絵心向上への道

よん

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女神

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 FAイラストを頂戴してしまった。
 何度もお世話になっている偽尾白さんからだ。実にありがたい!

 そのFAがこちら ↓


     



 前回、僕とエビスが泥仕合をやらかした醜い場面を切り取ったものだ。
 いつも思うのだが、絵を描ける人には何かしら宿っていると思う。どうしてこんなにうまく表現できるのか不思議でならない。

「ほほう、なかなかリアルに描けているじゃないか」

 臆面もなく普通に出てきやがった……。
 いつの間にか、背後で腕組みして立っている彼女に僕は舌打ちする。

「こんなに朝早くから何の用だ? 出勤前で忙しいのに」
「私も来る積もりはなかったが、おまえがFAをもらったと聞いてこうして駆けつけてやったのだ」
「こっちは頼んでないんだがな」
「おまえな、その口の利き方は何だ? 私を何だと思っている? 泣く子も黙る文芸の女神ミューズだぞ。少しは私を崇めたらどうなんだ?」
「『泣く子も黙る』ってヤ○ザかよ。最初はそうだったけど、結局は僕の絵にダメ出ししかしてねーじゃん。文芸の女神ミューズなら何かそれらしいアドバイスとかしろよ」
「アドバイスはない」
「ないんかい! 大体、エビスは偽さんのこの絵みたいに美人じゃないし、崇める要素なんてゼロだ」
「呼び捨てするな! おまえ、せっかくもらったFAにケチつけるのか?」
「ケチはつけてない。でも、偽さんは想像でエビスを描いた。それに比べて僕はおまえの顔を実際に見ている。この差は大きい。僕の方が忠実におまえの顔を描けるぜ」
「絵に関してはどこまでも大言壮語を吐くヤツだ。……いいだろう、そこまで言うのなら描いてみろ、この私を。お題は【女神】だ」
「今かよ? 出勤前って言ってんだろ!」
「描かなければ、水道管を破裂させておまえを出勤させなくしてやるぞ。あと、寿司屋に出前を取る。特上十人前だ」
「どこが女神なんだッ! 遣り口がヤ○ザそのものじゃねーか!」
「描けば済む話だ」

 片眉をピクリと上げて、フフンと笑ってやがる。腹立つわ!

「……いいだろう、お望み通り描いてやる。その代わり、すぐにここから消えろよ?」
「ああ、約束してやる」

 その言葉を受けて、僕はパソコンを立ち上げる。
 クソ、こんなヤ○ザ女と遊んでる時間なんてないのに……。



















































 

「ほら、できた。おまえの顔、薬用石鹸ミューズな。……やべえッ、もう時間がない! 遅刻だッ!」

 

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