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第98歩 こっちへおいで
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役所の福祉課でFさんの御両親が、お亡くなりになったことを受けて
Fさん兄妹が全員、施設で、お世話になることが決まり隣町に移住することになった。
新聞配達も辞めて下の幼い妹たちを連れてFさんは施設に入所した。
これから先の心配が、とりあえず無くなって
最初は人見知りしていた妹たちも同じような世代の子供たちに溶け込み
毎日楽しく過ごすようになった。
Fさん自身も施設の先輩や優しい職員さんに囲まれ新しい家族ができて楽しくなってきた。
小学校に引き続き怪異が頻発する中学校に入学したが施設に近い
別の中学校に転校した。
新しい中学校では何かを見ることも妙なことも何も起きなかった。
ある日、施設に居るFさんに従姉妹さんから電話が来た。
聞けば、この間までFさんが通っていた中学校が今まさに
火事の最中で大騒ぎになっており大人たちは
「多分、学校は全焼して無くなるだろうと話している」
と云うことだった。
Fさんは新聞配達で鍛えた足で走って隣町の中学校に向かった。
巨大な木造校舎が端から端まで一斉に燃えている。
警察が出動して交通規制や周辺住民の安全確保に大わらわして
街中の消防署すべての消防車が集結していた。
Fさんは随分離れて見ているのに風向きで時折、熱く感じるほど物凄い炎が渦巻いていた。
Fさんは見たこともない大火災と、ごった返した人々の喧騒に茫然なった。
そして学校は全焼した。
後日、Fさんは学校が終わると一旦、施設に戻り全焼した中学校を隣町まで見に行ってみた。
焼け跡を見ていると今まで自分の身に起こったすべての悲しく
嫌だった思い出も
『目玉がギョロギョロ動いたカレンダー』も過去になったと感じた。
Fさんは転校前に全焼した中学校で理科室の床にある工事点検用の蓋をあけて床下を覗くと
シャレコウベが床下に転がっているのを発見し先生に報告すると
次の日、理科室の床にある蓋に錠前がかけられていた事を思い出したりしていた。
墓地の跡にでも建設された中学校だったのか、とにかく先生は臭いものに蓋をするように点検口に鍵をかけただけで見て見ぬふりだった。
なんとなく焼け跡を見ていると昔から知っている先輩に声を掛けられた。
先輩は焼けた中学校の剣道部員で
「実は学校が焼けた原因を知っている」という。
それはFさんの想像を超えている話だった。
先輩は剣道部の仲間五人と体育館で練習していた。
体育館にはバレー部員もいたが四時ごろ少し薄暗くなってくると
全員帰宅した。
Fさんの先輩は熱心に剣道に打ち込んでいたが、そこで怪異が起こった。
「おい、みんな見ろ!」
残っていた剣道部員が見てみると体育館奥の空間に
赤く光る丸い玉が浮かんでいる大きさはバレーボールほどだ。
「鬼火だ!」誰かが叫んだ。
体育館に鬼火が発生して体育館の壁沿いをぐるぐる走り出した。
―グオォー
体育館の壁沿いに鬼火が走り出し
壁を焦がして鬼火が通り過ぎた跡が黒く壁に残った。
――バチバチ、グォーーと壁ぞいに走る。
剣道部の五人は大騒ぎして竹刀片手に鬼火を追い掛け回した。
「まてーっ」
だが鬼火の走る速さに追いつけず立ち止まると鬼火も動きが止まり、みんなが追いかけると
『鬼火』も走り出し追いかけるのをやめると
『鬼火』も動きを止めるので
『やーい、こっちこっち』と言われているように感じて
五人で必死に追いかけた。
体育館の中は壁が焼け焦げ、きな臭くなってきた。
「ちくしょう!」また、部員たちで追いかけると
『鬼火』は体育館から出て渡り廊下をスイスイ浮かびながら走っていく。
走り疲れて休むと
やっぱり『鬼火』も空中で止まり。
『こっちへおいで』みんなが追いかけてくるのを待っている。
「やろう!」とばかりに
みんなで追いかけると理科室に入っていくのが見えた。
さらに追いかけようとしたとき
――ドカンッという爆発音と共に
理科室の窓ガラスが割れて吹き飛び、炎が扉や窓から吹き出して来て今度はみんなで職員室に走って行き消防に通報した。
