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第五話 戯作者の生きる道
七
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黒い絹の羽織に、無地の納戸といういでたちの男は、正面から蔵之介を見つめた。
不思議な瞳の輝きだ。見ていると吸い込まれそうで、うまく相手の考えを読み取ることができない。
思い切って会いに来てみたが、もう少し考えてからにするべきだったか。
「なるほど、わかりました」
男の声はやわらかかった。すっと心に忍んでくるような響きがある。
「さんざん考えた末に、私の所に来たと」
「ああ、ほかに思いつかなくてな」
蔵之介は自分の顔が強ばるのを感じた。声にも変な力が入っている。
「思いのほか、『たいそう』の件は大事になっている。旗本の意趣返しだけでなく、その裏で妙な連中が動いているのが明らかになった。それがかつて細野家にかかわっていた連中なのだから、厄介だ」
「……」
「この先のことを考えれば、事の次第をよく知っている者から話を聞いておきたい。大岡様はそれにふさわしいが、若年寄であるから敷居が高い。顔をあわせることができたとしても時がかかって、肝心な時には間に合わん」
「それで、私のところに来たと」
「そうだ」
「よい見立てです。さすがは辻様ですね」
桐文堂の主、山崎屋宗左衛門は静かに語った。
実は、顔をあわせるのははじめてのことだ。
四十才は超えていると聞いていていたが、それよりは若く見える。髷も鬢もきれいに整っており、髭の跡もない。
顔立ちは平凡で、日本橋の大通りに出れば、人混みに紛れてわからなくなりそうだ。瞳の輝きにも意志の強さは感じさせない。
人当たりのよい商人という風情で、書肆の主にしては個性が弱い。不思議な印象の人物だ。
そんな彼であるが、おそらく、今回の事件で重要な鍵を握ると思われる。だからこそ、しずを『たいそう』に送り届けると、蔵之介はその足で桐文堂に向かったのである。
到着した時には夜になっていたが、甚五郎が出迎えに出てきた。主に会いたい旨を告げると、少しためらったが、繰り返し蔵之介が求めると、取り次いでくれた。
会えるかどうかはきわどいと見ていたが、宗左衛門は何ら注文をつけることなく、奥座敷で蔵之介と対面した。
「先だって、我らは刺客に襲われた」
蔵之介は、前置きもなく切り出した。
「正体はおおよそ見当がついている」
「どなたか?」
「違う。隠密だ。前にも私を襲った京の者であろう」
蔵之介は宗左衛門を見る。
「動きが細野家の奉公人と同じだった。腕もよく、本気で我らを殺すつもりだった。助かったのは運がよかったからだ」
宗左衛門は何も言わず、目線でつづきを求める。
「ただ、なぜ、京の隠密がからんでくるのか。そのあたりはよくわからぬ。山村家に京との結びつきはない。玄庵殿を守っている時、そのあたりはしっかり調べている。第一、あの者たちは、山村家の家臣を殺している」
「どういうことで」
「昨日の夜にも襲われている」
山村家の家臣を倒した後で、襲いかかってきたのが彼らだった。戦いの最中、同じ動きであることがわかった。
「山村家と連中に関係はない。にもかかわらず、我らを襲ってきた。それは奴ら自身に、私やしず殿をねらう理由があるということだ。何かが裏で動いている」
蔵之介がにらんでも、宗左衛門は表情を変えなかった。顔が無個性なだけに、何を考えているのか読みにくい。
「だから、この店に来た」
「……」
「おぬしは、京の件について詳しい。先だっての書状には、詳しく内情が記してあった。また、若年寄の大岡様とも色々と話をしている様子。そこには、京の隠密のことも含まれているのではないか」
宗左衛門は沈黙しているが、蔵之介は先をつづけた。
