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第6章 エンジェルサークル
第9話 護摩壇
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大急ぎで会社の方たちが慣れた手つきで足場を組立て
ついで私と尾形君でわざわざ東京から送られてきた特注の組立キットを使用し護摩壇を作りました。
お焚き上げ用・と書かれた護符と今しがた切ったばかりの松ノ木の枝が護摩壇のそばに次々運ばれました。
通称コンゴウと呼ばれる軽油と灯油の混ぜられた油もあります。
6人で作業していた造園業の方たちは公園・アパート周辺すべての草刈も始めており、草はすべてゴミ袋に入れられトラックに積まれました。
意外だったのは、遠巻きに見ただけですが草を刈る前に殺虫剤が念入りに散布されていたのが印象に残りました。
その間、作業員の方たちは淡い光に包まれ守られているようでした。
「尾形兄ちゃん、マルダおじさん、ここからが大変よ、私は今から眠りにつきます、
その代わり私のなかに私のおじい様が入って護摩焚を行います、
その間このユニットから御神楽の音楽が流れます」
いつの間にかラジカセと外付けの大きなスピーカーが用意されていました。
「その太鼓の音に合わせてアパートを囲む形で、この日本刀を
66本、地面に刺して歩いて欲しいの少しやってみせるけど
ブルーシートがまだね・・・車で少し休憩しましょうか」
そう言うと和華さんが車に歩き出したので
私と尾形君も後に続きました・・・
車の中で和華さんから、お願いがありました。
「私いま体力の限界が近いです。
それで、護摩壇の火入れからは私のおじいさんに変わっていただきます。
魂散華・抜刀演舞
そして結界刀の入刀儀式が終わると同時に
おじい様も一回、三重県の実家に帰ります。
多分・・・私は気を失った状態で眠り続けると思います。
自然に起きるまでホテル側には余計なベットメイキングなどが
勝手に入ってこないように念を押してください。
尾形兄ちゃん、マルダおじさん、よろしくね!」
「ハイわかりました、とにかく眠りを妨げるなということね」
「うん・・・」
そういうと和華さんは車の中から、あの手を合わせ
何事か唱えている野次馬たちを、じっと見つめました。
大体、そんな大掛かりな払いの儀式など見たこともありませんし、
どうしていいのか手はずが何もわかりません。
つまり現場の状況に合わせ、行動を決断するのはすべて祭師様の判断に委ねられるからです。
一瞬我に返り周囲を見回せば真夜中だというのに
パトカー、警備保障、消防車、救急車がたくさん現場に
集結しており作業員たちは総勢25名ほどで走り回っていました。
尾形君のお父さんは部下の方たちと手分けして動き回り常に電話したりして
会社で待機していた社員3名も足りないものを届けたり、
急遽、用意したりと市街地を走り回っておりました。
集まった警察官、警備員、消防隊員、救急救命士、市役所の担当、銀行の代表社員さんたちには警察の茂木さんが
「では私の目の前で今すぐ装着してください」と、お守りを配って歩いたのだそうです。
戦場と化したアパート周辺を今思えばスマホで撮影しておけばよかった。
しかし現場では夢見心地で、どこか浮き足立っていました。
「おーい、そっち、チョット持ってくれ、せーのっ・・・重いなぁ、ちょっと一回下ろそう、足に落とすな」
「はい、おーい、ちょっとこっちてつだってくれぇーっ!」
「あー?なんだってえー?」
「こっちきてくれーっ!」
騒々しく回るパトランプ、足場を運び走り回る作業員さんたち、通行止めを担当された警察官と警備員さんたち
テント小屋でタバコなど吸いながら談笑する消防隊員さんや関係者たち・・・
普段は生意気な口を利く尾形君も私も、すっかり口数が少なくなっていました。
疲労もあったと思います。
二人共、和華さんの後ろを付いて歩き、まったく金魚のフンのようです。
ふいに乗っていたバンの窓がノックされました。
そこには西条先生と副署長の茂木さんが立っていました。
「これ差し入れです、それと、たった今ですが、ちょっと気になることを近隣住民さんに聞きました、ちょっと中に入らせてもらっていいですか」
「ええ、構いませんけど・・・」
西条先生は着席して、こう言いました。
