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最終章 大団円へ
第6話 私やめさせてください
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名刺を見て私は自分の予感が当たったのを感じました。
『ほらきた、おっかない国家権力が出てきましたよ・・・
最初から霞ヶ関の御方ご紹介の祭師様だなんて大金払うし・・・もう俺みたいなチンピラの出る幕じゃないよ』
「あの菅原さん結構な、ご挨拶、誠にありがとうございます。
ですが、あの、いきなりで申し訳ないのですが、
明後日には榊原一族の方々も続々いらっしゃるようですし、
この辺で私、この仕事やめさせていただきたいと思っておりまして、
いやあの、見舞金やら経費なんかも使ってしまいましたが、
残りのお金は全部お返し致しますので、それと、この名刺も・・・・・」
「えぇ!なんです?薮から棒に」
私の心の奥底で蠢いていた黒い気持ちは、流石に、まだ
祭師様にも読まれていませんでした。
「いやぁ色々思うところありまして、
それにコレ以上、色々知りたくないと言いますか、
知らない方が良いような感じがしますし・・・」
菅原さんと城一郎様が顔を見合わせ驚いています。
「式さん、率直に何か、お有りでしたら、この菅原に言ってください、報酬に御不満でも?
それに、この仕事が無事完了した時点で
式さんには又、報酬が支払われますし、
もう予算通してしまってるので、ちょっと困ります、
なんとか考え直してください」
続けて城一郎様が静華さんの姿で白目を剥いて、
まるで機関銃のように言いました。
「それでは私も静華に怒られます、
いま静華は眠っている状態で、そんな間に式さんが辞めたとなると何にも知らずに目覚めたら静華がガッカリします、
それに怒って大問題に発展するやもしれません。
順番も私たちではなく、まず静華に相談するべきでしょう、
これを知ったら静華は裏切られたような気持ちになって
多いに心が傷つくと思います。
それに明後日、わたくし達の氏子に
『薙彦』『那魅彦』という二人が居て、
こちらに来ます。
この二人は優れた触媒体質の人間で私と私の父・剣一郎が憑依して祭りの最中、初めて榊原四天王が完成するのです。
そんな最終段階に入ってきて、もし静華が機嫌を損ねて
祭事を放り出すような事にでもなったら一大事です。
ことです、ダメです。
絶対に駄目です、辞めさせません。
ココだけの話ですが
私たちは10年ぶりに集合して仕事を再開しているのです、
この現場に携わるまで静華は随分と理不尽な思いにも我慢に我慢を重ね、
その中で式さんと出会い、
跳ねっ返りで、いつも不機嫌な静華がようやく気に入った方が
貴方なのです・・・
まぁ、よっぽどオムツ事件が響いたんですね、ショックはお察ししますが無責任な事はせずに
仕事は最後までやり遂げていただきたいっ!」
菅原さんがキョトンとしている。
「なんです?そのオムツ事件って」
「やめてください!あれは関係ありません」
『逃げられないかぁ・・・
無責任に思われるのも癪だしなぁー・・・
タイミング遅しかぁ、それにしても色々これから始まるんだな・・・えぇい、ままよ』
「わかりました、急にわがまま言いました、撤回します、すいませんでした」
私は頭を下げました。
その時、尾形君のお父さんが二階に上がってきました。
「あのぉ、お取り込みのところすいません。
銀行で何か事件です式さん、すぐに行ってもらえますか・・・
うわぁー静華先生、白目むいて大丈夫ですかー?具合悪いんですか?」
びっくりしています。
すると静華さんの目玉が、くるりと黒目になり目を覚ましたようです。
「何?どうした何かあったか?
