長も! よかった」
 それでも最後尾で見ていた園香が気づいて満面の笑顔で出迎える。
 友人の到着を待っていてくれたようだ。
 チャビーと桜も、ほっとした様子で2人を迎える。
 何故ならステージはもう始まっていたから。

 園香が視線で促す。
 薄暗い店内いっぱいの観客たちが見守るステージの上。
 舞奈と委員長が見やった先で、

「あれは……」
 ひとりの少女が歌っていた。

 年の頃は中学生ほどか。
 長いツインテールをなびかせ、スレンダーな身体に黒皮の衣装をまとっている。
 控え目に見ても、バッチリ決まったロッカーのスタイル。
 おそらく彼女がKASCから派遣されたミュージシャンだろう。

 奏でているのは例の曲だ。
 委員長が練習しているのを何度か聞いたことがある。
 曲名は『FOREVER FRIENDS』。
 伝説のロックバンド・ファイブカードの未発表曲。
 そして委員長の母親である梨崎梓依香――ファイブカードのジョーカーが遺した歌。

 その流れるようなメロディーに、敵の刺客のそれとは知りつつ聞き惚れる。
 だが舞奈は気づいた。
 側の委員用の表情を見やって確信する。

 舞台の上の彼女は曲を持て余している。

 もちろん素人目にすら、歌っている彼女が相応の実力者なのはわかる。
 少なくとも中学生としては破格の才能だ。
 だからこそKASCが歌を奪うための刺客として利用されたのだろう。

 だが『FOREVER FRIENDS』はハイテンポで技巧を凝らした曲だ。
 おまけに作曲者のクセも強いように思える。
 故に難易度も高い。
 ギターに熟達しているだけでなく『この曲に』慣れていないと弾きこなせない。
 それを数日で完璧にマスターすることは不可能だった。

 たとえば舞奈が銃でもナイフでもない謎の物体で戦うようなものか。
 相手を殴り倒すだけなら余裕だが、そいつを使いこなすことはできない。

 見やると観客たちの反応も、盛り上がってはいるが熱狂というほどではない。
 側でステージを見守っているオーナーの表情も。
 だから――

――冬の街、コートの襟を立てて歩く
――映画かぶれの格好つけみたい
――キミのそんな仕草、嫌いじゃなかったよ

 不意に客席の後ろから流れたメロディーに、観客の視線が集中した。

「うわっ、今からか?」
 舞奈は驚く。

 歌う委員長の手には、ユーモラスなおばけが意匠された黒いギター。
 半ば彼女の手足の如く自在に出し入れされ弾きこなされるブラックゴースト。

 だが、いでたちは普段と同じ洋服。
 眼鏡を鼻にひっかけてはいるが、髪型は三つ編みおさげのまま。
 着替える時間なんてなかったからだ。だが、

――でもね、そんな目をして振り向いちゃダメ
――キミが望むもの、そこにはないから

 観客たちは声もなく歌に聞き惚れていた。
 唐突にあらわれた歌い手の、格好に注目する余裕すらなかった。

 何故なら彼女の歌とギターが、完璧だったから。

――ふたりで歩んだ長いこの道
――順風満帆とはいかなかったね

 ハイテンポな曲を紡ぐ大胆で、それでいて精緻なギター。
 流れるように語り掛ける歌声。

 幼い彼女が母親から受け継いだ魂。
 歌とともに時を経る中で醸造し、磨き上げられたリズムと旋律。
 呼吸のような基礎動作の一部と化したそれが、彼女の歌を本物たらしめていた。
 否、真贋すら超越した自然体が、そこにあった。

 彼女がファイブカードの遺した幻の新曲を歌っているのではない。
 いわば彼女自身が『FOREVER FRIENDS』だった。

――けれど、いつでも世界はハッピーだったよ
――いつもキミがそばにてくれたから

 歌いながら、ギターを奏でながら、委員長はステージへと歩み寄る。
 まるで磁石のプラスとマイナスが引き合うように。
 朝露が重力にひかれて地に落ちるように。
 何故なら歌はステージで歌われるものだから。

 立ち見の聴衆たちが自然に道を譲る。
 まるで人の海が割れて、あるべき場所に歌を送り届けようとするように。

 その背を見送る舞奈の側に気配。

「(……首尾はどうだ?)」
「(片づけてきたわよ。クレアとベティはこっちの護衛に回したわ)」
「(さっすが明日香様だぜ)」
 吉報に笑う。だが、

――だって、世界でいちばんキミが好きだから
――それだけは自信もって言える

「あんなのは偽物ザマス! あの小娘を摘み出すザマス!!」
 場違いな中年女の声が響き渡った。

「(疣豚潤子……!? ちょっと、なに黙って見てたのよ)」
「(いや、いるとは思わなかったんだよ)」
 睨んでくる明日香に小声で返す。
 どうやらKASCの代表として彼女も来ていたらしい。
 それでも舞奈は、

