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01 Side 司 02話
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「コーヒーでも飲まないか?」
兄さんの言葉でキッチンへ移動しコーヒーを淹れていると、キッチンカウンターの向こうから確認するように声をかけられた。
「キスをしたってさ、それ、合意のうえで、だよな?」
またしても困ることを……。
結果オーライな感じではあるが、色々と順番を間違えた感が否めない。
あのとき俺は、翠が誰を好きかも知らずに衝動のままにキスをした。
たぶんだけど、キスをしたうえでの告白でなければ、何か都合よく勘違いされて終わった気がする。
「もしかして無理やりなわけ?」
兄さんの目が細まり鋭いものへと変わる。
「秋斗を見てきたからそれだけはしないと思っていたけど……」
咄嗟に「違う」と否定しそうになった。
でも、実際には何も違わない。
「……からかわずに聞いてくれるなら話す」
「真面目な話ならからかったりしない」
声にも表情にも、こちらを面白がる雰囲気がないから話そうと思えた。
会話の内容は話さず、流れのみを話せばいい。
端的に話すと、
「ま、それなら目を瞑るかな? ……っていうか、なんだ。ちゃんと両思いって結果つきだったんだ? 昨日、どれだけつついても全然吐かないからまだ返事もらってないのかと思ってた」
兄さんはコーヒーを一口飲むと、
「良かったな」
からかいも何も含まない声音に表情だった。
……もう、この際だ。最悪ついでに訊いてもいいだろうか。
学校の連中には口が裂けても相談なんてできないことを。
「兄さん……『衝動』って男側にしかないもの?」
「……それはつまり、性衝動ってやつ?」
「……そんなところ」
「くっ……おまえ、青春してるよな」
「……からかうならいい」
カップを持って立ち去ろうとしたら、
「悪い、からかうつもりはないよ」
すぐに謝られた。
兄さんを見ると、いつもと変わらない雰囲気で話し始める。
「性衝動がどこから、って定義にもよるかもしれないけど、人間は人を好きになったらありとあらゆる形で相手を求めるものなんじゃないかな。触れたい、抱きしめたい、キスしたい、セックスしたい。そんな衝動、男も女も関係なく持ってる」
「男も女も関係ない」――
その言葉に少しだけ救われるものの、自分のこれを抑えられるのか、というのは別問題らしい。
「ま、セックスに関してだけなら男のほうが物理的、肉体的快楽を得やすい分、衝動や欲求自体が高まることはあるだろうな。女の子は男よりも社会的、肉体的事後リスクが高い分、本能的に性行為には慎重になるものなんだよね。司だって三大欲求は知ってるだろ? 性欲なんてあって当たり前。生殖行為だから、人間なら誰でも本能として備え持ってる」
「兄さん……俺は『性欲』じゃなくて、『衝動』をどうにかしたいんだけど。……つないだ手を放したくないと思ったり、急に抱きしめたくなったり――そういうの、どうしたら抑えられる?」
「……ひたすら理性で抑えるしかないでしょ。……抑えなくちゃいけない状況なら、ね?」
え……?
「相手が受け入れてくれるなら我慢する必要なんてないだろ? つまり、そういうことだよ」
相手が――翠が受け入れてくれるなら?
