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最終章 最高の逆転劇
67話 事件は梅干しの種からはじまる
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「ちょっとその前に良いですか?」
ミーノは木の影から立ち上がると、躊躇なく日差しの中に入っていった。
「見ているこっちが倒れそうだ」
「平気です! さっきお水飲みましたから」
ミーノは早足で進み、街道の端、草むらと砂利道の境界線にたどり着くと、何かを摘まみ上げた。
「どうしたんだ、ミーノ」
「梅干しの種だ……」
ミーノは先ほど男が吐き捨てた種を手の中で転がしながら言った。
このとき俺は予想もしていなかった。
まさか、この梅干しの種からその後、俺の異世界ライフを脅かす事件が起こるとは……
「梅干しの種がどうしたんだ?」
「しかも新しい。これについてヤグラ君何か知ってますか?」
ミーノの顔は深刻になると、すごい剣幕で俺に詰め寄った。
「な、なんだよ。急に――それは、さっき無口な男がぷっと吐き捨てて行ったんだ」
俺はミーノの剣幕にたじろいだが、ミーノはそれを動揺したと感じ取ったらしい。
「ヤグラ君、まさかこれヤグラ君が捨てたものじゃないですよね?」
俺はなんらかの疑いをかけられているらしい。事情が呑み込めないが、疑われていると思うと余計に動揺してくる。
「違うって。さっき男が捨てていったって言っただろ」
俺はムキになって否定した。
「その男の人って本当に実在するんですよね?」
「いや……実在するとは思うけど……」
俺のような意志薄弱な人間はそうしつこく尋ねられると自信がなくなってくる。
「なんです? もっとはっきり答えてください!」
「いや、さっき俺が見た男は俺の脳が作りだした幻の男だったのか、あるいは記憶の改ざんが行われた可能性はないかとか考えたら自信がなくなったんだよ。突き詰めていけば、どこまで疑っていいか分からないだろ」
「そんなコフネさんみたいな理屈は良いんですよ!! 見たの? 見てないの?」
「いや、見たとは思うけど……」
「ヤグラ君、正直に言ってください。過ちは過ちとして償えばいいんですから。本当のことを言うことから始めましょう。これはヤグラ君が捨てたもの? 本当に捨ててないの?」
ミーノは小学校の先生のような口調になって言った。彼女は俺が打ち明けやすいように優しい雰囲気を作ろうとしていたが、頬は神経質に強張っていた。
「本当に捨ててないさ。俺は何にも関係ない」
俺が焦りながらもきっぱり否定すると、ミーノのこばわった肩がかくんと落ちた。
「良かった……わたし、ヤグラ君が犯人なんじゃないかと一瞬、疑ってしまいました」
「何が?」
「ええ、さっき言っていた村での揉め事の件です。とりあえずクエストをこなしながら話しますので、グランジャイナの目撃地点に向かいましょう」
「ああ、分かった」
俺とミーノは下級モンスターの討伐に向かった。
ミーノは木の影から立ち上がると、躊躇なく日差しの中に入っていった。
「見ているこっちが倒れそうだ」
「平気です! さっきお水飲みましたから」
ミーノは早足で進み、街道の端、草むらと砂利道の境界線にたどり着くと、何かを摘まみ上げた。
「どうしたんだ、ミーノ」
「梅干しの種だ……」
ミーノは先ほど男が吐き捨てた種を手の中で転がしながら言った。
このとき俺は予想もしていなかった。
まさか、この梅干しの種からその後、俺の異世界ライフを脅かす事件が起こるとは……
「梅干しの種がどうしたんだ?」
「しかも新しい。これについてヤグラ君何か知ってますか?」
ミーノの顔は深刻になると、すごい剣幕で俺に詰め寄った。
「な、なんだよ。急に――それは、さっき無口な男がぷっと吐き捨てて行ったんだ」
俺はミーノの剣幕にたじろいだが、ミーノはそれを動揺したと感じ取ったらしい。
「ヤグラ君、まさかこれヤグラ君が捨てたものじゃないですよね?」
俺はなんらかの疑いをかけられているらしい。事情が呑み込めないが、疑われていると思うと余計に動揺してくる。
「違うって。さっき男が捨てていったって言っただろ」
俺はムキになって否定した。
「その男の人って本当に実在するんですよね?」
「いや……実在するとは思うけど……」
俺のような意志薄弱な人間はそうしつこく尋ねられると自信がなくなってくる。
「なんです? もっとはっきり答えてください!」
「いや、さっき俺が見た男は俺の脳が作りだした幻の男だったのか、あるいは記憶の改ざんが行われた可能性はないかとか考えたら自信がなくなったんだよ。突き詰めていけば、どこまで疑っていいか分からないだろ」
「そんなコフネさんみたいな理屈は良いんですよ!! 見たの? 見てないの?」
「いや、見たとは思うけど……」
「ヤグラ君、正直に言ってください。過ちは過ちとして償えばいいんですから。本当のことを言うことから始めましょう。これはヤグラ君が捨てたもの? 本当に捨ててないの?」
ミーノは小学校の先生のような口調になって言った。彼女は俺が打ち明けやすいように優しい雰囲気を作ろうとしていたが、頬は神経質に強張っていた。
「本当に捨ててないさ。俺は何にも関係ない」
俺が焦りながらもきっぱり否定すると、ミーノのこばわった肩がかくんと落ちた。
「良かった……わたし、ヤグラ君が犯人なんじゃないかと一瞬、疑ってしまいました」
「何が?」
「ええ、さっき言っていた村での揉め事の件です。とりあえずクエストをこなしながら話しますので、グランジャイナの目撃地点に向かいましょう」
「ああ、分かった」
俺とミーノは下級モンスターの討伐に向かった。
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