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無理矢理食べて、口から出すか?下から出るか?
説教猫娘と覚醒幼女
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空腹丸――炊飯のスペシャリストが何て体たらくなの。
お粥案を除けば、どれもこれも性悪サディストが思いつく罰ゲームでしかないじゃない。
やはり、あなたは炊飯器がお似合いよ。
どうぞそのままでいらして。
金輪際、召喚することもないでしょう。
こうなると、結局あの知恵者(だけど、どこか抜けてる)――砂翁に頼らないといけないのかしらん……癪だわ。
でもね、そうしないことには八方塞がりですもの。
などと頭を抱えていたら、それまで野次馬ならぬ野次猫に徹していた猫目が再び喪服姿の女で現れたじゃない。
「あらま、何か御用かしら? 高みの見物からそのまま優雅に午睡へ突入するかと思ってたけれど」
「そうする積もりだったんだけどね。お嬢のヒステリーで一気に目が覚めちまったんだよ」
いちいち気に障る物言いね。
もしかして、あたしってばシモベ達に舐められているのかしら?
「あなた、自分の立場をわかってらして? また正座させるわよ?」
「正座でよければいくらでもしてやるよ」
「では、お胸2000揉みの刑」
「それだけはやめてっ! それよりさ、あんたこそ自分の立場がわかってんのかい?」
いけない。空腹丸の比じゃないわ。
何だか本格的に腹が立ってきた。
「何よ? 言いたいことがあるのなら、はっきりと仰い!」
「なら遠慮なく。あんたは実年齢で言えば確かに29歳だけどさ、それに見合う経験ってもんが皆無なんだよ。それなのに、他人の寿命奪ってポーンと成長したところで、一体そこから何が得られると思ってんの?」
「お胸でしょ?」
「即答してんじゃないよ!」
「だってあたし、それさえ手に入ればいいもの」
「デカい乳になったところで所詮あんたは5歳児のまんまなんだ。あんたはね、もっと外の世界を知る必要がある。レディコミや女性週刊誌で得た知識だけで世の中渡り歩けると思ったら大間違いだよ!」
何なのよ?
どうしてあたし、人でもない猫目に人としての生き方を説かれているのかしら?
「あのね、あたしには時間がないの。あなたが言う通り、これから大人の階段上る修業にお外へ出たとしましょうか? それがどれくらいの期間を要するかはわからないけれど、時が経てば経つだけあたしは自然の理に則って年齢を重ねるし、それに相当する分の米齢時を今の胃袋の大きさのまま食べなくてはならないことよ? おわかり? ただでさえ今のあたしはそれがクリアできないのに、何が哀しくて徒にノルマを増大させなくてはいけないのかしら?」
「視野が狭いね」
顔色一つ変えず、たった一言でそう返す猫目。
……あたしの饒舌、易々と無下にしたわね。
「あんたは前しか見えてないんだよ。そりゃあたい達はお嬢のシモベだ。命令されりゃ何だってするさ。けどね、仮にあんたが目標量の米齢時を平らげたところで、そこに幸せなんてありゃしないんだよ」
「当然だわ。呪われたあたしは、真っ当な人間として時を刻めない運命にあるのよ? それを解いたところで失われた時間は二度と戻って来ないもの。あたしは人並みの幸せなんて最初から求めていない。お胸さえあればいいのよ。……いじらしいと思わなくて? 同じ女として、ささやかで可憐な乙女の願いだとあなたはこのあたしに同情してはくれないのかしら?」
同情?
そう呟いた猫目に鼻で笑われてしまった。
「まさか、あんたの口からそんな弱々しい言葉が出て来るとは思わなかった。タダの箱入り娘じゃないと踏んでたんだけどね、こっちは。ぶっちゃけ失望したよ。今のあんたは内弁慶の単なるロリババアだ」
ぷっつーん
ムシャクシャしたので殺った。
今は反省している。
こんな時かしら。
カッとなった人がうっかり相手を殺めてしまう状況って……。
けれども、残念ながら実質幼女のあたしにはその術がないの。
唯一の異能――"乙女の喉フィスト"は『静かな時限爆弾』と称されるアスベストの如き時間差暗殺手段だし、しかも排泄してしまったらそれは無効になるし……更に猫目は人ですらないし。
結論から言って、あたしは衝動的に目の前の生意気な女を亡き者にはできやしない。
必然、怒りの矛先は不甲斐ない自分自身に向けられる。
「随分ねえ、猫目。あたしのことをそこまで見縊っていたなんて。……いいこと? あたしは御頭に卵の殻を被ったヒヨコではなくってよ。けれども、あなたの指摘もこれまた事実。ならばお外の世界に出て、まずは内面から立派な雌鳥に成長してみせるわ。お胸はその後でもよくってよ」
「へえー、そりゃまた殊勝な心掛けだね。じゃ、気をつけて行ってきな。……どれ、あたいはここらで一眠り」
黒猫化した猫目の首根っこをひょいと掴んだあたしは言う。
「何を無責任なこと仰るのかしら、この怠け猫は」
「ふ、ふにゃあああっ?」
「今から大人の階段上って華麗に羽化していく様を、淑女の先輩であるあなたが見届けなくてどうするの? 着替えてくるからそこでお待ちになってね……ばあや」
2階へ向かおうとお台所から立ち去ろうとしたけれど、あたしは振り返って狼狽する猫目に付け加える。
「そうそう、あたしは確かにあなたの仰るように29歳のロリ――ロリババアだわ。でもね、タダのロリババアではないことよ。……グレートをお忘れになっちゃ困るわ。これからあたしのことは"GLJ"とお呼び遊ばせ」
GLJ(GREAT・LOLIBBA・JISHINGI)、満を持して始動!
