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第10章 一人、足んない
独房にて
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誰も入って来れねえ独房の中にソイツはいた。
汚物と虫と鼠と病原菌の蔓延する腐臭に満ちたこの空間に看守が寄りつくとしたら、それは死刑執行のお迎え以外考えられねえ。飯さえ食わせねーんだからな、ここは。
もしも看守だとしたら、後ろ手に縛られて寝っ転がってる俺の頭を無遠慮に蹴飛ばすくらいするだろう。
だが、ソイツは突っ立ってるだけで何もしやしねえ。
やれやれ、俺もついに幻覚を見るまでになっちまったか。
我ながら、悪の限りを尽くしてきたと思う。
窃盗、強盗、強姦、殺人、放火、通貨偽造、ついでに立ちション……一番大きいのはやっぱ、王妃誘拐レイプ殺人だよな。だからこそ、こんな厳重に監禁されたんだし。
大体、ここ地下何階だよ?
お天道様も当たらねえのは勿論のこと、酸素がまるで足りやしねえ。
痰がからんで息苦しいのもあるが、酸欠で頭がぼんやりしてあらゆる感覚がおかしくなっちまってる。脳の機能低下どころか、脳細胞が次々と死んじまってんだろうな。
さっさと殺せよ。
王立裁判所の判決に則って、俺は民衆の面前でギロチン台にかけられんだろ?
いいじゃん、やれって。俺はそれにサインしたぞ。
早くしねえと、俺の体はいよいよ蛆虫共に穴だらけにされちまう。エメンタールチーズみてえにな。
「人間として生を受けたのが貴様の不幸の始まりだ」
幻覚野郎が喋りやがった。だとしたら、今のは幻聴だ。
「どうした、死に損ない? 聞こえないか? それとも声を失ってしまったか?」
うるせえな……。
死ぬ前に誰でもいいから話相手が欲しかったんだが、このうざってえ幻聴のせいで考えが変わっちまった。静かに逝きてえ。
「まあいい。どのみち、貴様にはどうすることもできないのだ。この宣告も飽くまで形式上……転生後、どこまで覚えていられるかわかったもんじゃない」
テンセー……? 何だ、それ?
「もしも貴様が悪魔ならば、このような酷い仕打ちを受けずに済んだのだ。実に惜しい。人間にしておくには貴様は惜しいのだよ」
はッ! 何言ってやがる。
もうすぐその人間も終わんだよ! 同情すんなら、今すぐこの俺を悪魔にでもしてみろってんだ!
そしたら、こんな臭い場所とはとっととオサラバだ。そこらの女を捕まえて嬲り殺しながら犯してやる。
ひゃっひゃっひゃっひゃ! 想像しただけでたまんねえや。久しぶりに勃ってきやがった。
さあ、早く俺を悪魔にしてみろよ! 何ならオメエと一緒に女漁りに行ってもいいぜ?
俺よ、こう見えてもナンパで失敗したことねえんだ。……ああ、言い方変えればレイプってヤツな。
「それはできない相談だ。間違いなく貴様はこの世界で死ぬ。死んでもらわなければ転生はできないからな」
何だよ、喋らなくても聞こえてんじゃねえか。
悪魔にできねえだあ?
チッ、期待させやがって。とっとと帰れ、このヘボ悪魔め!
「死に損ないの分際で、この私に向かって悪態をつくとは……さすがだ。だからこそ、私は貴様を選んだのだがな」
選んだって何だよ?
どうせ俺を助けられねえんだろ?
「いかにも。繰り返しになるが、私は王家や民衆同様、この国一番の嫌われ者である貴様の死を望んでいる。だが、その理由は大きく異なる」
この国一番の嫌われ者か……。
自覚はしてるが、やっぱ面と向かって言われると傷つくもんだな。しかも、相手が悪魔となると笑えねえよ。
オメエ、お呼びじゃねえんだよ! 早く消えやがれッ!
