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第十章 なくした宝物
13話
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昨日今日と、六時になるとどこからともなく昇さんが現れ、相馬先生もふらりと病室に入ってくる。そこへ栞さんが夕飯を運んでくると、四人での夕飯が始まるのだ。
病院なのに、なんだか変な感じ。
体調はというと、ところどころが痛むものの、この程度の痛みで入院していていいのだろうか、と疑問に思うくらい。
ご飯も食べられるようになってきているし、ベッドから下りて歩くこともできる。入院する前とは何もかもが違う。
そんなことを思いながら歯磨きを済ませ、髪の毛を梳かしていた。
早くも寝る前の準備が整ってしまった。しかし、時刻はまだ七時半。
「もしかしたら来ないかもしれないし……」
頭の大半を占めるのはツカサのこと。
櫛をテーブルに置いて横になれば、手は自然と胸元のとんぼ玉に伸びる。
とんぼ玉をそっと持ち上げては自分の視界に入れ、照明に透かしてみたり、ガラス独特のひんやり感を楽しんだり。
そういった動作が早くも癖になっていた。
「寝るときくらい外せ。危ないだろ」
「っ……!?」
声の発せられた方を見ると、ツカサが立っていた。
いつからっ!? いつからそこにいたのっ!? っじゃなくて――
「おかえりなさいっ」
ツカサはゆっくりと歩き、ベッド脇にやってくる。
「ただいま」
昨日の今日で、ツカサの肌は真っ赤に変化していた。
まるで海へ行った人みたい。
「なんか……すごい日焼けしたね? 肌真っ赤」
「……数日後には落ち着く」
「ツカサも赤くなって痛いだけで焼けない人?」
「そう」
「じゃ、私と同じ!」
ツカサの表情がふ、と緩む。
雰囲気が柔らかい……。
「ツカサ、いいことあった?」
「……いいことというよりは、最悪なことだらけの気がするけど?」
途端、眉間にしわが寄ってしまう。
言わなければ良かったかな……?
「だって、いつもよりも顔が優しく見えたよ?」
「それ、いつもは怖いって言いたいの?」
もう、どうしてそう取るのかなぁ……。
「怖いなんて言ってないよ。ただ、ツン、として見える……かな?」
「…………」
ツカサはそっぽを向いてから下を向いた。
なんとなく、ツカサらしくない行動。
「ツカサ……?」
「それ、自分で外せる?」
「あ……ネックレスのこと?」
「そう」
チャレンジはした。でも、指先が痛むから自分で外すことはできなかった。
「……できない」
「そう。じゃ、外すから」
手が伸びてきて身体ごと逃げる。
「やだっ」
「やだじゃない。こんなのつけたまま寝るな」
だって、外したら自分ではつけられないっ。
けれども、有無を言わさず外されてしまった。
「不服そうな顔……」
それはそうだ。頼んでもいないのに外されたら嬉しくもなんともない。
外されたあと、ツカサの手にあるとんぼ玉を見つめていると、ツカサはジーンズのポケットからチェーンを取り出した。
「これなら、留め具をいじらなくても首にかけるだけでいいだろ?」
新しく出されたチェーンは、頭からすっぽりとかぶれるほどに長いチェーンだった。
「……ありがとう」
「素材はシルバーでも金でもなければプラチナでもなくステンレスだけど」
そんなの気にならない。
「ありがとうっ!」
手を伸ばしたら、伸ばした分だけチェーンが遠ざかった。
「ツカサ……?」
「交換条件とまいりましょう」
ツカサはにこりと笑って、長いチェーンにとんぼ玉を通す。
「交換条件って……?」
今度はどんな話題が降ってくるのかと思っていると、
「あのさ、秋兄に会わない?」
「……え?」
「藤宮秋斗、俺の従兄に会わない?」
「会うよ……? だって、いつか静さんが連れてきてくれるのでしょう?」
「そのときじゃなくて……明日、秋兄に会わない?」
私はじっとツカサの顔を見る。
「……どうして? どうしてそんな顔で言うの?」
とても不思議だった。何がどう、と説明できるほどの変化はない。でも、何か決意するように言われた気がしたから。
「交換条件」というよりも、「懇願」されている気がした。
「前にも話しただろ……。そのバングルは秋兄が翠を心配して作ったものだって」
ツカサの視線が袖で隠れている左腕に注がれる。
「……心配してるんだ、翠のこと。でも、記憶をなくしたっていうこともあって、会うこと事体を自重している。それで会いにきていない」
「……でも、ツカサは来ているでしょう?」
なのに藤宮秋斗さんは来ない。そこにはどんな違いがあるの……?
