66 / 80
最終章 大団円へ
第5話 官僚ガーディアン
しおりを挟む
榊原政一郎様将る大祭りスタッフ入場まで、あと二日。
細かい調整を行って尾形君と、お父さんの建築会社社長、
そして私と、それぞれに仕事をこなして行きました。
現場には一時、静華様専用のキャンピングカーでもという話が出ましたが本人が
「いらない」という事で臨時の事務所であるプレハブの二階を
祭師専用ルームという名目で楽屋に致しました。
私と尾形君はダンプカーやパッカー車、大型のゴミ箱に至るまで御札を貼って、しめ縄をして歩く作業を命ぜられ忙しくしておりました。
他の作業員達も水道や排水の点検、消防と合同のお焚き上げ作業の打ち合わせや準備、神楽衆や氏子衆の楽屋設置その他の用意など、気が付く限りの準備に忙しく動き回っておりました。
「式さん、楽屋で静華さんが呼んでます」
尾形君に促され私はプレハブの二階へ行きました。
「失礼します」そう言いながら中へ入っていくと
臨時の畳の上に静華さんが長い髪を背中に垂らしコチラに背を向け、座禅を組んでいるようでした。
「こちらへ」静華さんが言うので畳の部分に靴を脱いで上がり
回り込むと、私は『ギョッ』としました。
静華さんは座禅を組み座っていましたが顔、両目とも白目を剥いて居たのです。
「えっ!」
すると・・・男の低い声で静華さんが喋りました。
「これは驚きましたか、私、静華の父、城一郎です。
私は既に、この世の者ではありませんが榊原一族、家族が心配なあまり
守護霊となって常に、こうして皆と共に過ごしております。
式さん、ちゃんとした御挨拶が遅れまして大変失礼いたしました」
何か変だなとは思っていましたが私は
「そういう・・ことでしたか・・・」と言ったきり
白目を剥き座っている静華さんと城一郎さまに対し言葉が続きません。
「驚かれるのも無理は、ありません。
このような姿、身内の者以外には見せられません、
それと静華には私が、
和華には私の父にあたります剣一郎が守護として常に見守っております」
『身内か・・・この俺が・・・』
「あの・・・私、言いづらいのですが・・・」
「はい・・・あぁ・・不安ですか、恐怖心も湧いてますね。
無理もないです、短時間に色々な目に会うと、それに私たち一族の事なにも御存知ないのですから、さぞ気味が悪いでしょう・・・」
『やはり心は読まれています・・・思い出しました、そうか、それで時々、和華さんは昼夜構わずサングラスをかけていたんだな白目を見られないように』
「そんな気味が悪いなんて、先日の殺人未遂事件、いえ、その前の和華さんの儀式・・・・とても私のような輩が、どうのこうの出来るものではありません。
指示に従い出来ることをやるので精一杯です。
私など今でさえ何も考えないようにして無理に忙しくしてはいますが、
まして熱を出しオムツをして寝込むなんて生まれて初めてです。
それで・・・」
話しているとプレハブの外で車が入ってきた音やドアを何回も開け閉めする様子が伺え
ガヤガヤと外が騒がしくなりました。
やがて階段を誰かが上がってきました。
―コンコン とノックがされてスーツ姿の男が入ってきました。
「失礼します」
細身のイケメン中年といったところでしょうか
眼光の鋭い彼は私たちに挨拶を始めました。
「やあ城一郎先生、静華先生、ご苦労様です。
あぁどうも、式さんですね、わたくし、こういうものです」
この人、白目の静華さんに驚きもせず、城一郎様だと知っていました。
『え?誰だろう・・・』
懐から取り出し私に差し出された名刺には
住所・代表電話番号が記載されており
国土交通省 保安部 特務課本部
本部長 菅原和茂
裏面には
総務省、防衛省、警視庁、神社庁
特使・兼務調査官
とありました。
細かい調整を行って尾形君と、お父さんの建築会社社長、
そして私と、それぞれに仕事をこなして行きました。
現場には一時、静華様専用のキャンピングカーでもという話が出ましたが本人が
「いらない」という事で臨時の事務所であるプレハブの二階を
祭師専用ルームという名目で楽屋に致しました。
私と尾形君はダンプカーやパッカー車、大型のゴミ箱に至るまで御札を貼って、しめ縄をして歩く作業を命ぜられ忙しくしておりました。
他の作業員達も水道や排水の点検、消防と合同のお焚き上げ作業の打ち合わせや準備、神楽衆や氏子衆の楽屋設置その他の用意など、気が付く限りの準備に忙しく動き回っておりました。
「式さん、楽屋で静華さんが呼んでます」
尾形君に促され私はプレハブの二階へ行きました。
「失礼します」そう言いながら中へ入っていくと
臨時の畳の上に静華さんが長い髪を背中に垂らしコチラに背を向け、座禅を組んでいるようでした。
「こちらへ」静華さんが言うので畳の部分に靴を脱いで上がり
回り込むと、私は『ギョッ』としました。
静華さんは座禅を組み座っていましたが顔、両目とも白目を剥いて居たのです。
「えっ!」
すると・・・男の低い声で静華さんが喋りました。
「これは驚きましたか、私、静華の父、城一郎です。
私は既に、この世の者ではありませんが榊原一族、家族が心配なあまり
守護霊となって常に、こうして皆と共に過ごしております。
式さん、ちゃんとした御挨拶が遅れまして大変失礼いたしました」
何か変だなとは思っていましたが私は
「そういう・・ことでしたか・・・」と言ったきり
白目を剥き座っている静華さんと城一郎さまに対し言葉が続きません。
「驚かれるのも無理は、ありません。
このような姿、身内の者以外には見せられません、
それと静華には私が、
和華には私の父にあたります剣一郎が守護として常に見守っております」
『身内か・・・この俺が・・・』
「あの・・・私、言いづらいのですが・・・」
「はい・・・あぁ・・不安ですか、恐怖心も湧いてますね。
無理もないです、短時間に色々な目に会うと、それに私たち一族の事なにも御存知ないのですから、さぞ気味が悪いでしょう・・・」
『やはり心は読まれています・・・思い出しました、そうか、それで時々、和華さんは昼夜構わずサングラスをかけていたんだな白目を見られないように』
「そんな気味が悪いなんて、先日の殺人未遂事件、いえ、その前の和華さんの儀式・・・・とても私のような輩が、どうのこうの出来るものではありません。
指示に従い出来ることをやるので精一杯です。
私など今でさえ何も考えないようにして無理に忙しくしてはいますが、
まして熱を出しオムツをして寝込むなんて生まれて初めてです。
それで・・・」
話しているとプレハブの外で車が入ってきた音やドアを何回も開け閉めする様子が伺え
ガヤガヤと外が騒がしくなりました。
やがて階段を誰かが上がってきました。
―コンコン とノックがされてスーツ姿の男が入ってきました。
「失礼します」
細身のイケメン中年といったところでしょうか
眼光の鋭い彼は私たちに挨拶を始めました。
「やあ城一郎先生、静華先生、ご苦労様です。
あぁどうも、式さんですね、わたくし、こういうものです」
この人、白目の静華さんに驚きもせず、城一郎様だと知っていました。
『え?誰だろう・・・』
懐から取り出し私に差し出された名刺には
住所・代表電話番号が記載されており
国土交通省 保安部 特務課本部
本部長 菅原和茂
裏面には
総務省、防衛省、警視庁、神社庁
特使・兼務調査官
とありました。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる