25 / 31
本編
不機嫌
しおりを挟む
「ハツメに何て言ったの?」
6が僕の手から紙コップを奪って、それをゴミ箱に捨てた。
「卑猥なコトに決まってるじゃん。キャッチャーさん、えっちぃ」
「紫ちゃんじゃあるまいし」
翔姉さんは僕をジッと凝視したが、すぐ雅さんに続いてハツメの後を追った。
慌てて、紫ちゃんも続く。
ちょっと心配になってきた。
まさかアイツ、雅さんに八つ当たりするんじゃないだろうな?
それじゃ、何の解決にもならないのに。
だだっ広いベンチの真ん中で、防具をつけたままの僕は6と2人きり。
「今のはタッちゃんの勝ちだね。しかも、この大観衆の前でハツメに恥をかかせなかった。偉いよ」
「まだだよ。多分、ここから更に荒れる」
「どうして?」
「藤堂さんのこと覚えてる?」
6が目を丸くする。
「キミからその名前を聞くとはね。当然、覚えてるよ。ついこないだまで一緒のチームにいて、一緒にユカリンの料理を食べてたから。……で?」
「目の前のおばさん達を退けたら、次に出てくる」
6が黙る。不吉な沈黙だ。
やがて、静かに口を開く。
「ミヤビンはそのことを知ってるの?」
「知らないよ。……ハツメにも黙ってた方がいいかな?」
6はDRキャップを人差し指でくるくる回し出した。
そのまま待ってても一向に喋る様子がない。
「ハツメはかなり藤堂さんを恨んでるようだけど?」
痺れを切らした僕は質問を変える。
「そりゃね。あの大広間で気づかなかったの?」
まるで責められているみたいだ。愚問だったか。
「藤堂さんはこのハツメ城を陥落させる気でいる。こないだ、僕に宣戦布告してきたよ。『雅を奪う』ってね」
眉をピクッと上げる6。会ってたんだ、という顔だ。
「どうやって落とすの?」
「僕にわかるワケないだろ。あの人自身、成功する見込みがないと言ってたくらいだし」
「ちょ! ソレどんな宣戦布告だよ?」
「単に言いたかっただけだと思う。不器用なクセにヘンにキザだから」
「わかるよ。タッちゃんと藤堂さんのやり取りが目に浮かぶ。2人ともまともじゃないから、傍から見れば爆笑物だろうね」
藤堂さんはともかく、僕が6にどう思われているのか少し気になる。
「あの人の気持ちは本物だよ。首尾よく恋人奪還が成功するかはともかく」
「どうして今まで黙ってたの?」
「言ったらハツメは荒れるだろ? 藤堂さんもそれを狙ってるし」
「藤堂さんの顔を見たらどうせ荒れるよ。もういい。その件はタッちゃんに一任する。わたし、逃げるから」
「勝手だな」
呆れた僕はヘルメットをかぶりミットをはめ、キャッチャーマスクを手に取るとおもむろに立ち上がった。
「何が?」
「僕には『逃げないで』って言っといてさ。諦めろ。なあ、一緒に修羅の道を歩こうぜ?」
「お断り。わたしは1人で歩けるの」
真っ赤なDRキャップをかぶり、6が先にショートのポジションへスタスタ向かった。
またフラれた。
*
休憩終了のアナウンスが場内に流れる。
やがて、雅さん達が奥から順に戻って来る。
ハツメはまだ出て来ない。
3人とも元気がなかったが、雅さんが僕に「ハツメ様なら大丈夫ですよ」と無理に笑顔を作り、ファーストミット片手に一塁へ走った。
翔姉さんも無言で守備につく。
僕は紫ちゃんと一緒に小走りでグラウンドへ出た。
「もしかして、僕のせいでハツメに何かされたの?」
紫ちゃんはニッコリ笑って言う。
「えへへ、ムチと蝋燭責めされちゃったぁ」
「実際は?」
「うぅ……放置プレイですぅ」
途端に落ち込んでしまう。
ハツメの機嫌を取ろうとしたけど、3人揃って無視されたんだな。
今はまだしょうがない。
この僕が情緒不安定のハツメをうまくリードすればいいんだ。
遅れて数分後にハツメが出て来た。
観衆の歓声と拍手にも応えずに、主審からボールをもらってゆっくりとマウンドへ向かう。
