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富山篇
雷鳥
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夕映えの富山湾と冠雪麗しい立山連峰……かつて僕はこの贅沢な景色を今日と同じこの場所で見た。高木家の一員として受け入れられて間もない日のことだ。
十年という歳月は一瞬のような気がするし、久遠劫のような感じもする。
最後に見る景色としてこれは悪くない。上空に浮かぶ巨大な臍帯というミスマッチを含めても、やっぱり悪くはないな。
それくらい、臍帯に於ける僕の感覚は麻痺しまくっている。おそらく、隣に座る檜希もそうなのだろうけれど。
その檜希が少し腰を浮かした。
「あれ、フミヒコ。ほっぺに血が」
「ん、ガラスで切ったか」
反射的に手を触れようとする。
「違う、そっちじゃないよ」
檜希の視線を辿ったのにそんな馬鹿な……そう表情に出そうとした時だ。
「嘘。やっぱりこっちぃ」
「……」
不意を突かれた。……キス?
違う、舐められた。
してやったり。
にひひ、と笑って僕の肩に寄り添う檜希。
「フミの味がする」
「檜希は蚊だな」
「……カダナ???」
まるで通じていない。
首を傾げながらも、彼女はそれ以上訊き返してこなかった。
「死ぬ前に思い出が作れてよかった」
何故か至福の顔になっている。
その相手が僕で申し訳なかった……などとここで謝罪したら、檜希は間違いなく怒りを爆発させるだろうから言葉が出る直前でやめておいた。こういうタイプの女の子は卑屈な態度が大嫌いだから。
実のところ、檜希は美人だ。そこそこどころじゃない。
ルックスのみを判断材料にするならば、檜希は相当モテていただろう。
ただし、彼女の突飛な言動が学校という集団生活に合わないせいで幾分か浮いていた感は否めない。昨日、彼女の存在を知った僕でさえそう感じたくらいだ。
そんな美女を相手に、健全な男子ならばここでグッとくるのが自然なのだろう。
この僕も例外なく、認めるのは癪だがグッときている。
観覧車のゴンドラで二人きり……恋人未満の男女にとって最高のシチュエーションと言っても過言ではない。
今ここで彼女のファーストキスを奪ったとして、誰も非難はできない。勿論、それを心待ちにしている檜希もだ。
それでいて、こんな憧れの状況でさえ僕にとっては煩わしい。
十年前から僕は己を知り、そして己を殺し続けた。
その結果として、ある程度の理性をコントロールできる能力を習得した。そして、僕はその力が割り合い気に入っている。
死んでしまう直前に、衝動的に箍が外れて自分を見失うのだけは御免だ。
十年かけてやっと形成した人格を自ら手放すことは、アイデンティティの喪失を意味する。それはこのまま死んでしまうよりもずっと恐ろしい。
「……何もしないの?」
僕から離れて、不満そうに上目遣いで問う檜希。
「しない」
「チューも?」
「しないよ」
「ねぇ、わかってる? マジでこれがあたし達の最期なんだよ?」
「だからいいんだ。今ここで死ぬからと言って、僕達は駆け込み乗車みたいに慌てて大人の関係になる必要はない」
「呆れた。チューくらいで大人の関係だってさ! 無断で人のおっぱい揉んどいてよく言うわ」
檜希が距離を置き、ツンとそっぽを向く。
けれどもすぐにドンとぶつかってきた。
胸が当たっている。というか、故意に当てている?
