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第4章 調査と祭師

第2話 鏡が割れる

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「それは残念だったね」

「ハイなんであんなに嫌がるのか頭がおかしいとか、そんな感じは少しも無いのに・・・」

「うーん・・・そうだね何か僕らには理解できない自由感みたいなものがあるのかもしれないね、それか、よっぽど怖い思いをして、この街には戻りたくないか」

「その点に関しては、なんとなく突っ込んで聞きませんでしたが・・・」

「まスマホも渡したんだろ?あっ!おい尾形君、A君スマホ、転売しちゃうんじゃないか?」

「はぁ・・・ありえますね、もう俺ら知りませんよ、あんな奴、金も貸したまんまになっちゃてるのに、どこまで考えてるか謝りもしませんでしたアイツ・・・」

「そういう時は貸したことは忘れて、くれてやったと思うんだよ、そうすれば腹も立たないし、人間のうつわも、その分だけ、ちょっとは大きくなるんじゃないか?」

「やっぱ式さんも、そんな経験ありますか?」

「んーーーあるある、何百万もドブに捨てたよ酒飲んでなぁ、タカラレたし」

「そうですかぁ・・・まぁ、そうですよね、ギャンブルで負けたわけでもなし・・・」

「そうそう」

「はい」

その時、外で車のドアがバタン、バタンと閉まる音がして、アサミさん、Iちゃん、Sちゃん、Mちゃん4人の女子が事務所にやって来ました。

「こんばんわー・・・あ、お客さんですか?」
尾形君が振り返り女子たちを見ていました。

やっぱり女子が居ると急にテンションが上がり華やかな気分になります。
男は単純、単細胞・・・
「いや、大丈夫だよ、紹介するよ、イケメン御曹司の尾形君だ彼は独身だぞうー」

「初めましてアサミです」

続いてI、S、Mの3人の女子も自己紹介しました。

Sちゃんは接客業、IちゃんMちゃんは美容師です。

突然の女子訪問に尾形君は、びっくりしているようです。

「どうも尾形です式先生には、お世話になっています」

彼女たちは前日、自殺しようとした私を元気づけようとして集まってくれたアサミさんの仲間たちで
私は覚えていないのですが、みんなクラブで馬鹿な私を見知っており、
アザだらけの首とパンダ顔じゃ買い物できないだろうと
酒やタバコと一緒に、お弁当など差し入れに来てくれたのでした。

嬉しいハプニングです。

 しかしながら私は明日からの仕事の事や寝不足で早く休みたかったので女子たちを同世代の尾形君に頼みました。

「みんなと、どこか近所の居酒屋にでも行って欲しい」と言いました。

「できれば尾形君の友人Bさんなんかも誘って合コンしたら?」と言うと場は盛り上がりました。

ワイワイ言っているその時、突然
―ビッシィッ!!とトイレ横の鏡に縦のヒビが大きく入り割れました。

音のする方を全員が驚いて見ました。

「えー?なにあれぇーつ!」

『ゲェエエエッ!!なんじゃこりゃぁっ!!』
あわてて私は平静を装い顔を引きつらせながら言いました。

「ささ呪われた此処ここになんか居ないで、みんなで楽しんできなよ」

私は言いながらスマホで鏡と周辺の写真をすぐに撮影しました。
『おー、まじやべぇなコレ・・・あのアパートか?』

「マジなにこれ?・・・・・」誰かが言いました。

「尾形君、明日、会社に行くからよろしく、じゃみんな連れて飲みにでも行ってくれよ、お金、カンパするし」

「いいんですか?お金はいりませんよ、ありますから」かっこいい尾形君です。

「そうだったね、ささ、行った行ったぁ」パンダおやじは疲れています。

するとアサミさんが
「私は行きません、だって、こんな鏡割れて置いていけませんよ」

「俺は大丈夫、もう変な事しないから安心してチョット行ってきなよ、
もう休みたいし考えたいこともあるし一人にしてくれると助かるんだ」

「・・・」アサミさんは、ちょっと、ふてくされているようです。

「尾形君ほら頼むよ・・・」私はアサミさんと目を合わせませんでした。

「ハーイ、じゃ先生のために、ひと肌ぬぎますか、みんな俺、良い店知ってるから、みんなでいきましょう仲間も呼ぶし、もちろん全部オゴリますよぉー」

Iちゃんがアサミさんを連れて他の女子二人はO君と一緒に出かけて行きました。

『一体なんなんだ尾形君、先生なんて言ったこと無いくせに、ま、いいけど』

私は急に割れた鏡に布製のガムテープを貼り付け床に散らばった破片を掃除機で吸い込み玄関を施錠して眠る前に差し入れてもらった弁当を、おかずに酒を飲みながら、いろいろ考えました。

Aさんの事、私が死のうとした事、その時、黒い影を見た事アパートの事、アサミさんが手際よく結界を張ってくれた事、契約と神主様と金の事・・・

そして、その差し入れの弁当なんですが・・・お手製でした。

『しまった、ちゃんと後で御礼しなきゃな女子たちには』

どさくさに誤魔化ごまかしましたが鏡が割れるとは
明日からが思いやられました。

『こんなの初めて見た、強烈だ、かなり・・・俺、死ぬかもな・・・』
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