「来られない理由があるの……?」
「……理由はある。でも、会わないとだめだと思う」
……理由は?
この場の雰囲気に、教えてもらえないことを悟る。
ツカサはすごくつらそうな顔をしていた。そんな顔をされたら断れるわけがない。
「……ツカサ? そんな顔をしなくても私は会うよ? ……大丈夫だよ?」
ツカサは何も言わず、私と視線を合わせては下を向いたり、と落ち着きがなかった。
さっきの柔らかいと感じた雰囲気は消えてしまった。感じられるのは緊張や不安――ちょっとピリピリとした空気。
「藤宮秋斗さんは怖い人というわけではないのでしょう?」
唯兄のデジカメに録画されていた映像を見る限りでは、優しそうな人だった。
ただ、どうしたことか、とても挙動不審に見えたけれど……。
「どうして? どうしてそんなに不安そうな顔をするの?」
ツカサの顔を覗き込むように尋ねると、
「翠の記憶がなくなった理由が俺と秋兄にあるかもしれないから」
私は目を瞠り、唾を飲み込む。
「悪い、これ以上は話せない……」
「……ツカサ、ひとつだけ教えて?」
「答えられることなら」
「これ以上話せない理由は何? 知っているけど話せないの? 知らないから話せないの?」
「……後者。どんなことがあったのかは粗方わかっている。でも、どの部分が引き金になって記憶をなくしたのかはわからない。俺の目の前で起きたことだけど、俺はその事柄すべてを把握することはできなかったし、翠が何を感じて記憶をなくしてしまったのか、そこまではわからなかった。……想定しようと思えばできる。でも、それは俺個人の見解であって、真実ではない。だから、話せない」
「……すごくツカサらしい理由だね」
「なんで笑う……?」
言われて、自分が少し笑みを浮かべていることに気づく。
「私は……色々と知りたいこともあるけれど、ツカサを困らせたいわけじゃないし、確信がないことを口にするのは憚られる、というのもわからなくはない。だから、そういう理由なら訊き出そうとは思わない。……いいよ。明日、藤宮秋斗さんに会う」
最後は意識して笑みを添えた。
ツカサは一瞬だけほっとしたような顔をしたけれど、肝心の緊張は解けていなかった。
「じゃ、これ……」
と、長めのチェーンに通されたとんぼ玉が自分の手に戻ってきた。
ツカサの体温がガラスに移っていてあたたかい。
このぬくもりがずっと続いたらいいのに……。
「これね、本当に嬉しかったの……。ありがとう」
「……何度言ったら気が済むの?」
「え? わからない。……そうだな、思うたびに言うんじゃないかな」
「あぁ、そう……」
あとは他愛のない話をしていた。
ツカサは明後日から部活が始まるらしく、そのほかに家庭教師もあるみたい。
私の夏休みはきっと入院で終わる。どこに行くでもなく、何をするでもなく、ただ治療を受けて終わるのだ。それでも、二学期に間に合うのかすらまだわからない。
心によぎる不安を払拭するように、夕飯のときに得た新しい情報をツカサに話してみる。
「ねぇ、知ってる? 昇さんってお医者さんになる前はクーリエになりたかったんだって」
「……初耳。クーリエって絵画とかの修復師だろ?」
「うん、学芸員になって修復師になりたかったんだって」
「で、なんで全く関係ない職種に就いてるの?」
「私もそう思った」
思わず苦笑する。
ツカサは理解できないって顔をして、中指でメガネのブリッジをくい、と押し上げた。