あっ菅原さん、その節は、ご心配おかけしました、
んー目が痛いっと目薬・・・・」
菅原さんが手を振りながら言いました。
「いえいえ、それより何か事件らしいですよ」
静華さんは両手を合わせ目を閉じ超能力で何か探っているようです。
「マルダ、すぐ行くぞ銀行まで急ごう」
コートを羽織り刀の入ったケースを静華さんは用意しました。
「はい、和華さんは、どうしますか」
「いや連絡しなくていい、いま部屋で瞑想中だろう」
「わかりました、菅原さんは?」
「ん私は祭りの一部始終を記録するため部下たちと準備があるので行けないよ、現場の写真なり動画なり、式さん撮ってきてください、お願いします」
「あ、はい、では行ってきます」
「マルダ、お祓い道具、水、塩、御札忘れないように・・・」
「あ、あぁわかりました」
また考え事なんて、する暇もなくなりました。
車に向かいながら周囲を見回すと丁度タクシーがゲートから出て行くところで
見慣れない関東ナンバーのバスが1台、入場していました。
菅原さんの部下と思われる人々が、何やら沢山、機材をバスから降ろしていました。
『ほらきた、おっかない国家権力が出てきましたよ・・・
最初から霞ヶ関の御方ご紹介の祭師様だなんて大金払うし・・・もう俺みたいなチンピラの出る幕じゃないよ』
「あの菅原さん結構な、ご挨拶、誠にありがとうございます。
ですが、あの、いきなりで申し訳ないのですが、
明後日には榊原一族の方々も続々いらっしゃるようですし、
この辺で私、この仕事やめさせていただきたいと思っておりまして、
いやあの、見舞金やら経費なんかも使ってしまいましたが、
残りのお金は全部お返し致しますので、それと、この名刺も・・・・・」
「えぇ!なんです?薮から棒に」
私の心の奥底で蠢いていた黒い気持ちは、流石に、まだ
祭師様にも読まれていませんでした。
「いやぁ色々思うところありまして、
それにコレ以上、色々知りたくないと言いますか、
知らない方が良いような感じがしますし・・・」
菅原さんと城一郎様が顔を見合わせ驚いています。
「式さん、率直に何か、お有りでしたら、この菅原に言ってください、報酬に御不満でも?
それに、この仕事が無事完了した時点で
式さんには又、報酬が支払われますし、
もう予算通してしまってるので、ちょっと困ります、
なんとか考え直してください」
続けて城一郎様が静華さんの姿で白目を剥いて、
まるで機関銃のように言いました。
「それでは私も静華に怒られます、
いま静華は眠っている状態で、そんな間に式さんが辞めたとなると何にも知らずに目覚めたら静華がガッカリします、
それに怒って大問題に発展するやもしれません。
順番も私たちではなく、まず静華に相談するべきでしょう、
これを知ったら静華は裏切られたような気持ちになって
多いに心が傷つくと思います。
それに明後日、わたくし達の氏子に
『薙彦』『那魅彦』という二人が居て、
こちらに来ます。
この二人は優れた触媒体質の人間で私と私の父・剣一郎が憑依して祭りの最中、初めて榊原四天王が完成するのです。
そんな最終段階に入ってきて、もし静華が機嫌を損ねて
祭事を放り出すような事にでもなったら一大事です。
ことです、ダメです。
絶対に駄目です、辞めさせません。
ココだけの話ですが
私たちは10年ぶりに集合して仕事を再開しているのです、
この現場に携わるまで静華は随分と理不尽な思いにも我慢に我慢を重ね、
その中で式さんと出会い、
跳ねっ返りで、いつも不機嫌な静華がようやく気に入った方が
貴方なのです・・・
まぁ、よっぽどオムツ事件が響いたんですね、ショックはお察ししますが無責任な事はせずに
仕事は最後までやり遂げていただきたいっ!」
菅原さんがキョトンとしている。
「なんです?そのオムツ事件って」
「やめてください!あれは関係ありません」
『逃げられないかぁ・・・
無責任に思われるのも癪だしなぁー・・・
タイミング遅しかぁ、それにしても色々これから始まるんだな・・・えぇい、ままよ』
「わかりました、急にわがまま言いました、撤回します、すいませんでした」
私は頭を下げました。
その時、尾形君のお父さんが二階に上がってきました。
「あのぉ、お取り込みのところすいません。
銀行で何か事件です式さん、すぐに行ってもらえますか・・・
うわぁー静華先生、白目むいて大丈夫ですかー?具合悪いんですか?」
びっくりしています。
すると静華さんの目玉が、くるりと黒目になり目を覚ましたようです。
「何?どうした何かあったか?
あっ菅原さん、その節は、ご心配おかけしました、
んー目が痛いっと目薬・・・・」
菅原さんが手を振りながら言いました。
「いえいえ、それより何か事件らしいですよ」
静華さんは両手を合わせ目を閉じ超能力で何か探っているようです。
「マルダ、すぐ行くぞ銀行まで急ごう」
コートを羽織り刀の入ったケースを静華さんは用意しました。
「はい、和華さんは、どうしますか」
「いや連絡しなくていい、いま部屋で瞑想中だろう」
「わかりました、菅原さんは?」
「ん私は祭りの一部始終を記録するため部下たちと準備があるので行けないよ、現場の写真なり動画なり、式さん撮ってきてください、お願いします」
「あ、はい、では行ってきます」
「マルダ、お祓い道具、水、塩、御札忘れないように・・・」
「あ、あぁわかりました」
また考え事なんて、する暇もなくなりました。
車に向かいながら周囲を見回すと丁度タクシーがゲートから出て行くところで
見慣れない関東ナンバーのバスが1台、入場していました。
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