隣町は魔物ひしめく廃墟。俺は彼女のヒーローになる

立川ありす

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第3章 SACRIFICE ~蛮勇の代償

罠と生贄

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 跳びこんだ先は、オフィスビルのエントランスだった。
 老朽化してあちこちが崩れている意外は、何の変哲もない普通のビルだ。

 ――否、窓という窓が塗りつぶされたように黒く染まっている。
 ここが結界化された施設の内側だからだ。

 屍虫の巣だという情報を裏づけるような、焦げた糞尿のようなヤニの臭い。
 その中に混じった血の臭いに吐きそうになる。
 だが、こらえる。

 首謀者を倒すまで、俺はこの場所から出られない。
 改めてその事実を突きつけられて、思わずゴクリとつばを飲みむ。

 先に突入した仲間を探し、エントランスを見渡す。
 天井から薄暗く照らす蛍光灯が不安を誘う。

 正面にはエレベーター。
 左右に伸びる通路の先は階段があるはずだ。
 先行した仲間たちはどちらに向かったのだろう?

 そう思った途端、右の通路から巨躯が飛んできた。
 ドスリと音をたてて俺の目前に放り出される。

「アトラスさん!?」
 屈強な身体のあちこちには斬撃の痕が刻まれている。
 そして腹に開いた深い傷跡からは、ドロリとした赤いものが溢れ出している。

「アトラスさん! しっかり!!」
 思わず俺は巨漢に駆け寄る。

 巨漢の全身に刻まれた傷は深い。
 応急手当の方法は学んだが、これほどまでの出血に対処する方法など知らない。

 そもそも身体能力を強化する【虎爪気功ビーストクロー】が瀕死になっている!
 その信じられない事実に、恐怖する。

 巨漢の焦点のおぼつかない双眸が、ゆらりと俺を捉える。

「新入り……にげ……ろ……」
 消え入りそうな声で言った。

「え……だって……?」
 俺は思わず狼狽える。

「そんな……」
 直感が、彼はもうすぐ死ぬと告げた。

 次の瞬間、俺は恐怖に駆られて通路を駆けだした。

 逃げろと言われたって、そんな場所などないからだ。
 俺たちは結界に閉じこめられている。
 ここから出るには、首謀者を倒すしかない。だが、

「スパーク!? スティール!?」
 通路の床に打ち捨てられた少年。
 そして壁に寄りかかってうずくまる少年。

 どちらの身体も斬り刻まれ、無数の傷口から赤いものを垂れ流している。
 そして同じ色の水たまりの中で、ピクリとも動かない。

 スティールの衣服だけは無傷だ。
 彼の異能力が防具を強化する【装甲硬化ナイトガード】だからだ。

「あ……あ……」
 彼らから目を背けて俺は走る。
 どうしてこんなことに、なってしまったんだろう?
 何故こんなことになっっているんだろう?

 エリコの言葉が脳裏をよぎる。

 俺たちだけで突入しても瞬殺されるだけだと。

 先に突入した仲間たちは、戻ってこないと。

 その言葉は誇張だと思っていた。
 けど俺たちだけで突入するのは、無謀だったのか?
 俺は小夜子の背中に隠れていなきゃ駄目だったのか?

「陽介先輩……!?」
「無事だったのかい!?」
「瑞葉君! ポーク!」
 廊下の向うに身構えた2人の背中を見つけ、思わず駆け寄る。

 よかった!
 まだ俺たちは……全滅したわけじゃない!

 安堵した俺は、もうひとり見知った人影を見つけた。

「ソードさん!? よかった、無事だったんですね!」
 俺は思わずソードに駆け寄る。
 だがソードは俺に日本刀を突きつけた。

「へへ……遅かったじゃねぇか、新入り。気づかれたと思ってヒヤヒヤしたぜ」
「陽介君、気をつけて! 奴は!」
「……え?」
 驚き、そして冷静に見やる。
 ポークと瑞葉は、ソードと対峙していた。

