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角を矯めて牛を殺す(2014年10月31日)
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「沼尻は一番タチが悪い」
召喚早々、北白川先生は伏し目がちな沼尻さんに怒りの矛先を向けた。
「貴様は成績優秀、学級委員として私のクラスをよくまとめてくれている。その点は評価するが、どうして国語だけ欠点なのだ? 私に対する嫌がらせか?」
「そうよ」
ムッとなる北白川先生が目を三角にする直前、「嘘だけど」と沼尻さんがすぐさま前言撤回した。
「漢字とか文法とか知識問題だけ出題すればいいのに。一学期でわかってたんでしょ、あたしが読解苦手なの?」
フフンと笑む北白川先生を、沼尻さんは忌々しそうに睨めつけた。
「現に一学期は欠点取ってなかったんだし。嫌がらせしてるのそっちじゃん」
「読解問題のない国語のテストがあるか? 今回はそっちに比重を置いたまでだ。『角を矯めて牛を殺す』……今回のテストで奮起を期待したんだが却って腐らせてしまったな、貴様の性根を。所詮、人の心がわからない者に読解力など備わっていないか」
召喚早々、北白川先生は伏し目がちな沼尻さんに怒りの矛先を向けた。
「貴様は成績優秀、学級委員として私のクラスをよくまとめてくれている。その点は評価するが、どうして国語だけ欠点なのだ? 私に対する嫌がらせか?」
「そうよ」
ムッとなる北白川先生が目を三角にする直前、「嘘だけど」と沼尻さんがすぐさま前言撤回した。
「漢字とか文法とか知識問題だけ出題すればいいのに。一学期でわかってたんでしょ、あたしが読解苦手なの?」
フフンと笑む北白川先生を、沼尻さんは忌々しそうに睨めつけた。
「現に一学期は欠点取ってなかったんだし。嫌がらせしてるのそっちじゃん」
「読解問題のない国語のテストがあるか? 今回はそっちに比重を置いたまでだ。『角を矯めて牛を殺す』……今回のテストで奮起を期待したんだが却って腐らせてしまったな、貴様の性根を。所詮、人の心がわからない者に読解力など備わっていないか」
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