「反論ある?」
「したいけどしない。意識はしなかったけれども、その行為自体は事実だからね」
「だ――っ、相変わらずムカつく言い方! 言っとくけど、あたしにとってフミヒコは駆け込み乗車なんかじゃないから。そこんとこはわかっててほしいな」
「……どういう意味だろう?」
「ちょっ! どこまで鈍感なんだか! あたしがフミヒコを意識し出したのは昨日今日じゃないんだから。へその緒見るついでにずっとキミのことも見てたんだよ。……は、恥ずかしいこと言わせんなって!」
担任の言葉と重なる。
檜希の恥ずかしさがこっちにもジワジワ伝染してきた。
空が夕焼けでよかったと思う。おそらく、僕も彼女も真っ赤な顔になっているだろうから。
「あぁっ、間が持たなくなっちゃった! そーだっ! このまま死んじゃうのも辛気臭いから、カメダで買った例のアレ食べよう!」
「最後の晩餐」
「うん。まだおなかは空いてないけどさ」
「僕は割と空いている。だけど、要らない」
観覧車が一周する時間が約十五分として、このてっぺんに臍帯がいるから約七分半、既に二分以上が経過したと仮定して、僕達に残された時間は五分。
「僅かな一時の空腹を満たすより、僕はUCJプロジェクトの詳細が知りたい。檜希だってずっとそれを話したかった筈だ」
「あー」
彼女の目線は下に、足元のガラス片を爪先で意味なく右に左に移動させている。
かと思えば、急にこちらを凝視してきた。
「どうした?」
「ごめん。急にいろいろ面倒になっちゃった」
「……」
絶句である。
「ここまで来て、今更ソレ言うかね?」
「だから、ごめんって! その積もりはなかったけれど、結果的にUCJはフミヒコをここまで誘う餌に使っちゃった」
なんてことだ。
「その餌って疑似餌?」
「まさか! あたし、嘘だけはつけない人種だし」
「今し方、嘘ついて僕の頬を舐めたのはどこのどいつだ?」
「だってさ! 生まれて初めて勇気出して想い人にアプローチかけたのに、今のあたしチュー拒否られて超落ち込んでんだもんっ! それなのに、複雑に入り組んだ事情を簡潔に説明しろだなんて、あんた鬼かよ! どうしても知りたきゃ、生き延びて! あたしをこの窮地から救ってフミも助かるのっ! どう、できる?」
理不尽極まる。
理玖も大概だが、この子の場合はそれを遥かに凌駕する。
くどいようだけれど、僕達はもうじき死ぬ。これから頭上の巨大な臍帯に喰われてしまうのだ。尤も、へその緒に口などあるのか定かではないが。
助かるわけがない。
できれば檜希だけでも救ってやりたいけれど、それができるほど僕は超人じゃない。ましてや相手は得体の知れない謎の生命体だ。ゴンドラのガラスを破壊するのとは訳が違う。悪いけれど、諦めてくれ。
そのまま沈黙のままに雪の立山を見ていると、檜希も僕に倣って膝に座りながら同じ視線を送った。彼女の体温を感じる。
「重い?」
「いや」
「真剣な顔してる。何を考えているの?」
「あそこに住んでる雷鳥のことを」
「……雷鳥?」
「そう。彼らもまた、僕達を見ているような気がして」
雷鳥は氷河期時代の生き残りとされている。
しかも留鳥だから、ずっとあの場所にとどまっているのだ。
そう説明したら、
「憧れの目をしてる。もしかして、生まれ変わったら雷鳥になりたかったり?」
「それも悪くない。僕にも雷鳥のような縄張りが欲しいよ。縄張りというより、這松に守られた結界かな」