「何か知っていることがあったら、聞かせてほしい」
京の連中が動いていると察した時、蔵之介は宗左衛門に会って話をすると決めた。彼がなぜ京の事情について詳しいのか知らないが、何か情報源を持ち、江戸で彼らがどのように動いているのか知っていることは間違いない。
いつ敵が襲ってくるのかわからぬ以上、下手に時をかけるわけにはいかない。ならば、無理をしてでも彼に話を聞くよりなかった。
確信のないまま踏みこんだが、あながち外れではない。蔵之介はそう思っていた。
宗左衛門はなおさら無言だった。それは驚くほど、長い時間がつづいた。
途中、灯りの油が切れかけ、補充する間も宗左衛門は何も言わなかった。
近くで虫の声がする。盛夏だというのに、いささか早い。
その声がいきなり途切れたところで、桐文堂の主は口を開いた。
「おっしゃるとおり、辻様をねらったのは京の隠密です。正しくは、その残党と言うべきでしょうか」
なんの前触れもなく、いきなりの本題だ。
「細野様があのようなことになり、江戸にいた京の隠密はちりぢりになりました。大半は京に戻ったのですが、何人かが江戸に残り、探索をつづけております。もっとも下知はないので、勝手にやっているだけなのですが」
「……」
「そのうちの誰かが、辻様が『たいそう』に入り込んだことを知りました。また、自分たちのことが知られたのではないかと気にしたのでしょう。細野家と同じことが起きる前に始末してしまえと思い、仕掛けたようです」
「よくわからぬ。『たいそう』に入って、何がまずいのか。結びつきはなかろう」
「それがあるのです。知られては困ることが」
宗左衛門は蔵之介が見る。目がすっと細まる。
そこで蔵之介の脳裏に閃きが走った。
「もしや……」
「さすがに察しがよいのですな。そう、『たいそう』は、隠密の根城です」
「なんと」
「先に申しておきますが、しず殿や店の者は知りません。連中が勝手に出入りして、話し合いの場に使っていた。そういうことです」
『たいそう』は店の者の口が堅く、客も最後まで面倒を見てくれる。万が一、正体が知られそうになっても、『たいそう』に逃げ込めば、しばらく時間を稼ぐことができる。たとえ武家が相手でも、彼らが大きな犯罪さえ犯していなければ、匿ってくれる。そのように見て、内密の打ち合わせに使っていたようだ。
「洲崎で海からの人が入りやすかったのもよかったですな。とにかく連中は何かあれば、打ち合わせをしていた。どれほどの隠密が世話になったのか、正直なところわからないぐらいです。大事をやりとりしていたこともあるようで、まあ、細野家よりも重宝していましたな」
「なるほど、そこに私が入ったから」
「はい。また辻様が京の動向について探っているのではないかと。それに女将が手を貸していると疑ったのでしょう。だから仕掛けた。そういうことです」
それならば、筋が通る。京の隠密にとって、蔵之介は仇敵だ。それが『たいそう』に泊まり込んでいるとなれば、何かあると考えるのも当然か。
敵を取るよい機会と考えて行動したのかもしれない。
「それで、しず殿も殺そうとしたのですか」
世話になっていながら、正体が知られそうになったら、手にかけるのか。非道にも程があろう。
「さすがに、それはむごい。世話になっていながら、都合が悪くなれば始末か」
「同感です。私も腹に据えかねております」
宗左衛門が丁寧に頭を下げる。
「大変だとは思いますが、『たいそう』のこと、よろしくお願いします」
「無論だ。いい話を聞かせてもらって、こちらこそ助かった」
宗左衛門のおかげで、隠密の内情を知ることができた。後は、最後まで守りとおせばそれでいい。
さすがに詳しい。大岡とつながっているだけのことはある……。
蔵之介は改めて、宗左衛門を来る。
その姿は凛々しく、こちらを見る瞳の力も強い。自信を持って話をしていることがよくわかる。
