臭いモノには花

植澄 紗

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第三章【疑念】

十二月十一日。

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『十二月十一日、

    父様と母様へ。

本日の天気は雨でした。

それはもう土砂降りでした。

父様と母様の場所に私と同じ雨が降っているのでしょうか。

そう考えると、なんだか喜ばしく感じます。

さて今日は双橋様のご自宅で小さなヒトが動く箱を見ていました。

双橋様から仕組みを伺いましたが難しいお話で私にはさっぱりです。

けれど言葉は覚えました。

テレビと言うそうです。

いつか父様と母様とご一緒に見たいものです。

そして今日はもうひとつ学びがありました。

ミソシル、とダンゴジルです。

お二方は知っていましたか?

それは母様の作る料理よりもずっと薄味で、でも優しくて、母様の作る手料理も大好きだけれど、健康のためにも一度食べて欲しいと思います。

ダンゴジルはもちもちとしたものが入っていて初めて食べる触感でした。

双橋様と最後に食べるときに、私の作ったダンゴだけ歪な形だと笑われてしまいましたが、一緒に作ったこと、食べたこと、本当に楽しかったのです。

ダンゴジルの作り方を覚えて、父様と母様にも食べて貰いたいです。

いつの日か皆で食卓を囲む日を祈って今日は締めとさせていただきます。


ロシェ』


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