上 下
420 / 436
第21章 聖魔大戦編・悪魔姫の復讐

420話 最初はお前達

しおりを挟む
「レティフィア……」

 あぁ、レティフィア。
 懐かしい……前世の、公爵令嬢だった時の私の名前。
 今の公爵令嬢だった時を彷彿とさせる私の姿に、狙い通りかつての私を思い出して重ねてるみたいだな。
 面白そうだし、ここはクズ勇者につきあってやろう。

「ふふっ、ノアール殿下」

 まぁ、今は殿下じゃなくて国王に即位して陛下なわけだけど。
 私が公爵令嬢たるレティフィアだった時はまだ殿下だったわけだし、細かい事は気にしない!

「残念ながら……レティフィアは死にました」

「「っ!!」」

「ノアール殿下、聖女リナ様。
 あなた方お2人の手で……お2人を始めとする皆様の手によって殺されたのです」

「レ、レティフィ……!」

「そんなつもりじゃ……!」

「〝お静かに〟」

 クズ勇者が。
 私の事を対して調査もせずにアバズレ聖女の言葉だけを盲信して冤罪で私を殺したくせに今更になってかつての私の名前を呼ぶな。

 そんでもってアバズレ聖女!  
 何が、そんなつもりじゃなかっただ!!  故意に私の事を嵌めて他の貴族共と共謀。
 邪魔な私の家族諸共皆殺しにしたくせに。

「お伝えしたはずです。
 公爵令嬢レティフィアは死んだのです……今の私は原初の悪魔にして、全ての魔を統べる魔神」

 まぁ、本当の種族名で言えば今は魔神じゃなくて幼魔神になるんだけど。
 魔王の一柱ヒトリである魔神で通ってるからな。

 あっ、先に言っておくけど。
 これは別にこれは自分で幼魔神って名乗るのが恥ずかしいとか、そんな訳では断じてないからな!
 わかったか?  バカ邪神!!

「私の名前は、レフィー。
 その名で……お前達が殺した、昔の私の名前で、私を呼ぶ事は、許さない」

「「──っ!!」」

 おっと、私とした事がちょっと殺気が漏れ出ちゃったわ。
 さてと、アバズレ聖女なんて自分の意思とは関係なく無理やり私の前まで歩かされて泣き叫んでたし。
 2人をビビらせる事はできただろうから、とりあえずクズ勇者とアバズレ聖女は喋れるようにだけしてこのまま放置するとして……

「魔神レフィー!」

「ん?」

「我々は……我ら連合軍は悪魔王国ナイトメアに全面降伏します!!」

「なっ!?」

「クリスっ!?」

「ですのでノアとリナを……私の友である2人を解放してください!  これ以上、誰の血も流さないでください!!」

「クリス!  何を言って……!!」

 土下座するように地面に頭を擦り付けるクリス。
 そんなクリスに向かって叫ぶクズ勇者。
 うんまぁ、とりあえず、付与ノ神の権能で跪かされてるから最初から土下座みたいな状態にはなってたんだけど……

「そう、ですね……クリスの言う通りです。
 先程の話が……本当に神能を4つも保有しているのなら、私達に勝機はありません」

「っ!」

「アナスタシア様、まで……」

 同じように跪かされて、勝機がないと断言したクソ女神の言葉にアバズレ聖女が息を呑み、クズ勇者が愕然と目を見開いて言葉を漏らす。

「この戦いの結果が。
 私達と魔神レフィー率いる悪魔王国との戦争の結果がわかりきっている以上。
 これ以上、人々の血を流すのは愚かです。
 勇者ノアール、聖女リナ、ここは潔く敗北を認め、降伏して不毛な争いは止めるべきです」

「それは……ノア」

「っ……わかり、ました。
 レティ……いや魔王、魔神レフィー、我々は貴女に……悪魔王国に対して全面降伏します」

「ふっ!  ふふふっ!  あはっはっはっはっ!!」

 潔く敗北を認める?
 全面降伏する?
 何をお前達だけで勝手に盛り上がってんの?

「お前達の降伏は、受け入れない」

「なっ!?」

「言ったハズ。
 戦う意思のない、人々の避難は、受け入れると」

 が!

「それを拒絶し、お前達は自ら私と戦う事を、この戦争に参加する事を決めた。
 お前達はもう、この戦争から降りる事は……私の復讐から、逃げる事は、許されない」

「そんな……」

「「「っ!!」」」

 クズ勇者が項垂れて、アバズレ聖女、クリス、クソ女神の3人が息を呑んでるけど。
 じゃあ!  茶番が終わったところで気を取り直して!!


 パチンっ!


 指を鳴らすと同時に、大山脈が消し飛んで平地と化した荒野に大勢の人間が現れる。

「ふふっ、最初はお前達からだ」

 強制転移されられて取り乱しているゴミ共に。
 かつて権力欲、金銭欲、その他諸々の欲望に塗れて私を生贄に捧げ、ついでとばかりに私の大切な人を皆殺しにした権力者共に向かって死なないように一瞬だけ軽く魔王覇気を解き放った。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

処理中です...