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ビールとプリン レミオロメン
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「粉雪」「3月9日」があまりにも有名なレミオロメンだが、私は初期の彼らの曲がお気に入りだ。この曲は記念すべき1枚目のアルバム「朝顔」に入っていて、ファンの間でも人気の高い曲である。
私が彼らのことを知ったのはまさにこのアルバムだった。当時片想いをしていたバイト先の先輩が邦楽、洋楽問わずロックを好んで聞いており色々なCDを貸してくれたのだが、このアルバムはその内の一枚だった。因みにその先輩は以前書いた「私がピカチュウの中の人になった時の話」という記事に登場した片想いの彼のことである。
彼はアルバムの中でこの曲が一番好きだし名曲だと絶賛していた。レミオロメンのヒット曲と比べるとかなり地味で目立たない曲だし、タイトルも「なんでビールとプリン?」という感じで、当時の私には彼がどうしてそこまで絶賛するのかわからなかった。
だが、今回ラブソングをピックアップするにあたり音楽アプリに入っている曲を全て確認したところ(曲数が多すぎるのでさすがに全部は聞いてない)この曲に目が(耳が)留まったのだ。
お腹が空いたから夕飯を作ってと彼女に頼み、主人公はビールを買うために寒空の下、自転車をかっ飛ばしてコンビニへ向かう。「そういえば空き缶片付けてない。彼女に怒られるかも」と、彼女の機嫌を取る為についでに彼女の大好きなプリンもビールと一緒に購入して家路に着く。「何で買ってくるの?太っても私の所為じゃないからね!」と小言を言いながらも笑ってプリンの蓋を開ける彼女。主人公は安心してビールを飲む。幸せなカップルの何気ない日常風景だ。
しかし「旅立つ日」はいつか必ずやって来る。その「旅立つ日」というのが単なる別れなのか、それとも「今生の別れ」なのかは分からない。だが、主人公はその「旅立つ日」が来てしまうことを悲しく思っている。だから、この時間が止まれとは言わないけどせめてもう少しだけゆっくり進んで欲しい。前半ではそんな風に、彼女と笑い合う何気ない日常を幸せだと感じ、主人公は時間を惜しんでいる。
ところが後半では「旅立つ日が迫って」とある。二人の間に何かがあって別れが近づいているのかもしれない。何だか切ないからテレビをつけてみるものの内容は頭に入って来ない。そうこうしている内にレンジが鳴る。彼女が戻ったら一緒にご飯を食べようかなと考えたところで曲が終わる。
前半では彼女が夕飯を作ってくれていた。だが、後半、主人公の元に彼女の姿はない。「彼女が戻ったら」の「戻ったら」は「外出先から彼女が帰って来たら」という意味なのか、それとも「喧嘩やトラブルなど何かがあって突発的に部屋を飛び出してしまった彼女がもしも戻って来たら」という意味なのかは分からない。だが、とにかく主人公は彼女が自分のそばにいないことを「切なく」思っているのである。
最愛の人との何気ない日常生活がどれだけ幸せなのかということを淡々とした歌詞と曲調、そして藤巻さんの静かに語りかけるような歌声で聞かせる曲だ。
何故、私が今になってこの曲の良さを理解できたかというと、結婚・離婚を経て現在、新たなパートナーと交際をしていることが大きいのだろうと思う。
ご飯を作っている最中にただいま、と夫が帰って来る。買い物ついでに私の好物のプリンを買って来てくれてニコリと微笑む夫。ありがとう、と微笑み返す私。ちょっと失敗してしまった夕飯を笑いながら夫婦で食べる。
かつて私にもそんな「何気ない日常」があった。しかし、その「何気ない日常」は決して当たり前ではないということ、何よりそれがどれだけ大切で幸せなことなのか、今ではよく分かる。だからこそ、今交際しているパートナーと「何気ない日常」を過ごしていても「いつかこの関係にも終わりが来てしまうかもしれない」そう思ってふと悲しくなってしまうのだ。
かつて私が片想いしていた彼もそれまでに様々な恋愛を経験したのだろう。だからこの曲に共感して「名曲だ」と言ったに違いない。あの時、彼がこの曲を絶賛していた理由が今になってようやく分かったような気がする。彼の言う通りこの曲はレミオロメンの隠れた名曲である。
私が彼らのことを知ったのはまさにこのアルバムだった。当時片想いをしていたバイト先の先輩が邦楽、洋楽問わずロックを好んで聞いており色々なCDを貸してくれたのだが、このアルバムはその内の一枚だった。因みにその先輩は以前書いた「私がピカチュウの中の人になった時の話」という記事に登場した片想いの彼のことである。
彼はアルバムの中でこの曲が一番好きだし名曲だと絶賛していた。レミオロメンのヒット曲と比べるとかなり地味で目立たない曲だし、タイトルも「なんでビールとプリン?」という感じで、当時の私には彼がどうしてそこまで絶賛するのかわからなかった。
だが、今回ラブソングをピックアップするにあたり音楽アプリに入っている曲を全て確認したところ(曲数が多すぎるのでさすがに全部は聞いてない)この曲に目が(耳が)留まったのだ。
お腹が空いたから夕飯を作ってと彼女に頼み、主人公はビールを買うために寒空の下、自転車をかっ飛ばしてコンビニへ向かう。「そういえば空き缶片付けてない。彼女に怒られるかも」と、彼女の機嫌を取る為についでに彼女の大好きなプリンもビールと一緒に購入して家路に着く。「何で買ってくるの?太っても私の所為じゃないからね!」と小言を言いながらも笑ってプリンの蓋を開ける彼女。主人公は安心してビールを飲む。幸せなカップルの何気ない日常風景だ。
しかし「旅立つ日」はいつか必ずやって来る。その「旅立つ日」というのが単なる別れなのか、それとも「今生の別れ」なのかは分からない。だが、主人公はその「旅立つ日」が来てしまうことを悲しく思っている。だから、この時間が止まれとは言わないけどせめてもう少しだけゆっくり進んで欲しい。前半ではそんな風に、彼女と笑い合う何気ない日常を幸せだと感じ、主人公は時間を惜しんでいる。
ところが後半では「旅立つ日が迫って」とある。二人の間に何かがあって別れが近づいているのかもしれない。何だか切ないからテレビをつけてみるものの内容は頭に入って来ない。そうこうしている内にレンジが鳴る。彼女が戻ったら一緒にご飯を食べようかなと考えたところで曲が終わる。
前半では彼女が夕飯を作ってくれていた。だが、後半、主人公の元に彼女の姿はない。「彼女が戻ったら」の「戻ったら」は「外出先から彼女が帰って来たら」という意味なのか、それとも「喧嘩やトラブルなど何かがあって突発的に部屋を飛び出してしまった彼女がもしも戻って来たら」という意味なのかは分からない。だが、とにかく主人公は彼女が自分のそばにいないことを「切なく」思っているのである。
最愛の人との何気ない日常生活がどれだけ幸せなのかということを淡々とした歌詞と曲調、そして藤巻さんの静かに語りかけるような歌声で聞かせる曲だ。
何故、私が今になってこの曲の良さを理解できたかというと、結婚・離婚を経て現在、新たなパートナーと交際をしていることが大きいのだろうと思う。
ご飯を作っている最中にただいま、と夫が帰って来る。買い物ついでに私の好物のプリンを買って来てくれてニコリと微笑む夫。ありがとう、と微笑み返す私。ちょっと失敗してしまった夕飯を笑いながら夫婦で食べる。
かつて私にもそんな「何気ない日常」があった。しかし、その「何気ない日常」は決して当たり前ではないということ、何よりそれがどれだけ大切で幸せなことなのか、今ではよく分かる。だからこそ、今交際しているパートナーと「何気ない日常」を過ごしていても「いつかこの関係にも終わりが来てしまうかもしれない」そう思ってふと悲しくなってしまうのだ。
かつて私が片想いしていた彼もそれまでに様々な恋愛を経験したのだろう。だからこの曲に共感して「名曲だ」と言ったに違いない。あの時、彼がこの曲を絶賛していた理由が今になってようやく分かったような気がする。彼の言う通りこの曲はレミオロメンの隠れた名曲である。
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