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施設に戻った僕はそれから一ヶ月、情報が遮断された中でひたすらピッチングマシーンの剛速球を受け続けた。
設定球速は徐々に上がり、今では250キロまでなら捕球できるようになった。
だが、ハツメの投げる312キロにはまだまだ隔たりがある。
試しに一度だけ300キロに挑戦してみたが、完全に僕の動体視力の限界を超えていた。
土手っ腹に直撃。
プロテクターを身につけていなかったら、間違いなく内臓破裂だ。
藤堂さん、あなたは偉大ですよ。
僕はこのままあなたの予備員で終わりそうです。
捕球でさえこうだから、あの人類を超越したスピードボールを打つなんてあり得ない。
まして、ハツメのあの変則的なフォームじゃ、腕の位置が見えないからタイミングは余計に取れない。
それにしても……キレイだったな。
いや、ハツメじゃなくてあのフォーム。
受けてみたい。
こんな味気のないピッチングマシーンじゃなくて、無性にアイツの生きた球……乾いた音を立ててキャッチングしたくなった。
おかしいよな。僕はプロの世界でピッチャーとして活躍したかったのに、すっかり千手に洗脳されちまった。
いいさ。洗脳で。
あのハツメには到底敵わない。
機械の腕から繰り出される剛速球じゃなく、あの美しいフォームに僕は完全に魅了されてしまった。今となっては脳裏に焼きついて離れない。
たった1球だけどハツメの投球を見たことで、まだほんの少し残っていたピッチャーへの未練は完全に消え失せた。
やっぱり、サブのままじゃイヤだ。
僕もドリーム・レッズの一員になりたい。
千手のためでもサハラブドームを守るためでもなく、ハツメとバッテリーを組みたいんだ。
そういう意味で藤堂さんは目の上のタンコブ、邪魔なんだ。消えろ!
*
いつもの訓練を終え、シャワーを浴びたばかりの僕に予期せぬ来客があった。
あの日以来、久々に現れた山根が言う。
「出番だよ、メイン」
*
急遽、ドリーム・チャレンジ事業部は三日間の臨時休業を発表した。
定員ギリギリしかいないドリーム・レッズ、しかも守りの要であるキャッチャーの電撃退団によってそれは致し方ない処置だった。
日々の呪詛が利いたのか、藤堂さんがマジで消えた。
喜びよりも戸惑いの方がずっと強い。
「何があったんですか?」
車中の僕は、後部座席の隣に座る山根にそう訊いた。
あのガタイのいい男2人は同乗していない。
その代わり、ずっとピッチングマシーンの剛速球を受け続けていた青いキャッチャーミットが同伴している。僕の相棒だ。
猿轡と手錠、それに紙オムツもない。ずいぶん扱いがよくなったもんだ。
「退団した」
山根は不愉快そうな表情を浮かべて会話を打ち切ろうとするが、僕は食い下がる。
「サブのサブはいるんですか?」
「用意していない。今のところは」
「じゃあ、もう少し愛想よくすべきです。もし僕がこの場で舌を噛んで死んだら、当分は興行を組めないですよ?」
「命を粗末にするな。生きていれば、奴隷扱いの中卒君がハーレム生活だって送れるようになるんだ」
そうか。ドリーム・レッズは藤堂さんを除いたら全員女だ。
これから僕はそこに住むことになる。ドリーム・チャレンジに勝ち続ければ、だけど。
「情報をください。僕は今、この国の消費税が何パーセントなのかも知らないんです」
「藤堂の件は私にもよくわからないんだ。ハツメが藤堂を追い出した。後はチームメートから直接訊いてくれ」
「え、退団じゃないんですか?」
「表向きはね。実質はクビだよ」
ハツメにそこまでの力があるのか。あの千手を困らせるなんて何者だよ?
山根の発言を思い出せば、確かにサハラブドームと命名し、そこを真っ赤に塗らせたのもハツメだ。
女帝だな。……いや、赤い屋根に巣食う悪魔か?