口を固く結んだまま、僕を睨むこともない。
だいぶ熱くなってるな。この試合が終われば、こっちから声をかけてやろう。
圧巻の投球だった。
ハツメの宣言通り、この試合は9球で終わらせた。
さすがに、おばさま相手にクロスファイヤーは出せない。全球外角ギリギリに
構えて(それでも、おばさま達はド派手に仰け反っていたが)試合終了。
順調と言えば順調だが、それでいて投球テンポは頗る悪かった。
これはハツメが悪いワケじゃない。
対戦相手のおばさま達はとにかくギャアギャアうるさかった。
ハツメが1球投げるたびに絶叫したり、バラエティー番組の笑い屋みたいに「アーハハハハ」とハイになって田崎さんの肩をバシバシ叩いたり、いちいち打席を外してネクストバッターズサークルに待機する同僚にあーだこーだ報告したりした。
完全に遅延行為で通常ルールならば退場になってもおかしくないのだけれど、哀しいかな、これは野球じゃない。あくまでドリーム・チャレンジであり、対戦相手は無料参加とはいえお客様なのだ。
おかげでハツメのイライラは最高潮に達して、ゲームセットの瞬間マウンドにグラブを叩きつけダッグアウトの奥へと姿を消した。
またも、雅さん達は慌ててハツメの機嫌を取りに後を追う。
幸いなことに、僕の方は1球も落球せず、怒りの炎に油を注がず済んだ。
上達したんだから褒めてくれてもいいのに。
観客だって、ハツメの御乱心にザワついてそれどころじゃないし。
それじゃ、これから僕も機嫌を取りに行くか。
安心しろ、ワガママお姫様。
この名キャッチャーがオマエの全てを受け止めてやる。
ダッグアウトへ下がろうとしたその時だった。
「小泉君」
審判マスクを外した田崎さんが僕を呼び止めた。
普通のおじさんだ。腹を空かせたカマキリに似ている。
ちなみに、彼の声は集音マイクを通じて球場に伝わっているのだが、この時ばかりは胸元のボタンのスイッチを切っていた。
「田崎だ。勝手にキミの入団会見を開かせてもらったよ」
「あ、はい。はじめまして」
まさか、こんなタイミングで挨拶するとは思わなかった。
「ようやく慣れてきたようだな。球場の雰囲気、それにハツメの球筋にも。……小泉君」
「はい?」
「今のハツメは制御不能だ」
制御……不能?
「それは機械的な問題ですか?」
「いや、精神上の問題だよ。私はタダのお飾り社長で、山根のように機械のことまではわからない」
お飾りでもハツメを狂わす千手の人間には違いない。言葉に窮する。
黙ったままの僕に、田崎さんは更に続けた。
「私はね、ハツメの小気味良いピッチングが大好きなんだ。だから、球団社長でありながら特等席の審判をやらさせてもらっている。タダの職権乱用だがね」
何だ、それって僕と一緒じゃないか。
喜びを分かち合いたかったが、今はそれどころじゃない。
「インターバルの10分が過ぎても即失格にはならない」
田崎さんの顔は急に厳しさを増す。
「だが、このままハツメが出て来ないとなれば話は別だ。次の試合はドリーム・レッズの不戦敗、その時点で私の楽しみもなくなってしまう。由々しき事態だよ。……これは千手の人間として言うんじゃない。一ファンの願いだ。何が何でもハツメを連れ戻してくれ」
「……わかりました」
「コレ」
気づかなかった。
すぐ後ろに6がいた。
「隣はね、わたしじゃないんだよ」
「え?」
「タッちゃんがこれから歩く修羅の道」
「……」
僕は6からハツメのグラブを受け取ると、全速力でハツメの元へと向かった。
6が僕の手から紙コップを奪って、それをゴミ箱に捨てた。
「卑猥なコトに決まってるじゃん。キャッチャーさん、えっちぃ」
「紫ちゃんじゃあるまいし」
翔姉さんは僕をジッと凝視したが、すぐ雅さんに続いてハツメの後を追った。
慌てて、紫ちゃんも続く。
ちょっと心配になってきた。
まさかアイツ、雅さんに八つ当たりするんじゃないだろうな?
