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第3章 鬼屋が来ます
第3話 闇鍋
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この話は偶然が重なっているだけで怪異が無い幽霊も出てこない。
それでも私の感みたいなものが
『これは世に出さないほうが、いいかもな』と封印していた話です。
件の事故物件アパートから300メートル離れた通り添いに何軒か商店などがあり、その裏手にマンションや個人住宅が並ぶ住宅街がある。
そこに不似合いなゴミ屋敷と呼ばれる個人の廃品回収業者が、ひっそりと開業していました。
Mさんは噂話で、ちょっと変わった廃品屋があると聞いて出かけて行くと店を見つけました。
そこは入口周辺に壊れたスクーターや自転車が積まれていて周辺にはゴミ袋が無造作に積まれており確かに、あやしいゴミ屋敷でした。
「訪ねていくのには勇気がいる感じだった」とMさんは第一印象を語りました。
勇気が出た原因は彼の目当てのビンテージ玩具が雨ざらしで外のゴミに混じっていたからです。
それは大きさ50センチほどのロボットアニメ・フィギュア玩具で
現在マニアの間で非常に高値で取引されている物でした。
「あのーすいません」ガラガラとガラス戸を開けてみました。
「うー何だぁ?」
ぶっきらぼうな親父さんが居てMさんは、しどろもどろ
「そとのロボットが欲しいんです・・・」と聞いてみると
「あー?やるから、持っていけ」と言う。
「え?」
「持っていけ、うるせぇな・・・」
「代金は?」
「いらね」
「じゃあ、これ・・・と」Mさんは相場、十分の一くらいの二千円を差し出すと、それを見た、おやっさんは態度が変わりました。
「ちょっと中、入れや」とMさんを中に招き入れました。
建物の中は使用できるかどうか解らないような電化製品やらゴミ袋の山。
だが、よく見るとマンガ本やCD・あやしいDVDなどもある・・・
そして転売欲の塊だったMさんは、ある一角に目が釘付けになった。
そこには電機メーカーの犬の置物や女の子向け玩具の山、怪獣人形が沢山カゴに無造作に入っています。
「おやっさん!これ幾ら?」
『ポピー、ブルマァクだ・・・』
「ん?たけぇど500万だな」
「え?500円ですか?」
うんと無言で頷く。
親父さんはガスコンロで、なにやら鍋を作っていた。
「か、買います・・・これも・・・コレも・・・・」
Mさんは一瞬、夢を見ているのかと思った。
なんだかんだでプレミア玩具、5万や10万を超えるのではないかというほど買っても
「五千円でいいど・・・これ食うか?」おやっさんは鍋を勧めてきました。
「いえ・・・今お腹はいっぱいなんで、あの・・・車、持ってきます」
Mさんは夢が冷めないうちに急いで車を取りに有料駐車場まで走りました。
そこは常連が入り浸る男だけの世界で色々な目的の人が来ていました。
何回も通うようになったMさんは、ほかの常連さんとも次第に打ち解けて
行く時はタバコや焼酎ウイスキーつまみなど必ず持参して行きました。
「気が利くやつだ」と、みんなに好かれていったそうです。
ほかの常連さんを観察していると女性の下着、高そうなアンティークの時計や真空管ラジオ、レコード、大きい絵皿や絵画などが目当てのようでした。
Mさんは、たまたまマンガや玩具専門だったので、ほかの常連さんの趣味を邪魔することもなく打ち解けていきました。
目の前でMkⅡの重いレコードプレイヤーが500円でやり取りされているのも見たそうです。
毎日、午後三時くらいから闇鍋の宴会が始まって夜8時には、おやっさんは寝ていると言っていました。
おやっさんは昭和の頃からリヤカーを引っ張って
「鉄くず買います」と手書きの小さな看板を出して廃品回収をしておりました。
やがて時代が代わり大手の業者に飲まれてしまい
今は燃えるゴミの日と燃えないゴミの日に軽トラックで早朝4時から昼ぐらいまで
捨てられたゴミを漁って拾ってくるようになったといいます。
おやっさんは引越しや解体現場に目をつけて路上に山済みにされている
年代物の家具を何回も行ったり来たりして根こそぎ持ってくることもあり
玩具などは
「おもちゃが、かわいそうだから」と、ついでにゴミ袋ごと持ってきていたのです。
もう古い話なのですが通報されれば警察に捕まるのかもしれません。
「このごろ、うるせくて、まいった」が口癖でした。
そして常連さん達が飲み食いしていた、あの鍋は、どこかのゴミで
捨てられた期限切れウィンナーやハムかまぼこなど臭いを嗅ぎながら一回水で洗って煮込んでいたものだと気がついたそうです。
普通は、その鍋を食べないと店の常連にはなれないそうですが
Mさんは毎回うまく言い訳をして絶対に食べなかったそうです。
ある日ほかの常連さんが店に来ると、おやっさんが血を吐いて倒れており冷たくなっているのを発見して騒ぎになりました。
検死結果は食道・内臓からの出血と嘔吐物が気管に詰まっていたそうです。
噂では、おやっさんは貯金を、たくさん残して亡くなったという話です。
Mさんの聞いた話では件の鬼屋アパートの前にあった大量のゴミを持ってきてから、おやっさんは生前、嘆いていたそうです。
「このごろ夢見悪くて、まいった」
外にゴミとして出されていた女物の服や下着なども根こそぎ持ってきており、そういう趣味の常連さんが買っていったそうです。
まだ使えそうなDVDプレイヤーやラジオなどもあり売れていました。
中には今思えば昔、血のような汚れが付いたガステーブルや家具などもあったと言います。
その後、仲良くなっていた他の常連さんから、次々に常連仲間数人が病気にかかり亡くなったとMさんは聞かされたのだそうです。