アイツは僕のことを覚えているのかな? 六年前、千手ドームで会ったことを。
今はあのタレ目が怖い。
いきなり臆病風に吹かれて身悶えする。
「武者震いか?」
「純粋に震えてます。本当にこの僕が、四日後にハツメの投げるMAXを捕球しなきゃいけないんですか?」
「三日だよ。臨時休業は今日を含んでいる。……逃げるなよ? 繰り返すが、サブのサブはいないんだ」
「そんなのムチャだ。絶対に間に合いません。僕が捕球できるのは250キロまでです」
「慣れろ。興行までまだ間がある」
「簡単に言わないでくださいよ。250キロだって相当なスピードです。ハツメには手加減して投げてもらいます」
「無理だ。ハツメは312キロしか出せない」
巨大なイースターエッグが見えてきた。
絶望的な僕に、それは赤く膿んだ地球のニキビを連想させる。
「そのようにプログラミングされている。……この私が組んだ張本人だが」
そのままサハラブドームに目を移していると、山根の方から詳細を語り出した。
「ハツメの左腕はまだ検証段階だ。不具合を起こして、打ち頃の球を投げられても困るからね」
「日常生活はどうなんです?」
「支障はないよ。左腕以外」
「左腕のことを質問してるんですが?」
「また怒るのかい? あたかも、ハツメの彼氏のように?」
詰問口調だったか。
どうしてムキになるんだろ。ハツメなんて人としては好きでもないのに。
いいえ、と静かに返す。
安心した、山根は表情一つ変えずに言葉を繋げる。
「ハツメの左腕は投球動作以外、全く動かない。投球に限って言えば、312キロしか投げられない、それこそドリーム・チャレンジ専用ピッチングマシーンだよ、あの娘は」
それを知ってて、ハツメは手術に同意したのか?
「ずっと気になってたんですが、記者会見後、世論は千手を叩いたんじゃないですか?」
山根はゆっくり頷く。
「日弁団や国際人権擁護団体が特にね。だが、想定内の範囲でこのまま幕を引きそうだよ。喉元過ぎれば何とやら、だ」
「ピッチングマシーン化した女の子を晒したことで、千手の企業イメージはむしろ悪くなりませんか?」
「ならないね」
有無を言わせない即答。
「科学や医療の進歩に多少の犠牲はつきものだよ。それを否定してしまったら、今日のような21世紀文明は存在していない。移動手段はいまだに足だろうし、50を待たずして人間は天寿を全うしている。……いいかい? 我々の終着点は人機一体型ピッチングマシーンを量産することなんかじゃない。人類の発展に少しでも貢献する汎用機械を世に送ることだ。もっとイマジネーションを膨らませてみろ。ロボットアームの可能性は無限大なんだよ」
「金儲けでしょ、本音は?」
「無論。我々の本分はそれだよ。一ヶ月前、この車中で私は小泉君にそう言ったのを覚えているか?」
これ以上は無駄な議論だ。
どうしても、僕はこの男が好きになれない。
「山根さん自身はドリーム・レッズ球団とどれくらい関わりがあるんですか?」
「ないよ。殆どない」
よかった、僕は意図的にそう洩らす。
山根も自分が嫌われている自覚はあるようだ。
「安心していいよ。キミとはここでお別れ。仮に再び会うとなれば、それは最終局面だろう」
最終局面……いろんな解釈ができるな。
「観戦にも来ないんですか?」
「ああ。私はハツメからサハラブドーム内の出禁をくらっている。本来ならば、こけら落とし興行も中に入っちゃいけなかったんだが、ちょっと強引にね」
「ハツメにそれだけの権限があるんですか?」
「言っておくが、ハツメはサハラブドームのお姫様、絶対的存在だ。もはや誰も逆らえない。……そうそう、ドーム内に企業広告が一つもない事実に気づいていたか?」
