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障害者が言われて傷つく言葉
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カミングアウトをした時、相手が障害者と接したことがある、周りにいる、もしくは自分が何らかの障害を持っていたり、ある程度の知識や理解がある人はさり気ない気遣いの言葉と共に良い意味で当たり障りのない反応をする。
しかし、障害者と接したことがない、知識が全くない人は言ってはいけないことと良いことの区別がついておらず、こちらが傷つくようなことを平気で言ってくることがある。
もちろん相手はこちらに気を遣っているつもりだし、良かれと思って発言をしている。それが分かるからこそ、また悪気はないと分かっているからこそこちらは複雑な気持ちになるし、無理して気遣わなくていいのに、と思うのである。
幸いなことに私はこれまで障害をカミングアウトしたことで暴言を浴びせられたりなどあからさまな攻撃を受けたことがない。また、私の障害を知っている友人達やパートナー、職場の人にはそういう心ない人がいないことも幸いだ。
では、具体例を言った側と言われた側それぞれの対応方法も兼ねて3つ挙げてみようと思う。
1、「障害を持ってるようには見えないよね!」
【解説】
言われた側は見えないからこそ困っているし悩んでいる。言った側はフォローしてるつもりなのだが、むしろ相手の傷をえぐっていることに気づいてもらいたい。これは発達障害を始め、見た目には分からない精神疾患を持っている人が頻繁に言われる言葉であり、また言われて傷つく人が多い言葉である。
私は一時期、障害者が社会復帰する為の作業所に通っていたが、そこで働く精神疾患を持つ仲間達は見た目からは判断がつかないような人達が多かった。オシャレな人、おしゃべりが好きな人、アイドルが好きな人、アニメや漫画が好きな人。皆、健常者と同じように生きている。しかし、皆その裏側でとても辛い思いをしているのだ。それが理解できるからこそ私は「障害を持っているようには見えないよね」などと声を掛けるようなことはしなかったし、皆の苦労を見ていたらそんな言葉を掛ける気持ちにはとてもなれなかった。何が言いたかというと、つまりこの言葉を掛けてくる人ほど障害を持つ者がどれだけ苦労しているのかを分かっていないということである。
【言われた側の対処】
フォローしようとしているのでそれを利用する。つまり褒め言葉と捉えるのだ。「ありがとうございます」と社交辞令で言った後にさり気なく「でも見えないからこそ悩みが多いんですよ」と一言添えるといいかもしれない。本心は感謝など全くしたくないのだが、この先に長く関わっていくような相手であればひとまず無難な対応をしておくべきだろう。
【言う側の対処】
できれば言わずに飲み込んでもらいたい。思わず言ってしまって相手が気分を害したのが分かったら「ごめんね」と素直に謝るべきである。
2、「あなただけじゃなく誰でもそういうのを持ってるよね。私もあるよ」
【解説】
言った側はあなただけじゃない、というフォローをしたいのである。だが、微妙に言葉のチョイスを間違えていたりすると、言われた側は「辛いのはあんただけじゃないんだから」と突き放されたように思えて不愉快な気持ちになる。
【言われた側の対処】
1よりも返しが難しいが、逆質問をするのが最適かと。つまり「あなたにもあるんだ?具体的にどんなこと?」と聞き出すのである。もしかしたら本当に悩んでいるかもしれないし、そういう場合は自分の経験が相手の役に立つかもしれない。逆質問で噛み合わない答えが返ってきたりスルーされたらそういう人なんだと割り切って付き合い続けるか深く関わらないようにする。
【言う側の対処】
言葉のチョイスと言い方に気をつけてもらいたい。例えば「そうなんだ。教えてくれてありがとう。実は私も(具体的な特性を挙げて)なったことあるから気持ち少し分かるよ。凄く辛いよね。もし何か困ったことあったらいつでも言ってね!」など、相手に寄り添うイメージを持って答えるといいのかもしれない。
3、「障害は個性だよね」