「(……それに奴には止められないよ)」
 ニヤリと笑う。

 その言葉の通り、聴衆は中年女の罵倒には無反応。
 何故なら皆は本物の歌を聞いているのだ。
 雑音に――偽物の言葉に耳を傾ける暇などない。

「あんな小学生の、そこらへんにいるような只の小娘が! ファイブカードの新曲を歌える訳なんかないザマス! あいつが歌を盗んだザマス!!」
 必死に声を張り上げる。
 まるで大声で歌をかき消せば、自分の想い通りになると思っているかのように。

 対する聴衆の答えは沈黙。そして、

「……周りを見な。あんたの戯言なんか誰も聞いちゃいないよ」
 疣豚の前にオーナーが立ち塞がった。
 ゲストを迎えるような地味だが仕立てのいいドレスに身を包んだオーナーは、下品な色のスーツにくるまった鬼瓦を真正面から見やる。

(口出しするタイミングを見計らってたな)
 舞奈の口元に笑みが浮かぶ。
 ちょうど聴衆が、野次に耐えられなくなる寸前だった。
 流石はライブハウスのオーナー。そこらへんの駆け引きは抜け目ない。

「それにライブハウスは歌う場所さ。歌を邪魔するなら摘み出されるのはあんただ」
 宣言する背後で、クレアが礼儀正しく一礼する。
 ベティがボディビルのポーズをとってみせる。おまえは少し控えろと舞奈は思った。
 だが屈強な女警備員2人を従えた凛々しいオーナーの姿は、まるで映画の中から出てきたみたいに様になった。ヒロインのピンチにあらわれた超越者のように。

 だから聴衆は悪役に侮蔑の視線を向け、すぐさまステージに視線を戻した。
 そこでは舞台に上がった委員長が歌っていた。
 普段と同じように眼鏡をずらして鼻にかけ、神がかったギターを奏でる。

――キミが見せてくれた世界のすべて
――キミといっしょに出会った仲間たち
――みんなわたしの宝物

 聴衆たちの熱を帯びた視線に、同じ温度の微笑を返しながら委員長は歌う。

 大勢の前で歌ったのはまだ2度目だが、気後れはない。
 注目を浴びるのはクラス委員長の仕事で慣れていた。
 その所以が父に学んだ真実の言葉か、母から継いだ真実の歌かだけの違いだ。

 だから委員長は歌に乗せて紡ぐ。
 母が幼い自分に遺してくれたものすべてを。

 僅かに記憶に残る母親は美しく優しく、笑顔が印象的な女性だった。
 包みこむような笑顔を、いつも自分に向けてくれていた。
 そんな母が大好きだった。

 けど母は、ずっと昔に亡くなった。不治の病を患っていたらしい。
 幼かった自分は悲観に暮れ、泣きじゃくった。
 それでも、やがて、その事実を不思議と受け入れることができていた。
 それは、たぶん母が自身の命運を悟った上で準備をしていてくれたからだと思う。

 何故なら、いつも母と歌ったこの曲を口ずさむと、幸福な日々が脳裏に蘇った。
 歌詞にこめられたメッセージを読み解くと、母が語りかけてくれるような気がした。
 5年生の今になってようやく理解できる、在りし日の母の想い。

 幸福だった過去も、何かを失い別のものを得た今も、どちらも愛する優しい想い。
 その幸福を最愛の娘にも感じてほしいと切望する強い想い。
 慰めるように。
 優しく励ますように。そして、

 わたしと貴女の歌が、もう一度エースに伝わるといいな。

 母が今際に遺した願い。
 それは委員長の生きる目的のひとつになった。
 けど自分と同様に遺された父に影響され、その願いは少しずつ変わっていった。

 そう。母から継いだ歌を、慰めを、希望を、数多の人々に伝えたい――

――だからキミはもう振り向かないで
――前を向いて歩かなきゃダメ
――キミの行く先でみんな待ってるから

 弾き語るように歌う委員長を、側でKASCのアーティストが見ていた。
 彼女は悔しそうに、観念した様子で……それでも笑っていた。
 自分では到達できなかった最高の音楽に、聞き惚れていた。

 だが不意に不協和音。
 間が悪くギターの弦が切れたのだ。

 アーティストの彼女は目を剥く。
 さすがの委員長も動揺する。
 舞台の下で疣豚が笑う。

 舞奈は思わず口元を歪める。
 卑劣な中年女が妖術によって何かの細工をしたか?
 あるいは追っ手を振り切る最中に切れかけていたのか?

