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ふしぎな友達 ~彼女の正体
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ある日の朝、出かける準備をして全身鏡を見た。
「これでよし……ん?」
ふと、鏡の中の自分に対して何か違和感を覚えた。
「何でだろう……なんかどこかで見たことがあるような……」
顔を近づけてまじまじと見つめる。その時、私はハッとした。まるで雷に打たれたような衝撃が全身を貫いた。
「あれは未来の私だったんだ……」
中学生の時に初めて会った不思議な友達。鏡の中にいたのは彼女だった。あの時と全く同じ服装をしている。
彼女は私が悩む度に姿を現した。私のことを全て知っている、と言って私の未来を全て予言し、当てた。彼女が言った数々の言葉の意味が今の私には全て理解できた。
「私だもん、そりゃあ何でもお見通しだよね……」
そう言って私は鏡の中の自分に向かって微笑みかけた。
(ようやく気がついた?)
頭の中で声がした。とても聞き覚えのある懐かしい声。
「お久しぶりです。どうも最近現れないと思ってました。私が自分の力でここまで来たからなんですね」
(そうだよ。言ったでしょ?私はあなたの幸せをずっと祈ってる。あなたをいつも見守ってるって。最近のあなたは自分の力で次々に壁を乗り越えた。だからもう私の助言は必要ないなって思ったの)
「そんな……もっと話したいこと、聞きたいことが沢山あるのに」
(残念だけど、この先の未来は私には分からないの)
なんて返したらいいのか分からず黙っていると、彼女は静かに言った。
(ありがとう。あなたがここまで頑張って生きてくれたから、私は今ここにいる。あなたが全てに負けて命を絶ってしまわないか、それだけが心配だった)
「もし私が途中で命を絶っていたら、あなたはどうなっていたんですか?」
(……私は消えていたでしょうね)
私は一瞬言葉を失ってしまった。あの波止場で彼女が必死に私を止めたのは私の為でもあり、自分の為でもあったのだ。あの時、もしも私が海に身を投げていたら私は彼女の未来を奪ってしまっていたのだ。何も知らずに。
「……なんか色々とすみませんでした。でも、私がここまで来られたのはあなたが励ましてくれたからです。思えば、あなたは人生の節目に私の前に現れましたよね」
(そうね。人生の節目……とても大事な時だからこそ私はきっとあなたに投げ出して欲しくなかったんだろうね)
「そっか。色々ありがとうございました。なんか自分に向かって礼を言うのは変な感じがするけど」
(確かに。まるで小説みたい)
彼女の楽しそうな笑い声が頭の中に響いた。
(私はこれからもあなたの中にずっといるから。一緒に道を切り開いて行こうね)
その言葉を最後に私達が言葉を交わすことは二度となかった。けれど、私はいつも心の中に彼女の存在を感じた。一緒に成長している。そんな気持ちになった。
ありがとう、私。そして、これからもよろしくね。
「これでよし……ん?」
ふと、鏡の中の自分に対して何か違和感を覚えた。
「何でだろう……なんかどこかで見たことがあるような……」
顔を近づけてまじまじと見つめる。その時、私はハッとした。まるで雷に打たれたような衝撃が全身を貫いた。
「あれは未来の私だったんだ……」
中学生の時に初めて会った不思議な友達。鏡の中にいたのは彼女だった。あの時と全く同じ服装をしている。
彼女は私が悩む度に姿を現した。私のことを全て知っている、と言って私の未来を全て予言し、当てた。彼女が言った数々の言葉の意味が今の私には全て理解できた。
「私だもん、そりゃあ何でもお見通しだよね……」
そう言って私は鏡の中の自分に向かって微笑みかけた。
(ようやく気がついた?)
頭の中で声がした。とても聞き覚えのある懐かしい声。
「お久しぶりです。どうも最近現れないと思ってました。私が自分の力でここまで来たからなんですね」
(そうだよ。言ったでしょ?私はあなたの幸せをずっと祈ってる。あなたをいつも見守ってるって。最近のあなたは自分の力で次々に壁を乗り越えた。だからもう私の助言は必要ないなって思ったの)
「そんな……もっと話したいこと、聞きたいことが沢山あるのに」
(残念だけど、この先の未来は私には分からないの)
なんて返したらいいのか分からず黙っていると、彼女は静かに言った。
(ありがとう。あなたがここまで頑張って生きてくれたから、私は今ここにいる。あなたが全てに負けて命を絶ってしまわないか、それだけが心配だった)
「もし私が途中で命を絶っていたら、あなたはどうなっていたんですか?」
(……私は消えていたでしょうね)
私は一瞬言葉を失ってしまった。あの波止場で彼女が必死に私を止めたのは私の為でもあり、自分の為でもあったのだ。あの時、もしも私が海に身を投げていたら私は彼女の未来を奪ってしまっていたのだ。何も知らずに。
「……なんか色々とすみませんでした。でも、私がここまで来られたのはあなたが励ましてくれたからです。思えば、あなたは人生の節目に私の前に現れましたよね」
(そうね。人生の節目……とても大事な時だからこそ私はきっとあなたに投げ出して欲しくなかったんだろうね)
「そっか。色々ありがとうございました。なんか自分に向かって礼を言うのは変な感じがするけど」
(確かに。まるで小説みたい)
彼女の楽しそうな笑い声が頭の中に響いた。
(私はこれからもあなたの中にずっといるから。一緒に道を切り開いて行こうね)
その言葉を最後に私達が言葉を交わすことは二度となかった。けれど、私はいつも心の中に彼女の存在を感じた。一緒に成長している。そんな気持ちになった。
ありがとう、私。そして、これからもよろしくね。
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