上 下
417 / 436
第21章 聖魔大戦編・悪魔姫の復讐

417話 終わらせてあげる

しおりを挟む
「そん、な……」

「うそ……」

 ぷぷっ!  クズ勇者とアバズレ聖女の英雄とはとても思えないこの間抜けな顔!!

「っ!」

「何故っ!?」

「くっ!」

「これは……!」

「どうしてっ!?」

 息を呑んで、呆然と私の美貌に見惚れるクリスと驚愕に目を見開きながらも即座に臨戦体制をとる熾天使共!
 そして……

「なぜ、貴女が……」

 唖然と目を見開いて、唇を震わせるクソ女神!!
 ふふん!  驚いたか!!

「教えて、ほしい?」

「っ!  貴女は……貴女は確実に神滅で滅びた筈ですっ!!」

「ん、確かに、お前達の攻撃で、私は滅んだ」

 は~い!  パチパチパチ~!!

「おめでとう。
 お前達は、私を殺した。
 お前達の一撃は、私に届いた」

 一度とは言え、クズ勇者共の力を束ねたクソ女神の一撃は確かに私を殺した。
 その事実!  この私を一回殺したという偉業は褒めてやろう!

「なら、どうして……」

「ふふっ」

 バカめっ!!
 私は精神生命体にして、チートの権化とも言うべき種族たる悪魔族デーモン
 それも始まりたる原初だぞ?

「肉体が滅びた程度で、この私が死ぬとでも?」

 ふふん!  確かにあの時、私の魔素エネルギーは世界へと還元されて私は消滅した。
 が!  私はあの世界を創造し、支配していた最高神!!

「あの世界は、私のモノ。
 あの世界で、私が本当の意味で、消滅する事は、あり得ない」

「そんな!  そんな筈はありません!!
 いくら貴女が精神生命体である悪魔族デーモンだとしても全ての魔素エネルギーが世界へと還元されれば消滅する筈です!
 それに自身の創造した世界と言えど、最高神が滅びる事が無いなど……!!」

 まぁ、確かにクソ女神の言う通り、いくら最高神だからといって自身の創造した世界では滅びないなんて事は無いし。
 精神生命体であるチートの権化たる悪魔族デーモンと言えども、全ての魔素を失えば魂諸共消滅する……普通なら。

 だがしかしっ!!
 私は大罪ノ王の権能の1つである暴食の力であの世界の全ての魔素を捕食し、我が者とすれば何の問題も無いのだよ!!

「私にお前如きの、常識は通用しない。
 残念だったな。
 あの世界じゃなかったら、私を滅ぼせたかも、知れないのに」

「そんな……!?」

 まぁ尤も、この世界にも私の迷宮ダンジョンがあるわけだし。
 どのみち、クソ女神達が私を完璧に滅ぼす事なんて不可能だっただろうけど!

『うわぁ、流石は悪魔ちゃん。
 もしかしなくても、わざと死んだふりを……ぬか喜びさせておいて叩き落とすなんて、悪い趣味だね』

 ふふん!  結構面白い催しだったでしょ?
 まぁ、頑張ってる人にはご褒美をあげないとね!
 クソ女神共もアレだけ私に蹂躙されながらも虎視眈々と反撃の機会を狙ってたわけだし。

 結構頑張ってたクソ女神共にも、ご褒美があって然るべきだもんね!
 ほんの一瞬、それも勘違いとは言え、クソ女神達も私を倒せたって思えて、勝利の歓喜を浴びる事ができたんだから満足だと思わない?

 ふっふっふ~ん!  いやぁ~、戦ってる敵にして、復讐対象である怨敵でもあるクソ女神達にも分け隔てなくご褒美をあげるとか!
 我ながら私って、本当に優しいわ~!!
 さてさて!  私からの感動的な素晴らしいサプライズプレゼントを受け取った感想はどうかな??

「あはっ!  束の間の平穏を感じた気分は?
 僅かな間だけでも、勝利の喜びを、味わえた感想は?」

「っ──!!  ならば!  もう一度、この世界で今度こそ貴女を倒すだけですっ!!
 封魔ノ神鎖っ!!」

 バッ!  っとクソ女神が手を翳すと同時に足元の地面が白く光り輝き、幾多もの鎖が私の身体を拘束する。

「擬似神能・英雄ノ王!」

「擬似神能・慈愛ノ姫っ!」

「擬似神能・敬信ノ王!!」

「「「「擬似神能・熾天ノ王っ!」」」」

「神能・美徳ノ帝……神滅っ!!」

 再びクズ勇者共の力を束ねた光が解き放たれて、白い光柱が天を衝き……

「〝消えろ〟」

 フッ、っと。
 最初から何もなかったかのように、あっさりと消えた。

「なっ!?」

「遊んであげるって、言ったけど……」

 あれ?  直接は言ってなかったっけ?
 う~ん、まぁ別にどうでも良いや!

「遊ぶための、世界箱庭は壊れた。
 だから、残念だけど、遊びは終わり」

 もっともっと甚振ってやりたかったけど仕方ない。
 一応、私を殺して私の世界を脱出したご褒美だ。

「ふふっ……あはっはっはっは!!
 さぁ、終わらせてあげる」
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~

平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。 三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。 そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。 アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。 襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。 果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~

夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。 「聖女なんてやってられないわよ!」 勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。 そのまま意識を失う。 意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。 そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。 そしてさらには、チート級の力を手に入れる。 目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。 その言葉に、マリアは大歓喜。 (国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!) そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。 外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。 一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

処理中です...