逆転の異世界生活~最強のチートスキルは『蠕動運動』でした。最高の逆転劇を見せてやる

先川(あくと)

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二章 秘宝「ジェタクの果印」

20話 ジェタクの逸話2

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「ちょっと待て。国王が占いを頼んだんだろう? 自分から占いを頼んでおいて、その結果を拒絶したのか?」
「はい。王さまはそれくらいその臣下を信頼してたんだと思います。ジェタクさんの占いで、彼の優秀さが証明されると考えたのかもしれません」

「それで、どうなったの?」
「王さまはジェタクさんを王都から追い出しました。ジェタクは一言も反論することなく、王の命令に従い、都を離れ、この山に移り住んだと言います」
「はあ、この山にねえ……」

 俺たちが登っているのは王都の南西に位置するシリンキ山だ。別に変ったところはない。特別霧が濃いとか、樹木が生い茂り、日の光が入らないということもない。最高峰の占い師が住んでいたとは思えない、普通の山だ。
「ですが、ジェタクさんの占いは当たっていました。その一年後に、例の臣下が国の予算を横領し、魔王マーグナアに献上していたことが分かったのです」
 魔王マーグナアはこの世界を一度は滅ぼしたという魔の世界の王だ。今は、最高クラスの冒険者の活躍によって、なんとか均衡を保っているが、魔の世界との戦は終わったわけではない。マーグナアに国の資金が流れていたとすれば、それは重大な戦争犯罪だろう。

「じゃあ、ジェタクの占いは当たっていたんだ」

「はい。国王はその臣下を処刑しました。そしてジェタクさんに謝って、街に戻るようお願いしたんです。ですが、ジェタクさんはその申し出を断り、生涯この山で過ごしたといいます」

「なるほどね。それで、そのジェタクの果印ってのはなんなんだ?」

「結果の果に目印の印と書いて、カインと言うんです。簡単に言うと、占いの結果のことで、例えば、タロット占いなら、引いたカードに書かれていた絵ですとか、水晶占いでしたら、水晶の中に見えたものとかが果印と呼ばれるんです」

「ミーノ、よくそんなこと知ってるなあ」
「えへへ、実は私もさっき、冒険者の方々に教えてもらったんです」
「そういうことね」

 さっき集会所で、ミーノはクエストの準備をしていた冒険者と話をしていた。その冒険者たちは、魔獣討伐のため、このシリンキ山に向かう予定だった。
 その魔獣討伐がメインクエストであり、サブクエストに「ジェタクの果印を見つけること」とあったそうだ。
 メインクエストをクリアしなければ報酬はもらえないが、サブクエストをクリアする必要はない。サブクエストはあくまでも「ついで」なのだ。

 そのためメインクエストの難易度が高いときは、最初からサブクエストを捨てることが多い。ミーノは魔獣を倒せるだけの力がないため、魔獣討伐に向かう冒険者に頼んで、サブクエストの下請けをしていたという。もしクリア出来たら、報酬の増加分を貰う。もしクリアできなくても、デメリットはない。
 先日ミーノと組むことになった俺は、そのサブクエストについてきた、というわけだ。
「それで、そのジェタクの果印ってのは、どんなものなんだ?」
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