だれでも先生

文野志暢

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五時間目

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お弁当の時間と休み時間も終われば、五時間目のチャイムが鳴ります。

教卓の上で先生であるイヌは元気に尻尾を振り、ネコはお腹がいっぱいなのかすやすやと寝ています。

少年がはっきりと号令をかけました。

「お願いします」

「オイラたちの授業では元気になる方法を教えるワン!」

「すやすや、ニャーニャー」

イヌが授業の説明をすれば、黒板には【元気になる方法】と自動で書かれます。

一 人と遊ぶこと

二 食べること

三 運動すること

「楽しいことやると元気になるワン」

イヌは元気に言います。

「……何もしないこともでも元気になるニャー。ボーッとするのもいいニャァ」

ここで、ネコが起きました。

「何もしないことで元気になるの?」

少女がネコに質問をすれば、ネコは伸びを一つして少女のところへ飛んでいきます。

「元気じゃない時は、自分のコトだけ考えたらいいニャァ。他の人なんて関係ないニャ。だからなーんにもしなくても自分が元気になればいいニャァ」

「そうなんだ」

少女は目を丸くして言いました。

「他に質問はあるかニャ」

「なければ、自分が元気になる方法が教えてほしいワン」

イヌが質問すれば、何人かが手を上げています。

おじさんは「好きなスポーツの試合を見ると元気になりますね」と照れながらながら言います。

お兄さんが「甘いものを食べると元気になるな」と考えてから言いました。

「私も運動すると元気になるわ」とお姉さんが答えます。

「ものを作ると元気になれるわ」とクスクス笑って言うおばあさん。

他の生徒は聞いた言葉をメモしています。

ロボットは目をピカピカ、身体からピコピコ音をさせ、宇宙人はたくさんある腕を上げたり、頭をかいています。

「私にはまだわからないコトだらけです」

「シュゾク ノ チガイ モ アリマス カラ。 ワタシ ノ ホウホウ ハ チキュウ デハ ムズカシイ」

「元気になる方法はみんな違うワン。だから自分のやりやすい元気になる方法を見つけるワン」

イヌが話をまとめればチャイムがなりました。
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