 どちらにせよ、このままでは彼女の曲は――

「――こいつを使え!」
 客席から何かが投げられた。
 舞奈は反射的にジャケットの下の拳銃ジェリコ941に手をのばし――

 ――その動作が止まる。

 何故なら委員長は慣れた仕草でブラックゴーストを仕舞う。
 そして代わりに飛んできた何かを受け止める。
 軌道がやや不自然だった。誰かが風を操ってそれを送り届けたたように。
 だが、そんなことはどうでもいい。

 何故なら、つば付き三角帽子をかぶった魔法使いが意匠されたオブジェ。
 それを委員長が慣れた調子でひと振りすると、くすんだ青色のギターになった。

「――まさか……ブルーマジシャン……!?」
「ブラックゴーストだけじゃなくて!?」
 聴衆たちがざわめく。

「それに今の声、まるでファイブカードのエースに……」
 波紋のように広がる小さな声。
 だが、そんな動揺をかき消したのも彼女自身の歌だった。

――2人でいつまでも幸せに暮らしたなんて
――おとぎ話みたいにいかなかったけど
――キミがもう一度、歌ってくれたなら
――2人の時間は終わらないよずっと

 再開された歌は、再び聴衆を魅了する。
 何故なら本物の歌は、旋律は、ギターの造形なんかより如実に証明する。
 まるで実体があるかのように目の前に真実を突きつける。
 歌を、『FOREVER FRIENDS』を継ぐに相応しいのは誰かを。だから、

――頑張ればすべて上手くいくなんて
――そんなに甘くはなかったけれど
――キミがもう一度、歌ってくれたなら
――2人の想いは未来に続いてく……

 余韻のようなアウトロが、激しく切ないバラードを締めくくった。
 そして聴衆たちが夢から覚める僅かな沈黙の後、

――!!!!!!!!!!

 割れるような拍手が、歓声が会場に響き渡った。
 そして、

「貴女は何故……そんなに自由に弾きこなせるの?」
 側からKASCのアーティストが問う。
 聴衆たちと同じく感動によるショックから抜け切れていない表情で。

「わたしが練習に練習を重ねて、それでも再現するのがやっとだった、その曲を……」
 真正面から委員長を見やる。

「まるで生まれ瞬間から聴いてたみたいに……」
 中学生の彼女が、小学生の委員長を恐れるように、羨むように見やる。
 まるで戦場において余人が舞奈を見るように。

 対する委員長は、黙して微笑む。
 それが答えだと言うように、

「……ううん、まるで生まれる前から……聴いていたみたいに……」
 彼女はじっと委員長の顔を見やる。

 そして、気づいた。
 何故なら彼女もロックに造詣が深いから。
 もちろん伝説のバンドグループであるファイブカードにも、そのメンバーにも。
 だから歌を聞いて、その表情を見て気づいた。だから、

「ごめんなさい。この曲の著作権を主張する権利はわたしにはないわ」
 聴衆に向き直って頭を下げた。

「楽譜を渡されて練習したの。この勝負に勝てば……見返りに音楽活動への資金とコネクションを提供してくれるって言われて――」
「――裏切ったザマスね!」
 2人のアーティストの前に、疣豚潤子が躍り出た。
 聴衆が感動する間に、クレアとベティの警戒を突破したらしい。
 歌に感動することのない怪異らしい挙動だ。

「そもそも何であの小娘がここにいるザマス! 不幸三がしくじったからザマス! あの無能男め! こうなったら!!」
 鬼瓦を怒りに染め、手にした何かを抜き放つ。
 日本刀だ。

「こうなったら貴様ごと!!」
 疣豚は日本刀を振りかざし、委員長とアーティストの彼女めがけて振り下ろす。
 2人は揃って驚愕に目を見開き――

「――貴様ごと、どうするって?」
 その目前にピンク色のジャケットが立ち塞がった。

 委員長と同じくらいの背丈で、アーティストの彼女よりやや小柄。
 だが極限まで鍛え抜かれた身体に、研ぎ澄まされた動作。
 歌があまねく人々への希望であるのと双翼、人類の敵に突きつけられる絶望。

 舞奈は2人をかばいつつ、振り下ろされた日本刀を叩き折ったのだ。
 その攻防に観客は息を飲む。
 だが舞奈にとっては造作ない。

 頭上では、へし折られた日本刀の刃先が宙を舞う。
 それを長身の警備員が受け止め、握りつぶす。

「人のいるところで刃物で遊んじゃダメっすよー」
「いや仕事しろよ、ガードマン」
 少し遅れてやってきたベティの軽口に、同じ調子でツッコみを入れる。
 まるでショーの出し物の如く軽快に。
 その背を見やり、委員長は恐れる素振りすら見せずに笑う。

