北白川先生（♀ 独身）に召喚されました

水を差す（２０１４年１１月４日）

　もしかしたら今日の召喚はないと思っていたけど、北白川先生は逃げなかった。

「言った筈だ。ここでは私が絶対だと。罰として今宵は貴様らの口を封じる」

　なるほど、そうきたか。さすが自称魔法使い。

「言いそびれたが、一昨日の秋の天皇賞、見事的中させたぞ。だから昨日は機嫌がよかったのだが、それも貴様らの余計な詮索で全て台無し……『水を差す』行為だ」

　行為？
　僕達は何もしていない。それに、架空間と現実は直接リンクしてないんだろ？

「菊花賞の大負けでたいした額は賭けてなかったが、それでも初めて競馬の素人が重賞を当てたんだ。これで喋るきっかけはできた……そう思っていた」

　饒舌な北白川先生、一変して口を噤つぐむ。
　俯いてその表情は見えない。

　やがて一言、

「憎い……」

　え、それって僕達のこと？

　そうじゃないことが次の一言でわかる。


「あの女狐め！」

　北白川先生がキッと僕達を睨む。

「貴様らはこの私だけを補佐しろ！　絶対にだ！」