「ああ、消えてやるさ。私もこんな便所以下の拘置所、すぐにでも御暇したいもんだ。だが、最後まで聞け。貴様は死ぬより他はないが、別の世界、別の時代で生き返ることができるのだ」
はあ? それが”テンセー”ってヤツか?
「そうだ。……どうだ、嬉しいか?」
嬉しかねえよ。要は人生やり直しってことだろ?
冗談じゃねえや。俺は今の俺が好きなんだ。ようやく好き勝手にできる肉体とスキルを身につけて、さあこれからだって時に調子に乗って王家にまで手を出しちまった。
どうせやり直しできるなら、あの時に戻してくれよ?
「無理だな。宣告第一、貴様に選択権はない。宣告第二、貴様はもうこの世界に戻れない。宣告第三、貴様の転生は一定の年齢まで”寄生”という形をとってもらう。とある理由でな。宣告第四……」
おい、まだあるのか?
「これが最後だ。貴様は今度別世界で生き返っても男になるが、残念ながら死ぬまで女を抱くことはできない。……以上だ」
ケッ!
そんならこのまま死んだ方がマシだぜ。つまんねえ修行僧みてえな人生、こっちから願い下げだ。帰れ帰れ!
「記憶力あるか? 貴様に選択権はないのだ」
そう言うと、悪魔は跪いて俺の口に何かを無理やり入れて呑み込ませた。
衰弱しきったこの俺に、もはやそれを吐き出す力は残っていなかった。
……味しねえ。何だこりゃ?
「”転生の実”だよ。これで用事は済んだ。では、また会おう」
また?
またその、何だ、別世界でオメエと会うってのか?
「ああ。おそらくずっと身近な存在として接触すると思うぜ」
名前は? オメエの名は何だ?
「教えても、死んでしまえば忘れる可能性大だぞ」
それでもいい!
俺はこうして生きてる間、オメエのこと恨み続けっからよ! テンセーなんてくだらねえことに巻き込みやがって!
言えよ! オメエの名前は何だ?
去り際、悪魔は振り向いてこう言いやがった。
「では、仮に”ヨコヤ魔”……と」
汚物と虫と鼠と病原菌の蔓延する腐臭に満ちたこの空間に看守が寄りつくとしたら、それは死刑執行のお迎え以外考えられねえ。飯さえ食わせねーんだからな、ここは。
もしも看守だとしたら、後ろ手に縛られて寝っ転がってる俺の頭を無遠慮に蹴飛ばすくらいするだろう。
だが、ソイツは突っ立ってるだけで何もしやしねえ。
やれやれ、俺もついに幻覚を見るまでになっちまったか。
我ながら、悪の限りを尽くしてきたと思う。
窃盗、強盗、強姦、殺人、放火、通貨偽造、ついでに立ちション……一番大きいのはやっぱ、王妃誘拐レイプ殺人だよな。だからこそ、こんな厳重に監禁されたんだし。
大体、ここ地下何階だよ?
お天道様も当たらねえのは勿論のこと、酸素がまるで足りやしねえ。
痰がからんで息苦しいのもあるが、酸欠で頭がぼんやりしてあらゆる感覚がおかしくなっちまってる。脳の機能低下どころか、脳細胞が次々と死んじまってんだろうな。
さっさと殺せよ。
王立裁判所の判決に則って、俺は民衆の面前でギロチン台にかけられんだろ?
いいじゃん、やれって。俺はそれにサインしたぞ。
早くしねえと、俺の体はいよいよ蛆虫共に穴だらけにされちまう。エメンタールチーズみてえにな。
「人間として生を受けたのが貴様の不幸の始まりだ」
幻覚野郎が喋りやがった。だとしたら、今のは幻聴だ。
「どうした、死に損ない? 聞こえないか? それとも声を失ってしまったか?」
うるせえな……。
死ぬ前に誰でもいいから話相手が欲しかったんだが、このうざってえ幻聴のせいで考えが変わっちまった。静かに逝きてえ。
「まあいい。どのみち、貴様にはどうすることもできないのだ。この宣告も飽くまで形式上……転生後、どこまで覚えていられるかわかったもんじゃない」
テンセー……? 何だ、それ?