 舞奈は委員長と交わした口約束を守るためにここにいる。
 故に、無粋な刃は存在することすら不可能。
 舞奈に守られるとは、舞奈が守るとはそういうことだ。

 対する疣豚は、柄だけになった日本刀を見やって驚く。

「まだやるかい?」
 舞奈はアーティストを背にして身構える。

 一見すると、徒手空拳の舞奈と折れた刀を手にした疣豚の対決に見える。
 だが実際はジャケットの裏に忍ばせた拳銃ジェリコ941と、水行の妖術の勝負。
 いちおうクレアやベティ、疣豚の背後に忍び寄った明日香もいるが、こちらが出張る事態は割と避けねばならない大事だ。
 だから被害を出さぬよう、銃弾や攻撃魔法エヴォケーションを目撃されぬよう隙を伺い……

「!?」
「……あっ! 逃げた!!」
 疣豚は液体になって流れ去った。
 たしか【水行・遁甲シュイシン・ヅンジア】と言ったか。
 けっこう高度な妖術のはずなのだが。
 まあ、一瞬のことなので余人には何が起きたのか把握できないのが不幸中の幸いか。

 舞奈はそのまま気配を探るが、それ以上の妨害はなさそうだ。

 KASCのアーティストも敗北を認めた。
 つまり委員長はファイブカードの幻の曲を――母親の歌を守りきったのだ。
 その上で、

「……今度は2人で歌いませんか?」
 アーティストの彼女に微笑みかけた。

「!? で、でも、わたしはこの曲を歌う資格は……」
「そうだよ君、そいつはKASCの――」
「新曲を自分たちのものにしようとしたんだろ!?」
 驚く彼女を見やり、不満げな聴衆たちを見やってニッコリ笑う。
 そして呆気にとられる皆を見やり、

「そんなの関係ないのです。たくさんの人に歌ってもらったほうが、お母さんもきっと喜ぶのです」
 語り掛けた。

「それに、ライブハウスは歌うところなのです。罪を裁くところじゃないのです」
 真面目腐った口調で宣言する。
 普段の彼女が教室で見せる、生真面目な委員長の表情で。

 だから側のアーティストは照れたように、聴衆も納得した様子で笑う。

 そしてコンサートの第二幕が始まった。
 今度は勝負とも利権とも関係ない。
 2人のアーティストと聴衆が一体になった、魂のライブが。

 舞奈と明日香はそっと人の輪を離れた。
 そんな2人を園香が見ていた。

 同様に、会場の片隅でライブを見守っている者がいた。

「……」
 2人のアーティストが和解して共に歌い始める様を、梓もじっと見ていた。
 眼鏡の下の、両の頬を涙が伝う。そして、

「……美穂ちゃん、心配かけてごめんね」
「梓っち……」
 側で不安そうに見やる美穂に向き直り、

「やっと見つけた……ううん、思い出したの。わたしが歌いたい理由!」
 瞳を涙で潤ませながら、満面の笑みを浮かべた。
 美穂は一瞬、驚いてから、釣られるように笑った。
 それとは別の片隅で、

「……こちらは首尾よくいったようなのだな」
「まあな。最高の結末だ」
「それでは、あちしらも行くのだよ」
「ああ」
 迎えに来た糸目に連れられ、舞奈と明日香はそっと店を出た。
 しばらくして……

「……舞奈ちゃんは何処に行ったか知ってるかい? それに明日香ちゃんも」
 オーナーは舞奈たちを探していた。
 実力行使に出た疣豚を阻止した舞奈を、もうひとりの主役だと考えていたのだ。
 そんな彼女に、

「2人も歌いに行ったんだと思います」
 園香が控えめに答えた。

「マイちゃんにしか歌えない歌を……」
 窓の外を見やって微笑む。
 園香は舞奈たちの事情を知らない。
 けれど自分たちの知らない場所で、重要な戦いをしていることには気づいていた。

 同じ頃。
 ライブ会場から少し離れた公園の、緊急閉鎖されて人気のない広間で、

「準備はいいかね?」
「ああ、いつでもいいぜ」
 ニュットの問いに、舞奈は不敵に答える。
 側の明日香と、でっぷり太った【鷲翼気功ビーストウィング】ポークが無言でうなずく。

 これから舞奈たちは【鷲翼気功ビーストウィング】の異能を借り、KASC須黒支部ビルに突入する。
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