54 / 71
6章 湧き出る盗人
6、手加減はしないよ
しおりを挟む
次の瞬間、トウセキが動いた。
トウセキは、手錠に結ばれた縄を勢いよく掴んだ。ユーゴは強く引っ張られて、それにつられて、アントンとユズキエルも引っ張られた。
「よせ!!」
シノの伸ばした手をかいくぐると、トウセキは寝台車にむかって突入した。
「おらあああああああああああ」
トウセキは寝台車に飛び込むと、のっぽの兵士の死体から銃を奪い取った。
「坊主、弾をこめろ!!」
勢い余って転んだユーゴの鼻先に、トウセキが銃弾を突きつけた。
「え?」
「俺一人じゃろくに装填もできねえ。お前が、装填して、撃鉄を起こすんだよ! ほら、さっさとしやがれ!!」
ユーゴは言われるがままに銃弾を装填し、撃鉄を起こした。それを見たトウセキが、バリケードから顔を出し、瞬時に狙いを定めて撃った。
トウセキの正確な射撃に、群盗の一人はくの字に折れ曲がった。そのままひっくり返り、地面の死体に折り重なった。
「この野郎! 何してやがる!!」
デュアメルは勝手に攻撃に加わったトウセキに銃を向けた。
「戦わなきゃ死ぬのはお互い様だろ。文句を言う前に手を動かせ」
「隊長!!」
デュアメルは遅れて駆け付けたシノに、しかめっ面を向けた。
「どうしてこんなマネを許したんです?」
「許したわけじゃないが、この際、やらせておくよりしょうがない」
デュアメルは歯噛みすると、頭を切り替えて装填作業に戻った。
とはいえ、戦力が増えたのは大きかった。トウセキが装填の合間を埋め、シノらは絶え間なく射撃を行うことができた。
それを感じ取った群盗は、寝台車の窓を開け、窓のふちに指をかけた。
「天井から来るみたい!」
ジョーが列車に響く慌ただしい足音を聞きつけて言った。
「私がいくに!」
レナは窓を開けると、窓のヘリを掴み、振り子の原理で体を一回転させ、天井に飛び乗った。
流れゆく景色のなかで群盗が銃を構えたのが見えた。
レナは瞬時に地面を蹴った。
群盗が引き金を引いたときにはすでに、レナは銃口の前から姿を消していた。
「クソ、クソ!!」
「遅い、遅いに!!」
レナは右に左に弾をよけ、群盗の間合いまで近づいた。そのまま男の懐に入りこむと、二人の男に拳銃を突きつけた。
「加減はしないよ。逃げるチャンスはじゅうぶんあったに」
レナは引き金を続けざまに引いて、男たちの腹に風穴を開けた。男たちがぐらりとよろめいたのを見ると、そのまま列車から蹴落とした。
トウセキは、手錠に結ばれた縄を勢いよく掴んだ。ユーゴは強く引っ張られて、それにつられて、アントンとユズキエルも引っ張られた。
「よせ!!」
シノの伸ばした手をかいくぐると、トウセキは寝台車にむかって突入した。
「おらあああああああああああ」
トウセキは寝台車に飛び込むと、のっぽの兵士の死体から銃を奪い取った。
「坊主、弾をこめろ!!」
勢い余って転んだユーゴの鼻先に、トウセキが銃弾を突きつけた。
「え?」
「俺一人じゃろくに装填もできねえ。お前が、装填して、撃鉄を起こすんだよ! ほら、さっさとしやがれ!!」
ユーゴは言われるがままに銃弾を装填し、撃鉄を起こした。それを見たトウセキが、バリケードから顔を出し、瞬時に狙いを定めて撃った。
トウセキの正確な射撃に、群盗の一人はくの字に折れ曲がった。そのままひっくり返り、地面の死体に折り重なった。
「この野郎! 何してやがる!!」
デュアメルは勝手に攻撃に加わったトウセキに銃を向けた。
「戦わなきゃ死ぬのはお互い様だろ。文句を言う前に手を動かせ」
「隊長!!」
デュアメルは遅れて駆け付けたシノに、しかめっ面を向けた。
「どうしてこんなマネを許したんです?」
「許したわけじゃないが、この際、やらせておくよりしょうがない」
デュアメルは歯噛みすると、頭を切り替えて装填作業に戻った。
とはいえ、戦力が増えたのは大きかった。トウセキが装填の合間を埋め、シノらは絶え間なく射撃を行うことができた。
それを感じ取った群盗は、寝台車の窓を開け、窓のふちに指をかけた。
「天井から来るみたい!」
ジョーが列車に響く慌ただしい足音を聞きつけて言った。
「私がいくに!」
レナは窓を開けると、窓のヘリを掴み、振り子の原理で体を一回転させ、天井に飛び乗った。
流れゆく景色のなかで群盗が銃を構えたのが見えた。
レナは瞬時に地面を蹴った。
群盗が引き金を引いたときにはすでに、レナは銃口の前から姿を消していた。
「クソ、クソ!!」
「遅い、遅いに!!」
レナは右に左に弾をよけ、群盗の間合いまで近づいた。そのまま男の懐に入りこむと、二人の男に拳銃を突きつけた。
「加減はしないよ。逃げるチャンスはじゅうぶんあったに」
レナは引き金を続けざまに引いて、男たちの腹に風穴を開けた。男たちがぐらりとよろめいたのを見ると、そのまま列車から蹴落とした。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
チョロイン2人がオイルマッサージ店でNTR快楽堕ちするまで【完結】
白金犬
ファンタジー
幼馴染同士パーティーを組んで冒険者として生計を立てている2人、シルフィとアステリアは王都でのクエストに一区切りをつけたところだった。
故郷の村へ馬車が出るまで王都に滞在する彼女らは、今流行りのオイルマッサージ店の無料チケットを偶然手に入れる。
好奇心旺盛なシルフィは物珍しさから、故郷に恋人が待っているアステリアは彼のためにも綺麗になりたいという乙女心からそのマッサージ店へ向かうことに。
しかしそこで待っていたのは、真面目な冒険者2人を快楽を貪る雌へと変貌させる、甘くてドロドロとした淫猥な施術だった。
シルフィとアステリアは故郷に戻ることも忘れてーー
★登場人物紹介★
・シルフィ
ファイターとして前衛を支える元気っ子。
元気活発で天真爛漫なその性格で相棒のアステリアを引っ張っていく。
特定の相手がいたことはないが、人知れず恋に恋い焦がれている。
・アステリア(アスティ)
ヒーラーとして前衛で戦うシルフィを支える少女。
真面目で誠実。優しい性格で、誰に対しても物腰が柔らかい。
シルフィと他にもう1人いる幼馴染が恋人で、故郷の村で待っている。
・イケメン施術師
大人気オイルマッサージ店の受付兼施術師。
腕の良さとその甘いマスクから女性客のリピート必至である。
アステリアの最初の施術を担当。
・肥満施術師
大人気オイルマッサージ店の知らざれる裏の施術師。
見た目が醜悪で女性には生理的に受け付けられないような容姿のためか表に出てくることはないが、彼の施術を受けたことがある女性客のリピート指名率は90%を超えるという。
シルフィの最初の施術を担当。
・アルバード
シルフィ、アステリアの幼馴染。
アステリアの恋人で、故郷の村で彼女らを待っている。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる