上 下
5 / 49
第二章 復讐

第五話

しおりを挟む

勇美の目の前にたかむらの背中があった。両手をななめ上に突き出して、近藤の刀を受け止めている。両中指に水色の水晶がはめ込まれたリングをしており、そこから微かな光が放たれていた。

「た、たかむら!」

「……ようやく戻ったか」

途端に近藤は刀をさやに納め、冷静さを取り戻した。

たかむらの両手と近藤の刀の間に見えた光のようなものが妙に気になり、勇美はその時うたじろうが先程言いかけていたことを思い出した。

(近藤勇を止められるのはたかむらしかいないって言いたかったのかな……。あの両手の光、たぶんアタシの気のせいじゃない)

「戻るのが遅くなってしまい申し訳ございません」

「たかむら、実はこの者らがだな……」

近藤は事の次第を説明しようとしたが、たかむらはそれをやんわりとさえぎって冷静に言葉を続けた。

「察しております。ひとまず私が現世へと向かい、この死者の確認をして参ります」

「おお、頼んだぞ」

「松山勇美殿、そなたの初仕事だ。共に参れ」

「……えっ?!」

「うたじろうも共に参れ」

「は、はい!」

「たかむら、任せたぞ。わしは一旦退出するが、また戻る」

「承知致しました」

近藤は背後にある扉を開けて出て行った。うたじろうが慌てて山田の元に駆け寄って言った。

「山田殿。大変申し訳ございませんが、しばしの間お待ち頂けますか。これより現世へ行き、あなたの主張が正しいかどうかを確認して参ります」

「し、承知つかまつった」

一方、たかむらは補佐隊員の女に向かうと思い切り睨み付け、冷め切った口調で言い放った。

「お前を今日限りで解雇かいこする」

「はぁ?」

女は驚いて目を見開いた。

「何故だい?近藤局長を怒らせたからかい?」

「それだけじゃねぇ。お前の所為でこいつが刺されそうになったんだぞ」

「だからって辞めさせることないだろ」

「駄目だ。いちいちそんな騒ぎを起こされてたら仕事に支障が出る。これからはお前と入れ替わりでこいつにやってもらう」

たかむらは勇美をチラリと見た。

「ちょっと待って」

「何だ」

「確かにこの人色々失礼だけどさ、いきなりクビとかヒドくない?」

「刺されそうになったのによくそんなこと言えるな」

「何か事情があるのかもしれないじゃん」

「事情ってなんだよ」

「知らないよ。でもクビにする前にもう一度チャンスをあげてみたら?」

「……お前、本気で言ってんのか?」

たかむらは呆れ返っていたが、勇美は女に向かって尋ねた。

「どう?辞めたくないんでしょ?」

「ちゃんすって何だい?」

「えーと……機会って意味」

「その機会に良い仕事をしたら解雇は撤回するってことかい?」

「そういうこと!」

彼女は腕を組み、黙ったまま勇美とたかむらの顔を交互に見つめていた。やがて勝気な笑みを浮かべると口を開いた。

「やってやろうじゃないのさ」

たかむらは舌打ちをするとぼそっと呟いた。

「……ったく、お前の所為で面倒臭いことになったじゃねぇか」

「良かったじゃん!この人が頑張ってくれたら近藤局長もあんたも楽になるでしょ」

「……好きにしろ」

たかむらは溜息を吐くときびすを返してスタスタと歩き出した。勇美はあっと声を上げた。

「さっきは助けてくれてありがとう!」

たかむらは酷く驚いた様子で一瞬、足を止めて振り返った。切れ長の瞳が大きく見開かれている。

「……後で面倒な事になるのが嫌なだけだ。別にお前のためじゃない」

たかむらは再び歩き出した。そのぎこちない後ろ姿が何とも滑稽こっけいで勇美は少しだけ笑った。

(素直じゃないヤツ!)

「あんた、面白いね」

女が微笑みながら話しかけて来たので勇美は少し驚いた。

(あんたには負けるけどね!)

