悪魔との同居生活

キンキー

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紅葉狩り

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ーー前回のあらすじーー
新事実 悪魔は心の中を読める
怒る内海、やらかすハル。
果たしてこのまま暮らして行けるのでしょうか……

「紅葉狩り……ですか?」
ハルが不思議そうな顔でこちらを見た。

「そうだ紅葉狩りだ。ハルも知ってるだろ?」

「えぇ、よく海外の人が討伐のほうの狩りと間違えることで有名な紅葉狩りですよね?」

……こいつ、どんだけこの世界に慣れているんだよ。そう思いつつ、俺はこの事を心の中にしまった。

「あぁ、その紅葉狩りだ。おまえが来てくれたおかげで生活費がかなり節約できてな、そのお礼もかねて一緒に行こうと思ってな。」

ホント、ハルのおかげで帰宅するのが楽しみになったからなぁ……感謝してもしつくせないほどだ。

「ではさっそく準備をしましょうか!
私はお弁当の用意をするので、内海さんはこちらのバッグにレジャーシートなどの紅葉狩りに必要なものを詰め込んでください!」
そういうとハルは上機嫌で支度を始めた。

まさかただの紅葉狩りに、こんなにはしゃぐとはな。


「うわぁー……すごいですね!」
ハルは赤く色づく紅葉景色に見とれていた。

「あっ、あれはなんですか?」
道に並ぶ出店らを指している。

「あれは出店っていってな、普段この辺りで店を切り盛りしている人らが料理を提供してるんだ。あっちの世界にはお祭りみたいなのはなかったの
か?」

「あぁ―……あるにはあったんですけど私の意識があった時にはもう……」
やるせなさそうな顔で答えていた。

「そうか……。すまん、デリカシーのないこといって」

「い、いえ。こちらこそ暗い話をしてごめんなさい!」

しばらくの間、重い空気が周りを漂っていた。

「あ、そ、そうだ!せっかくなので何か買いませんか?ほら、内海さんが大好きな焼き鳥もありますよ!」
ハルはそそくさと出店のほうへ向かった。

ったく……弁当まで食いきれるのかよ。
そう思いつつ、どこかほっとしてしまう俺がいた。

「にしてもなんで俺が焼き鳥好きって知ってるんだ?」

「なんでって、同居してから結構経ってますよ。内海さんの好きな食べ物ぐらい朝飯前ですって!」

んな自慢げにいわれてもなぁ……


「んー……やっぱいい場所ねぇなぁ……。先に場所取りしてからのほうがよかったか。」
周りは痛快無比な雰囲気で包まれていた。パートナーらしき人と紅葉を見る人もいれば家族で団らんしているところもある。
一方俺は右手に焼き鳥、左手にはビール……。まったく華がねぇじゃねぇか!

「うわぁ,これはかなり混んでますねぇ。……ここら一帯の人間消しますか?」

「いや、待て待て。絶対にやるなよ!?」

「フフフ、さすがに抹消しませんよ~」

……こいつならあり得る。
ふと目を向けると小さな紅葉の木がある公園があった。

「なぁ、あそこならワンチャン空いてる場所あるんじゃねえか?」

「お、いいですねー。さすが内海さん♪」

「そうやってご機嫌とって弁当の具材貰おうとしてるんだろ」
俺はからかい気味にいった。

「そ、そんなわけないじゃないですか!誘ってくれたせめてものお礼ですよ!」
ハルは顔を赤らめながら答えた。

どうやら図星みたいだ。

結果、どこも人がいっぱいでベンチで見る他なかった。

「結局遠い場所で見ることになりましたねー……」

「……そうだな」
俺は空返事気味に答えた。

「ちょっとー、人の話はちゃんと聞くって教わりませんでしたかー?」

「うるせぇな口だな……」
そういうと俺はハルに口づけをした。

「…………!?」

「俺はおまえと一緒にいれればなんでもいいんだよ」

ハルは黙っている。

「ん?なんだよ。なんかいえ……」

「と、とりあえず今日は帰りましょうか!」
ハルは俺の手を引っ張っていった。

なんだ?あいつってこんなに積極的な性格だったか……?

後日、ハルの口から出てきたことを俺は激しく後悔した。
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