「ソードさん!? どういう……ことですか!?」
「悪く思うなよ新入り!」
 困惑した俺の問いに、ソードは吠える。

「頭の中に聞こえてくる『声』が言ったんだ!、お前らを本隊から分断して結界に誘いこめば、オレ様にも力をくれるってな!!」
「力……?」
「ああ、そうさ! 異能力どころか虫だなんて呼ばれて蔑まれてるオレ様が、魔道士メイジどもに怯えずに好き放題できる力さ!」
「そんなもののために俺たちを……仲間を裏切ったんですか!?」
「うるせぇ! うるせぇ! ご立派な異能力を持ったお前たちなんかに、オレ様の気持ちがわかってたまるかよ!」
 ソードは身勝手な激情を爆発させる。

「オレだってな、オレだってな、ヒーローになりたかったんだよ!」
 叫びながら、ギラリと光る日本刀の切っ先を俺に突きつける。
 切っ先が震えているのは激情ゆえか。

「それをお前らや、魔道士メイジみたいなガキばっかりが力を手に入れやがって! だからオレ様も手に入れるのさ、お前たちを生贄にしてな!!」
 その言葉に、俺は驚愕した。

 ソードが自負する通りの実力を持っていると思っていたわけではない。
 だが彼が、これほどまで弱く、身勝手で、そして卑劣だとは思わなかった。

 こんな男の言葉に乗せられて、俺たちは死地に飛びこんだというのか?
 そう思うと、やり切れなかった。

 ――否。愚かだった。

 彼が脂虫だと知ったときに、彼の言葉に真実などないと気づくべきだった。
 煙草を臭わせる害虫の言葉に真実など無いと、何度も警告を受けていたはずだ。
 それなのに。

 俺は2人を庇うように身構え、かつての仲間と対峙する。
 ポークの【鷲翼気功ビーストウィング】はここでは使えないし、瑞葉は後輩だからだ。

 それに瑞葉が【偏光隠蔽ニンジャステルス】で奇襲するつもりなら、ソードの死角になった方がいい。

 だが、そのとき、

「――彼が醜いと思いますか?」
「……えっ?」
 涼やかな声とともに、ソードの身体が宙を舞った。

 ソードはビル壁に叩きつけられ、双眸を驚きに見開く。
 そんな彼に、跳び出してきた何者か襲いかかった。
 カギ爪を一閃すると、ソードは鮮血を振りまきながら床を転がる。

「なん……で……?」
「ソードさん!?」
 驚き叫ぶ俺の目前に、ソードを襲った何者かが降り立つ。
 口から糞尿のような悪臭を放ち、ヤニ色に濁った双眸を見開いたそれは、俺たちが狩ろうとしていたはずの屍虫――その中でも特に強力で厄介な大屍虫だった。

「わたしもそう思いますよ」
 屍虫の背後から、新たな人物があらわれた。

「智慧も異能も持たず、努力も学習もせずに他者を害するゴミのような男だ」
「キム君!? どうしてここに!?」
「ああ、力は与えてさし上げますよ」
 麗人は俺に構わず、血まみれでもがくソードに向かって符を放つ。

「わたしはあなたとは違って約束を守る生き物ですので」
 そう言って何かの呪文を唱える。

 キムは魔道士メイジなのか?
 男でも条件を満たせば魔道士メイジになれると、確か明日香が言っていた。

 困惑する俺の目前で、ソードの双眸がヤニ色に染まる。
 両手からカギ爪がのびる。
 そして胸の傷跡をものともせずに一挙動で立ち上がる。

「屍虫に……変わった!? そんな! まさか!?」
 キムが脂虫を、屍虫に変えていたのか?
 そして俺を襲わせていたのか!?

 ソードとした約束というのは、彼が聞いたという『声』のことだろうか?
 ならば俺たちを結界の中に誘い出し、襲ったのはキムなのか?
 何のために!?

 うろたえる俺を見やり、キムは涼しげに笑う。

「こんばんは、日比野陽介君。キミと同じ種類の人たちとたくさん会えて嬉しいよ。ボクはキミたちみたいな異能力者を探していたんだ」
「俺たちを……?」
 思わず俺は問いかける。

「ああ、ボクに人間の地位と生活をくれた人が、キミたちの力を欲しているのさ」
 キムは語る。

 人間の地位と生活……?
 キムは人間じゃないってことなのか?
 俺たちの異能力を欲しがってるって? 誰が?
 そもそも欲しいからって渡せるものなのか?