「祭師様、どうやらあの3本の木、根元のところに
遺骨などとは別の良くないものが埋まっているらしいのですが、お気づきでしたでしょうか?」
ついで私と尾形君でわざわざ東京から送られてきた特注の組立キットを使用し護摩壇を作りました。
お焚き上げ用・と書かれた護符と今しがた切ったばかりの松ノ木の枝が護摩壇のそばに次々運ばれました。
通称コンゴウと呼ばれる軽油と灯油の混ぜられた油もあります。
6人で作業していた造園業の方たちは公園・アパート周辺すべての草刈も始めており、草はすべてゴミ袋に入れられトラックに積まれました。
意外だったのは、遠巻きに見ただけですが草を刈る前に殺虫剤が念入りに散布されていたのが印象に残りました。
その間、作業員の方たちは淡い光に包まれ守られているようでした。
「尾形兄ちゃん、マルダおじさん、ここからが大変よ、私は今から眠りにつきます、
その代わり私のなかに私のおじい様が入って護摩焚を行います、
その間このユニットから御神楽の音楽が流れます」
いつの間にかラジカセと外付けの大きなスピーカーが用意されていました。
「その太鼓の音に合わせてアパートを囲む形で、この日本刀を
66本、地面に刺して歩いて欲しいの少しやってみせるけど
ブルーシートがまだね・・・車で少し休憩しましょうか」
そう言うと和華さんが車に歩き出したので
私と尾形君も後に続きました・・・
車の中で和華さんから、お願いがありました。
「私いま体力の限界が近いです。
それで、護摩壇の火入れからは私のおじいさんに変わっていただきます。
魂散華・抜刀演舞
そして結界刀の入刀儀式が終わると同時に
おじい様も一回、三重県の実家に帰ります。
多分・・・私は気を失った状態で眠り続けると思います。
自然に起きるまでホテル側には余計なベットメイキングなどが
勝手に入ってこないように念を押してください。
尾形兄ちゃん、マルダおじさん、よろしくね!」
「ハイわかりました、とにかく眠りを妨げるなということね」
「うん・・・」
そういうと和華さんは車の中から、あの手を合わせ
何事か唱えている野次馬たちを、じっと見つめました。
大体、そんな大掛かりな払いの儀式など見たこともありませんし、
どうしていいのか手はずが何もわかりません。
つまり現場の状況に合わせ、行動を決断するのはすべて祭師様の判断に委ねられるからです。
一瞬我に返り周囲を見回せば真夜中だというのに
パトカー、警備保障、消防車、救急車がたくさん現場に
集結しており作業員たちは総勢25名ほどで走り回っていました。
尾形君のお父さんは部下の方たちと手分けして動き回り常に電話したりして
会社で待機していた社員3名も足りないものを届けたり、
急遽、用意したりと市街地を走り回っておりました。
集まった警察官、警備員、消防隊員、救急救命士、市役所の担当、銀行の代表社員さんたちには警察の茂木さんが
「では私の目の前で今すぐ装着してください」と、お守りを配って歩いたのだそうです。
戦場と化したアパート周辺を今思えばスマホで撮影しておけばよかった。
しかし現場では夢見心地で、どこか浮き足立っていました。
「おーい、そっち、チョット持ってくれ、せーのっ・・・重いなぁ、ちょっと一回下ろそう、足に落とすな」
「はい、おーい、ちょっとこっちてつだってくれぇーっ!」
「あー?なんだってえー?」
「こっちきてくれーっ!」
騒々しく回るパトランプ、足場を運び走り回る作業員さんたち、通行止めを担当された警察官と警備員さんたち
テント小屋でタバコなど吸いながら談笑する消防隊員さんや関係者たち・・・
普段は生意気な口を利く尾形君も私も、すっかり口数が少なくなっていました。
疲労もあったと思います。
二人共、和華さんの後ろを付いて歩き、まったく金魚のフンのようです。
ふいに乗っていたバンの窓がノックされました。
そこには西条先生と副署長の茂木さんが立っていました。
「これ差し入れです、それと、たった今ですが、ちょっと気になることを近隣住民さんに聞きました、ちょっと中に入らせてもらっていいですか」
「ええ、構いませんけど・・・」
西条先生は着席して、こう言いました。
「祭師様、どうやらあの3本の木、根元のところに
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