彼の知識で助けられるのは、これで二度目だ。細野家の時も、彼の詳しい書状で……。
そこで、蔵之介の脳裏に閃きが走った。
あまりにも事情に詳しくはないか。
宗左衛門の話には、並の町人にはとうてい知ることのできない内容も含まれていた。若年寄から話を聞いたにしても、どこか不自然だ。知りすぎている。
しずが事情を知らないことも、なんの前振りもなく、さらりと語った。
いったい、彼は何者なのか。
若年寄と深いつながりを持つ書肆。
蔵之介はそう思っていたが、実は違うのではないか。
もっと別の何か。蔵之介には察することもできぬ深いところと結びついていて、そこからの話を元にして、内情を語ったのではないか。
大岡としてのつながりにしても、どこかいびつだ。わざわざ一介の書肆と若年寄が顔をあわせるか。
ひどく引っかかる。放っておくのは、危険なのではないか。
蔵之介は息を吸い込み、一気に吐く。
「いや、今はそんなことを気にしている場合ではないか」
「何か」
「なんでもない。余計な事を考えてしまった」
蔵之介は宗左衛門に一礼した。
「明日から連中のねぐらを探す。何かわかったことがあったら、知らせてくれ」
「わかりました。そのように」
澄んだ言葉を聞いて、蔵之介は立ちあがる。
「では、勝負に出よう」
蔵之介は、宣言したとおりに、隠密の動向を探るべく動いた。
これまでと同じようにわざと敵の目につくようにふるまい、町屋だけでなく、武家地にも足を伸ばした。隠密が口にして欲しくないであろう問いを発して、放っておけば事が大きくなるように仕向けた。
蔵之介の派手な探索は、敵の動きをあおった。
彼の周囲には隠密とおぼしき者がはりつき、どこに来るにもついてきた。時には白刃を振るって来ることもあったが、わかっていたので、なんなくかわした。
蔵之介は、なおも敵を挑発すべく、若年寄の大岡へ使いを送った。すぐにも会いたいとの書状をしたためてのことだ。
その返事が来るよりも早く、ついに京の隠密は大きな失敗をした。
蔵之介に、隠れ家の場所を悟らせてしまったのである。
不思議な瞳の輝きだ。見ていると吸い込まれそうで、うまく相手の考えを読み取ることができない。
思い切って会いに来てみたが、もう少し考えてからにするべきだったか。
「なるほど、わかりました」
男の声はやわらかかった。すっと心に忍んでくるような響きがある。
「さんざん考えた末に、私の所に来たと」
「ああ、ほかに思いつかなくてな」
蔵之介は自分の顔が強ばるのを感じた。声にも変な力が入っている。
「思いのほか、『たいそう』の件は大事になっている。旗本の意趣返しだけでなく、その裏で妙な連中が動いているのが明らかになった。それがかつて細野家にかかわっていた連中なのだから、厄介だ」
「……」
「この先のことを考えれば、事の次第をよく知っている者から話を聞いておきたい。大岡様はそれにふさわしいが、若年寄であるから敷居が高い。顔をあわせることができたとしても時がかかって、肝心な時には間に合わん」
「それで、私のところに来たと」
「そうだ」
「よい見立てです。さすがは辻様ですね」
桐文堂の主、山崎屋宗左衛門は静かに語った。
実は、顔をあわせるのははじめてのことだ。
四十才は超えていると聞いていていたが、それよりは若く見える。髷も鬢もきれいに整っており、髭の跡もない。
顔立ちは平凡で、日本橋の大通りに出れば、人混みに紛れてわからなくなりそうだ。瞳の輝きにも意志の強さは感じさせない。
人当たりのよい商人という風情で、書肆の主にしては個性が弱い。不思議な印象の人物だ。
そんな彼であるが、おそらく、今回の事件で重要な鍵を握ると思われる。だからこそ、しずを『たいそう』に送り届けると、蔵之介はその足で桐文堂に向かったのである。
到着した時には夜になっていたが、甚五郎が出迎えに出てきた。主に会いたい旨を告げると、少しためらったが、繰り返し蔵之介が求めると、取り次いでくれた。