それじゃ、何の解決にもならないのに。
だだっ広いベンチの真ん中で、防具をつけたままの僕は6と2人きり。
「今のはタッちゃんの勝ちだね。しかも、この大観衆の前でハツメに恥をかかせなかった。偉いよ」
「まだだよ。多分、ここから更に荒れる」
「どうして?」
「藤堂さんのこと覚えてる?」
6が目を丸くする。
「キミからその名前を聞くとはね。当然、覚えてるよ。ついこないだまで一緒のチームにいて、一緒にユカリンの料理を食べてたから。……で?」
「目の前のおばさん達を退けたら、次に出てくる」
6が黙る。不吉な沈黙だ。
やがて、静かに口を開く。
「ミヤビンはそのことを知ってるの?」
「知らないよ。……ハツメにも黙ってた方がいいかな?」
6はDRキャップを人差し指でくるくる回し出した。
そのまま待ってても一向に喋る様子がない。
「ハツメはかなり藤堂さんを恨んでるようだけど?」
痺れを切らした僕は質問を変える。
「そりゃね。あの大広間で気づかなかったの?」
まるで責められているみたいだ。愚問だったか。
「藤堂さんはこのハツメ城を陥落させる気でいる。こないだ、僕に宣戦布告してきたよ。『雅を奪う』ってね」
眉をピクッと上げる6。会ってたんだ、という顔だ。
「どうやって落とすの?」
「僕にわかるワケないだろ。あの人自身、成功する見込みがないと言ってたくらいだし」
「ちょ! ソレどんな宣戦布告だよ?」
「単に言いたかっただけだと思う。不器用なクセにヘンにキザだから」
「わかるよ。タッちゃんと藤堂さんのやり取りが目に浮かぶ。2人ともまともじゃないから、傍から見れば爆笑物だろうね」
藤堂さんはともかく、僕が6にどう思われているのか少し気になる。
「あの人の気持ちは本物だよ。首尾よく恋人奪還が成功するかはともかく」
「どうして今まで黙ってたの?」
「言ったらハツメは荒れるだろ? 藤堂さんもそれを狙ってるし」
「藤堂さんの顔を見たらどうせ荒れるよ。もういい。その件はタッちゃんに一任する。わたし、逃げるから」
「勝手だな」
呆れた僕はヘルメットをかぶりミットをはめ、キャッチャーマスクを手に取るとおもむろに立ち上がった。
「何が?」
「僕には『逃げないで』って言っといてさ。諦めろ。なあ、一緒に修羅の道を歩こうぜ?」
「お断り。わたしは1人で歩けるの」
真っ赤なDRキャップをかぶり、6が先にショートのポジションへスタスタ向かった。
またフラれた。
*
休憩終了のアナウンスが場内に流れる。
やがて、雅さん達が奥から順に戻って来る。
ハツメはまだ出て来ない。
3人とも元気がなかったが、雅さんが僕に「ハツメ様なら大丈夫ですよ」と無理に笑顔を作り、ファーストミット片手に一塁へ走った。
翔姉さんも無言で守備につく。
僕は紫ちゃんと一緒に小走りでグラウンドへ出た。
「もしかして、僕のせいでハツメに何かされたの?」
紫ちゃんはニッコリ笑って言う。
「えへへ、ムチと蝋燭責めされちゃったぁ」
「実際は?」
「うぅ……放置プレイですぅ」
途端に落ち込んでしまう。
ハツメの機嫌を取ろうとしたけど、3人揃って無視されたんだな。
今はまだしょうがない。
この僕が情緒不安定のハツメをうまくリードすればいいんだ。
遅れて数分後にハツメが出て来た。
観衆の歓声と拍手にも応えずに、主審からボールをもらってゆっくりとマウンドへ向かう。
口を固く結んだまま、僕を睨むこともない。
だいぶ熱くなってるな。この試合が終われば、こっちから声をかけてやろう。
圧巻の投球だった。
ハツメの宣言通り、この試合は9球で終わらせた。
さすがに、おばさま相手にクロスファイヤーは出せない。全球外角ギリギリに
構えて(それでも、おばさま達はド派手に仰け反っていたが)試合終了。
順調と言えば順調だが、それでいて投球テンポは頗る悪かった。
これはハツメが悪いワケじゃない。
対戦相手のおばさま達はとにかくギャアギャアうるさかった。
ハツメが1球投げるたびに絶叫したり、バラエティー番組の笑い屋みたいに「アーハハハハ」とハイになって田崎さんの肩をバシバシ叩いたり、いちいち打席を外してネクストバッターズサークルに待機する同僚にあーだこーだ報告したりした。
完全に遅延行為で通常ルールならば退場になってもおかしくないのだけれど、哀しいかな、これは野球じゃない。あくまでドリーム・チャレンジであり、対戦相手は無料参加とはいえお客様なのだ。
おかげでハツメのイライラは最高潮に達して、ゲームセットの瞬間マウンドにグラブを叩きつけダッグアウトの奥へと姿を消した。
またも、雅さん達は慌ててハツメの機嫌を取りに後を追う。
幸いなことに、僕の方は1球も落球せず、怒りの炎に油を注がず済んだ。
上達したんだから褒めてくれてもいいのに。
観客だって、ハツメの御乱心にザワついてそれどころじゃないし。
それじゃ、これから僕も機嫌を取りに行くか。
安心しろ、ワガママお姫様。
この名キャッチャーがオマエの全てを受け止めてやる。
ダッグアウトへ下がろうとしたその時だった。
「小泉君」
審判マスクを外した田崎さんが僕を呼び止めた。
普通のおじさんだ。腹を空かせたカマキリに似ている。
ちなみに、彼の声は集音マイクを通じて球場に伝わっているのだが、この時ばかりは胸元のボタンのスイッチを切っていた。
「田崎だ。勝手にキミの入団会見を開かせてもらったよ」
「あ、はい。はじめまして」
まさか、こんなタイミングで挨拶するとは思わなかった。
「ようやく慣れてきたようだな。球場の雰囲気、それにハツメの球筋にも。……小泉君」
「はい?」
「今のハツメは制御不能だ」
制御……不能?