「あのね、栞さんと結婚するなら医療従事者が都合いいと思ったんだって」
「……俺には考えられない。結婚を軸に考えて進路や職業を変えるとか絶対無理」
私も同じことを思った。だって、もし結婚までたどり着かなかったら……と考えてしまうから。
いつか想いがなくなってしまったとき、後悔の念を抱きたくないから。
でも、昇さんは何か違った。
「昇さんが言ってたのだけど、年代物の絵画を修復するのも、人を治療するのも変わらないんだって。昇さんにとっては患者さんを治すのも絵画を修復するのも、『なおす』職業として『同じ』って認識されるみたい。不思議だよね?」
そんな話をしていると、相馬先生がやってきた。
「そろそろ就寝時間だ」
「栞さんは……?」
薬の時間なら栞さんが来てくれそうなものだけれど……。
「ずいぶんとふたりで話しこんでたからな。邪魔せずに帰るって、さっき昇と帰ったぞ」
「そうなんですね……。あ、相馬先生、この人が湊先生と楓先生の弟のツカサです」
「おぉ、電話の主な」
相変わらず、人を小ばかにしたような調子で話す。
「藤宮司です。相馬さんの論文はいくつか拝読しました」
「ほぉ、英語の論文読んだのか?」
「医療英語は独学で進めています。わからなくても辞書さえあればなんとかなるので……」
「へぇ、ずいぶんと頭の出来がいいんだな」
……ツカサは相馬先生のこと知っていたのだろうか。
ツカサに視線を向けると、
「以前、兄さんに薦められて読んだ論文が相馬さんのものだった」
そうなのね……。
「で、おまえさんも医者になるのか?」
「はい」
ツカサは間髪容れずに答えた。
真っ直ぐな目で未来を見据えているように見える。
自分が歩いている道の先に目標がある人の目。
こういう話を即答できるのって、格好いいな……。
病院なのに、なんだか変な感じ。
体調はというと、ところどころが痛むものの、この程度の痛みで入院していていいのだろうか、と疑問に思うくらい。
ご飯も食べられるようになってきているし、ベッドから下りて歩くこともできる。入院する前とは何もかもが違う。
そんなことを思いながら歯磨きを済ませ、髪の毛を梳かしていた。
早くも寝る前の準備が整ってしまった。しかし、時刻はまだ七時半。
「もしかしたら来ないかもしれないし……」
頭の大半を占めるのはツカサのこと。
櫛をテーブルに置いて横になれば、手は自然と胸元のとんぼ玉に伸びる。
とんぼ玉をそっと持ち上げては自分の視界に入れ、照明に透かしてみたり、ガラス独特のひんやり感を楽しんだり。
そういった動作が早くも癖になっていた。
「寝るときくらい外せ。危ないだろ」
「っ……!?」
声の発せられた方を見ると、ツカサが立っていた。
いつからっ!? いつからそこにいたのっ!? っじゃなくて――
「おかえりなさいっ」
ツカサはゆっくりと歩き、ベッド脇にやってくる。
「ただいま」
昨日の今日で、ツカサの肌は真っ赤に変化していた。
まるで海へ行った人みたい。
「なんか……すごい日焼けしたね? 肌真っ赤」
「……数日後には落ち着く」
「ツカサも赤くなって痛いだけで焼けない人?」
「そう」
「じゃ、私と同じ!」
ツカサの表情がふ、と緩む。
雰囲気が柔らかい……。
「ツカサ、いいことあった?」
「……いいことというよりは、最悪なことだらけの気がするけど?」
途端、眉間にしわが寄ってしまう。
言わなければ良かったかな……?
