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6章 湧き出る盗人

6、手加減はしないよ

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 次の瞬間、トウセキが動いた。
 トウセキは、手錠に結ばれた縄を勢いよく掴んだ。ユーゴは強く引っ張られて、それにつられて、アントンとユズキエルも引っ張られた。

「よせ!!」

 シノの伸ばした手をかいくぐると、トウセキは寝台車にむかって突入した。

「おらあああああああああああ」

 トウセキは寝台車に飛び込むと、のっぽの兵士の死体から銃を奪い取った。

「坊主、弾をこめろ!!」
 勢い余って転んだユーゴの鼻先に、トウセキが銃弾を突きつけた。

「え?」

「俺一人じゃろくに装填もできねえ。お前が、装填して、撃鉄を起こすんだよ! ほら、さっさとしやがれ!!」

 ユーゴは言われるがままに銃弾を装填し、撃鉄を起こした。それを見たトウセキが、バリケードから顔を出し、瞬時に狙いを定めて撃った。

 トウセキの正確な射撃に、群盗の一人はくの字に折れ曲がった。そのままひっくり返り、地面の死体に折り重なった。

「この野郎! 何してやがる!!」

 デュアメルは勝手に攻撃に加わったトウセキに銃を向けた。

「戦わなきゃ死ぬのはお互い様だろ。文句を言う前に手を動かせ」
「隊長!!」

 デュアメルは遅れて駆け付けたシノに、しかめっ面を向けた。

「どうしてこんなマネを許したんです?」
「許したわけじゃないが、この際、やらせておくよりしょうがない」

 デュアメルは歯噛みすると、頭を切り替えて装填作業に戻った。
 とはいえ、戦力が増えたのは大きかった。トウセキが装填の合間を埋め、シノらは絶え間なく射撃を行うことができた。

 それを感じ取った群盗は、寝台車の窓を開け、窓のふちに指をかけた。

「天井から来るみたい!」

 ジョーが列車に響く慌ただしい足音を聞きつけて言った。

「私がいくに!」

 レナは窓を開けると、窓のヘリを掴み、振り子の原理で体を一回転させ、天井に飛び乗った。

 流れゆく景色のなかで群盗が銃を構えたのが見えた。

 レナは瞬時に地面を蹴った。

 群盗が引き金を引いたときにはすでに、レナは銃口の前から姿を消していた。

「クソ、クソ!!」

「遅い、遅いに!!」

 レナは右に左に弾をよけ、群盗の間合いまで近づいた。そのまま男の懐に入りこむと、二人の男に拳銃を突きつけた。

「加減はしないよ。逃げるチャンスはじゅうぶんあったに」

 レナは引き金を続けざまに引いて、男たちの腹に風穴を開けた。男たちがぐらりとよろめいたのを見ると、そのまま列車から蹴落とした。
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