お粥案を除けば、どれもこれも性悪サディストが思いつく罰ゲームでしかないじゃない。
やはり、あなたは炊飯器がお似合いよ。
どうぞそのままでいらして。
金輪際、召喚することもないでしょう。
こうなると、結局あの知恵者(だけど、どこか抜けてる)――砂翁に頼らないといけないのかしらん……癪だわ。
でもね、そうしないことには八方塞がりですもの。
などと頭を抱えていたら、それまで野次馬ならぬ野次猫に徹していた猫目が再び喪服姿の女で現れたじゃない。
「あらま、何か御用かしら? 高みの見物からそのまま優雅に午睡へ突入するかと思ってたけれど」
「そうする積もりだったんだけどね。お嬢のヒステリーで一気に目が覚めちまったんだよ」
いちいち気に障る物言いね。
もしかして、あたしってばシモベ達に舐められているのかしら?
「あなた、自分の立場をわかってらして? また正座させるわよ?」
「正座でよければいくらでもしてやるよ」
「では、お胸2000揉みの刑」
「それだけはやめてっ! それよりさ、あんたこそ自分の立場がわかってんのかい?」
いけない。空腹丸の比じゃないわ。
何だか本格的に腹が立ってきた。
「何よ? 言いたいことがあるのなら、はっきりと仰い!」
「なら遠慮なく。あんたは実年齢で言えば確かに29歳だけどさ、それに見合う経験ってもんが皆無なんだよ。それなのに、他人の寿命奪ってポーンと成長したところで、一体そこから何が得られると思ってんの?」
「お胸でしょ?」
「即答してんじゃないよ!」
「だってあたし、それさえ手に入ればいいもの」
「デカい乳になったところで所詮あんたは5歳児のまんまなんだ。あんたはね、もっと外の世界を知る必要がある。レディコミや女性週刊誌で得た知識だけで世の中渡り歩けると思ったら大間違いだよ!」
何なのよ?
どうしてあたし、人でもない猫目に人としての生き方を説かれているのかしら?
「あのね、あたしには時間がないの。あなたが言う通り、これから大人の階段上る修業にお外へ出たとしましょうか? それがどれくらいの期間を要するかはわからないけれど、時が経てば経つだけあたしは自然の理に則って年齢を重ねるし、それに相当する分の米齢時を今の胃袋の大きさのまま食べなくてはならないことよ? おわかり? ただでさえ今のあたしはそれがクリアできないのに、何が哀しくて徒にノルマを増大させなくてはいけないのかしら?」
「視野が狭いね」
顔色一つ変えず、たった一言でそう返す猫目。
……あたしの饒舌、易々と無下にしたわね。
「あんたは前しか見えてないんだよ。そりゃあたい達はお嬢のシモベだ。命令されりゃ何だってするさ。けどね、仮にあんたが目標量の米齢時を平らげたところで、そこに幸せなんてありゃしないんだよ」
「当然だわ。呪われたあたしは、真っ当な人間として時を刻めない運命にあるのよ? それを解いたところで失われた時間は二度と戻って来ないもの。あたしは人並みの幸せなんて最初から求めていない。お胸さえあればいいのよ。……いじらしいと思わなくて? 同じ女として、ささやかで可憐な乙女の願いだとあなたはこのあたしに同情してはくれないのかしら?」
同情?
そう呟いた猫目に鼻で笑われてしまった。
「まさか、あんたの口からそんな弱々しい言葉が出て来るとは思わなかった。タダの箱入り娘じゃないと踏んでたんだけどね、こっちは。ぶっちゃけ失望したよ。今のあんたは内弁慶の単なるロリババアだ」
ぷっつーん
ムシャクシャしたので殺った。
今は反省している。
こんな時かしら。
カッとなった人がうっかり相手を殺めてしまう状況って……。
けれども、残念ながら実質幼女のあたしにはその術がないの。
唯一の異能――"乙女の喉フィスト"は『静かな時限爆弾』と称されるアスベストの如き時間差暗殺手段だし、しかも排泄してしまったらそれは無効になるし……更に猫目は人ですらないし。
結論から言って、あたしは衝動的に目の前の生意気な女を亡き者にはできやしない。
必然、怒りの矛先は不甲斐ない自分自身に向けられる。
「随分ねえ、猫目。あたしのことをそこまで見縊っていたなんて。……いいこと? あたしは御頭に卵の殻を被ったヒヨコではなくってよ。けれども、あなたの指摘もこれまた事実。ならばお外の世界に出て、まずは内面から立派な雌鳥に成長してみせるわ。お胸はその後でもよくってよ」
「へえー、そりゃまた殊勝な心掛けだね。じゃ、気をつけて行ってきな。……どれ、あたいはここらで一眠り」
黒猫化した猫目の首根っこをひょいと掴んだあたしは言う。
「何を無責任なこと仰るのかしら、この怠け猫は」
「ふ、ふにゃあああっ?」
「今から大人の階段上って華麗に羽化していく様を、淑女の先輩であるあなたが見届けなくてどうするの? 着替えてくるからそこでお待ちになってね……ばあや」
2階へ向かおうとお台所から立ち去ろうとしたけれど、あたしは振り返って狼狽する猫目に付け加える。
「そうそう、あたしは確かにあなたの仰るように29歳のロリ――ロリババアだわ。でもね、タダのロリババアではないことよ。……グレートをお忘れになっちゃ困るわ。これからあたしのことは"GLJ"とお呼び遊ばせ」
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