ごく当たり前のことを言われた気がするのに、俺はすんなりとは納得しない。
「両思いならそんな難しいことじゃないよ。手をつなぐくらいは普通にできるだろうし……その先は訊いてみたら?」
「なんて……?」
「普通に訊けばいいんじゃないの? 抱きしめてもいい? って。キスしてもいい? って」
そんなこと誰が訊けるかっ。
訊けるだけの余裕があったら「衝動」になんて悩まない。
「あはは、最近の司は表情が豊かだな」
兄さんはクスクスと笑う。
俺は自分の顔が熱くなるのを感じていた。
「司、そんなの最初だけだよ。最初の一、二回訊いて嫌がられなかったらそのあとに拒まれることは稀。……そうだな、心変わりされない限りは大丈夫なんじゃない? あとは場をわきまえていれば平気だと思うけど」
「……からかわれてるとは思ってないけど、なんで嬉しそうなの?」
「え? だって嬉しいから?」
「だからなんで?」
「……まず、人に興味を持つことがなかった司に好きな子ができたことが嬉しいし、その子と想いが通じたってだけで十分に喜べる材料揃ってると思うけど? さらにはこんな相談してもらえるとは思ってなかったから、やっぱり嬉しいよ」
兄さんは秋兄とそっくりな顔でにこりと笑った。
「さ、俺は夜勤前に仮眠とるかな。……あぁ、うちは姉さんのところと違って冷蔵庫に何も入れてないから、食べ物関係はコンシェルジュにオーダーして」
「わかった」
主寝室へ向かって歩きだした兄さんに声をかける。
顔を見て言える心境でもないから、テーブルに視線を落としたまま、ただ短く「ありがとう」と――
俺は代休の二日間、兄さんの家にあった本を読んだり株の操作をして過ごし、久しぶりに勉強をせずに過ごした。
代休明けの水曜日、翠と接した人間が欠席していないか調べたところ、生徒会メンバーをはじめとする実行委員や放送委員、打ち上げで同じボックスだった一年B組と一年C組の生徒は誰ひとりとして欠席していなかった。
二日間の代休があったわけだから、感染していたなら間違いなくその間に発症しているだろう。
だとしたら、感染したのは翠だけだったことになる。
集団感染に至らなかったことに安堵し、その一方で翠の容態が気になった。
熱は下がっただろうか……。
本当なら紅葉祭前には予防接種を受ける予定だった。
けれど、CFSからくる熱で常に三十七度以上あった翠は予防接種を受けることができなかった。
紅葉祭が終わって一息ついたら熱も下がるだろうから、とそのタイミングで予防接種を受ける予定を立てていたところ、予防接種を受ける前にかかってしまった。
予防接種さえ受けられていたら熱が四十度を超すことはなかっただろう。
なんでこんなにもタイミングが悪いんだか――
放課後、図書室に生徒会メンバーが集まりその場に姿を現さない翠の話になった。
「え? 休み!?」
翠の欠席に茜先輩が驚き声をあげる。
「疲れ出ちゃったかなぁ……」
嵐がテーブルに突っ伏して口にする。
「先生は風邪って言ってたけど、司、ほかに何か聞いてないの?」
海斗に訊かれ、
「インフルエンザで月曜の朝に入院した」
その一言にその場の人間が絶句する。
「紅葉祭で翠の側にいた人間の出欠確認は済ませた。誰も欠席してないところを見ると、集団感染はないと思う」
「司、違うってば……」
朝陽が呆れたように声をかけてくる。
「インフルエンザで入院って何、って話でしょ?」
あぁ、そっちか……。
「三十八度から三十九度台なら自宅療養で問題なかっただろう。けど、残念なことに翠は四十度どころか四十一度を超えた。だから入院」
この場で驚いた顔をしなかったのは簾条のみだった。
きっと御園生さんから聞いて知っていたに違いない。
その後、俺たちは紅葉祭の仕上げに入った。
学校としての「紅葉祭」は終わったが、俺たちの「紅葉祭」はまだ終わっていない。
俺と優太は会計作業に徹し、ほかの人間は紅葉祭で使った資料やミーティング内容、実際に使われた進行表やトラブルの報告書などを見やすくファイリングしていく。
それらがすべて終わったら学校長に提出。
学校長がそれらを精査し、学校印を捺印されたものが返ってきた時点ですべてが終了する。
「俺らすっごい楽させてもらってるよね?」
正面に座る優太が口にした。
「あぁ、そうだな……」
リトルバンクと収支報告の照らし合わせ作業はほとんどが終わっていた。
使途不明金もすべて把握、解決済み。
一部で得た売上金の計上と、余った運営資金を学食スタッフにアルバイト代として割り振る。
それでさえ、あくまでもアルバイト代として見合う金額になるように翠が調整をかけてくれていたおかげで、俺たちは頭を捻る必要すらなかった。
