逆転の異世界生活~最強のチートスキルは『蠕動運動』でした。最高の逆転劇を見せてやる

先川(あくと)

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最終章 最高の逆転劇

69話 ミーノは何か閃いたようだ

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「喧嘩が終わるころにはそうなってましたよ。だって、村人の中に犯人がいるって話だとちっとも喧嘩が終わらないじゃないですか。みんな、お互いを疑うのが嫌になって、最後には村のみんなが大事な梅干しを盗むわけはないって話になったんです。そしたら、よそ者で最近見るようになったヤグラ君が怪しいって結論になって」
 俺はミーノの話を遮った。

「おい、ミーノ、ちゃんと言い返してくれたんだろうな? 俺はそんなことするような人間じゃないって」

「そりゃあ、頑張って言いましたけど、どうにもみんな殺気立ってましたし。梅干しがなくなったら、夏を乗り切れませんから、ヤグラ君を見つけたら、とりあえず縛りつけて話を聞こうって……」

「困るよ!! ちゃんと言い返してくれよ!!」
 俺は泣きそうになって言った。村社会の恐ろしさはよく知ってる。一度疑われたら、少なくとも、湿布と絆創膏が三十枚は必要になるのだ。

「だって、他に容疑者がいるわけじゃありませんし、村の人間が梅干しを盗むとは思えません。ヤグラ君は梅干しの貴重さを知らずに、ついお腹が空いて壺いっぱいの梅干しを食べちゃったのかなって思ったんですよ」
「そんなポテチ感覚で梅干し食ったら死んじゃうよ!」
「むう……そうですよね……」

 俺はすっかり怖気づいていた。村の皆は俺にも親切にしてくれたが、それはミーノの友だちだったからだ。いわばミーノの面子を立てていただけ。別に俺の人間性を買っていたわけでも、長年培われてきた絆があるわけでもない。
それが梅干し泥棒の容疑者になれば、今までのように和気あいあいと言うわけにはいかないだろう。
 一度、敵対視されてしまえば、手加減する理由も、容赦する義理もない。
「俺、もうミーノの村には行かない方がいいかな?」
 俺が言うとミーノは難しい顔でため息をついた。
「それもどうかと思うんですよ。梅干しの一件以来、来なくなったとなればいよいよ怪しいじゃないですか」
「確かに、時期が重なれば、梅干しを盗んで逃げたと思われるだろうな」

「でしょう? だから、本当にしてないなら堂々としてた方が良いとは思うんですけど……。あ、そうだ」

 ミーノはそう言うと、何かを閃いたようにポンと手を叩いた。
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