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花を飾ろうと思ったふたつのキッカケ
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これまで何度かエッセイに書いてきたが、離婚をキッカケに転居した街は治安の悪い都会で、住んでいた家は狭い、うるさい、揺れる、暑い、臭いという人生史上最低最悪物件だった。そのため私は心身を病んでしまった。
自分に合った街と家を探し求めて同じ市内の田舎の区へ引っ越しをして約一ヶ月半。約一年もの間積もりに積もったストレスは未だ発散し切れておらず過敏性腸症候群というストレスで胃腸がおかしくなる病気を発症するなど、未だ体の方はガタガタだ。しかし、心の方はようやく落ち着きを取り戻しつつあり平穏な日々を送る事が出来ている。
心にゆとりが出来た事、部屋が広くなった事がキッカケで最近、新しい趣味を始めた。それが「花を飾る事」である。造花、鉢植え、切花など飾り方は色々あるが、私は造花ではなく生花(切花)を花瓶に生けている。
そもそも何故、花に興味を持つようになったかというとキッカケは2つある。まず1つ目は2年前まで遡る。以前、作業所関連のエッセイに書いた事があるかもしれないが、もう一度改めて説明をしようと思う。
当時、私は発達障害の診断を受け、障害者雇用で働く為に手帳の申請をしていた。申請から決定までの間、障害者が就業訓練をする為の施設(通称、作業所)に通っていたのだが、そこで取り入れていたのが様々な花を花瓶に生ける「フラワーアレンジメント」だった。
どこに通うかは自分で選べるようになっているのだが、パンやお菓子、弁当を作って売ったり、カフェの手伝いなどをする料理系、パソコンを使って絵を描いたり文章を作成したりするクリエイター系、工場や倉庫に出向いて作業をする軽作業系など施設によって色々な職種がある。私は役所で作業所の説明を受けてリストをもらったのだが、その中に「植物を育てる事が出来る施設」と「フラワーアレンジメント出来る施設」があったのだ。
前から植物を育てる事に興味があったが、独学で出来る自信がなく挑戦した事がなかった。教えてくれる人がいれば出来るかもしれないと思い、最初に「植物を育てる事が出来る施設」に問い合わせをしたのだが、返信がなかったため断念。「フラワーアレンジメントが出来る施設」に問い合わせたところすぐに連絡を取り合う事が出来たのでそこに通う事に決めた。
その作業所ではプロのお花の先生の指導を仰ぎながら大中小サイズの花瓶に季節の様々な花を生け、完成品を福祉事業に協力してくれているお店(美容院やクリーニング店等)に納品するという仕事をしていた。協力してくれてるとはいえ、完成品は高額な値段がつくれっきとした商品だ。
初心者は小サイズから始め、慣れて来て技術が向上していくと中→大とグレードアップしていく。小や中は飲み物を入れる普通サイズのグラスぐらいの大きさでわりと簡単だったが、大はラーメンどんぶりぐらいのビッグサイズで難易度が高かった。
大中小の花瓶にただ花を生ける訳ではなくて、花瓶に入れる吸水スポンジのカットや生ける花の水切り(茎をカットする)、花瓶を綺麗に飾り付けする為の包装紙やリボンのカットなど下準備から始め、生け終わった後の仕上げ(包装紙を更に綺麗にカットする)まで自分達で行う。
良くも悪くも非常に手間の掛かる仕事で終わった後の疲労感は半端なかった。が、上手く出来るとお花の先生がきちんと褒めてくれるし、先にも書いたようにただ花瓶に生けるだけではない奥深さがあり、やり甲斐は十分過ぎる程あった。だから、私はこの仕事が大好きで完成した作品は必ず撮影をして保管するようにしたし、今でも時折その写真を眺める事がある。
作業所ではこの他に軽作業の仕事にも取り組んでおり、曜日によってやる仕事は異なっていたが、フラワーアレンジメントの曜日は作業所に通うのを毎週とても楽しみにしていた。障害者雇用での仕事が無事に決まり、作業所を卒業する最後の日に花を生けた時は感慨深い気持ちになった。
以下は作業所で私自らが生けた中で一番気に入っている作品である。(ひまわりがポイント)
お花の先生やスタッフからは「ここを辞めても出来ればお花は続けてもらいたいな」と言われた。そうするにはフラワーアレンジメント教室に通わなければならなくなり、収入を得るどころかむしろ月謝を払わなくてはならないのでさすがにそれは難しかったが、私自身も「これでお花をやめてしまうのは惜しいし寂しいな」と思っていた。
今思えば、この時に先生とスタッフに掛けてもらった言葉が、引っ越し後にお花を飾ろうと思った一番のキッカケになっていたような気がする。
もう1つのキッカケは「花の定期便」である。これは1ヶ月に2回、2、3種類の切花が自宅に届く花の通販の事だ。その都度料金が発生するので正確にはサブスクではないが、システムは似ている。花の種類は基本的にメーカーのお任せだが、私が契約しているのは少し特殊で、ある有名人が自ら花を選んでいる。その有名人は誰かというと、私が10代の頃から推しているバンドL'Arc~en~Cielのベース、tetsuyaである。(実はラルクの紹介記事も執筆しているのが書きたい事が多すぎて止まっている)
前の家に住んでいる時にこの企画が始まり、先に書いた作業所での思い出があったので非常に気になっていたのだが、部屋が狭過ぎて花を飾るスペースなど皆無だったので泣く泣く諦めた。(どれぐらい狭いかというと布団を敷くスペースがなくて寝袋で寝ていたぐらい)