【解説】
これも捉え方は人による。私はどちらかというとこういう風に前向きに捉えることは有りだと思っているし、特性によってはそう思うこともある。しかし、それによって悩んでいる特性を「個性」として捉えてしまうのは厳しいものがある。例えば音や匂いに敏感で公共の場に出ると体調が悪くなってしまう特性を「個性だからね」と言われて良く思う人はいないだろう。「障害は個性」として捉えられるのはそれに悩んでいない、もしくは乗り越えた場合のみだ。何より他人に「障害は個性だ」と勝手に決めつけられるのは不愉快である。個性かどうか判断するのは、いや、していいのは自分自身だけだと私は思っている。
【言われた側の対処】
私の場合はそう思う特性もあるのでひとまず肯定して具体的な例を挙げる。私の場合は数字が苦手だが、文章力があること、だろうか。ない人はまず「そう思う人もいるよね」と前置きしてからハッキリと「でも私は音や匂いに敏感で公共の場に出ると体調が悪くなってしまって凄く悩んでいるからそれを個性とは思えないんだよ」と言うべき。それで不快なことを言われるのであれば、その人とは距離を置いて無難に付き合うか縁を切ってしまってもいいと思う。
【言う側の対処】
まず相手がどういう特性を持っているのかを把握し、尚且つその特性についてどう感じているのかを知る必要がある。私のようにそれを相手が前向きに捉えているようであれば「個性とも言えるね!」と言っても差し支えないだろう。相手の特性を知りもせず、また理解もせずに軽い気持ちでこの発言をすることだけはやめてもらいたい。
以上が具体例である。
言う側にしても言われた側にしても中には「なんでそこまで相手に気を遣わなきゃならないんだよ!めんどくさ!」と思う人もいるだろう。非常に冷たい言い方になるが、そういう人達はカミングアウトせずに生きればいい。障害者と無理に関わる必要もない。というか「面倒くさい」と思うような人と関わるのはこちらとしても不愉快なので縁を切ってくれて大いに結構である。
では、何が言いたいかというと良かれと思った言葉で知らない内に相手を傷つけていることもあるということだ。それは障害者に限った話ではない。無知というのは時に残酷なのだ。お互いに嫌な思いをしない為にも「知る」ということは大切なことなのである。
しかし、障害者と接したことがない、知識が全くない人は言ってはいけないことと良いことの区別がついておらず、こちらが傷つくようなことを平気で言ってくることがある。
もちろん相手はこちらに気を遣っているつもりだし、良かれと思って発言をしている。それが分かるからこそ、また悪気はないと分かっているからこそこちらは複雑な気持ちになるし、無理して気遣わなくていいのに、と思うのである。
幸いなことに私はこれまで障害をカミングアウトしたことで暴言を浴びせられたりなどあからさまな攻撃を受けたことがない。また、私の障害を知っている友人達やパートナー、職場の人にはそういう心ない人がいないことも幸いだ。
では、具体例を言った側と言われた側それぞれの対応方法も兼ねて3つ挙げてみようと思う。
1、「障害を持ってるようには見えないよね!」
【解説】
言われた側は見えないからこそ困っているし悩んでいる。言った側はフォローしてるつもりなのだが、むしろ相手の傷をえぐっていることに気づいてもらいたい。これは発達障害を始め、見た目には分からない精神疾患を持っている人が頻繁に言われる言葉であり、また言われて傷つく人が多い言葉である。
私は一時期、障害者が社会復帰する為の作業所に通っていたが、そこで働く精神疾患を持つ仲間達は見た目からは判断がつかないような人達が多かった。オシャレな人、おしゃべりが好きな人、アイドルが好きな人、アニメや漫画が好きな人。皆、健常者と同じように生きている。しかし、皆その裏側でとても辛い思いをしているのだ。それが理解できるからこそ私は「障害を持っているようには見えないよね」などと声を掛けるようなことはしなかったし、皆の苦労を見ていたらそんな言葉を掛ける気持ちにはとてもなれなかった。何が言いたかというと、つまりこの言葉を掛けてくる人ほど障害を持つ者がどれだけ苦労しているのかを分かっていないということである。