「ええ」
「アレもハツメの指示だ。ゴチャゴチャした看板は景観破壊らしいよ」
まさかとは思ったが、山根のトーンは変わらない。
「情報を遮断されていた小泉君にはわからないだろうが、たった一ヶ月でハツメは一躍国民のカリスマ的存在に登りつめた。時代の寵児だよ。当然、元々あった発言力が、今や千手のお偉方どころかマスコミをも黙らせるほど力を持ってしまったんだ。良くも悪くも今はネット社会、今のハツメは多くの世論を味方につけている。そうなるには条件が揃い過ぎていた」
「条件?」
「機械の左腕を持つ特異性、病的なまでに"赤"に固執する傍若無人な厨二病美少女、そのバックに千手という巨大な組織、試合に負ければ居城は陥落、自身は全てを失わなければならないハイリスク……メディアを含め、もはや誰もが彼女に注目せすにはいられないんだ。ファンもアンチもね。まあ、そこが千手グループの狙いなんだが。我々にとってハツメほどの広告塔は考えられない。そのために長い歳月と最先端の技術、それに巨額な資金を投じたんだからな」
「その広告塔を作り出すために、一人の女の子を機械人間にした事実は覆らない。打算的思考のあなたに罪悪感なんて微塵もないでしょうけどね」
「私はトップダウンに縛られる一介のサラリーマンだよ。世間知らずのおぼっちゃんにマンガみたいな正義を突きつけられたところで、涙を流して反省したりするとでも?」
確かに。
経験を積んでない者は無力だ。ここで声高に叫ぶほど僕は馬鹿じゃない。
「とにかく、私が小泉君と関わるのはここまでだ。よかったな。完全ではないが、キミは自由を取り戻せた」
最後の信号を前にシンミリと洩らす。これが彼なりの別れの言葉だろう。
ただ、こんな中途半端な段階で山根に捨てられるとは思っていなかった。
「誰が僕を案内してくれるんです?」
「雅だ」
山根はこめかみに指をあてながら僕を見た。
「一富士雅……彼女はハツメの秘書だから」
元リーダーが今やハツメの秘書か。
女の園、ハーレムなんて程遠い。すっごいドロドロしてそうだな。
設定球速は徐々に上がり、今では250キロまでなら捕球できるようになった。
だが、ハツメの投げる312キロにはまだまだ隔たりがある。
試しに一度だけ300キロに挑戦してみたが、完全に僕の動体視力の限界を超えていた。
土手っ腹に直撃。
プロテクターを身につけていなかったら、間違いなく内臓破裂だ。
藤堂さん、あなたは偉大ですよ。
僕はこのままあなたの予備員で終わりそうです。
捕球でさえこうだから、あの人類を超越したスピードボールを打つなんてあり得ない。
まして、ハツメのあの変則的なフォームじゃ、腕の位置が見えないからタイミングは余計に取れない。
それにしても……キレイだったな。
いや、ハツメじゃなくてあのフォーム。
受けてみたい。
こんな味気のないピッチングマシーンじゃなくて、無性にアイツの生きた球……乾いた音を立ててキャッチングしたくなった。
おかしいよな。僕はプロの世界でピッチャーとして活躍したかったのに、すっかり千手に洗脳されちまった。
いいさ。洗脳で。
あのハツメには到底敵わない。
機械の腕から繰り出される剛速球じゃなく、あの美しいフォームに僕は完全に魅了されてしまった。今となっては脳裏に焼きついて離れない。
たった1球だけどハツメの投球を見たことで、まだほんの少し残っていたピッチャーへの未練は完全に消え失せた。
やっぱり、サブのままじゃイヤだ。
僕もドリーム・レッズの一員になりたい。
千手のためでもサハラブドームを守るためでもなく、ハツメとバッテリーを組みたいんだ。
そういう意味で藤堂さんは目の上のタンコブ、邪魔なんだ。消えろ!