「だって、いつもよりも顔が優しく見えたよ?」
「それ、いつもは怖いって言いたいの?」
もう、どうしてそう取るのかなぁ……。
「怖いなんて言ってないよ。ただ、ツン、として見える……かな?」
「…………」
ツカサはそっぽを向いてから下を向いた。
なんとなく、ツカサらしくない行動。
「ツカサ……?」
「それ、自分で外せる?」
「あ……ネックレスのこと?」
「そう」
チャレンジはした。でも、指先が痛むから自分で外すことはできなかった。
「……できない」
「そう。じゃ、外すから」
手が伸びてきて身体ごと逃げる。
「やだっ」
「やだじゃない。こんなのつけたまま寝るな」
だって、外したら自分ではつけられないっ。
けれども、有無を言わさず外されてしまった。
「不服そうな顔……」
それはそうだ。頼んでもいないのに外されたら嬉しくもなんともない。
外されたあと、ツカサの手にあるとんぼ玉を見つめていると、ツカサはジーンズのポケットからチェーンを取り出した。
「これなら、留め具をいじらなくても首にかけるだけでいいだろ?」
新しく出されたチェーンは、頭からすっぽりとかぶれるほどに長いチェーンだった。
「……ありがとう」
「素材はシルバーでも金でもなければプラチナでもなくステンレスだけど」
そんなの気にならない。
「ありがとうっ!」
手を伸ばしたら、伸ばした分だけチェーンが遠ざかった。
「ツカサ……?」
「交換条件とまいりましょう」
ツカサはにこりと笑って、長いチェーンにとんぼ玉を通す。
「交換条件って……?」
今度はどんな話題が降ってくるのかと思っていると、
「あのさ、秋兄に会わない?」
「……え?」
「藤宮秋斗、俺の従兄に会わない?」
「会うよ……? だって、いつか静さんが連れてきてくれるのでしょう?」
「そのときじゃなくて……明日、秋兄に会わない?」
私はじっとツカサの顔を見る。
「……どうして? どうしてそんな顔で言うの?」
とても不思議だった。何がどう、と説明できるほどの変化はない。でも、何か決意するように言われた気がしたから。
「交換条件」というよりも、「懇願」されている気がした。
「前にも話しただろ……。そのバングルは秋兄が翠を心配して作ったものだって」
ツカサの視線が袖で隠れている左腕に注がれる。
「……心配してるんだ、翠のこと。でも、記憶をなくしたっていうこともあって、会うこと事体を自重している。それで会いにきていない」
「……でも、ツカサは来ているでしょう?」
なのに藤宮秋斗さんは来ない。そこにはどんな違いがあるの……?
「来られない理由があるの……?」
「……理由はある。でも、会わないとだめだと思う」
……理由は?
この場の雰囲気に、教えてもらえないことを悟る。
ツカサはすごくつらそうな顔をしていた。そんな顔をされたら断れるわけがない。
「……ツカサ? そんな顔をしなくても私は会うよ? ……大丈夫だよ?」
ツカサは何も言わず、私と視線を合わせては下を向いたり、と落ち着きがなかった。
さっきの柔らかいと感じた雰囲気は消えてしまった。感じられるのは緊張や不安――ちょっとピリピリとした空気。
「藤宮秋斗さんは怖い人というわけではないのでしょう?」
唯兄のデジカメに録画されていた映像を見る限りでは、優しそうな人だった。
ただ、どうしたことか、とても挙動不審に見えたけれど……。
「どうして? どうしてそんなに不安そうな顔をするの?」
ツカサの顔を覗き込むように尋ねると、
「翠の記憶がなくなった理由が俺と秋兄にあるかもしれないから」
私は目を瞠り、唾を飲み込む。
「悪い、これ以上は話せない……」
「……ツカサ、ひとつだけ教えて?」
「答えられることなら」
「これ以上話せない理由は何? 知っているけど話せないの? 知らないから話せないの?」