「それは機械的な問題ですか?」
「いや、精神上の問題だよ。私はタダのお飾り社長で、山根のように機械のことまではわからない」
お飾りでもハツメを狂わす千手の人間には違いない。言葉に窮する。
黙ったままの僕に、田崎さんは更に続けた。
「私はね、ハツメの小気味良いピッチングが大好きなんだ。だから、球団社長でありながら特等席の審判をやらさせてもらっている。タダの職権乱用だがね」
何だ、それって僕と一緒じゃないか。
喜びを分かち合いたかったが、今はそれどころじゃない。
「インターバルの10分が過ぎても即失格にはならない」
田崎さんの顔は急に厳しさを増す。
「だが、このままハツメが出て来ないとなれば話は別だ。次の試合はドリーム・レッズの不戦敗、その時点で私の楽しみもなくなってしまう。由々しき事態だよ。……これは千手の人間として言うんじゃない。一ファンの願いだ。何が何でもハツメを連れ戻してくれ」
「……わかりました」
「コレ」
気づかなかった。
すぐ後ろに6がいた。
「隣はね、わたしじゃないんだよ」
「え?」
「タッちゃんがこれから歩く修羅の道」
「……」
僕は6からハツメのグラブを受け取ると、全速力でハツメの元へと向かった。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
真夏の温泉物語
矢木羽研
青春
山奥の温泉にのんびり浸かっていた俺の前に現れた謎の少女は何者……?ちょっとエッチ(R15)で切ない、真夏の白昼夢。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
パワハラ女上司からのラッキースケベが止まらない
セカイ
ライト文芸
新入社員の『俺』草野新一は入社して半年以上の間、上司である椿原麗香からの執拗なパワハラに苦しめられていた。
しかしそんな屈辱的な時間の中で毎回発生するラッキースケベな展開が、パワハラによる苦しみを相殺させている。
高身長でスタイルのいい超美人。おまけにすごく巨乳。性格以外は最高に魅力的な美人上司が、パワハラ中に引き起こす無自覚ラッキースケベの数々。
パワハラはしんどくて嫌だけれど、ムフフが美味しすぎて堪らない。そんな彼の日常の中のとある日の物語。
※他サイト(小説家になろう・カクヨム・ノベルアッププラス)でも掲載。
女男の世界
キョウキョウ
ライト文芸
仕事の帰りに通るいつもの道、いつもと同じ時間に歩いてると背後から何かの気配。気づいた時には脇腹を刺されて生涯を閉じてしまった佐藤優。
再び目を開いたとき、彼の身体は何故か若返っていた。学生時代に戻っていた。しかも、記憶にある世界とは違う、極端に男性が少なく女性が多い歪な世界。
男女比が異なる世界で違った常識、全く別の知識に四苦八苦する優。
彼は、この価値観の違うこの世界でどう生きていくだろうか。
※過去に小説家になろう等で公開していたものと同じ内容です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
盲目少年
相模とまこ
ライト文芸
ある日、親友の心は狂い始めた。
救いたい一心で差し伸べた手は、虚しく振り払われる。
「お前なんかに、俺の気持ちが分かるのかよ」
親友の放ったその言葉に、僕が出した決断は──……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる