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一章 地獄の酒場
16話 勝利の女神はかわいい幼女
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口から酒を飲むルールでは俺が圧倒的に不利なのだ。というか、次もまた死ぬだろう。通常のルールなら到底戦えたものではない。
ここは隙を見て逃げ出すか。
いや……、俺は二千リラの借金までしてしまったのだ。もし、口から飲むことを拒否して逃げ去ったとしても、二千リラという莫大な借金が残る。
「あの……、ちなみになんですけど、二千リラがあれば何が買えるんですか?」
俺は隣に立っていた男に聞いた。
「そうだなあ。酒ならふた月は持つし、お姉ちゃんと遊びに行っても、良い店に入って、一週間は帰らねえで済むなあ」
酒ならふた月……。高級な嬢と寝ても、一週間は帰らないで済む……。俺はその額に震えた。やべえ……。ぜったいに返せない……。
一人でクエストも行けない冒険者に、二千リラの借金だ。
どうしよう……。まじで……。俺、また死ぬのか……。みっつの命を与えられた、二つ目までも、この下らない飲み比べで取られてしまうのか……。
ツーッと汗が垂れた。死にたくない。死にたくない。どうしよう……。どうにかしなきゃ……。でも、どうすればいい? ケツから酒を飲むなら勝てるかもしれない。消化管が上下逆だから。
だが、口からは飲めない。もうどうあっても飲めない。あんな苦しい思いは嫌だ。だが、二千リラの借金を背負って生きることもできない……。
だが、もう一座はこのゲームに完全に興味をなくしている。
「おい、さっさと立てよ!!」「誰もお前のケツに酒なんか入れたくねえんだよ!!」
取り巻きのヤジが一段と大きくなった。
「もうダメだ……」
俺があきらめてズボンを履こうとした、そのときだった。
「わ、わたしがやります!!」
野次馬のかなり後ろの方から突然、幼い少女の声が聞こえた。
「えっ?」
男たちが一斉に振り返る。
「わ、わたしがヤグラ君のお尻にお酒をいれます!!」
取り巻きがモーセの海のように割れ、一人の幼女の姿が見えた。
少しいびつなショートボブに、すきぎみの前髪が揺れている。
幼女は貧しい服を着て、麻袋を担いでいる。食材を運びに来た女の子だろうか。その子は澄んだ、綺麗な瞳をしていた。
「おいおい、マジかよ……」
誰かの声が裏返っている。
「それならいいんですよね? フースコさんがヴァーギンさんのお尻にお酒を入れる。私がヤグラ君のお尻にお酒を入れる。これならゲームになるんですよね……」
「そりゃあ、なるけどよ……」
ヴァーギンが引いている。
「うひひひっ!! なんか俺興奮してきたんだけど!!」
誰かが下種な声を出した。
「うおおおおおおおおおおおおお!! 面白いじゃねえか!!」
観客がまた一斉に盛り上がる。
「やれ!! やれ!! やれ!! やれ!!」
地鳴りのような大喝采のなか、俺とヴァーギンは顔を見合わせた。
俺の尻に酒を入れてくれるという幼女が俺の前に来て、しゃがみこんだ。
「初めまして。私ミーノと言います。よろしくお願いしますね……」
恥ずかしそうに顔を赤らめている。こっちの方が何倍も恥ずかしいのだが……。
「うん……。いいのかな。そのミーノちゃんにこんなことやらせて……」
「良いんですよ。私、ヤグラ君のこと応援してますからね!!」
「ありがと……、じゃ、よろしく……」
恥ずかしいことこのうえないが、ミーノは救世主だった。まさに天の助け。こんな幼女が俺のケツに酒を突っ込んでくれるなんて、奇跡としか言いようがない。
勝利の女神はかわいい幼女だったのだ!!
