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1.Ω嫌いのαと、Ωになってしまいそうなβ編
1-7:Ω嫌いのαと、Ωになってしまいそうなβ編7【R-18】
しおりを挟む下半身に異物感を感じて目を覚ますと、途端に体を甘い刺激が貫く。
初めての感覚じゃないから、なにをされているかはすぐに分かった。
――でもその感覚が、今は信じられないくらい鋭敏になっている。
「あ、っやぁ♡ 籠理さん、やめてよぉ♡♡ だめだってばぁ……♡♡」
籠理さんの部屋に連れ込まれた俺は服を剥かれ、ベッドでうつ伏せにされていた。
腰だけは高く上げられ、後孔に籠理さんの指を咥えさせられている。
(でも、なんか変だ♡ いつもは、こんなに感じない♡)
受け取りづらかったはずの快感に体が震え、俺は啼き続けることしか出来ない。
指が出入りするたびに水音が聞こえ、腰が何度も跳ね上がる。
「いつも以上に可愛いですね、狭間くん。ね、もっと気持ちよくなってください」
籠理さんは痴態を後ろから眺めながら、何度も俺の肩や背中を甘噛みしている。
その度に俺の体は熱を持ち、後孔が指を締め付けてしまう。
「やだっ♡ 俺と今したら、番になっちゃうからダメ♡ ……あ゛ぁんっ♡♡」
「どうして? 狭間くん、私のこと嫌いじゃないでしょう?」
躾けるように中を抉られ、俺はまだ挿入もされていないのに絶頂した。
だが籠理さんは指を抜いてくれず、更に本数が増やされる。
「嫌い、じゃない♡ でも番はダメ、俺が籠理さんの隣にいちゃ、だめっ♡♡」
「どうして私じゃだめなんですか、絶対幸せにするのに」
籠理さんは焦れたように俺に圧し掛かり、同時にずるりと指を引き抜く。
そして指を失ってひくつく後孔に、すぐに熱いものが押し当てられた。
「俺、籠理さんとは番にならない♡ あ、やだっ♡ 今は挿れないで♡♡」
「そんなに蕩けた声で、良く言いますね。まぁ混乱してるし仕方ないか」
籠理さんは俺の腰を掴むと、そのまま陰茎をねじ込んでいく。
それは俺の制止も聞かずに、強引に奥まで押し入ってきた。
「や、あっ♡ だめだめだめっ♡♡ 籠理さっ、んあっ、あ゛ぁ――――♡♡」
「少しづつ、私のものになってください。ね、なるって言って」
容赦なく最奥まで貫かれて、俺は仰け反ったまま嬌声を上げる。
けれど籠理さんは俺の腰を掴み、容赦なく抽挿を開始した。
……そして何度も奥を突かれるうちに、俺も次第に理性を失っていく。
「やだっ、気持ちいいのいらない♡ 籠理さんっ♡♡ あ゛んっ♡ あ゛んっ♡」
「ダメですよ。番になったんですから、これからは毎日愛し合いましょうね」
必死に首を振って否定するが、籠理さんは俺の願いを聞き入れてはくれない。
内壁を抉るように突き込まれると、あっけなく体は達してしまう。
同時に中を強く締め付けてしまい、中の陰茎も脈打って精を放ったのが分かった。
「あ゛ぁ――――♡♡ ダメっ♡ 抜いてっ、抜いてってば♡ や゛ぁっ♡♡」
「私の狭間くん。好きです、ずっと、番になりたかった……」
籠理さんは俺のうなじに何度も唇を寄せ、証を重ねるように噛み痕を刻む。
そして後孔から陰茎が引き抜かれると、今度は体を仰向けに転がされた。
「あ゛、っ♡ やだっ、もう終わりにしてよ♡♡ これ以上はしない♡♡」
「そんなこと言わないで。私、悲しくなってしまいますから」
そういうと籠理さんは悲しげに眉を下げ、ねだるように頬を撫でてくる。
すると俺はその表情に絆されて、文句を言っていた口も閉ざしてしまった。
(俺だって本当は籠理さんのこと好きだし、恋人になりたい。でも)
Ωの体質を盾にして関係を続けたところで、破綻するのは目に見えている。
だって彼はΩ嫌いだ。どんなに体が狂わされても、心は簡単に変わらない。
(…………でも今だけは、許されるかな。この熱が収まるまでは)
弱い心は好きな人の懇願に屈し、また言い訳を重ねては抵抗力を奪っていく。
籠理さんは暴れなくなった俺の右足を担ぎ上げて、後孔に陰茎を押し当てた。
そして再び奥まで貫かれ、また絶頂へと押し上げられていく。
「や゛っ♡ あ、あ゛ぁ――♡♡ も、イ゛った♡ イ゛ったからぁ♡♡」
「たくさん気持ち良くなりましょうね、狭間くん。今まで我慢してた分も」
何度も奥を穿たれながら、諦めた俺は善がり続けることしかできない。
時折指が胸の先端を掠めて、何度も無遠慮に体を揺さぶられる。
「あ゛ぁ♡♡ あっ♡ ん、っう♡♡ あ゛んっ♡ あ゛っ♡♡ 籠理さんっ♡♡」
「っふ、本当に可愛い。やっぱり私、貴方を選んで良かった」
籠理さんは俺の体を貪りながらも、時折愛おしそうに俺を見つめている。
その目を見てしまうと、結局俺は何も言えなくなってしまった。
気絶するまで何度も行為を重ね、目を覚ますと籠理さんの腕枕に収まっていた。
体は綺麗に拭かれていて、後孔も違和感は残るが痛みは引いている。
……けれど重要なのは体ではなく、俺たちの関係をどう片付けるかだ。
「やっと、終わった。早く病院に行かないと」
そういうと俺はそっとベッドから抜け出し、ざらつくうなじに手を当てた。
行為中に何度も噛まれたそこは、多分歯形だらけになっている。
(けれど完全なΩなら痛みがないはずだから、まだ希望はあるかもしれない)
有名なΩの特徴で、αから受ける刺激は全て甘い快楽になるというものがある。
しかし俺の首筋は痛みも訴えてるから、まだβの気質が残っているかもしれない。
「……どちらにせよ今後どうするか、ちゃんと考えないといけないな」
籠理さんとの同居を決めた時点で、俺は元の住処を引き払っていた。
両親が住んでいる実家は遠いし、なにより心配を掛けたくない。
けれど今の状態のまま、Ω嫌いの彼と一緒にいようとも思わなかった。
「楽しかったなぁ、今まで」
目尻にじわりと涙が滲むけど、俺は胸の痛みを振り払うように頭を振る。
静かに開いた扉を遮るものはなく、隙間からは穏やかな日差しが差し込んでいた。
「さよなら、籠理さん。今までありがとう」
彼が目を覚ます前に、俺はどうにかして姿を消さなければならない。
籠理さんのことは好きだけど、ずっと一緒にいることができないのは分かってた。
(いつか来る別れの日が、前倒しになっただけ)
そう考えれば、この別れもそこまで辛いことじゃないはずだ。
――だって発端はβがαを好きになったことで、それ自体が間違いだったんだから。
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