会えるかどうかはきわどいと見ていたが、宗左衛門は何ら注文をつけることなく、奥座敷で蔵之介と対面した。
「先だって、我らは刺客に襲われた」
蔵之介は、前置きもなく切り出した。
「正体はおおよそ見当がついている」
「どなたか?」
「違う。隠密だ。前にも私を襲った京の者であろう」
蔵之介は宗左衛門を見る。
「動きが細野家の奉公人と同じだった。腕もよく、本気で我らを殺すつもりだった。助かったのは運がよかったからだ」
宗左衛門は何も言わず、目線でつづきを求める。
「ただ、なぜ、京の隠密がからんでくるのか。そのあたりはよくわからぬ。山村家に京との結びつきはない。玄庵殿を守っている時、そのあたりはしっかり調べている。第一、あの者たちは、山村家の家臣を殺している」
「どういうことで」
「昨日の夜にも襲われている」
山村家の家臣を倒した後で、襲いかかってきたのが彼らだった。戦いの最中、同じ動きであることがわかった。
「山村家と連中に関係はない。にもかかわらず、我らを襲ってきた。それは奴ら自身に、私やしず殿をねらう理由があるということだ。何かが裏で動いている」
蔵之介がにらんでも、宗左衛門は表情を変えなかった。顔が無個性なだけに、何を考えているのか読みにくい。
「だから、この店に来た」
「……」
「おぬしは、京の件について詳しい。先だっての書状には、詳しく内情が記してあった。また、若年寄の大岡様とも色々と話をしている様子。そこには、京の隠密のことも含まれているのではないか」
宗左衛門は沈黙しているが、蔵之介は先をつづけた。
「何か知っていることがあったら、聞かせてほしい」
京の連中が動いていると察した時、蔵之介は宗左衛門に会って話をすると決めた。彼がなぜ京の事情について詳しいのか知らないが、何か情報源を持ち、江戸で彼らがどのように動いているのか知っていることは間違いない。
いつ敵が襲ってくるのかわからぬ以上、下手に時をかけるわけにはいかない。ならば、無理をしてでも彼に話を聞くよりなかった。
確信のないまま踏みこんだが、あながち外れではない。蔵之介はそう思っていた。
宗左衛門はなおさら無言だった。それは驚くほど、長い時間がつづいた。
途中、灯りの油が切れかけ、補充する間も宗左衛門は何も言わなかった。
近くで虫の声がする。盛夏だというのに、いささか早い。
その声がいきなり途切れたところで、桐文堂の主は口を開いた。
「おっしゃるとおり、辻様をねらったのは京の隠密です。正しくは、その残党と言うべきでしょうか」
なんの前触れもなく、いきなりの本題だ。
「細野様があのようなことになり、江戸にいた京の隠密はちりぢりになりました。大半は京に戻ったのですが、何人かが江戸に残り、探索をつづけております。もっとも下知はないので、勝手にやっているだけなのですが」
「……」
「そのうちの誰かが、辻様が『たいそう』に入り込んだことを知りました。また、自分たちのことが知られたのではないかと気にしたのでしょう。細野家と同じことが起きる前に始末してしまえと思い、仕掛けたようです」
「よくわからぬ。『たいそう』に入って、何がまずいのか。結びつきはなかろう」
「それがあるのです。知られては困ることが」
宗左衛門は蔵之介が見る。目がすっと細まる。
そこで蔵之介の脳裏に閃きが走った。
「もしや……」
「さすがに察しがよいのですな。そう、『たいそう』は、隠密の根城です」
「なんと」
「先に申しておきますが、しず殿や店の者は知りません。連中が勝手に出入りして、話し合いの場に使っていた。そういうことです」
『たいそう』は店の者の口が堅く、客も最後まで面倒を見てくれる。万が一、正体が知られそうになっても、『たいそう』に逃げ込めば、しばらく時間を稼ぐことができる。たとえ武家が相手でも、彼らが大きな犯罪さえ犯していなければ、匿ってくれる。そのように見て、内密の打ち合わせに使っていたようだ。