「……後者。どんなことがあったのかは粗方わかっている。でも、どの部分が引き金になって記憶をなくしたのかはわからない。俺の目の前で起きたことだけど、俺はその事柄すべてを把握することはできなかったし、翠が何を感じて記憶をなくしてしまったのか、そこまではわからなかった。……想定しようと思えばできる。でも、それは俺個人の見解であって、真実ではない。だから、話せない」
「……すごくツカサらしい理由だね」
「なんで笑う……?」
言われて、自分が少し笑みを浮かべていることに気づく。
「私は……色々と知りたいこともあるけれど、ツカサを困らせたいわけじゃないし、確信がないことを口にするのは憚られる、というのもわからなくはない。だから、そういう理由なら訊き出そうとは思わない。……いいよ。明日、藤宮秋斗さんに会う」
最後は意識して笑みを添えた。
ツカサは一瞬だけほっとしたような顔をしたけれど、肝心の緊張は解けていなかった。
「じゃ、これ……」
と、長めのチェーンに通されたとんぼ玉が自分の手に戻ってきた。
ツカサの体温がガラスに移っていてあたたかい。
このぬくもりがずっと続いたらいいのに……。
「これね、本当に嬉しかったの……。ありがとう」
「……何度言ったら気が済むの?」
「え? わからない。……そうだな、思うたびに言うんじゃないかな」
「あぁ、そう……」
あとは他愛のない話をしていた。
ツカサは明後日から部活が始まるらしく、そのほかに家庭教師もあるみたい。
私の夏休みはきっと入院で終わる。どこに行くでもなく、何をするでもなく、ただ治療を受けて終わるのだ。それでも、二学期に間に合うのかすらまだわからない。
心によぎる不安を払拭するように、夕飯のときに得た新しい情報をツカサに話してみる。
「ねぇ、知ってる? 昇さんってお医者さんになる前はクーリエになりたかったんだって」
「……初耳。クーリエって絵画とかの修復師だろ?」
「うん、学芸員になって修復師になりたかったんだって」
「で、なんで全く関係ない職種に就いてるの?」
「私もそう思った」
思わず苦笑する。
ツカサは理解できないって顔をして、中指でメガネのブリッジをくい、と押し上げた。
「あのね、栞さんと結婚するなら医療従事者が都合いいと思ったんだって」
「……俺には考えられない。結婚を軸に考えて進路や職業を変えるとか絶対無理」
私も同じことを思った。だって、もし結婚までたどり着かなかったら……と考えてしまうから。
いつか想いがなくなってしまったとき、後悔の念を抱きたくないから。
でも、昇さんは何か違った。
「昇さんが言ってたのだけど、年代物の絵画を修復するのも、人を治療するのも変わらないんだって。昇さんにとっては患者さんを治すのも絵画を修復するのも、『なおす』職業として『同じ』って認識されるみたい。不思議だよね?」
そんな話をしていると、相馬先生がやってきた。
「そろそろ就寝時間だ」
「栞さんは……?」
薬の時間なら栞さんが来てくれそうなものだけれど……。
「ずいぶんとふたりで話しこんでたからな。邪魔せずに帰るって、さっき昇と帰ったぞ」
「そうなんですね……。あ、相馬先生、この人が湊先生と楓先生の弟のツカサです」
「おぉ、電話の主な」
相変わらず、人を小ばかにしたような調子で話す。
「藤宮司です。相馬さんの論文はいくつか拝読しました」
「ほぉ、英語の論文読んだのか?」
「医療英語は独学で進めています。わからなくても辞書さえあればなんとかなるので……」
「へぇ、ずいぶんと頭の出来がいいんだな」
……ツカサは相馬先生のこと知っていたのだろうか。
ツカサに視線を向けると、
「以前、兄さんに薦められて読んだ論文が相馬さんのものだった」
そうなのね……。
「で、おまえさんも医者になるのか?」
「はい」
ツカサは間髪容れずに答えた。
真っ直ぐな目で未来を見据えているように見える。
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