「もしも貴様が悪魔ならば、このような酷い仕打ちを受けずに済んだのだ。実に惜しい。人間にしておくには貴様は惜しいのだよ」
はッ! 何言ってやがる。
もうすぐその人間も終わんだよ! 同情すんなら、今すぐこの俺を悪魔にでもしてみろってんだ!
そしたら、こんな臭い場所とはとっととオサラバだ。そこらの女を捕まえて嬲り殺しながら犯してやる。
ひゃっひゃっひゃっひゃ! 想像しただけでたまんねえや。久しぶりに勃ってきやがった。
さあ、早く俺を悪魔にしてみろよ! 何ならオメエと一緒に女漁りに行ってもいいぜ?
俺よ、こう見えてもナンパで失敗したことねえんだ。……ああ、言い方変えればレイプってヤツな。
「それはできない相談だ。間違いなく貴様はこの世界で死ぬ。死んでもらわなければ転生はできないからな」
何だよ、喋らなくても聞こえてんじゃねえか。
悪魔にできねえだあ?
チッ、期待させやがって。とっとと帰れ、このヘボ悪魔め!
「死に損ないの分際で、この私に向かって悪態をつくとは……さすがだ。だからこそ、私は貴様を選んだのだがな」
選んだって何だよ?
どうせ俺を助けられねえんだろ?
「いかにも。繰り返しになるが、私は王家や民衆同様、この国一番の嫌われ者である貴様の死を望んでいる。だが、その理由は大きく異なる」
この国一番の嫌われ者か……。
自覚はしてるが、やっぱ面と向かって言われると傷つくもんだな。しかも、相手が悪魔となると笑えねえよ。
オメエ、お呼びじゃねえんだよ! 早く消えやがれッ!
「ああ、消えてやるさ。私もこんな便所以下の拘置所、すぐにでも御暇したいもんだ。だが、最後まで聞け。貴様は死ぬより他はないが、別の世界、別の時代で生き返ることができるのだ」
はあ? それが”テンセー”ってヤツか?
「そうだ。……どうだ、嬉しいか?」
嬉しかねえよ。要は人生やり直しってことだろ?
冗談じゃねえや。俺は今の俺が好きなんだ。ようやく好き勝手にできる肉体とスキルを身につけて、さあこれからだって時に調子に乗って王家にまで手を出しちまった。
どうせやり直しできるなら、あの時に戻してくれよ?
「無理だな。宣告第一、貴様に選択権はない。宣告第二、貴様はもうこの世界に戻れない。宣告第三、貴様の転生は一定の年齢まで”寄生”という形をとってもらう。とある理由でな。宣告第四……」
おい、まだあるのか?
「これが最後だ。貴様は今度別世界で生き返っても男になるが、残念ながら死ぬまで女を抱くことはできない。……以上だ」
ケッ!
そんならこのまま死んだ方がマシだぜ。つまんねえ修行僧みてえな人生、こっちから願い下げだ。帰れ帰れ!
「記憶力あるか? 貴様に選択権はないのだ」
そう言うと、悪魔は跪いて俺の口に何かを無理やり入れて呑み込ませた。
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……味しねえ。何だこりゃ?
「”転生の実”だよ。これで用事は済んだ。では、また会おう」
また?
またその、何だ、別世界でオメエと会うってのか?
「ああ。おそらくずっと身近な存在として接触すると思うぜ」
名前は? オメエの名は何だ?
「教えても、死んでしまえば忘れる可能性大だぞ」
それでもいい!
俺はこうして生きてる間、オメエのこと恨み続けっからよ! テンセーなんてくだらねえことに巻き込みやがって!
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