最後にパンプキンスープの販売で得た売り上げ金を学園への寄付金として口座に用意する。
そこまで済ませて全会計作業が終わった。
ほぼ同時刻にファイリングも終わり、紅葉祭の「集大成」とも言えるそれらを会長に託した。
時刻は七時を回っていたが、俺は部室棟で道着に着替え弓道場へ向かった。
途中、部室棟に戻る部員たちとすれ違う。
「あれ? 司、今から行くん?」
「あぁ、四日も弓を持たないと落ち着かない」
「んじゃ、鍵」
ケンに道場の鍵を渡されそこで別れた。
道場は今までそこに人がいたにも関わらず、そんなことを一切感じさせない静謐さがあった。
神拝を済ませ、床の上に正座する。
目を瞑り五感を研ぎ澄ませば、整理のつかない心が「無」とも言える空間に同調し始める。
自分をいつもの状態にするには一番慣れ親しんだ方法で、自分を取り戻すのには最適な場所だと再確認した。
心を落ち着けたところで弓を手に取る。
弓道の、ひとつひとつの動作が好きだと思う。
弓を引くときの緊張感、弓を放ったときに響く音。
ここに存在するすべてが自分の一部のように思える。
一手二射とも皆中。
道場にいるときの感覚を常に持ち続けることができたら、「衝動」を抑えることは可能かもしれない。でも――
もし手をつなぐことが許されるのなら、翠を腕に抱くことが許されるのなら、欲するままに動きたい。
俺はそう思うと同時に、「次」を考える。
こうやって俺の欲求はどんどんエスカレートしていくのだろう。
それは欲することのほかに、翠に求められたい、と――
自分が求めるばかりではなく、翠に求めて欲しいと願うのだろう。
どうやら、俺は無欲な人間になどなれそうにはない――
兄さんの言葉でキッチンへ移動しコーヒーを淹れていると、キッチンカウンターの向こうから確認するように声をかけられた。
「キスをしたってさ、それ、合意のうえで、だよな?」
またしても困ることを……。
結果オーライな感じではあるが、色々と順番を間違えた感が否めない。
あのとき俺は、翠が誰を好きかも知らずに衝動のままにキスをした。
たぶんだけど、キスをしたうえでの告白でなければ、何か都合よく勘違いされて終わった気がする。
「もしかして無理やりなわけ?」
兄さんの目が細まり鋭いものへと変わる。
「秋斗を見てきたからそれだけはしないと思っていたけど……」
咄嗟に「違う」と否定しそうになった。
でも、実際には何も違わない。
「……からかわずに聞いてくれるなら話す」
「真面目な話ならからかったりしない」
声にも表情にも、こちらを面白がる雰囲気がないから話そうと思えた。
会話の内容は話さず、流れのみを話せばいい。
端的に話すと、
「ま、それなら目を瞑るかな? ……っていうか、なんだ。ちゃんと両思いって結果つきだったんだ? 昨日、どれだけつついても全然吐かないからまだ返事もらってないのかと思ってた」
兄さんはコーヒーを一口飲むと、
「良かったな」
からかいも何も含まない声音に表情だった。
……もう、この際だ。最悪ついでに訊いてもいいだろうか。
学校の連中には口が裂けても相談なんてできないことを。
「兄さん……『衝動』って男側にしかないもの?」
「……それはつまり、性衝動ってやつ?」
「……そんなところ」
「くっ……おまえ、青春してるよな」
「……からかうならいい」
カップを持って立ち去ろうとしたら、
「悪い、からかうつもりはないよ」
すぐに謝られた。
兄さんを見ると、いつもと変わらない雰囲気で話し始める。
「性衝動がどこから、って定義にもよるかもしれないけど、人間は人を好きになったらありとあらゆる形で相手を求めるものなんじゃないかな。触れたい、抱きしめたい、キスしたい、セックスしたい。そんな衝動、男も女も関係なく持ってる」
「男も女も関係ない」――
その言葉に少しだけ救われるものの、自分のこれを抑えられるのか、というのは別問題らしい。
「ま、セックスに関してだけなら男のほうが物理的、肉体的快楽を得やすい分、衝動や欲求自体が高まることはあるだろうな。女の子は男よりも社会的、肉体的事後リスクが高い分、本能的に性行為には慎重になるものなんだよね。司だって三大欲求は知ってるだろ? 性欲なんてあって当たり前。生殖行為だから、人間なら誰でも本能として備え持ってる」
「兄さん……俺は『性欲』じゃなくて、『衝動』をどうにかしたいんだけど。……つないだ手を放したくないと思ったり、急に抱きしめたくなったり――そういうの、どうしたら抑えられる?」
「……ひたすら理性で抑えるしかないでしょ。……抑えなくちゃいけない状況なら、ね?」
え……?
「相手が受け入れてくれるなら我慢する必要なんてないだろ? つまり、そういうことだよ」
相手が――翠が受け入れてくれるなら?
ごく当たり前のことを言われた気がするのに、俺はすんなりとは納得しない。
「両思いならそんな難しいことじゃないよ。手をつなぐくらいは普通にできるだろうし……その先は訊いてみたら?」
「なんて……?」
「普通に訊けばいいんじゃないの? 抱きしめてもいい? って。キスしてもいい? って」
そんなこと誰が訊けるかっ。
訊けるだけの余裕があったら「衝動」になんて悩まない。
「あはは、最近の司は表情が豊かだな」
兄さんはクスクスと笑う。
俺は自分の顔が熱くなるのを感じていた。
「司、そんなの最初だけだよ。最初の一、二回訊いて嫌がられなかったらそのあとに拒まれることは稀。……そうだな、心変わりされない限りは大丈夫なんじゃない? あとは場をわきまえていれば平気だと思うけど」
「……からかわれてるとは思ってないけど、なんで嬉しそうなの?」
「え? だって嬉しいから?」
「だからなんで?」
「……まず、人に興味を持つことがなかった司に好きな子ができたことが嬉しいし、その子と想いが通じたってだけで十分に喜べる材料揃ってると思うけど? さらにはこんな相談してもらえるとは思ってなかったから、やっぱり嬉しいよ」
兄さんは秋兄とそっくりな顔でにこりと笑った。
「さ、俺は夜勤前に仮眠とるかな。……あぁ、うちは姉さんのところと違って冷蔵庫に何も入れてないから、食べ物関係はコンシェルジュにオーダーして」
「わかった」
主寝室へ向かって歩きだした兄さんに声をかける。
顔を見て言える心境でもないから、テーブルに視線を落としたまま、ただ短く「ありがとう」と――
俺は代休の二日間、兄さんの家にあった本を読んだり株の操作をして過ごし、久しぶりに勉強をせずに過ごした。
代休明けの水曜日、翠と接した人間が欠席していないか調べたところ、生徒会メンバーをはじめとする実行委員や放送委員、打ち上げで同じボックスだった一年B組と一年C組の生徒は誰ひとりとして欠席していなかった。
二日間の代休があったわけだから、感染していたなら間違いなくその間に発症しているだろう。
だとしたら、感染したのは翠だけだったことになる。
集団感染に至らなかったことに安堵し、その一方で翠の容態が気になった。
熱は下がっただろうか……。
本当なら紅葉祭前には予防接種を受ける予定だった。
けれど、CFSからくる熱で常に三十七度以上あった翠は予防接種を受けることができなかった。
紅葉祭が終わって一息ついたら熱も下がるだろうから、とそのタイミングで予防接種を受ける予定を立てていたところ、予防接種を受ける前にかかってしまった。
予防接種さえ受けられていたら熱が四十度を超すことはなかっただろう。
なんでこんなにもタイミングが悪いんだか――
放課後、図書室に生徒会メンバーが集まりその場に姿を現さない翠の話になった。
「え? 休み!?」
翠の欠席に茜先輩が驚き声をあげる。
「疲れ出ちゃったかなぁ……」
嵐がテーブルに突っ伏して口にする。
「先生は風邪って言ってたけど、司、ほかに何か聞いてないの?」
海斗に訊かれ、
「インフルエンザで月曜の朝に入院した」
その一言にその場の人間が絶句する。
