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第3歩 蛇

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Eさんが小さかった頃。
居間でTVを見ていると床下で物音がする。
―コツン、ガツン、ガンガン・・・
『なんだろう』そう思ったEさんは、玄関を開け外に出た。

家の周りを見ながら裏庭に行くと軒下を祖父が棒で突っついていた。
「なにしてんの?」聞いてみたが
祖父は
「邪魔だ」と追い払おうとする。

それでも 少し離れて見ていると祖父の持つ棒に、うねうね動く蛇が絡まって出てきた。
生まれて初めて実物の蛇を目撃したEさんは、最初、祖父が何と戦っているのかわからなかった。
『うわ、スゴイ動いてる・・・・・』
のたうつ蛇を、びっくりして見ていると祖父は蛇を叩き殺した。

 その数日後、元気だった祖父が競馬場で急に倒れて救急搬送され
あっさり鬼籍に入ってしまった、脳内出血だった。

「祖父が亡くなったのは偶然だと思いますが、あれは忘れられない、それにしても今みたいにペットとして飼われていたとも考えづらいし、あの蛇はどこから来たのか、いつから居たのか不思議です」

それは山や畑の多い場所ではなく市街地に建つ家での出来事だった。
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