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第15話 ドーベルマン
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この日の午前、警察に通報があった。
あるアパート玄関のドアが開けっ放しなのを不審に思った大家が
部屋で死んでいる親子を発見、管轄は函館市北警察署だった。
坂本は、バイクの運転技術、これまでの勤務状態を署長に気に入られ
函館南警察署にスカウトされて半年前、神奈川県警から移動してきた。
南署では、白バイ隊の機動隊訓練を実施していたが、当時の隊長が家庭の事情で惜しまれつつ依願退職し、後釜を探していたところ
神奈川県警・白バイ隊の隊員が県警本部長に組織のあり方などに対して
手紙で上層部にクレームを付け、事態が思うようにならず、
警視庁に乗り込もうとして仲間に捕まり、ちょっとした、いざこざが発生した。
その噂を、きたいち興信所の情報網で察知した探偵所員が、南署の署長・一凜に報告して、スカウトが決まった。
おそらく、スカウトがなければ坂本梨乃は警察を辞めざるを得なかったと思われる。
坂本は正義感が強く警察官に向いてはいたが、担当部署ともめて問題化してしまう『トラブルメーカー』で公務員としては不向きな性格であった。
当時、勤務態度は優秀にも関わらず同じ署内でも
彼女の理解者は少なく、仲間からも
「じゃじゃ馬」と揶揄され嫌気が差してきていたところだった。
そして、その性格は組織の中でも北海道という目立たない地域にも関わらず
『愚連隊』と全国にあだ名されていた南署に持って来いだった。
いざ坂本が赴任してみると、南署の警察官たちは喜んで残業をして犯罪者検挙のために知恵を絞り合い、
住民たちの治安のため服務規程違反すれすれであろうと、時に厳しく時に寛大に、点数や成績など気にしない生き様を見せられ、
噂と実情の違いに南署の署員たちは公務員というより、正義の味方という感想を持っていた。
三か月前、函館市の街に慣れようと非番の坂本は愛車のスズキ刀250に、またがって市内を流していた。
夕方、地元で産業道路と通称のついた道沿いで、トボトボと下を向き歩いている小さな女の子が気になって声をかけたところ
様子が変だった。
家に帰りたくないのだという。
女の子は小田ミサキと名乗り、
坂本は
「私は婦人警官だ」と説明して近所のコンビニ駐車場で事情を聴くと
「いえに、こわい、しらいないおじさんがくるから」と言う。
家には母親と暮らしていて、お父さんは遠いところにいると聞かされているようだった。
坂本は、かつて神奈川県警時代に育児放棄の家庭を見つけ、そこで犯罪が起きてしまい、何も力になれないまま子供が犠牲になった事件を思い出していた。
その日、ミサキちゃんを保護してアパートに向かうと母親が出迎えたが見たところ顔色が悪く薬物中毒者のようにも見えたので、
南署の生活安全課の同僚に相談し、署長からも管轄の北警察署に調べてもらうようお願いしていたのだった。
そして、日々任務をこなし、あっという間に時が経ち、また事件が発生し、自分が無力なまま犠牲者が出てしまった。
また昔と同じことが繰り返された事に怒りがこみ上げ
判断力を失い同僚を罵り、坂本は、すべて自分の責任として背負い込んでしまった。
署長室に怒鳴り込んだのは、やり場のない怒りに任せて説明を求める形ではあったが、彼女の心に大きな傷があったのも原因だった。
夕日を背にしながら下を見て、うな垂れ歩く、あのミサキちゃんは、
幼かった頃の自分に似ていたからだ・・・
署長が言う。
「なぁ坂本、実は北署の連中も、ちゃんと調べ、当日も刑事4人がかりで警戒中だったんだ、建物の前と後ろ固めてな。
あの親子の父親というのがテロ幇助の罪で服役中だったんだが、現金と爆薬がアジトから消えてなくなっていて
隠し場所を吐かないと妻子の命はないと謁見に来ていた組織の弁護士に脅されていたんだ。
で、親子が死体で発見された時間の4時間前、刑務所内の檻のなかで、父親は何者かに頭を拳銃のようなもので撃ち抜かれて死体で発見されたんだ。
妻子のアパートは警戒態勢で監視されていたんだが、監視・警戒していた刑事4人は車の中で神経ガスか何かでやられて今も病院で治療処置中だ・・・・・・
今、北署は騒ぎになっていて、刑務所でも密室状態で発生した殺人事件に大騒ぎになっている、刑務所の監視カメラにはノイズが録画されていて、拳銃の弾も見つからないし、犯行の状況は何もわからないのだそうだ、
アパートの現場でも見た目は射殺体なんだが物証は何も出なかったそうだ。
でその受刑者・小田タカシを半年前に逮捕してぶち込んだのは、我々南警察なんだ」
坂本
「それじゃあ・・・」
署長
「うーん、お前の予感は当たっていたんだ、だから他の署の連中も動いていたし、当然、お前も自分を責めることはない、問題は、そんな犯行が可能な人間は、どんな奴なのかって事だ。
いま、うちの興信所の人間も動いていて、明日、南署に対しても本部から正式に協力要請がされる、
実は問題の現金というのは、どうも偽札で爆薬も厄介な代物なんだ、
調べたのは署の守護神ナムサンだから間違いない、
おそらく精製されたウランとプルトニウムだ」
だまって聞いていた健一は驚いた。
「それって、かなり大掛かりな事になってないですか?」
署長
「うーん、で今日の殺人事件を発端に、国家公安の担当も動くことになった。で、そっちからも内密で南署に対し協力要請があって防衛省も何か動き出すらしい」
森刑事
「署長、その爆薬が核だって、どうやって確認したんですか?」
署長
「それわあー、ほらナムサンにタイムマシンで遡って調べてもらったから、なにも行動に移さず、モニター解析や監視だけなら、すぐ許可出るから」
森刑事
「なるほど、じゃ間違いないんだ・・じゃ犯人も目星付いてるんですね」
署長
「そこでだ、ちょっと大掛かりな作戦になりそうなんだ、相手はマフィアと拉致が得意な仲間の国、黒幕、ひょっとすると月の住人や魔物なんかも相手することになりそうだぞ、みんな」
健一
「あ、それで最近ナムサンここに来ないんですね、おかしいなと思ってたんですよ、ナーさんが秘密の任務があるなんて言ってたから」
坂本
「あのー、ちょっと待ってください、赴任したとき
研修で『ムービー』は見ましたけど、ただの警察署じゃないのは理解してました。
最後の方に出てきた
【ナムサン】ってキャンペーンキャラか何かのCGだと思ってましたけど、まさか実在してないですよね・・あれ」
署長
「んにゃあ、実在するさぁ本物だぁー、だいじょぶだぁー、健一おかわり」
ドドンとテーブルを叩く。
「あはは」と、みんな笑いだした。
そう、坂本は、まだナムサンとは会ったことが無かった。
坂本
「いやいや、こんな物騒な状態で犠牲者もでて、犯人は、まだどこかに潜伏中なんですよ、なんでみんな笑ってるんですか?」
健一
「坂本さん、署長には作戦があるんですよ、いつも。こんな時、本当に頼りになりますよ署長とナムサンの三人は」
署長
「坂本、そこで君に頼みがあるんだ、今うちの署にはバイク12台あるな、あれ攻撃用に特殊改造するから、で新たにドーベルマン隊として作戦に参加してもらいたい、10人の隊員を二班に分けて、アジトに突撃の際、ドーベルマンに先頭切ってもらい、攻撃開始したい」
坂本
「はぁ、攻撃ですか・・・・」
署長
「ん、副署長には言ってあるから、それにタイムマシンで過去に戻り、あの親子も救えたら最高だ、ブルドックとドーベルマンでシュミレーションよろしく頼むよ、よっ隊長っ!」
坂本
「あの、マスター私にも日本酒ください。
あの、署長、タイムマシンとか、なんだか全然わかりませんけど、なんかやる気が出てきました」
坂本は日本酒をぐいぐい飲むと、おかわりをした。
「もうイッパイお願いします」
署長
「あ、そうか、わりと単純だな、お前、それでこそドーベルマン隊長だ、たよりにしてまっせえー」
だんだんと場は盛り上がってきてはいたが、健一とミキは話から
何かとんでもない戦闘になるのではないかと少し不安な気持ちが胸をよぎっていた。
件のバイク、ドーベルマンは、フルシールド、転倒したり衝突しても
シールドによってレーサーは微塵も傷つくことはない。
正面に30000発・連射可能のガトリング銃、
両サイドにはロケット砲、後部にもロケット砲、
タンク燃料を応用した火炎放射器が装備されており、
自動走行機能が有るばかりではなく、運転メーター下部に変形ボタンがあり、
アガルタテクノロジーAI搭載、ボタン一つで本当にドーベルマン犬型にバイク本体が変形し四足歩行で独自に逃避、攻撃が可能、
命令は各レーサーのヘッドギア・マイク音声によりいつでも指示が可能な
とんでもないバイク型・変形ロボットだった。
あるアパート玄関のドアが開けっ放しなのを不審に思った大家が
部屋で死んでいる親子を発見、管轄は函館市北警察署だった。
坂本は、バイクの運転技術、これまでの勤務状態を署長に気に入られ
函館南警察署にスカウトされて半年前、神奈川県警から移動してきた。
南署では、白バイ隊の機動隊訓練を実施していたが、当時の隊長が家庭の事情で惜しまれつつ依願退職し、後釜を探していたところ
神奈川県警・白バイ隊の隊員が県警本部長に組織のあり方などに対して
手紙で上層部にクレームを付け、事態が思うようにならず、
警視庁に乗り込もうとして仲間に捕まり、ちょっとした、いざこざが発生した。
その噂を、きたいち興信所の情報網で察知した探偵所員が、南署の署長・一凜に報告して、スカウトが決まった。
おそらく、スカウトがなければ坂本梨乃は警察を辞めざるを得なかったと思われる。
坂本は正義感が強く警察官に向いてはいたが、担当部署ともめて問題化してしまう『トラブルメーカー』で公務員としては不向きな性格であった。
当時、勤務態度は優秀にも関わらず同じ署内でも
彼女の理解者は少なく、仲間からも
「じゃじゃ馬」と揶揄され嫌気が差してきていたところだった。
そして、その性格は組織の中でも北海道という目立たない地域にも関わらず
『愚連隊』と全国にあだ名されていた南署に持って来いだった。
いざ坂本が赴任してみると、南署の警察官たちは喜んで残業をして犯罪者検挙のために知恵を絞り合い、
住民たちの治安のため服務規程違反すれすれであろうと、時に厳しく時に寛大に、点数や成績など気にしない生き様を見せられ、
噂と実情の違いに南署の署員たちは公務員というより、正義の味方という感想を持っていた。
三か月前、函館市の街に慣れようと非番の坂本は愛車のスズキ刀250に、またがって市内を流していた。
夕方、地元で産業道路と通称のついた道沿いで、トボトボと下を向き歩いている小さな女の子が気になって声をかけたところ
様子が変だった。
家に帰りたくないのだという。
女の子は小田ミサキと名乗り、
坂本は
「私は婦人警官だ」と説明して近所のコンビニ駐車場で事情を聴くと
「いえに、こわい、しらいないおじさんがくるから」と言う。
家には母親と暮らしていて、お父さんは遠いところにいると聞かされているようだった。
坂本は、かつて神奈川県警時代に育児放棄の家庭を見つけ、そこで犯罪が起きてしまい、何も力になれないまま子供が犠牲になった事件を思い出していた。
その日、ミサキちゃんを保護してアパートに向かうと母親が出迎えたが見たところ顔色が悪く薬物中毒者のようにも見えたので、
南署の生活安全課の同僚に相談し、署長からも管轄の北警察署に調べてもらうようお願いしていたのだった。
そして、日々任務をこなし、あっという間に時が経ち、また事件が発生し、自分が無力なまま犠牲者が出てしまった。
また昔と同じことが繰り返された事に怒りがこみ上げ
判断力を失い同僚を罵り、坂本は、すべて自分の責任として背負い込んでしまった。
署長室に怒鳴り込んだのは、やり場のない怒りに任せて説明を求める形ではあったが、彼女の心に大きな傷があったのも原因だった。
夕日を背にしながら下を見て、うな垂れ歩く、あのミサキちゃんは、
幼かった頃の自分に似ていたからだ・・・
署長が言う。
「なぁ坂本、実は北署の連中も、ちゃんと調べ、当日も刑事4人がかりで警戒中だったんだ、建物の前と後ろ固めてな。
あの親子の父親というのがテロ幇助の罪で服役中だったんだが、現金と爆薬がアジトから消えてなくなっていて
隠し場所を吐かないと妻子の命はないと謁見に来ていた組織の弁護士に脅されていたんだ。
で、親子が死体で発見された時間の4時間前、刑務所内の檻のなかで、父親は何者かに頭を拳銃のようなもので撃ち抜かれて死体で発見されたんだ。
妻子のアパートは警戒態勢で監視されていたんだが、監視・警戒していた刑事4人は車の中で神経ガスか何かでやられて今も病院で治療処置中だ・・・・・・
今、北署は騒ぎになっていて、刑務所でも密室状態で発生した殺人事件に大騒ぎになっている、刑務所の監視カメラにはノイズが録画されていて、拳銃の弾も見つからないし、犯行の状況は何もわからないのだそうだ、