「紅葉祭で翠の側にいた人間の出欠確認は済ませた。誰も欠席してないところを見ると、集団感染はないと思う」
「司、違うってば……」
朝陽が呆れたように声をかけてくる。
「インフルエンザで入院って何、って話でしょ?」
あぁ、そっちか……。
「三十八度から三十九度台なら自宅療養で問題なかっただろう。けど、残念なことに翠は四十度どころか四十一度を超えた。だから入院」
この場で驚いた顔をしなかったのは簾条のみだった。
きっと御園生さんから聞いて知っていたに違いない。
その後、俺たちは紅葉祭の仕上げに入った。
学校としての「紅葉祭」は終わったが、俺たちの「紅葉祭」はまだ終わっていない。
俺と優太は会計作業に徹し、ほかの人間は紅葉祭で使った資料やミーティング内容、実際に使われた進行表やトラブルの報告書などを見やすくファイリングしていく。
それらがすべて終わったら学校長に提出。
学校長がそれらを精査し、学校印を捺印されたものが返ってきた時点ですべてが終了する。
「俺らすっごい楽させてもらってるよね?」
正面に座る優太が口にした。
「あぁ、そうだな……」
リトルバンクと収支報告の照らし合わせ作業はほとんどが終わっていた。
使途不明金もすべて把握、解決済み。
一部で得た売上金の計上と、余った運営資金を学食スタッフにアルバイト代として割り振る。
それでさえ、あくまでもアルバイト代として見合う金額になるように翠が調整をかけてくれていたおかげで、俺たちは頭を捻る必要すらなかった。
最後にパンプキンスープの販売で得た売り上げ金を学園への寄付金として口座に用意する。
そこまで済ませて全会計作業が終わった。
ほぼ同時刻にファイリングも終わり、紅葉祭の「集大成」とも言えるそれらを会長に託した。
時刻は七時を回っていたが、俺は部室棟で道着に着替え弓道場へ向かった。
途中、部室棟に戻る部員たちとすれ違う。
「あれ? 司、今から行くん?」
「あぁ、四日も弓を持たないと落ち着かない」
「んじゃ、鍵」
ケンに道場の鍵を渡されそこで別れた。
道場は今までそこに人がいたにも関わらず、そんなことを一切感じさせない静謐さがあった。
神拝を済ませ、床の上に正座する。
目を瞑り五感を研ぎ澄ませば、整理のつかない心が「無」とも言える空間に同調し始める。
自分をいつもの状態にするには一番慣れ親しんだ方法で、自分を取り戻すのには最適な場所だと再確認した。
心を落ち着けたところで弓を手に取る。
弓道の、ひとつひとつの動作が好きだと思う。
弓を引くときの緊張感、弓を放ったときに響く音。
ここに存在するすべてが自分の一部のように思える。
一手二射とも皆中。
道場にいるときの感覚を常に持ち続けることができたら、「衝動」を抑えることは可能かもしれない。でも――
もし手をつなぐことが許されるのなら、翠を腕に抱くことが許されるのなら、欲するままに動きたい。
俺はそう思うと同時に、「次」を考える。
こうやって俺の欲求はどんどんエスカレートしていくのだろう。
それは欲することのほかに、翠に求められたい、と――
自分が求めるばかりではなく、翠に求めて欲しいと願うのだろう。
どうやら、俺は無欲な人間になどなれそうにはない――
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