「結界かぁ。確かにあそこは神の聖域っぽいね」
「小学生の頃、高木家の人達に立山黒部アルペンルートに連れてってもらったことがある。その時にお土産で雷鳥の木彫りを買ってもらった。僕じゃなくて弟だけどね。それ以来、雷鳥が何となく好きなんだ。県鳥でもあるし」
「弟? フミは買ってもらえなかったの?」
「辞退した。僕にはコレがあるから」
バックパックから取り出したのは雷鳥ではなく、蛙の木彫り――シロクだ。
「うわ、可愛くなっ! どうして、そんなキモいのをカバンに入れてるの?」
「普段から持ち歩いてるわけじゃない。僕だって、どうしてこんなのが通学カバンに入ってるのかわからないよ。考えられるとしたら……家族の誰かが密かに忍ばせたとか」
だとしたら、その犯人は理玖以外考えられない。
檜希がクスッと笑う。
「仲のいい家族だね?」
「そうでもないけれど」
「……ねえ、あたしも雷鳥になりたいな。そしていっぱい雄の雷鳥に愛されるの。ストイックな鈍感ゴリラそっくりの雷鳥に」
どんな雷鳥だ、それは。
「残念ながら、日本の雷鳥は今世紀末に絶滅するよ。地球温暖化の影響でね。天敵も多いし」
「それじゃ、ますます親近感が湧いてきちゃう。今のあたし達と一緒の境遇だもの」
「人間じゃない僕達は臍帯によって回収され、そして淘汰されていく……往生際が悪いのは重々承知で、どうしても一つだけ教えてほしい。僕達が人間じゃないと言える定義は何だろう?」
いいわ、それくらいの説明なら。
檜希はそう前置きしてこう答えた。
「人間の子は例外なく番いの間に誕生する。勿論、それは人間に限らず雷鳥にも言えるけれど」
「うん」
「フミヒコには両親が存在しないの」
確かにそうだ。
僕は父のことは辛うじて知っているけれど、母のことはこれまで一切聞かされたことがなかった。
「それは戸籍上って意味?」
んんん、と檜希が首を振って否定する。自然と揺れるポニーテールに、今更ながら胸が高鳴る。
「戸籍上だけじゃないわ。フミヒコ、この世にあなたの母親は完全に存在しないの。過去も現在も未来もね」
そして、付け加えるようにこう言った。
あなたは誰ともへその緒で繋がっていない
「ならば、僕は……いや、檜希だってどうやって産まれたんだ?」
「もう時間切れみたい。あ~あ、キスしたかったな。フミの意気地なし」
バキバキという激しい破壊音とともに、激しくグニャグニャに変形したゴンドラは二人のニンゲンモドキと共にスッポリと臍帯の体内へ呑まれていった。
今わの際に、立山連峰から真っ白な羽毛の雷鳥の鳴き声が聞こえてきた。
でもそれは間違いなく、僕の空耳でしかなかった。
A Winter's Tale
十年という歳月は一瞬のような気がするし、久遠劫のような感じもする。
最後に見る景色としてこれは悪くない。上空に浮かぶ巨大な臍帯というミスマッチを含めても、やっぱり悪くはないな。
それくらい、臍帯に於ける僕の感覚は麻痺しまくっている。おそらく、隣に座る檜希もそうなのだろうけれど。
その檜希が少し腰を浮かした。
「あれ、フミヒコ。ほっぺに血が」
「ん、ガラスで切ったか」
反射的に手を触れようとする。
「違う、そっちじゃないよ」
檜希の視線を辿ったのにそんな馬鹿な……そう表情に出そうとした時だ。
「嘘。やっぱりこっちぃ」
「……」
不意を突かれた。……キス?