それが今回の火事の原因だと先輩は何度も
「嘘じゃないっ!」と言って聞かせてくれた。
Fさん兄妹が全員、施設で、お世話になることが決まり隣町に移住することになった。
新聞配達も辞めて下の幼い妹たちを連れてFさんは施設に入所した。
これから先の心配が、とりあえず無くなって
最初は人見知りしていた妹たちも同じような世代の子供たちに溶け込み
毎日楽しく過ごすようになった。
Fさん自身も施設の先輩や優しい職員さんに囲まれ新しい家族ができて楽しくなってきた。
小学校に引き続き怪異が頻発する中学校に入学したが施設に近い
別の中学校に転校した。
新しい中学校では何かを見ることも妙なことも何も起きなかった。
ある日、施設に居るFさんに従姉妹さんから電話が来た。
聞けば、この間までFさんが通っていた中学校が今まさに
火事の最中で大騒ぎになっており大人たちは
「多分、学校は全焼して無くなるだろうと話している」
と云うことだった。
Fさんは新聞配達で鍛えた足で走って隣町の中学校に向かった。
巨大な木造校舎が端から端まで一斉に燃えている。
警察が出動して交通規制や周辺住民の安全確保に大わらわして
街中の消防署すべての消防車が集結していた。
Fさんは随分離れて見ているのに風向きで時折、熱く感じるほど物凄い炎が渦巻いていた。
Fさんは見たこともない大火災と、ごった返した人々の喧騒に茫然なった。
そして学校は全焼した。
後日、Fさんは学校が終わると一旦、施設に戻り全焼した中学校を隣町まで見に行ってみた。
焼け跡を見ていると今まで自分の身に起こったすべての悲しく
嫌だった思い出も
『目玉がギョロギョロ動いたカレンダー』も過去になったと感じた。
Fさんは転校前に全焼した中学校で理科室の床にある工事点検用の蓋をあけて床下を覗くと
シャレコウベが床下に転がっているのを発見し先生に報告すると
次の日、理科室の床にある蓋に錠前がかけられていた事を思い出したりしていた。
墓地の跡にでも建設された中学校だったのか、とにかく先生は臭いものに蓋をするように点検口に鍵をかけただけで見て見ぬふりだった。
なんとなく焼け跡を見ていると昔から知っている先輩に声を掛けられた。
先輩は焼けた中学校の剣道部員で
「実は学校が焼けた原因を知っている」という。
それはFさんの想像を超えている話だった。
先輩は剣道部の仲間五人と体育館で練習していた。
体育館にはバレー部員もいたが四時ごろ少し薄暗くなってくると
全員帰宅した。
Fさんの先輩は熱心に剣道に打ち込んでいたが、そこで怪異が起こった。
「おい、みんな見ろ!」
残っていた剣道部員が見てみると体育館奥の空間に
赤く光る丸い玉が浮かんでいる大きさはバレーボールほどだ。
「鬼火だ!」誰かが叫んだ。
体育館に鬼火が発生して体育館の壁沿いをぐるぐる走り出した。
―グオォー
体育館の壁沿いに鬼火が走り出し
壁を焦がして鬼火が通り過ぎた跡が黒く壁に残った。
――バチバチ、グォーーと壁ぞいに走る。
剣道部の五人は大騒ぎして竹刀片手に鬼火を追い掛け回した。
「まてーっ」
だが鬼火の走る速さに追いつけず立ち止まると鬼火も動きが止まり、みんなが追いかけると
『鬼火』も走り出し追いかけるのをやめると
『鬼火』も動きを止めるので
『やーい、こっちこっち』と言われているように感じて
五人で必死に追いかけた。
体育館の中は壁が焼け焦げ、きな臭くなってきた。
「ちくしょう!」また、部員たちで追いかけると
『鬼火』は体育館から出て渡り廊下をスイスイ浮かびながら走っていく。
走り疲れて休むと
やっぱり『鬼火』も空中で止まり。
『こっちへおいで』みんなが追いかけてくるのを待っている。
「やろう!」とばかりに
みんなで追いかけると理科室に入っていくのが見えた。
さらに追いかけようとしたとき
――ドカンッという爆発音と共に
理科室の窓ガラスが割れて吹き飛び、炎が扉や窓から吹き出して来て今度はみんなで職員室に走って行き消防に通報した。
それが今回の火事の原因だと先輩は何度も
「嘘じゃないっ!」と言って聞かせてくれた。
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