*
いつもの訓練を終え、シャワーを浴びたばかりの僕に予期せぬ来客があった。
あの日以来、久々に現れた山根が言う。
「出番だよ、メイン」
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急遽、ドリーム・チャレンジ事業部は三日間の臨時休業を発表した。
定員ギリギリしかいないドリーム・レッズ、しかも守りの要であるキャッチャーの電撃退団によってそれは致し方ない処置だった。
日々の呪詛が利いたのか、藤堂さんがマジで消えた。
喜びよりも戸惑いの方がずっと強い。
「何があったんですか?」
車中の僕は、後部座席の隣に座る山根にそう訊いた。
あのガタイのいい男2人は同乗していない。
その代わり、ずっとピッチングマシーンの剛速球を受け続けていた青いキャッチャーミットが同伴している。僕の相棒だ。
猿轡と手錠、それに紙オムツもない。ずいぶん扱いがよくなったもんだ。
「退団した」
山根は不愉快そうな表情を浮かべて会話を打ち切ろうとするが、僕は食い下がる。
「サブのサブはいるんですか?」
「用意していない。今のところは」
「じゃあ、もう少し愛想よくすべきです。もし僕がこの場で舌を噛んで死んだら、当分は興行を組めないですよ?」
「命を粗末にするな。生きていれば、奴隷扱いの中卒君がハーレム生活だって送れるようになるんだ」
そうか。ドリーム・レッズは藤堂さんを除いたら全員女だ。
これから僕はそこに住むことになる。ドリーム・チャレンジに勝ち続ければ、だけど。
「情報をください。僕は今、この国の消費税が何パーセントなのかも知らないんです」
「藤堂の件は私にもよくわからないんだ。ハツメが藤堂を追い出した。後はチームメートから直接訊いてくれ」
「え、退団じゃないんですか?」
「表向きはね。実質はクビだよ」
ハツメにそこまでの力があるのか。あの千手を困らせるなんて何者だよ?
山根の発言を思い出せば、確かにサハラブドームと命名し、そこを真っ赤に塗らせたのもハツメだ。
女帝だな。……いや、赤い屋根に巣食う悪魔か?
アイツは僕のことを覚えているのかな? 六年前、千手ドームで会ったことを。
今はあのタレ目が怖い。
いきなり臆病風に吹かれて身悶えする。
「武者震いか?」
「純粋に震えてます。本当にこの僕が、四日後にハツメの投げるMAXを捕球しなきゃいけないんですか?」
「三日だよ。臨時休業は今日を含んでいる。……逃げるなよ? 繰り返すが、サブのサブはいないんだ」
「そんなのムチャだ。絶対に間に合いません。僕が捕球できるのは250キロまでです」
「慣れろ。興行までまだ間がある」
「簡単に言わないでくださいよ。250キロだって相当なスピードです。ハツメには手加減して投げてもらいます」
「無理だ。ハツメは312キロしか出せない」
巨大なイースターエッグが見えてきた。
絶望的な僕に、それは赤く膿んだ地球のニキビを連想させる。
「そのようにプログラミングされている。……この私が組んだ張本人だが」
そのままサハラブドームに目を移していると、山根の方から詳細を語り出した。
「ハツメの左腕はまだ検証段階だ。不具合を起こして、打ち頃の球を投げられても困るからね」
「日常生活はどうなんです?」
「支障はないよ。左腕以外」
「左腕のことを質問してるんですが?」
「また怒るのかい? あたかも、ハツメの彼氏のように?」
詰問口調だったか。
どうしてムキになるんだろ。ハツメなんて人としては好きでもないのに。
いいえ、と静かに返す。
安心した、山根は表情一つ変えずに言葉を繋げる。
「ハツメの左腕は投球動作以外、全く動かない。投球に限って言えば、312キロしか投げられない、それこそドリーム・チャレンジ専用ピッチングマシーンだよ、あの娘は」
それを知ってて、ハツメは手術に同意したのか?