【言われた側の対処】
フォローしようとしているのでそれを利用する。つまり褒め言葉と捉えるのだ。「ありがとうございます」と社交辞令で言った後にさり気なく「でも見えないからこそ悩みが多いんですよ」と一言添えるといいかもしれない。本心は感謝など全くしたくないのだが、この先に長く関わっていくような相手であればひとまず無難な対応をしておくべきだろう。
【言う側の対処】
できれば言わずに飲み込んでもらいたい。思わず言ってしまって相手が気分を害したのが分かったら「ごめんね」と素直に謝るべきである。
2、「あなただけじゃなく誰でもそういうのを持ってるよね。私もあるよ」
【解説】
言った側はあなただけじゃない、というフォローをしたいのである。だが、微妙に言葉のチョイスを間違えていたりすると、言われた側は「辛いのはあんただけじゃないんだから」と突き放されたように思えて不愉快な気持ちになる。
【言われた側の対処】
1よりも返しが難しいが、逆質問をするのが最適かと。つまり「あなたにもあるんだ?具体的にどんなこと?」と聞き出すのである。もしかしたら本当に悩んでいるかもしれないし、そういう場合は自分の経験が相手の役に立つかもしれない。逆質問で噛み合わない答えが返ってきたりスルーされたらそういう人なんだと割り切って付き合い続けるか深く関わらないようにする。
【言う側の対処】
言葉のチョイスと言い方に気をつけてもらいたい。例えば「そうなんだ。教えてくれてありがとう。実は私も(具体的な特性を挙げて)なったことあるから気持ち少し分かるよ。凄く辛いよね。もし何か困ったことあったらいつでも言ってね!」など、相手に寄り添うイメージを持って答えるといいのかもしれない。
3、「障害は個性だよね」
【解説】
これも捉え方は人による。私はどちらかというとこういう風に前向きに捉えることは有りだと思っているし、特性によってはそう思うこともある。しかし、それによって悩んでいる特性を「個性」として捉えてしまうのは厳しいものがある。例えば音や匂いに敏感で公共の場に出ると体調が悪くなってしまう特性を「個性だからね」と言われて良く思う人はいないだろう。「障害は個性」として捉えられるのはそれに悩んでいない、もしくは乗り越えた場合のみだ。何より他人に「障害は個性だ」と勝手に決めつけられるのは不愉快である。個性かどうか判断するのは、いや、していいのは自分自身だけだと私は思っている。
【言われた側の対処】
私の場合はそう思う特性もあるのでひとまず肯定して具体的な例を挙げる。私の場合は数字が苦手だが、文章力があること、だろうか。ない人はまず「そう思う人もいるよね」と前置きしてからハッキリと「でも私は音や匂いに敏感で公共の場に出ると体調が悪くなってしまって凄く悩んでいるからそれを個性とは思えないんだよ」と言うべき。それで不快なことを言われるのであれば、その人とは距離を置いて無難に付き合うか縁を切ってしまってもいいと思う。
【言う側の対処】
まず相手がどういう特性を持っているのかを把握し、尚且つその特性についてどう感じているのかを知る必要がある。私のようにそれを相手が前向きに捉えているようであれば「個性とも言えるね!」と言っても差し支えないだろう。相手の特性を知りもせず、また理解もせずに軽い気持ちでこの発言をすることだけはやめてもらいたい。
以上が具体例である。
言う側にしても言われた側にしても中には「なんでそこまで相手に気を遣わなきゃならないんだよ!めんどくさ!」と思う人もいるだろう。非常に冷たい言い方になるが、そういう人達はカミングアウトせずに生きればいい。障害者と無理に関わる必要もない。というか「面倒くさい」と思うような人と関わるのはこちらとしても不愉快なので縁を切ってくれて大いに結構である。
では、何が言いたいかというと良かれと思った言葉で知らない内に相手を傷つけていることもあるということだ。それは障害者に限った話ではない。無知というのは時に残酷なのだ。お互いに嫌な思いをしない為にも「知る」ということは大切なことなのである。
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