逆転の異世界生活~最強のチートスキルは『蠕動運動』でした。最高の逆転劇を見せてやる

先川(あくと)

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最終章 最高の逆転劇

79話 止まない盗難事件

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 ミーノはそう言って立ちあがった。
「一緒に行こうか?」
 俺は腰をあげかける。
「いえ、トイレに行ったついでに、顔も洗ってきますから。いくら、ヤグラ君が泥棒癖に悩んでるといっても、トイレまで連れて行くわけにはいきませんから」

 ミーノはそう言うと、一人で部屋を出て行った。

 俺は一人になった。普段なら、この隙を見て二度寝するものだが、ミーノの家に泊めてもらってるから、そうだらけてもいられない。俺は布団をたたんで、端に積んでおくと、荷物を整理して、身支度を整えた。
 そうこうしているうちに、十五分が過ぎただろうか。俺が畳んだ布団の上に寄り掛かって、指のささくれをいじっていると、誰かが玄関の扉を乱暴に開ける音が聞こえた。その人物は不機嫌そうな声でぶつぶつ言うと、急いで廊下を歩いてくる。

「全く、いくら病気といったって、ちょっとは我慢してくれなきゃ困りますよ。私がトイレに行ったらすぐ、泥棒に出かけるんだから」

 そう呟いたのはミーノの声だった。ミーノはそう言うと、客間の襖を勢いよく開けた。
「なんて仕事が早いの! もう帰ってる!!」
 ミーノは俺が布団によっかかって落ち着き払ってるのを見て、目を吊り上げた。

「なんだよ、どうしたって言うんだ?」

 俺は聞いた。
「どうしたもこうしたもありません。さっき、グレナさんの家から『また梅干し泥棒が出たよ!!』って声を聞いて、急いで戻ってきたんです。そしたら、もうヤグラ君はそこでくつろいでるじゃないですか。どうやったらそんなに手早く盗めるんです? 梅干しの置き場を探すのにも、時間がかかるでしょう?」

 俺はミーノの話を聞いて、素早く正座した。

 あの野郎!! 俺が罪を被ってるのも知らずに、また泥棒をしやがったのか!!

「すまん、また例の泥棒の虫が騒ぎ出したんだよ!! ミーノが目を離したすきに、グレナさん?の家に行って、梅干を盗んじゃったんだ」
 俺は大慌てで話を合わせた。
「もう!! こうなったらいよいよ病気ですね。自分が泥棒だって知られてて、私がヤグラ君を哀れに思って、黙っていてあげてるのに、そのすきを見て梅干を盗るんですから。で、一体、どうやって梅干しの置き場を知ったんです?」

「それはだなあ……」

 俺は返答に困ってしまう。この十五分で、梅干しを盗んで帰ってくるには、よほどの技術が必要だろう。

「そうだ。下見をしてたんだよ。泥棒は実際に盗りに行く前に、獲物のありかを確かめておくって言うだろう?」
「下見? それじゃあ、最初から計算づくじゃないですか。発作的に梅干しを盗っちゃうんじゃなかったんですか?」
「違うんだって……計算づくなんかじゃない。俺は悪意があって、物を盗るんじゃないんだ。本当に、なんというか痙攣的というか、神経に障って泥棒しちゃうんだ」

「そんな人が下見をするわけないじゃないですか」

 ここまでくるとミーノの言ってることが正しい。俺は背中にびっしょりと汗をかきながら、なんとかこの論理を脱出する方法を考えた。

「だから……それはだな……そうだ! 下見の発作だ」
「下見の発作!?」
 ミーノがまぶたをピクつかせる。
「そうなんだ。俺自身は下見なんかしたくないのに、何かの拍子に虫が騒いで、気が付いたときには人様の台所で梅干を探してるんだ」

「そんな怖い病気があるんですか?」
 ミーノは顔を真っ青にする。
「俺も辛いんだよ。でも実際、この村のあらゆる民家を回って、全部の下見を済ませてあるから、どれだけ俺が不可能と思える時間で泥棒を働いたって、怪しいと思わないでくれよ」
 俺はあらかじめ予防線を張っておく。

「別にどんな早業で梅干しを盗ってきたって、怪しみはしませんけど、ちょっとは自分でも我慢してもらわなくちゃ困ります」
 ミーノの目が厳しくなる。
「悪かったよ」
「で、盗った梅干しはどうしたんです?」
「ああ、全部もう食べた」
「いよいよ病気ですね……そんなことしてたら、長生きできませんよ?」
「俺も辛いんだよ……」
 
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