「ずっと気になってたんですが、記者会見後、世論は千手を叩いたんじゃないですか?」
山根はゆっくり頷く。
「日弁団や国際人権擁護団体が特にね。だが、想定内の範囲でこのまま幕を引きそうだよ。喉元過ぎれば何とやら、だ」
「ピッチングマシーン化した女の子を晒したことで、千手の企業イメージはむしろ悪くなりませんか?」
「ならないね」
有無を言わせない即答。
「科学や医療の進歩に多少の犠牲はつきものだよ。それを否定してしまったら、今日のような21世紀文明は存在していない。移動手段はいまだに足だろうし、50を待たずして人間は天寿を全うしている。……いいかい? 我々の終着点は人機一体型ピッチングマシーンを量産することなんかじゃない。人類の発展に少しでも貢献する汎用機械を世に送ることだ。もっとイマジネーションを膨らませてみろ。ロボットアームの可能性は無限大なんだよ」
「金儲けでしょ、本音は?」
「無論。我々の本分はそれだよ。一ヶ月前、この車中で私は小泉君にそう言ったのを覚えているか?」
これ以上は無駄な議論だ。
どうしても、僕はこの男が好きになれない。
「山根さん自身はドリーム・レッズ球団とどれくらい関わりがあるんですか?」
「ないよ。殆どない」
よかった、僕は意図的にそう洩らす。
山根も自分が嫌われている自覚はあるようだ。
「安心していいよ。キミとはここでお別れ。仮に再び会うとなれば、それは最終局面だろう」
最終局面……いろんな解釈ができるな。
「観戦にも来ないんですか?」
「ああ。私はハツメからサハラブドーム内の出禁をくらっている。本来ならば、こけら落とし興行も中に入っちゃいけなかったんだが、ちょっと強引にね」
「ハツメにそれだけの権限があるんですか?」
「言っておくが、ハツメはサハラブドームのお姫様、絶対的存在だ。もはや誰も逆らえない。……そうそう、ドーム内に企業広告が一つもない事実に気づいていたか?」
「ええ」
「アレもハツメの指示だ。ゴチャゴチャした看板は景観破壊らしいよ」
まさかとは思ったが、山根のトーンは変わらない。
「情報を遮断されていた小泉君にはわからないだろうが、たった一ヶ月でハツメは一躍国民のカリスマ的存在に登りつめた。時代の寵児だよ。当然、元々あった発言力が、今や千手のお偉方どころかマスコミをも黙らせるほど力を持ってしまったんだ。良くも悪くも今はネット社会、今のハツメは多くの世論を味方につけている。そうなるには条件が揃い過ぎていた」
「条件?」
「機械の左腕を持つ特異性、病的なまでに"赤"に固執する傍若無人な厨二病美少女、そのバックに千手という巨大な組織、試合に負ければ居城は陥落、自身は全てを失わなければならないハイリスク……メディアを含め、もはや誰もが彼女に注目せすにはいられないんだ。ファンもアンチもね。まあ、そこが千手グループの狙いなんだが。我々にとってハツメほどの広告塔は考えられない。そのために長い歳月と最先端の技術、それに巨額な資金を投じたんだからな」
「その広告塔を作り出すために、一人の女の子を機械人間にした事実は覆らない。打算的思考のあなたに罪悪感なんて微塵もないでしょうけどね」
「私はトップダウンに縛られる一介のサラリーマンだよ。世間知らずのおぼっちゃんにマンガみたいな正義を突きつけられたところで、涙を流して反省したりするとでも?」
確かに。
経験を積んでない者は無力だ。ここで声高に叫ぶほど僕は馬鹿じゃない。
「とにかく、私が小泉君と関わるのはここまでだ。よかったな。完全ではないが、キミは自由を取り戻せた」
最後の信号を前にシンミリと洩らす。これが彼なりの別れの言葉だろう。
ただ、こんな中途半端な段階で山根に捨てられるとは思っていなかった。
「誰が僕を案内してくれるんです?」
「雅だ」
山根はこめかみに指をあてながら僕を見た。
「一富士雅……彼女はハツメの秘書だから」
元リーダーが今やハツメの秘書か。
女の園、ハーレムなんて程遠い。すっごいドロドロしてそうだな。
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