違う、舐められた。
してやったり。
にひひ、と笑って僕の肩に寄り添う檜希。
「フミの味がする」
「檜希は蚊だな」
「……カダナ???」
まるで通じていない。
首を傾げながらも、彼女はそれ以上訊き返してこなかった。
「死ぬ前に思い出が作れてよかった」
何故か至福の顔になっている。
その相手が僕で申し訳なかった……などとここで謝罪したら、檜希は間違いなく怒りを爆発させるだろうから言葉が出る直前でやめておいた。こういうタイプの女の子は卑屈な態度が大嫌いだから。
実のところ、檜希は美人だ。そこそこどころじゃない。
ルックスのみを判断材料にするならば、檜希は相当モテていただろう。
ただし、彼女の突飛な言動が学校という集団生活に合わないせいで幾分か浮いていた感は否めない。昨日、彼女の存在を知った僕でさえそう感じたくらいだ。
そんな美女を相手に、健全な男子ならばここでグッとくるのが自然なのだろう。
この僕も例外なく、認めるのは癪だがグッときている。
観覧車のゴンドラで二人きり……恋人未満の男女にとって最高のシチュエーションと言っても過言ではない。
今ここで彼女のファーストキスを奪ったとして、誰も非難はできない。勿論、それを心待ちにしている檜希もだ。
それでいて、こんな憧れの状況でさえ僕にとっては煩わしい。
十年前から僕は己を知り、そして己を殺し続けた。
その結果として、ある程度の理性をコントロールできる能力を習得した。そして、僕はその力が割り合い気に入っている。
死んでしまう直前に、衝動的に箍が外れて自分を見失うのだけは御免だ。
十年かけてやっと形成した人格を自ら手放すことは、アイデンティティの喪失を意味する。それはこのまま死んでしまうよりもずっと恐ろしい。
「……何もしないの?」
僕から離れて、不満そうに上目遣いで問う檜希。
「しない」
「チューも?」
「しないよ」
「ねぇ、わかってる? マジでこれがあたし達の最期なんだよ?」
「だからいいんだ。今ここで死ぬからと言って、僕達は駆け込み乗車みたいに慌てて大人の関係になる必要はない」
「呆れた。チューくらいで大人の関係だってさ! 無断で人のおっぱい揉んどいてよく言うわ」
檜希が距離を置き、ツンとそっぽを向く。
けれどもすぐにドンとぶつかってきた。
胸が当たっている。というか、故意に当てている?
「反論ある?」
「したいけどしない。意識はしなかったけれども、その行為自体は事実だからね」
「だ――っ、相変わらずムカつく言い方! 言っとくけど、あたしにとってフミヒコは駆け込み乗車なんかじゃないから。そこんとこはわかっててほしいな」
「……どういう意味だろう?」
「ちょっ! どこまで鈍感なんだか! あたしがフミヒコを意識し出したのは昨日今日じゃないんだから。へその緒見るついでにずっとキミのことも見てたんだよ。……は、恥ずかしいこと言わせんなって!」
担任の言葉と重なる。
檜希の恥ずかしさがこっちにもジワジワ伝染してきた。
空が夕焼けでよかったと思う。おそらく、僕も彼女も真っ赤な顔になっているだろうから。
「あぁっ、間が持たなくなっちゃった! そーだっ! このまま死んじゃうのも辛気臭いから、カメダで買った例のアレ食べよう!」
「最後の晩餐」
「うん。まだおなかは空いてないけどさ」
「僕は割と空いている。だけど、要らない」
観覧車が一周する時間が約十五分として、このてっぺんに臍帯がいるから約七分半、既に二分以上が経過したと仮定して、僕達に残された時間は五分。
「僅かな一時の空腹を満たすより、僕はUCJプロジェクトの詳細が知りたい。檜希だってずっとそれを話したかった筈だ」
「あー」
彼女の目線は下に、足元のガラス片を爪先で意味なく右に左に移動させている。
かと思えば、急にこちらを凝視してきた。
「どうした?」
「ごめん。急にいろいろ面倒になっちゃった」
「……」
絶句である。
「ここまで来て、今更ソレ言うかね?」
「だから、ごめんって! その積もりはなかったけれど、結果的にUCJはフミヒコをここまで誘う餌に使っちゃった」
なんてことだ。
「その餌って疑似餌?」
「まさか! あたし、嘘だけはつけない人種だし」
「今し方、嘘ついて僕の頬を舐めたのはどこのどいつだ?」
