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牛に対して琴を弾ず(2014年11月2日)

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「残すところ一月ひとつき余り……今度の期末、貴様らは二度と私に恥を掻かせるな」

 北白川先生のその発言に引っ掛かった渡辺さん、

「誰に恥を掻いたんですか?」

 その直球に滑稽なほど狼狽うろたえ出した。

「誰デスカ? 先生、顔アカーイ」
「赤くなどなっていない! 誰でもいいだろ!」
「よくないです! あたし達は先生のために勉強してるんじゃないんだから!」
「そうだそうだ! 大体、ことわざじゃなくてまともに補習すりゃいいじゃねーか!」
「以前にも言ったが」

 北白川先生はそう前置きした上で、渡辺さんの抗議に勢いづいた鬼束君の席にゆっくり詰め寄る。

「『牛に対して琴をだんず』……馬鹿ややる気のない者には、いくら時間を費やし何を教えても無駄だ。経験上、私はそれを知っている。当人に意識を改めさせるか、それとも」

 鬼束君のこめかみにピストルポーズで指をあてる先生、

「洗脳あるのみ。ね」
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