話を聞いていた私は肩が痛くなってきました・・・・
それでも私の感みたいなものが
『これは世に出さないほうが、いいかもな』と封印していた話です。
件の事故物件アパートから300メートル離れた通り添いに何軒か商店などがあり、その裏手にマンションや個人住宅が並ぶ住宅街がある。
そこに不似合いなゴミ屋敷と呼ばれる個人の廃品回収業者が、ひっそりと開業していました。
Mさんは噂話で、ちょっと変わった廃品屋があると聞いて出かけて行くと店を見つけました。
そこは入口周辺に壊れたスクーターや自転車が積まれていて周辺にはゴミ袋が無造作に積まれており確かに、あやしいゴミ屋敷でした。
「訪ねていくのには勇気がいる感じだった」とMさんは第一印象を語りました。
勇気が出た原因は彼の目当てのビンテージ玩具が雨ざらしで外のゴミに混じっていたからです。
それは大きさ50センチほどのロボットアニメ・フィギュア玩具で
現在マニアの間で非常に高値で取引されている物でした。
「あのーすいません」ガラガラとガラス戸を開けてみました。
「うー何だぁ?」
ぶっきらぼうな親父さんが居てMさんは、しどろもどろ
「そとのロボットが欲しいんです・・・」と聞いてみると
「あー?やるから、持っていけ」と言う。
「え?」
「持っていけ、うるせぇな・・・」
「代金は?」
「いらね」
「じゃあ、これ・・・と」Mさんは相場、十分の一くらいの二千円を差し出すと、それを見た、おやっさんは態度が変わりました。
「ちょっと中、入れや」とMさんを中に招き入れました。
建物の中は使用できるかどうか解らないような電化製品やらゴミ袋の山。
だが、よく見るとマンガ本やCD・あやしいDVDなどもある・・・
そして転売欲の塊だったMさんは、ある一角に目が釘付けになった。
そこには電機メーカーの犬の置物や女の子向け玩具の山、怪獣人形が沢山カゴに無造作に入っています。
「おやっさん!これ幾ら?」
『ポピー、ブルマァクだ・・・』
「ん?たけぇど500万だな」
「え?500円ですか?」
うんと無言で頷く。
親父さんはガスコンロで、なにやら鍋を作っていた。
「か、買います・・・これも・・・コレも・・・・」
Mさんは一瞬、夢を見ているのかと思った。
なんだかんだでプレミア玩具、5万や10万を超えるのではないかというほど買っても
「五千円でいいど・・・これ食うか?」おやっさんは鍋を勧めてきました。
「いえ・・・今お腹はいっぱいなんで、あの・・・車、持ってきます」
Mさんは夢が冷めないうちに急いで車を取りに有料駐車場まで走りました。
そこは常連が入り浸る男だけの世界で色々な目的の人が来ていました。
何回も通うようになったMさんは、ほかの常連さんとも次第に打ち解けて
行く時はタバコや焼酎ウイスキーつまみなど必ず持参して行きました。
「気が利くやつだ」と、みんなに好かれていったそうです。
ほかの常連さんを観察していると女性の下着、高そうなアンティークの時計や真空管ラジオ、レコード、大きい絵皿や絵画などが目当てのようでした。
Mさんは、たまたまマンガや玩具専門だったので、ほかの常連さんの趣味を邪魔することもなく打ち解けていきました。
目の前でMkⅡの重いレコードプレイヤーが500円でやり取りされているのも見たそうです。
毎日、午後三時くらいから闇鍋の宴会が始まって夜8時には、おやっさんは寝ていると言っていました。
おやっさんは昭和の頃からリヤカーを引っ張って
「鉄くず買います」と手書きの小さな看板を出して廃品回収をしておりました。
やがて時代が代わり大手の業者に飲まれてしまい
今は燃えるゴミの日と燃えないゴミの日に軽トラックで早朝4時から昼ぐらいまで
捨てられたゴミを漁って拾ってくるようになったといいます。
おやっさんは引越しや解体現場に目をつけて路上に山済みにされている
年代物の家具を何回も行ったり来たりして根こそぎ持ってくることもあり
玩具などは
「おもちゃが、かわいそうだから」と、ついでにゴミ袋ごと持ってきていたのです。
もう古い話なのですが通報されれば警察に捕まるのかもしれません。
「このごろ、うるせくて、まいった」が口癖でした。
そして常連さん達が飲み食いしていた、あの鍋は、どこかのゴミで
捨てられた期限切れウィンナーやハムかまぼこなど臭いを嗅ぎながら一回水で洗って煮込んでいたものだと気がついたそうです。
普通は、その鍋を食べないと店の常連にはなれないそうですが
Mさんは毎回うまく言い訳をして絶対に食べなかったそうです。
ある日ほかの常連さんが店に来ると、おやっさんが血を吐いて倒れており冷たくなっているのを発見して騒ぎになりました。
検死結果は食道・内臓からの出血と嘔吐物が気管に詰まっていたそうです。
噂では、おやっさんは貯金を、たくさん残して亡くなったという話です。
Mさんの聞いた話では件の鬼屋アパートの前にあった大量のゴミを持ってきてから、おやっさんは生前、嘆いていたそうです。
「このごろ夢見悪くて、まいった」
外にゴミとして出されていた女物の服や下着なども根こそぎ持ってきており、そういう趣味の常連さんが買っていったそうです。
まだ使えそうなDVDプレイヤーやラジオなどもあり売れていました。
中には今思えば昔、血のような汚れが付いたガステーブルや家具などもあったと言います。
その後、仲良くなっていた他の常連さんから、次々に常連仲間数人が病気にかかり亡くなったとMさんは聞かされたのだそうです。
話を聞いていた私は肩が痛くなってきました・・・・
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