と、言いたいのを堪えて言った。

「あなたの名前は?」

「私は小林千代こばやしちよだ。よろしく」

「千代さんね。よろしく」

勇美が手を差し出すと千代は手を取り握手を交わした。先程までのピリッとした空気が消えていることに勇美は気づいた。

(悪い人じゃないのかな)

「うたじろうも一緒に行こう!」

「はい!勇美殿!」

こうして勇美はたかむら、千代、うたじろうと共に現世へと向かったのだった。


***


「ここが現世への入り口だ」

補佐隊員の机の後ろにある扉を指してたかむらが言った。その表面には大きな「蘇」という刻印こくいんがあり、彼はその上に自身の片手をかざした。やがてその刻印から大きな淡い光が放たれ、扉が静かに開いた。

「現世に確認に行く作業を『よみがえり』というが、この扉はある程度の経験を積んだ補佐隊員しか開けられない」

「ふーん。千代さんは開けられるの?」

「ああ。私はたかむらの次に補佐隊員になったからね。経験はそれなりにあるさね」

向こう側に入ると、まばゆい光の道が果てしなく続いていた。その手前には石碑せきひのようなものがあり、そこにも刻印があった。たかむらは袖口から一本の巻物を取り出すと、その刻印の上にかざした。

「これは『永眠録えいみんろく』と言って死者の情報が書かれている巻物だ。死者一人につき一本作られる。こいつをこの上にかざすと光の道が認識して、その死者が生きていた時代への道筋を作る。後はそれに沿って歩いて行くだけだ」

刻印が永眠録を認識すると、突然くっきりとした道が出現。たかむらは永眠録を自身の袖口に再びしまい込み、歩き出した。勇美はたかむらの後に続きながら千代に尋ねた。

「千代さんは誰の面接を受けたの?」

「たかむらだよ」

「面接の時もケンカしたの?」

「何言ってんだい。面接の時は普通さ。奴なりに私の生前の境遇きょうぐうや考え方に共感したみたいでね」

「どんな境遇だったの?」

千代が口を開いたその時、急に視界が開けた。それはまるでトンネルの出口のようだった。

澄み切った夜空にぽっかりと満月が浮かんでいる。その下には舗装ほそうされていない広い道。両脇には大きな屋敷がいくつものきを連ねている。真夜中なのか人通りは全くなく、赤黄色に色づいた木々が風になびく音と虫の鳴き声が響いている。季節は秋らしく少し肌寒い。

「永眠録によるとここは戦国時代だな。正確には安土桃山あづちももやま時代だ」

「戦国時代?!それって……あのちょんまげ結った人とかがいる時代?!」

(てっきり現世=アタシが生きていた令和のことだと思ってたけど、よく考えてみたら山田利政もちょんまげだったもんな……令和なワケないか。ってか、もしかして霊界には時代っていう概念がいねんがないってこと?)

勇美の疑問を察したのか、たかむらが口を開いた。

「霊界には時代の概念がない。基本的には日本国内のどの時代の人間も同じ時に霊界に現れる」

「えっ……どういうこと?」

たかむらはふところから紙と筆を取り出して何かを書きつけた。そこには歴史が順番に並んだ年表(中身は適当)と霊界を真ん中にして各時代が四方八方しほうはっぽうに枝分かれしているふたつの図が描かれていた。

「こっちの年表になってる図は現世で考えられている歴史、こっちの枝分かれしてるのが霊界で考えられている歴史だ。実際の流れは年表と変わらないが、霊界では時間軸が違うからこうなる」

「それぞれの時代がパラレルワールドみたいに霊界と直接繋がってるってこと?じゃあ、時代と時代の間にいる人は?」

「適当なころ合いで来る」

「テキトーって雑ー!じゃあ、霊界の時間の流れってどうなってんの?朝とか夜とかは?」

「時間の概念もないから朝も夜もない。太陽がなくいつも曇天で明るさも変わらない。基本的に死んでる奴しかいないから休んだり寝たりしなくても普通に動ける。俺以外はな。だが、ずっと仕事してるのもなんだから始業と終業時間を決めて適度に休みを取るようにしてる。これは近藤局長の計らいだ」

「へぇ~だから宿舎に布団が置いてなかったんだ。ってか近藤局長って怖そうに見えるけどきちんと色々考えてるんだね。うちの店長とは大違いだなぁ」

勇美が現世で働いていた『星庵ほしあん』の店長は近藤よりも年上でかつては仕事も出来、気配り上手で多くの従業員にしたわれていた。

だが、勇美が死ぬ直前には愛想もやる気もなく、従業員の事を見下して要望や意見を突っぱね、罵声を浴びせるパワハラ店長に成り下がってしまっていた。それでも勇美は少しでも職場環境を良くする為、度々店長に意見をしていた。が、ことごとく却下され、その度に

「バイトの癖に俺に指図するな!」

「お前は黙って俺の言うことを聞いてりゃいいんだよ!」

といった罵声ばせいを浴びせられた。店長がそうなってしまったのは妻との離婚が原因だとの噂があったが、本当の事は誰も知らなかった。パワハラに耐え兼ねて退職者が続出したが、近藤勇と新選組に憧れる両親の元、幼い頃から心身共にきたえ抜かれはがねのメンタルを持つ勇美は全く動じなかった。

(これからは近藤局長が上司になるんだよね。父さんと母さんは「正義感があって強い人」と言ってたけどそれは二人の中のイメージだし、実際にはどんな人なんだろ……まっ、あのパワハラ店長よりはマシだろうけど!)

うたじろうが辺りを見回して言った。

「死者は今どこにいるんでしょう?」

「どこって霊界にいるんじゃないの?」

勇美の言葉にたかむらが馬鹿にしたような口調で言った。

「何言ってんだ。ここは山田利政が死ぬ前の世界だ。そうでなければ死因を確認できないだろうが」

勇美が首をかしげたまま黙ってしまったので、千代が助け舟を出した。

「つまり、山田利政が死ぬ前の世界に戻ったってわけさ」

「タイムスリップってことか。ドラ●もんのタイムマシンみたい」

「たいむすりっぷ……?」

「どら●もん……?たいむましん……?」

勇美の言葉に千代とうたじろうが首を傾げた。

「何でもない!今のは忘れて!」

うたじろうと千代は顔を見合わせて不思議そうな表情を浮かべた。

(そっか。時代が違うから英語とかカタカナが通じないんだ。あれ?でもたかむらには何それとか聞かれた事ないな)

一人で歩き始めたたかむらの後を追い掛け、勇美は尋ねた。

「たかむらは英語が分かるの?」

「補佐をやる為に勉強した。お前と同じ令和や平成から来る死者もいるからな。外人だってたまに来るんだぞ。話せる奴がいないと裁けねぇだろ」

「マジか!あんた意外と真面目なんだね!」

「意外で悪かったな」

たかむらは不機嫌そうに歩くスピードを速めた。

「ってかまだ夜中じゃん。どこ行く気?朝になってから行動した方がいいんじゃないの?」

「待ってる暇なんてねえよ」

「なんで?」

たかむらは何も答えなかった。何かに集中しているのかしきりに考えを巡らせている。千代が代わりに口を開いた。

「山田利政に関する何かが起こるとかもう既に起こってるとかそういうことさ」

「ふ~ん。そういや、たかむらと千代さんて何時代の人?」

「私は戦国時代だよ。さっきたかむらが安土桃山時代って言っただろ?その時代さ」

「じゃあ、千代さんはこの時代に生きてたってこと?」

「ああ。ここが私が死ぬ前なのか後なのかは分からないけどね。たかむらは平安時代の貴族だって聞いたけど」

「えっ?!そうなの?!てっきりアタシと同じ時代だと思ってた!」

勇美は千代の言葉に驚きを隠せなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

黒龍の神嫁は溺愛から逃げられない

めがねあざらし
BL
「神嫁は……お前です」 村の神嫁選びで神託が告げたのは、美しい娘ではなく青年・長(なが)だった。 戸惑いながらも黒龍の神・橡(つるばみ)に嫁ぐことになった長は、神域で不思議な日々を過ごしていく。 穏やかな橡との生活に次第に心を許し始める長だったが、ある日を境に彼の姿が消えてしまう――。 夢の中で響く声と、失われた記憶が導く、神と人の恋の物語。

ハレマ・ハレオは、ハーレまない!~億り人になった俺に美少女達が寄ってくる?だが俺は絶対にハーレムなんて作らない~

長月 鳥
キャラ文芸
 W高校1年生の晴間晴雄(ハレマハレオ)は、宝くじの当選で億り人となった。  だが、彼は喜ばない。  それは「日本にも一夫多妻制があればいいのになぁ」が口癖だった父親の存在が起因する。  株で儲け、一代で財を成した父親の晴間舘雄(ハレマダテオ)は、金と女に溺れた。特に女性関係は酷く、あらゆる国と地域に100名以上の愛人が居たと見られる。  以前は、ごく平凡で慎ましく幸せな3人家族だった……だが、大金を手にした父親は、都心に豪邸を構えると、金遣いが荒くなり態度も大きく変わり、妻のカエデに手を上げるようになった。いつしか住み家は、人目も憚らず愛人を何人も連れ込むハーレムと化し酒池肉林が繰り返された。やがて妻を追い出し、親権を手にしておきながら、一人息子のハレオまでも安アパートへと追いやった。  ハレオは、憎しみを抱きつつも父親からの家賃や生活面での援助を受け続けた。義務教育が終わるその日まで。  そして、高校入学のその日、父親は他界した。  死因は【腹上死】。  死因だけでも親族を騒然とさせたが、それだけでは無かった。  借金こそ無かったものの、父親ダテオの資産は0、一文無し。  愛人達に、その全てを注ぎ込み、果てたのだ。  それを聞いたハレオは誓う。    「金は人をダメにする、女は男をダメにする」  「金も女も信用しない、父親みたいになってたまるか」  「俺は絶対にハーレムなんて作らない、俺は絶対ハーレまない!!」  最後の誓いの意味は分からないが……。  この日より、ハレオと金、そして女達との戦いが始まった。  そんな思いとは裏腹に、ハレオの周りには、幼馴染やクラスの人気者、アイドルや複数の妹達が現れる。  果たして彼女たちの目的は、ハレオの当選金か、はたまた真実の愛か。  お金と女、数多の煩悩に翻弄されるハレマハレオの高校生活が、今、始まる。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