いつか広い部屋に引っ越しをしたら飾ってみようと思っていたのだが、まさかこんなに早くその機会が訪れるとは思わず自分でも驚いている。
自分に合った街と家を探し求めて同じ市内の田舎の区へ引っ越しをして約一ヶ月半。約一年もの間積もりに積もったストレスは未だ発散し切れておらず過敏性腸症候群というストレスで胃腸がおかしくなる病気を発症するなど、未だ体の方はガタガタだ。しかし、心の方はようやく落ち着きを取り戻しつつあり平穏な日々を送る事が出来ている。
心にゆとりが出来た事、部屋が広くなった事がキッカケで最近、新しい趣味を始めた。それが「花を飾る事」である。造花、鉢植え、切花など飾り方は色々あるが、私は造花ではなく生花(切花)を花瓶に生けている。
そもそも何故、花に興味を持つようになったかというとキッカケは2つある。まず1つ目は2年前まで遡る。以前、作業所関連のエッセイに書いた事があるかもしれないが、もう一度改めて説明をしようと思う。
当時、私は発達障害の診断を受け、障害者雇用で働く為に手帳の申請をしていた。申請から決定までの間、障害者が就業訓練をする為の施設(通称、作業所)に通っていたのだが、そこで取り入れていたのが様々な花を花瓶に生ける「フラワーアレンジメント」だった。
どこに通うかは自分で選べるようになっているのだが、パンやお菓子、弁当を作って売ったり、カフェの手伝いなどをする料理系、パソコンを使って絵を描いたり文章を作成したりするクリエイター系、工場や倉庫に出向いて作業をする軽作業系など施設によって色々な職種がある。私は役所で作業所の説明を受けてリストをもらったのだが、その中に「植物を育てる事が出来る施設」と「フラワーアレンジメント出来る施設」があったのだ。
前から植物を育てる事に興味があったが、独学で出来る自信がなく挑戦した事がなかった。教えてくれる人がいれば出来るかもしれないと思い、最初に「植物を育てる事が出来る施設」に問い合わせをしたのだが、返信がなかったため断念。「フラワーアレンジメントが出来る施設」に問い合わせたところすぐに連絡を取り合う事が出来たのでそこに通う事に決めた。
その作業所ではプロのお花の先生の指導を仰ぎながら大中小サイズの花瓶に季節の様々な花を生け、完成品を福祉事業に協力してくれているお店(美容院やクリーニング店等)に納品するという仕事をしていた。協力してくれてるとはいえ、完成品は高額な値段がつくれっきとした商品だ。
初心者は小サイズから始め、慣れて来て技術が向上していくと中→大とグレードアップしていく。小や中は飲み物を入れる普通サイズのグラスぐらいの大きさでわりと簡単だったが、大はラーメンどんぶりぐらいのビッグサイズで難易度が高かった。
大中小の花瓶にただ花を生ける訳ではなくて、花瓶に入れる吸水スポンジのカットや生ける花の水切り(茎をカットする)、花瓶を綺麗に飾り付けする為の包装紙やリボンのカットなど下準備から始め、生け終わった後の仕上げ(包装紙を更に綺麗にカットする)まで自分達で行う。
良くも悪くも非常に手間の掛かる仕事で終わった後の疲労感は半端なかった。が、上手く出来るとお花の先生がきちんと褒めてくれるし、先にも書いたようにただ花瓶に生けるだけではない奥深さがあり、やり甲斐は十分過ぎる程あった。だから、私はこの仕事が大好きで完成した作品は必ず撮影をして保管するようにしたし、今でも時折その写真を眺める事がある。
作業所ではこの他に軽作業の仕事にも取り組んでおり、曜日によってやる仕事は異なっていたが、フラワーアレンジメントの曜日は作業所に通うのを毎週とても楽しみにしていた。障害者雇用での仕事が無事に決まり、作業所を卒業する最後の日に花を生けた時は感慨深い気持ちになった。
以下は作業所で私自らが生けた中で一番気に入っている作品である。(ひまわりがポイント)
お花の先生やスタッフからは「ここを辞めても出来ればお花は続けてもらいたいな」と言われた。そうするにはフラワーアレンジメント教室に通わなければならなくなり、収入を得るどころかむしろ月謝を払わなくてはならないのでさすがにそれは難しかったが、私自身も「これでお花をやめてしまうのは惜しいし寂しいな」と思っていた。
今思えば、この時に先生とスタッフに掛けてもらった言葉が、引っ越し後にお花を飾ろうと思った一番のキッカケになっていたような気がする。
もう1つのキッカケは「花の定期便」である。これは1ヶ月に2回、2、3種類の切花が自宅に届く花の通販の事だ。その都度料金が発生するので正確にはサブスクではないが、システムは似ている。花の種類は基本的にメーカーのお任せだが、私が契約しているのは少し特殊で、ある有名人が自ら花を選んでいる。その有名人は誰かというと、私が10代の頃から推しているバンドL'Arc~en~Cielのベース、tetsuyaである。(実はラルクの紹介記事も執筆しているのが書きたい事が多すぎて止まっている)
前の家に住んでいる時にこの企画が始まり、先に書いた作業所での思い出があったので非常に気になっていたのだが、部屋が狭過ぎて花を飾るスペースなど皆無だったので泣く泣く諦めた。(どれぐらい狭いかというと布団を敷くスペースがなくて寝袋で寝ていたぐらい)
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