「洲崎で海からの人が入りやすかったのもよかったですな。とにかく連中は何かあれば、打ち合わせをしていた。どれほどの隠密が世話になったのか、正直なところわからないぐらいです。大事をやりとりしていたこともあるようで、まあ、細野家よりも重宝していましたな」
「なるほど、そこに私が入ったから」
「はい。また辻様が京の動向について探っているのではないかと。それに女将が手を貸していると疑ったのでしょう。だから仕掛けた。そういうことです」
それならば、筋が通る。京の隠密にとって、蔵之介は仇敵だ。それが『たいそう』に泊まり込んでいるとなれば、何かあると考えるのも当然か。
敵を取るよい機会と考えて行動したのかもしれない。
「それで、しず殿も殺そうとしたのですか」
世話になっていながら、正体が知られそうになったら、手にかけるのか。非道にも程があろう。
「さすがに、それはむごい。世話になっていながら、都合が悪くなれば始末か」
「同感です。私も腹に据えかねております」
宗左衛門が丁寧に頭を下げる。
「大変だとは思いますが、『たいそう』のこと、よろしくお願いします」
「無論だ。いい話を聞かせてもらって、こちらこそ助かった」
宗左衛門のおかげで、隠密の内情を知ることができた。後は、最後まで守りとおせばそれでいい。
さすがに詳しい。大岡とつながっているだけのことはある……。
蔵之介は改めて、宗左衛門を来る。
その姿は凛々しく、こちらを見る瞳の力も強い。自信を持って話をしていることがよくわかる。
彼の知識で助けられるのは、これで二度目だ。細野家の時も、彼の詳しい書状で……。
そこで、蔵之介の脳裏に閃きが走った。
あまりにも事情に詳しくはないか。
宗左衛門の話には、並の町人にはとうてい知ることのできない内容も含まれていた。若年寄から話を聞いたにしても、どこか不自然だ。知りすぎている。
しずが事情を知らないことも、なんの前振りもなく、さらりと語った。
いったい、彼は何者なのか。
若年寄と深いつながりを持つ書肆。
蔵之介はそう思っていたが、実は違うのではないか。
もっと別の何か。蔵之介には察することもできぬ深いところと結びついていて、そこからの話を元にして、内情を語ったのではないか。
大岡としてのつながりにしても、どこかいびつだ。わざわざ一介の書肆と若年寄が顔をあわせるか。
ひどく引っかかる。放っておくのは、危険なのではないか。
蔵之介は息を吸い込み、一気に吐く。
「いや、今はそんなことを気にしている場合ではないか」
「何か」
「なんでもない。余計な事を考えてしまった」
蔵之介は宗左衛門に一礼した。
「明日から連中のねぐらを探す。何かわかったことがあったら、知らせてくれ」
「わかりました。そのように」
澄んだ言葉を聞いて、蔵之介は立ちあがる。
「では、勝負に出よう」
蔵之介は、宣言したとおりに、隠密の動向を探るべく動いた。
これまでと同じようにわざと敵の目につくようにふるまい、町屋だけでなく、武家地にも足を伸ばした。隠密が口にして欲しくないであろう問いを発して、放っておけば事が大きくなるように仕向けた。
蔵之介の派手な探索は、敵の動きをあおった。
彼の周囲には隠密とおぼしき者がはりつき、どこに来るにもついてきた。時には白刃を振るって来ることもあったが、わかっていたので、なんなくかわした。
蔵之介は、なおも敵を挑発すべく、若年寄の大岡へ使いを送った。すぐにも会いたいとの書状をしたためてのことだ。
その返事が来るよりも早く、ついに京の隠密は大きな失敗をした。
蔵之介に、隠れ家の場所を悟らせてしまったのである。
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