 疑問が渦巻く俺を見やって、キムは笑う。

 いつの間にか、キムの背後に5つの人影。
 いずれも高級そうな背広に身を包んだ中年男だ。

 そのうちひとりには……いや、2人に見覚えがあった。
 ひとりは以前にシロネンの前で舞奈と対峙した、高級そうな背広を着た中年男だ。
 蛍光灯に照らされて、ごてごてと装飾された腕時計が下品に光る。
 そして舞奈に投げ飛ばされていた巨漢。

 他の3人に面識はない。
 だが5人ともがヤニで歪んだ醜い顔をして、煙草をくわえ、あるいは手にしている。

「やあ、陽介君。君と会うのは2回目だね」
 男は上辺だけは親密そうに、俺に向かって笑いかける。
 ちっとも愉快な気分にならない笑みだ。

 そんな彼に合せたか、他の男たちも俺たちに侮蔑するような、値踏みするようないやらしい笑みを浮かべる。

 背後で瑞葉とポークが困惑する。
 状況がまったくつかめないのは俺と同じだ。

 この状況が危険であることだけはわかる。
 だが、奴らは何者なんだ?
 いったい俺たちは何に巻きこまれているんだ?

「そんな意外そうな顔することはないだろう?」
 そう言ってキムは不気味に笑う。

「太古の魔道士メイジは人間に罪穢れを蓄積させて脂虫に仕立てあげ、生贄にした」
 いつか舞奈たちから聞いたのと同じ話を、キムは語る。

「なら、同じやりかたで身体に魔力を宿した異能力者を生贄にする邪法だってあるはずだろう? それを、ボクはこの方の持つ賢者の石から授かったんだよ」
 そう言って、キムは背後の男を横目で見やる。

 え?
 それって、まさか……。

「俺たちを……生贄にするって言うのか!? 嘘だろう? キム!」
 俺はキムに問いかける。

 嘘だろう? そんな。
 クラスメートだと思っていたキムが……!?
 俺たちの異能力を奪い、彼らに譲り渡すために……!?

「不自然なことではないだろう」
 腕時計の男はそう言って、俺たちに蔑むような笑みを向ける。
 そして、これ見よがしに一服する。
 糞尿のような悪臭に、俺たちは思わず顔をしかめる。

「君たち【機関】の人間は、煙草を吸っているだけの我々を脂虫と呼び忌み嫌う。我々だけ害する怪異や魔法を放置し、ときに我々の命すら奪う。理不尽だと思わんかね?」
 忌々しげに語る。

 彼の言っていることは嘘ではない。
 怪異や魔法について知るまで、俺はは喫煙者を不快な人としか思っていなかった。
 だが今や、彼らを脂虫という種類の怪異として認識している。

 舞奈だって【機関】の皆だってそうだ。
 この場所に入ってくるためにも脂虫を1匹――彼らの同類をひとり殺した。
 それに小夜子は彼らを生贄にして魔法を使う。

 その行為そのものが、この一連の事件の原因だったというのか?

「だから我々は、我々を害する者たちに対抗するための力を手に入れようとしているのだよ。君たちを生贄にしてね」
 そう言って、俺たちをぬめつけるように順番に見やる。

「仕方がないことなのだよ。我々が生き延びるためには犠牲が必要なのだ。【機関】が我々に対してそうしたようにね」
 感情のこもっていない、いやらしい笑みを浮かべる。
 彼と共に立つ4人の男たちも、同じように笑う。

「君たちから得た力によって、我々は【断罪発破ボンバーマン】に傷つけられない強靭な肉体と異能力を得る。そして、その力で【機関】に対抗し得る喫煙者の王国を築くのだ」
 その吐き気のするような言葉に、背後で瑞葉が、ポークが怯む。

「……キム。君も同じ考えなのか?」
 俺はキムに問いかける。

「おかしくないか? 君だって【機関】の魔道士メイジと同じように、脂虫を屍虫に変えて俺や執行人エージェントたちにけしかけてたじゃないか」
 けどキムは笑う。

「この方たちは特別なのさ。地を這う1匹の怪異に過ぎなかったボクを、人間の地位を持った特別な存在にしてくれた」
 そう言って俺たちを見やり、薄笑いを浮かべる。

「だからボクは、彼らのためなら何でもするって決めたのさ」
 キムは後ろの5人と同じ目で俺たちをぬめつける。
 生贄を見る目で。

「……バースト、ポーク」
 俺は瑞葉とポークを背にしたまま身構える。

「奴を倒そう」
「ああ! わかってる」
「足手まといにならないように頑張るよ」
 言いつつ瑞葉はナイフを、ポークはボウガンを構える。

 キムの、彼らの主張は理に適っているのかもしれない。
 それともソードと同じように、自分勝手で矛盾しているのかもしれない。
 実際はどちらなのか、今の俺にはわからない。