アパートの現場でも見た目は射殺体なんだが物証は何も出なかったそうだ。
でその受刑者・小田タカシを半年前に逮捕してぶち込んだのは、我々南警察なんだ」
坂本
「それじゃあ・・・」
署長
「うーん、お前の予感は当たっていたんだ、だから他の署の連中も動いていたし、当然、お前も自分を責めることはない、問題は、そんな犯行が可能な人間は、どんな奴なのかって事だ。
いま、うちの興信所の人間も動いていて、明日、南署に対しても本部から正式に協力要請がされる、
実は問題の現金というのは、どうも偽札で爆薬も厄介な代物なんだ、
調べたのは署の守護神ナムサンだから間違いない、
おそらく精製されたウランとプルトニウムだ」
だまって聞いていた健一は驚いた。
「それって、かなり大掛かりな事になってないですか?」
署長
「うーん、で今日の殺人事件を発端に、国家公安の担当も動くことになった。で、そっちからも内密で南署に対し協力要請があって防衛省も何か動き出すらしい」
森刑事
「署長、その爆薬が核だって、どうやって確認したんですか?」
署長
「それわあー、ほらナムサンにタイムマシンで遡って調べてもらったから、なにも行動に移さず、モニター解析や監視だけなら、すぐ許可出るから」
森刑事
「なるほど、じゃ間違いないんだ・・じゃ犯人も目星付いてるんですね」
署長
「そこでだ、ちょっと大掛かりな作戦になりそうなんだ、相手はマフィアと拉致が得意な仲間の国、黒幕、ひょっとすると月の住人や魔物なんかも相手することになりそうだぞ、みんな」
健一
「あ、それで最近ナムサンここに来ないんですね、おかしいなと思ってたんですよ、ナーさんが秘密の任務があるなんて言ってたから」
坂本
「あのー、ちょっと待ってください、赴任したとき
研修で『ムービー』は見ましたけど、ただの警察署じゃないのは理解してました。
最後の方に出てきた
【ナムサン】ってキャンペーンキャラか何かのCGだと思ってましたけど、まさか実在してないですよね・・あれ」
署長
「んにゃあ、実在するさぁ本物だぁー、だいじょぶだぁー、健一おかわり」
ドドンとテーブルを叩く。
「あはは」と、みんな笑いだした。
そう、坂本は、まだナムサンとは会ったことが無かった。
坂本
「いやいや、こんな物騒な状態で犠牲者もでて、犯人は、まだどこかに潜伏中なんですよ、なんでみんな笑ってるんですか?」
健一
「坂本さん、署長には作戦があるんですよ、いつも。こんな時、本当に頼りになりますよ署長とナムサンの三人は」
署長
「坂本、そこで君に頼みがあるんだ、今うちの署にはバイク12台あるな、あれ攻撃用に特殊改造するから、で新たにドーベルマン隊として作戦に参加してもらいたい、10人の隊員を二班に分けて、アジトに突撃の際、ドーベルマンに先頭切ってもらい、攻撃開始したい」
坂本
「はぁ、攻撃ですか・・・・」
署長
「ん、副署長には言ってあるから、それにタイムマシンで過去に戻り、あの親子も救えたら最高だ、ブルドックとドーベルマンでシュミレーションよろしく頼むよ、よっ隊長っ!」
坂本
「あの、マスター私にも日本酒ください。
あの、署長、タイムマシンとか、なんだか全然わかりませんけど、なんかやる気が出てきました」
坂本は日本酒をぐいぐい飲むと、おかわりをした。
「もうイッパイお願いします」
署長
「あ、そうか、わりと単純だな、お前、それでこそドーベルマン隊長だ、たよりにしてまっせえー」
だんだんと場は盛り上がってきてはいたが、健一とミキは話から
何かとんでもない戦闘になるのではないかと少し不安な気持ちが胸をよぎっていた。
件のバイク、ドーベルマンは、フルシールド、転倒したり衝突しても
シールドによってレーサーは微塵も傷つくことはない。
正面に30000発・連射可能のガトリング銃、
両サイドにはロケット砲、後部にもロケット砲、
タンク燃料を応用した火炎放射器が装備されており、
自動走行機能が有るばかりではなく、運転メーター下部に変形ボタンがあり、
アガルタテクノロジーAI搭載、ボタン一つで本当にドーベルマン犬型にバイク本体が変形し四足歩行で独自に逃避、攻撃が可能、
命令は各レーサーのヘッドギア・マイク音声によりいつでも指示が可能な
とんでもないバイク型・変形ロボットだった。
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