「だってさ! 生まれて初めて勇気出して想い人にアプローチかけたのに、今のあたしチュー拒否られて超落ち込んでんだもんっ! それなのに、複雑に入り組んだ事情を簡潔に説明しろだなんて、あんた鬼かよ! どうしても知りたきゃ、生き延びて! あたしをこの窮地から救ってフミも助かるのっ! どう、できる?」
理不尽極まる。
理玖も大概だが、この子の場合はそれを遥かに凌駕する。
くどいようだけれど、僕達はもうじき死ぬ。これから頭上の巨大な臍帯に喰われてしまうのだ。尤も、へその緒に口などあるのか定かではないが。
助かるわけがない。
できれば檜希だけでも救ってやりたいけれど、それができるほど僕は超人じゃない。ましてや相手は得体の知れない謎の生命体だ。ゴンドラのガラスを破壊するのとは訳が違う。悪いけれど、諦めてくれ。
そのまま沈黙のままに雪の立山を見ていると、檜希も僕に倣って膝に座りながら同じ視線を送った。彼女の体温を感じる。
「重い?」
「いや」
「真剣な顔してる。何を考えているの?」
「あそこに住んでる雷鳥のことを」
「……雷鳥?」
「そう。彼らもまた、僕達を見ているような気がして」
雷鳥は氷河期時代の生き残りとされている。
しかも留鳥だから、ずっとあの場所にとどまっているのだ。
そう説明したら、
「憧れの目をしてる。もしかして、生まれ変わったら雷鳥になりたかったり?」
「それも悪くない。僕にも雷鳥のような縄張りが欲しいよ。縄張りというより、這松に守られた結界かな」
「結界かぁ。確かにあそこは神の聖域っぽいね」
「小学生の頃、高木家の人達に立山黒部アルペンルートに連れてってもらったことがある。その時にお土産で雷鳥の木彫りを買ってもらった。僕じゃなくて弟だけどね。それ以来、雷鳥が何となく好きなんだ。県鳥でもあるし」
「弟? フミは買ってもらえなかったの?」
「辞退した。僕にはコレがあるから」
バックパックから取り出したのは雷鳥ではなく、蛙の木彫り――シロクだ。
「うわ、可愛くなっ! どうして、そんなキモいのをカバンに入れてるの?」
「普段から持ち歩いてるわけじゃない。僕だって、どうしてこんなのが通学カバンに入ってるのかわからないよ。考えられるとしたら……家族の誰かが密かに忍ばせたとか」
だとしたら、その犯人は理玖以外考えられない。
檜希がクスッと笑う。
「仲のいい家族だね?」
「そうでもないけれど」
「……ねえ、あたしも雷鳥になりたいな。そしていっぱい雄の雷鳥に愛されるの。ストイックな鈍感ゴリラそっくりの雷鳥に」
どんな雷鳥だ、それは。
「残念ながら、日本の雷鳥は今世紀末に絶滅するよ。地球温暖化の影響でね。天敵も多いし」
「それじゃ、ますます親近感が湧いてきちゃう。今のあたし達と一緒の境遇だもの」
「人間じゃない僕達は臍帯によって回収され、そして淘汰されていく……往生際が悪いのは重々承知で、どうしても一つだけ教えてほしい。僕達が人間じゃないと言える定義は何だろう?」
いいわ、それくらいの説明なら。
檜希はそう前置きしてこう答えた。
「人間の子は例外なく番いの間に誕生する。勿論、それは人間に限らず雷鳥にも言えるけれど」
「うん」
「フミヒコには両親が存在しないの」
確かにそうだ。
僕は父のことは辛うじて知っているけれど、母のことはこれまで一切聞かされたことがなかった。
「それは戸籍上って意味?」
んんん、と檜希が首を振って否定する。自然と揺れるポニーテールに、今更ながら胸が高鳴る。
「戸籍上だけじゃないわ。フミヒコ、この世にあなたの母親は完全に存在しないの。過去も現在も未来もね」
そして、付け加えるようにこう言った。
あなたは誰ともへその緒で繋がっていない
「ならば、僕は……いや、檜希だってどうやって産まれたんだ?」
「もう時間切れみたい。あ~あ、キスしたかったな。フミの意気地なし」
バキバキという激しい破壊音とともに、激しくグニャグニャに変形したゴンドラは二人のニンゲンモドキと共にスッポリと臍帯の体内へ呑まれていった。
今わの際に、立山連峰から真っ白な羽毛の雷鳥の鳴き声が聞こえてきた。
でもそれは間違いなく、僕の空耳でしかなかった。
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