ミーノは俺のケツの前に立つと、先の尖った酒器を俺の割れ目にあてがった。
一応、そこには唇がついている。決して汚くはないのだが、無性に申し訳ない気分になる。
「フースコ!! もっと奥に入れろ!!」
「あ……はい……」
ヴァーギンの方も準備ができたようだ。
「よし、じゃあ始めろ!!」
ここは隙を見て逃げ出すか。
いや……、俺は二千リラの借金までしてしまったのだ。もし、口から飲むことを拒否して逃げ去ったとしても、二千リラという莫大な借金が残る。
「あの……、ちなみになんですけど、二千リラがあれば何が買えるんですか?」
俺は隣に立っていた男に聞いた。
「そうだなあ。酒ならふた月は持つし、お姉ちゃんと遊びに行っても、良い店に入って、一週間は帰らねえで済むなあ」
酒ならふた月……。高級な嬢と寝ても、一週間は帰らないで済む……。俺はその額に震えた。やべえ……。ぜったいに返せない……。
一人でクエストも行けない冒険者に、二千リラの借金だ。
どうしよう……。まじで……。俺、また死ぬのか……。みっつの命を与えられた、二つ目までも、この下らない飲み比べで取られてしまうのか……。
ツーッと汗が垂れた。死にたくない。死にたくない。どうしよう……。どうにかしなきゃ……。でも、どうすればいい? ケツから酒を飲むなら勝てるかもしれない。消化管が上下逆だから。
だが、口からは飲めない。もうどうあっても飲めない。あんな苦しい思いは嫌だ。だが、二千リラの借金を背負って生きることもできない……。
だが、もう一座はこのゲームに完全に興味をなくしている。
「おい、さっさと立てよ!!」「誰もお前のケツに酒なんか入れたくねえんだよ!!」
取り巻きのヤジが一段と大きくなった。
「もうダメだ……」
俺があきらめてズボンを履こうとした、そのときだった。
「わ、わたしがやります!!」
野次馬のかなり後ろの方から突然、幼い少女の声が聞こえた。
「えっ?」
男たちが一斉に振り返る。
「わ、わたしがヤグラ君のお尻にお酒をいれます!!」
取り巻きがモーセの海のように割れ、一人の幼女の姿が見えた。
少しいびつなショートボブに、すきぎみの前髪が揺れている。
幼女は貧しい服を着て、麻袋を担いでいる。食材を運びに来た女の子だろうか。その子は澄んだ、綺麗な瞳をしていた。
「おいおい、マジかよ……」
誰かの声が裏返っている。
「それならいいんですよね? フースコさんがヴァーギンさんのお尻にお酒を入れる。私がヤグラ君のお尻にお酒を入れる。これならゲームになるんですよね……」
「そりゃあ、なるけどよ……」
ヴァーギンが引いている。
「うひひひっ!! なんか俺興奮してきたんだけど!!」
誰かが下種な声を出した。
「うおおおおおおおおおおおおお!! 面白いじゃねえか!!」
観客がまた一斉に盛り上がる。
「やれ!! やれ!! やれ!! やれ!!」
地鳴りのような大喝采のなか、俺とヴァーギンは顔を見合わせた。
俺の尻に酒を入れてくれるという幼女が俺の前に来て、しゃがみこんだ。
「初めまして。私ミーノと言います。よろしくお願いしますね……」
恥ずかしそうに顔を赤らめている。こっちの方が何倍も恥ずかしいのだが……。
「うん……。いいのかな。そのミーノちゃんにこんなことやらせて……」
「良いんですよ。私、ヤグラ君のこと応援してますからね!!」
「ありがと……、じゃ、よろしく……」
恥ずかしいことこのうえないが、ミーノは救世主だった。まさに天の助け。こんな幼女が俺のケツに酒を突っ込んでくれるなんて、奇跡としか言いようがない。
勝利の女神はかわいい幼女だったのだ!!
ミーノは俺のケツの前に立つと、先の尖った酒器を俺の割れ目にあてがった。
一応、そこには唇がついている。決して汚くはないのだが、無性に申し訳ない気分になる。
「フースコ!! もっと奥に入れろ!!」
「あ……はい……」
ヴァーギンの方も準備ができたようだ。
「よし、じゃあ始めろ!!」
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