付与って最強だと思いませんか? 悪魔と呼ばれて処刑されたら原初の悪魔に転生しました。とりあえず、理想の国を創るついでに復讐しようと思います!

フウ

文字の大きさ
上 下
361 / 436
第20章 聖魔大戦編

361話 剣聖vs姫騎士

しおりを挟む
 キンッ!  キンッ!!


 金属同士がぶつかり合う音が鳴り響く。
 地面を砕いたり、大規模な魔法を使ったりと隣で派手に戦ってる星屑の剣とガスター、マリアナとは違って静かに。
 けど、確かで高度な技巧による剣撃を打ち合うリーゼとフェリシア。

 ふむ、まだ全力全開じゃ無いとは言え、押され気味だけどリーゼと対等に打ち合うとは流石は姫騎士フェリシア。
 まぁ領都の外壁で観戦してる有象無象には互角に見えるだろうけど。

 まっ!  それはともかく、一回徹底的に私にボコられて、格の違いを見せつけられてるからちょっと心配してたけど。
 ガスターも、マリアナも、フェリシアも、3人とも腑抜けて無いようで何よりだわ!!



「リーゼ……どうして……」

「くどいですよ、フェリシア。
 言ったハズです、これが私の正義だと」

「っ……!」

「この戦において貴女達に正義はありません」



 リーゼは刀を神器・聖剣ワルキューレで受けたフェリシアがその勢いを利用して背後に飛んで距離を取る。
 まぁ、リーゼは当然としてフェリシアのレベルになってくるとあんな距離はあって無いようなものだけど。



「本当に、本当に戦うしか無いの……?」

「はい。
 この場でフェリシアを倒す事がレフィー様より与えられた私の任務ですから」

「そっか……なら、私もここからは全力で戦う!
 そして私がリーゼを止めて見せる!!」



 止めて見せるねぇ。



「確かに私達に正義は無い。
 けど何の罪もない人達を守るために!  そんな人達をリーゼが手にかけなくて済むために!
 リーゼ……全力で行くよ?」



 ふむ、盛り上がってるところ悪いけど……



「罪のない人達を手にかける?  何を言っているのですか?」

「えっ?」

「言ったハズですよ。
 私の任務はフェリシア、貴女を圧倒して倒す事だと。
 今のところ私が彼等を始末する予定はありません」



 ぷぷっ!  恥っずかしぃ~っ!!
 せっかくビシッと宣言したのに、勘違いして全くの的外れとか……ぷっ!  ふふふ!!



「尤も、これが戦争と知った上で戦場に立った以上。
 向かって来るのならば容赦はしませんが……ふふっ」

「っ!  うぅ~わ、笑うなっ!
 もう、全力で行くからねっ!!」



 顔を真っ赤にしたフェリシアが真っ直ぐにリーゼに突っ込む。
 まぁ確かにそこらの有象無象だったら反応もできない速度の踏み込みだけど……私に鍛えられたリーゼを雑魚と一緒にしてもらっては困る!!



「はぁぁっ!!  っ!?」

「直線的過ぎです」



 当然のように受け止められたフェリシアが目を見開いて息を呑む。
 まぁ、前回2人が全力で戦った時。
 騎士王継承戦の時は今のスピードにリーゼは反応するのがやっとだったらしいから、余裕で受け止められてビックリするのはわかる。

 しっかし前も思ったけど、何でフェリシアって攻撃する時に叫ぶんだろ?
 それに、私の時と一緒でまた何の駆け引きもないスピード重視の直進だし……まぁ、別にどうでも良いけど。
 そんなんじゃあ、私のリーゼには到底勝てないっ!!



「えっ!  うそっ!!」



 リーゼの刀の腹を聖剣ワルキューレが滑り……




「カッ──!!」



 鳩尾に蹴りが突き刺さったフェリシアが息を吐き、顔を歪めながら背後に吹き飛ぶ。



「フェリシア。
 貴女の全力は……」

「ッ!!」

「その程度ですか?」



 蹴り飛ばされて、地面を転がりながらも体勢を立て直したフェリシアに瞬時に切迫したリーゼが頭上から刀を振り下ろし……


 ビシィッ!!


 リーゼの剣を受け止めたフェリシアを中心に地面に亀裂が走り、陥没する。
 リーゼの剣圧に押されて膝を着いたフェリシアに向かってリーゼが蹴りを放つ。


 キンッ!


 蹴りを放った事で僅かに剣圧が弱まった刀を弾いたフェリシアが軽やかにジャンプして蹴りをかわし……



「っ!!」



 息を呑む。



「閃っ!」



 いつの間にか鞘に収められていた状態から、僅かに姿勢を落として放たれる横薙ぎの一閃!


 ギィッンッ!!


 けたたましい音と共にフェリシアの身体が吹き飛んで地面を転がる。



「くっ……リーゼ、ちょっと見ない間に強くなり過ぎだよ」

「当然です。
 何度も……それはもう何度も死ぬほど頑張りましたから」



 やっぱりリーゼには剣よりも、敵を斬る事に特化した刀をすすめて正解だったな。
 普通の玉鋼じゃ無くてオリハルコンとかの合金だから強度も凄いし、その切れ味は語るまでも無い。

 ついでに後方支援特化だったマナにも刀で戦えるようになってもらって、今では後方支援職ながら前線での戦闘でもガスターと対等に渡り合える程度の実力者なのだ!

 ふふん!  どうだ見たかっ!!
 これが我が弟子達の実力!  人間共の希望の光である救世の六英雄をも圧倒する強者なのだよっ!!
 さぁ!  目の前で希望が敗北し、無様に這いつくばる姿を目の当たりにして絶望するが良いっ!!
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~

夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。 「聖女なんてやってられないわよ!」 勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。 そのまま意識を失う。 意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。 そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。 そしてさらには、チート級の力を手に入れる。 目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。 その言葉に、マリアは大歓喜。 (国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!) そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。 外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。 一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです

かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。 強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。 これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

処理中です...