皇帝の寵妃は謎解きよりも料理がしたい〜小料理屋を営んでいたら妃に命じられて溺愛されています〜

空岡
キャラ文芸
後宮×契約結婚×溺愛×料理×ミステリー 町の外れには、絶品のカリーを出す小料理屋がある。 小料理屋を営む月花は、世界各国を回って料理を学び、さらに絶対味覚がある。しかも、月花の味覚は無味無臭の毒すらわかるという特別なものだった。 月花はひょんなことから皇帝に出会い、それを理由に美人の位をさずけられる。 後宮にあがった月花だが、 「なに、そう構えるな。形だけの皇后だ。ソナタが毒の謎を解いた暁には、廃妃にして、そっと逃がす」 皇帝はどうやら、皇帝の生誕の宴で起きた、毒の事件を月花に解き明かして欲しいらしく―― 飾りの妃からやがて皇后へ。しかし、飾りのはずが、どうも皇帝は月花を溺愛しているようで――? これは、月花と皇帝の、食をめぐる謎解きの物語だ。

ハピネスカット-葵-

えんびあゆ
キャラ文芸
美容室「ハピネスカット」を舞台に、人々を幸せにするためのカットを得意とする美容師・藤井葵が、訪れるお客様の髪を切りながら心に寄り添い、悩みを解消し新しい一歩を踏み出す手助けをしていく物語。 お客様の個性を大切にしたカットは単なる外見の変化にとどまらず、心の内側にも変化をもたらします。 人生の分岐点に立つ若者、再出発を誓う大人、悩める親子...多様な人々の物語が、葵の手を通じてつながっていく群像劇。 時に笑い、たまに泣いて、稀に怒ったり。 髪を切るその瞬間に、人が持つ新しい自分への期待や勇気を紡ぐ心温まるストーリー。 ―――新しい髪型、新しい物語。葵が紡ぐ、幸せのカットはまだまだ続く。

『イケメンイスラエル大使館員と古代ユダヤの「アーク探し」の5日間の某国特殊部隊相手の大激戦!なっちゃん恋愛小説シリーズ第1弾!』

あらお☆ひろ
キャラ文芸
「なつ&陽菜コンビ」にニコニコ商店街・ニコニコプロレスのメンバーが再集結の第1弾! もちろん、「なっちゃん」の恋愛小説シリーズ第1弾でもあります! ニコニコ商店街・ニコニコポロレスのメンバーが再集結。 稀世・三郎夫婦に3歳になったひまわりに直とまりあ。 もちろん夏子&陽菜のコンビも健在。 今作の主人公は「夏子」? 淡路島イザナギ神社で知り合ったイケメン大使館員の「MK」も加わり10人の旅が始まる。 ホテルの庭で偶然拾った二つの「古代ユダヤ支族の紋章の入った指輪」をきっかけに、古来ユダヤの巫女と化した夏子は「部屋荒らし」、「ひったくり」そして「追跡」と謎の外人に追われる! 古代ユダヤの支族が日本に持ち込んだとされる「ソロモンの秘宝」と「アーク(聖櫃)」に入れられた「三種の神器」の隠し場所を夏子のお告げと客観的歴史事実を基に淡路、徳島、京都、長野、能登、伊勢とアークの追跡が始まる。 もちろん最後はお決まりの「ドンパチ」の格闘戦! アークと夏子とMKの恋の行方をお時間のある人はゆるーく一緒に見守ってあげてください! では、よろひこー (⋈◍>◡<◍)。✧♡!

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

処理中です...