 けど彼らの王国とやらのために、むざむざ犠牲になるわけにはいかない。
 俺には、仲間たちには帰らなきゃならない場所があるんだ。

 瑞葉をコードネームで呼んだのは、これから俺たちは執行人エージェントとして戦うからだ。
 それが、俺たちが生き延びる唯一の手段だ。

「わたしたちは5人。キム、おまえは十分な数の異能力者をおびき寄せてくれた」
 下品な腕時計の男は笑う。
「【虎爪気功ビーストクロー】【雷霊武器サンダーサムライ】【装甲硬化ナイトガード】、そこにいる【偏光隠蔽ニンジャステルス】。……太っちょ君は異能力を持っていないようだね。彼は不要だ」
 その言葉の気味悪さに、瑞葉は震える。
 そしてポークは柄にもなく怒りに顔を歪めてボウガンを構える。

 ポークはこの場所では使えないだけで、異能力を持っている。
 そして俺も!

――主ヨ、殺セ。敵ヲ殺セ。

 ああ、殺してやる。倒してやるさ!
 俺は自身を導く声に答え、拳に【火霊武器ファイヤーサムライ】の炎をまとわせる。

 俺に聞こえるこの声が何者なのかは知らない。
 けど、俺はソードみたいに騙されたりしない!
 この力を正しいことに、仲間を守るために使ってみせる!

「やっぱりキミは特別な異能力を持っていたんだ。素晴らしい! 南米アステカの死の神テスカトリポカと対を成す、太陽神ウィツロポチトリの力!」
 キムは興奮して叫ぶ。

「これで、わたし自身を強化する最強の儀式をも執り行うことができるわけか」
 同じように、キムの背後で男が笑う。

 アステカの神……?
 俺の異能力は、やはりただの【火霊武器ファイヤーサムライ】じゃないのか?
 この拳に宿る力は、小夜子のナワリ呪術と同じ由来の力なのか?

 けど、それを確かめる前に、やらなきゃいけないことがある。
 生き残ることだ!

 俺はキムと側の大屍虫、背後の男たちを見やりながら、腰を低くして構える。

「脂虫の心に魔法をかけてキミたちを他の執行人エージェントと分断させてよかった」
 そう言ってキムは笑う。

「ボクたちが執行人エージェントに対抗し得る力の源は、他ならぬキミなのだからね」
 キムは危機を感じる様子もなく笑う。
 身構えて異能力を展開した俺を前にしてすら。

 屍虫の群に、俺たちなど瞬殺だと言ったエリコの言葉が脳裏をよぎる。

 俺には、舞奈のような筋肉はない。
 銃なんて持ってないし、そもそも撃ち方なんて知らない。

 明日香のように用意周到なわけでもないし、小夜子のように魔法について研鑽を重ねてきたわけでもない。

 俺には、戦うために積み上げてきたものが何もない。

「けど……!!」
 俺の脳裏を、屈託ない千佳の笑顔がよぎる。
 不安げな小夜子の面影がよぎる。

 千佳も、小夜子も、俺をヒーローには向かないと言った。
 波風の立たない平和がいちばんだと言った。

 聞いたその時には反発した俺だが、今なら彼女たちの言葉の意味がわかる。
 俺の脳裏を、千佳と小夜子と、舞奈と明日香と園香ちゃんと、皆で過ごしたあたたかな晩餐の様子がよぎる。

 あの日常に帰りたい。
 だって、千佳の……小夜子の……泣き顔なんて見たくないから。

 だから、戦って、死に物狂いで戦って、皆の所に帰るんだ!

「うわぁぁぁぁぁぁ!」
 俺の叫びに応じるように、拳に宿った炎が爆ぜるように勢いを増した。
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