ＪＯＬＥＮＥジョリーン・鬼屋は人を許さない 『こわい』です。気を緩めると巻き込まれます。

第5章 ダークシンジケート

第3話 刑事の勘

　私が脱力状態で昼間横になっていた間。

　早朝発生した事件の当事者、私、シキ・マルダの願いで
釈放に一役買って下さった武藤さんは
事務所で寂しそうにしている私に付き合って昼食を取ったあと
東署に戻って同期の友人と共に調べ物を始めていました。

それは、ほかの事件の調べではなく今朝の管轄外の事件についてでした。

話しているときは、ちょっと、つっけんどんな態度の武藤さんでしたが
実は彼なりに心配してくださっていて個人的な捜査を始めていました。

　その理由には二人ほぼ同時期に消えた鬼子母神さまの、お守り袋も彼を動かす理由の一つでした。

　今朝ほどの話が通じない東署の刑事さんは名前を藤田孝雄ふじたたかおさんと言います。

彼に武藤さんは暴れた旦那さんの経過や薬物の入手経路、過去の犯罪歴、周辺や勤め先などについて聞いていました。

　管轄違いなれど捜査協力をすると言って細かい内容や気になる点を洗うことにしました。

藤田さんの報告によると
暴れた旦那が、どこから薬物を入手したのか、そして本人は薬など知らないの一点張りだったそうです。

薬物検査結果はＬＳＤという薬の成分が多く、それは幻覚を強く引き起こすのだそうです。
そして武藤さんの勘が大きく動き始めました。

「それじゃな、あっと藤田ぁー今度、家に遊びに行っていいか？」

「ああ？どした」

「いや、息子さんや奥さんに会いたくなってなぁー大きくなったろう？シンジ君」

「いやぁ、いつも愚痴ばっかりで、うちのやつの愚痴聞いてくれんならイイヨ、シンジも、まぁそれなりだな」

「お土産、何がいいかなぁー」

「ん？そんなのいいから、いつでも来いよ」

「おう、じゃ何かあったら知らせてくれ」

「わかった、おい、あの式ってやつ大丈夫なのか？」

「あぁ、あいつの話は遊びに行ったときにでも、ゆっくり教えるよ」

「アハハハお前にしちゃ珍しいな、あんな奴に肩入れするなんて」

「あいつは馬鹿な野郎なんだよ、それじゃ情報頼むよ」

「了解」

武藤さんは今朝の事件、一見、被害者であろう奥さんと子供、しかし何か引っかかっていたのです。

今までの経験からだったそうですが
武藤さんは、なんと、奥さんについて調べ出しました。

「もしもし鈴木、急で悪いが今、何やってる」

「はい調書、書いてましたが」

「ん、それ後回しにして尾行の仕事、頼む、安全課の紫むらさき刑事にも協力頼んであるから
二人で、ある主婦の尾行、頼みたいんだマルタイは今、銀行で働いてるが夕方には帰宅するはずだ、
尾行頼む、俺は、このあと薬ヤクの売人にアタリをつけたいんだ」

「ハァ了解です、でもなんで紫むらさんとなんですか」

「おまえ彼女が好きなんだろうチャンスをやるよ」

「えーっ！？」

「ばか、冗談だ尾行相手が女だからな不測の事態にそなえて紫に協力頼んだだけだ、まぁ、チャンスだから誠実な心で彼女口説いてみろ」

「えー？真に受けていいんですか？」

「いいぞ、その代わり、ちゃんと尾行しろよ、できれば撮影もしてくれ車載固定のカメラ、スマホでも構わん」

「ハイ了解です、なんか・・・ありがとうございまぁすっ！」

「じゃ今もう署に着くから課に行って紫と合流しろ、で車、出す用意してな」

「了解です駐車場で待機してます」

「了解」

小辻紫こつじむらさきは刑事になったばかりの誰もが好感を持つであろう若き女刑事さんです。

鈴木刑事は彼女を好きになっていました。