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三章 クジ引き国王とツンデレメイドゾンビの幽霊
60話 緊張の糸が緩んだのか、彼女は気を失っていた
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だが、彼女は固まったまま、手を入れようとはしない。
「何を恐れることがあるのですか? あなたが本当のことを言っていれば、神のご加護があるのですよ?」
「私はウソなんかついてない」
「では、石を掴みだすのです」
「でも、ヤケドしたら、嘘をついたって言われるんでしょう? 私はウソなんか言ってないのに!!」
「真実を口にしたのなら、ヤケドしないはずです」
「そんなの分からないじゃない!!」
「手を入れないと、ウソをついているとみなされますぞ?」
「ウソなんか言ってない!!」
「それならヤケドはしないはずです」
「あんたバッカじゃないの? 鍋に手を入れてヤケドしないわけないじゃない!!」
「だからこそ、ヤケドをしなかったときに神の加護とあなたの真実が証明されるのです」
「そんな理屈ったらないわよ!! だって、私はウソなんか言ってないんだもん!! ほんとにあの子は先代の子どもなんかじゃないの!! もう私とあの子をあんたたちの権力争いに巻き込まないでよ!!」
ミタカさんは泣いていた。
ミタカさんは間違っていないはずだ。それなのに、周囲からはミタカさんが駄々をこねているように映る。彼女が泣いているのに、誰も彼女を信じない。
「石を掴みだせば済むことです!!」
神父が叫んだ。
「もういいわよ!! これで満足なんでしょ!!」
ミタカさんはきっと周囲を睨みつけると、鍋の中に腕を突っ込んだ。そして、苦痛に顔を歪ませながら、石ころを掴みだした。
「あついぃぃぃ!! あついわよ…………! あついに決まってんじゃん!!」
すぐにシスターがミタカさんの腕を布でくるんだ。
「結構です。この状態で三十分間放置し、ヤケドが現れるのを待ちます」
「ヤグラ君、降りましょうか」
ミーノが静かに言って立ち上がった。
「そうだな……」
俺たちはとても嫌な気分だった。
教会に入って、腕に巻かれた布が外されるのを待った。ミタカさんはそのあいだずっと泣いていた。
三十分が立つと、二階席にいたフリアーナ六世が礼拝堂まで下りてきた。みんなが見守るなか、ミタカさんの腕に巻かれた布が取り払われた。
「………………………………」
礼拝堂は沈黙に包まれた。最前列に、王宮勤めの臣下たち、中央から後ろの席は市民が首を伸ばしている。そのさらに後ろ、俺の位置からはミタカさんの腕は見えなかった。
布が取り払われた後、聴衆がハッと息を呑むのが分かった。グロテスクなヤケドに絶句しているのか、それともヤケドは見られなかったのか、俺の位置からは分からなかった。
俺は誰かが声を出すのを待っっていた、
その一声を発したのは最前列で見ていた臣下だった。
「…………………………ない! 傷跡はどこにもないぞ!!」
誰かが言った。
「あり得ない!! 熱湯に手を入れたんだぞ? 普通、水ぶくれがあったり、ただれていたりするものだ」
「奇跡だ……。奇跡が起こったんだ!!」
会場はどよめきに包まれた。
俺の隣でミーノがほっと息をついている。
「やったな!! ミーノ」
「ええ、やりました!!」
俺とミーノは抱き合って喜んだ。
「手伝ってくれてありがとう!!」
俺はミーノの頭を撫でた。
「いいえ!! ヤグラ君はやっぱり天才です!!」
ミーノも俺の頭を撫でようと一生懸命手を伸ばした。
「ミタカさん、あなたの潔癖が証明されましたな」
神父の言葉はミタカさんには届かなかった。緊張の糸がふっと緩んだのか、彼女は気を失っていた。
「陛下……」
「何を恐れることがあるのですか? あなたが本当のことを言っていれば、神のご加護があるのですよ?」
「私はウソなんかついてない」
「では、石を掴みだすのです」
「でも、ヤケドしたら、嘘をついたって言われるんでしょう? 私はウソなんか言ってないのに!!」
「真実を口にしたのなら、ヤケドしないはずです」
「そんなの分からないじゃない!!」
「手を入れないと、ウソをついているとみなされますぞ?」
「ウソなんか言ってない!!」
「それならヤケドはしないはずです」
「あんたバッカじゃないの? 鍋に手を入れてヤケドしないわけないじゃない!!」
「だからこそ、ヤケドをしなかったときに神の加護とあなたの真実が証明されるのです」
「そんな理屈ったらないわよ!! だって、私はウソなんか言ってないんだもん!! ほんとにあの子は先代の子どもなんかじゃないの!! もう私とあの子をあんたたちの権力争いに巻き込まないでよ!!」
ミタカさんは泣いていた。
ミタカさんは間違っていないはずだ。それなのに、周囲からはミタカさんが駄々をこねているように映る。彼女が泣いているのに、誰も彼女を信じない。
「石を掴みだせば済むことです!!」
神父が叫んだ。
「もういいわよ!! これで満足なんでしょ!!」
ミタカさんはきっと周囲を睨みつけると、鍋の中に腕を突っ込んだ。そして、苦痛に顔を歪ませながら、石ころを掴みだした。
「あついぃぃぃ!! あついわよ…………! あついに決まってんじゃん!!」
すぐにシスターがミタカさんの腕を布でくるんだ。
「結構です。この状態で三十分間放置し、ヤケドが現れるのを待ちます」
「ヤグラ君、降りましょうか」
ミーノが静かに言って立ち上がった。
「そうだな……」
俺たちはとても嫌な気分だった。
教会に入って、腕に巻かれた布が外されるのを待った。ミタカさんはそのあいだずっと泣いていた。
三十分が立つと、二階席にいたフリアーナ六世が礼拝堂まで下りてきた。みんなが見守るなか、ミタカさんの腕に巻かれた布が取り払われた。
「………………………………」
礼拝堂は沈黙に包まれた。最前列に、王宮勤めの臣下たち、中央から後ろの席は市民が首を伸ばしている。そのさらに後ろ、俺の位置からはミタカさんの腕は見えなかった。
布が取り払われた後、聴衆がハッと息を呑むのが分かった。グロテスクなヤケドに絶句しているのか、それともヤケドは見られなかったのか、俺の位置からは分からなかった。
俺は誰かが声を出すのを待っっていた、
その一声を発したのは最前列で見ていた臣下だった。
「…………………………ない! 傷跡はどこにもないぞ!!」
誰かが言った。
「あり得ない!! 熱湯に手を入れたんだぞ? 普通、水ぶくれがあったり、ただれていたりするものだ」
「奇跡だ……。奇跡が起こったんだ!!」
会場はどよめきに包まれた。
俺の隣でミーノがほっと息をついている。
「やったな!! ミーノ」
「ええ、やりました!!」
俺とミーノは抱き合って喜んだ。
「手伝ってくれてありがとう!!」
俺はミーノの頭を撫でた。
「いいえ!! ヤグラ君はやっぱり天才です!!」
ミーノも俺の頭を撫でようと一生懸命手を伸ばした。
「ミタカさん、あなたの潔癖が証明されましたな」
神父の言葉はミタカさんには届かなかった。緊張の糸がふっと緩んだのか、彼女は気を失っていた。
「陛下……」
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